
建設プロジェクトの現場を統括し、品質・安全・工程・原価のすべてを管理する施工管理技士は、現代社会のインフラや建築を支える上で欠かせない存在です。専門的な知識と豊富な経験が求められることから、一般のサラリーマンと比較しても年収の水準が高い職業の一つと言えます。
しかし、「施工管理技士」と一口に言っても、建築・土木・管工事・電気工事など携わる分野は多岐にわたり、1級と2級といった資格の等級によっても給与水準は大きく異なります。
この記事では、施工管理技士の平均年収を資格別・年代別について解説します。年収1,000万円を実現するための方法やキャリア戦略もご紹介していますので、キャリアプランの策定にお役立てください。

施工管理技士の平均年収

施工管理技士の平均年収は、担当する工事の種類や資格、勤務先の企業規模によって幅がありますが、全体的な相場感としては450〜650万円に収まることが多いです。
これは、国税庁が発表している日本人の平均給与「460万円(令和5年)」と比較しても、高い水準にあると言えます。特に1級資格を保有し、大規模な工事の主任技術者や監理技術者として活躍する人材は、700万円以上の高収入を得ることも珍しくありません。
施工管理技士の収入が高い傾向にある背景には、建設業界における資格保有者の不足と、建設業法に基づき現場に資格者を配置する義務がある点が挙げられます。この需給バランスが崩れている状況が、資格を持つ技術者の市場価値を高めている大きな要因です。
参考:令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁
年代別の平均年収

施工管理技士の年収は、資格の等級や企業規模に加え、経験年数(年代)によっても大きく変動します。
年代別の平均年収の相場と、キャリアアップのポイントを見ていきましょう。
| 年代 |
平均年収相場 |
主な昇給要因・キャリア段階 |
| 20代 |
350~510万円 |
経験を積む下積み時期。後半に急上昇が見られる。 |
| 30代 |
500~690万円 |
1級資格取得と役職(主任など)への昇進。 |
| 40代以上 |
650~800万円 |
管理職(所長、部長)への昇進。マネジメント能力が鍵。 |
特に30代以降は、資格取得と責任範囲の拡大により、年収が飛躍的に上昇する傾向があります。
20代の平均年収
20代の平均年収は、一般的に350〜510万円が目安となります。この時期は、現場の基礎知識やスキルを習得する下積み時期です。
年収は25歳以降に急激に伸び始め、20代後半で2級資格を取得し、管理業務を任されるようになると500万円を超えるケースも増えます。早期に1級資格を取得し、単価の高い案件を担当する企業に転職できれば、700万円超の高収入を達成する可能性もあります。
30代の平均年収
30代の平均年収は、500〜690万円が相場です。施工管理技士としての年収が大きく向上する時期にあたります。
現場経験が豊富になり、技術者として円熟味を増す30代は、1級施工管理技士の資格を取得する人が一気に増えます。1級を取得することで、監理技術者や現場代理人といった責任の重い役職に就けるようになり、年収も飛躍的に上昇します。この時期の資格取得が、年収1,000万円超えを将来的に目指せるかどうかの分かれ道となります。
40代以上の平均年収
40代以上の平均年収は、650〜800万円超と、最も高水準で安定します。40代以降は、現場を統括する所長や、複数の部門を統括する管理職クラスへ昇進する技術者が多数を占めます。
年収は、経験年数よりも「マネジメント能力」と「資格保有状況」によって決まってきます。大手企業や安定した企業の管理職であれば、年収1,000万円を超えることも珍しくありませんが、管理職に就くかどうかで個人間の年収差が大きく開くのもこの年代の特徴です。
施工管理技士が年収1,000万円を目指すためのポイント

施工管理技士として、年収1,000万円という高収入を目指すことは十分に可能です。達成のためには、資格取得や転職といった戦略的な行動が必要となります。
「1級施工管理技士」資格を取得する
年収1,000万円を目指す上で、1級施工管理技士の資格取得は、必須条件と言っても過言ではありません。
1級資格は、大規模な工事の責任者である監理技術者になるための資格であり、この役職に就ける人材は、企業から高い報酬で評価されます。1級資格は、手当の増加に加えて、キャリアアップにもつながり、より高収入の企業への転職も有利になります。
スーパーゼネコンなど年収水準の高い大手企業へ転職する
一般的に、建設業界では企業規模と年収水準が比例する傾向があります。
スーパーゼネコン(清水建設・大林組・鹿島建設・大成建設・竹中工務店など)や、大手デベロッパー系の建設会社は、高単価な大型プロジェクトを受注するため収益性が高く、給与や賞与の水準も高くなります。
1級資格と豊富な実務経験を武器に大手企業へ転職することは、年収1,000万円への最短ルートの一つです。
都市部など年収水準の高いエリアの企業へ転職する
都市部(特に東京・大阪・愛知などの大都市圏)は、地方と比較して建設プロジェクトの規模が大きく、競争も激しいため、優秀な技術者を確保するために年収水準が高く設定されています。
地方での経験を積んだ後、年収の高い都市部の企業へ転職することも、年収アップの有効な戦略です。
経験を積み管理職を目指す
現場での経験を積み、マネジメント能力や経営的な視点を身につけて管理職(支店長、部門長など)を目指すことも重要です。管理職に就けば、年収は役職手当や評価に応じて大きく伸びます。
特に大手企業では、管理職クラスの年収は1,000万円を超えてくることが一般的です。
関連資格を取得し、専門性を高める
メインの施工管理技士資格に加え、関連する難易度の高い国家資格を取得することで、市場における自身の価値をさらに高められます。
- 技術士(建設部門など):建設業界の最高峰の資格。技術コンサルタントとしても活躍でき、年収1,000万円達成の可能性が大きく高まる。
- 一級建築士:建築分野において、設計と施工管理の両方を理解している人材は非常に重宝される。より大規模で複雑なプロジェクトへの参画も可能になる。
独立・開業する
十分な実務経験と1級資格、そして経営スキルがある方は、建設コンサルタントや個人事業主として独立・開業する道もあります。独立すれば、請け負った案件の利益がそのまま収入となるため、年収の上限はなくなります。成功すれば年収1,000万円どころか、数千万円も夢ではありません。
しかし、営業活動・資金繰り・法的な責任など、すべてのリスクを自分で負うハイリスク・ハイリターンな選択肢であることを理解しておく必要があります。
まとめ

施工管理技士は、日本の平均年収を上回る収入を得やすく、社会を支える専門性の高い国家資格です。特に1級施工管理技士の資格は、大規模な工事を任される監理技術者への道を開き、年収700万円、さらには年収1,000万円という高収入を目指すための必須条件となります。
年収アップを実現するためには、資格取得の努力だけでなく、スーパーゼネコンへの転職、管理職への昇進、そして技術士などの関連資格の取得といった戦略的なキャリアプランが求められます。
施工管理技士の資格は、働きながら取得を目指す技術者にとって、学習時間の確保が大きな壁となりがちです。効率的かつ確実に1級資格を取得するために、豊富な実績を持つCIC日本建設情報センターの施工管理技士講座をぜひご検討ください。キャリアアップをサポートし、高収入への道を切り開きます。
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