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危険物取扱者甲種とは?できることや種別の違い、受験資格から取得のメリットまで解説

公開日:2022年8月23日 更新日:2023年3月29日

危険物取扱者甲種とは?できることや種別の違い、受験資格から取得のメリットまで解説


危険物取扱者甲種とは?
できることや種別の違い、受験資格から取得のメリットまで解説

危険物取扱者コラム09

危険物取扱者の資格を目指す方のなかには、甲種の取得を目標とする方もいるのではないでしょうか。

甲種は、いわば危険物のスペシャリスト。

さまざまな業務を遂行できます。

この記事では乙種と丙種との違いも含めて、甲種の資格を得るメリットを解説していきます。

また甲種を受験するための条件も確認していきましょう。


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危険物取扱者甲種とは?

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危険物取扱者甲種は、危険物取扱者のうち最も高いレベルの資格です。

受験資格が設けられている点は、乙種や丙種と異なるポイント。

そのぶん社会で高い評価を得られるため、取得するメリットの大きい資格です。

また甲種の資格は1種類となっています。

これは1類から6類に分かれている乙種の資格と大きく異なるポイントです。

甲種の資格を持つ方ができること

甲種の資格を持つことで、すべての危険物を扱えます。

危険物に関するプロフェッショナルとして、幅広い分野での活躍が期待できるでしょう。

加えて危険物保安監督者に選任された方は、講習を受けなくても防災管理者や防火管理者になる資格を得られます。

甲種の資格を求める職場

危険物取扱者甲種の資格は、多くの職場で求められています。

なかでもさまざまな危険物を扱う職場や、被害の影響が大きくなりがちな職場でのニーズは高いです。

ここでは2つのケースを取り上げ、どのようなニーズがあるか確認していきましょう。

多種多様な危険物を扱う職場

工場や研究所では、さまざまな原材料を使っています。

1類から6類のうち、複数の危険物を組み合わせる機会も多いでしょう。

甲種の資格をお持ちの方はどのような危険物も管理し、有事の際にも対応できるスキルを認定されています。

使い勝手のよい資格といえるでしょう。

乙種のように「取得している類と異なるため、その危険物に対しては資格がない」といった不都合が起こらないことも、メリットに挙げられます。

高層ビルなどの大規模施設

高層ビルなど多くの人を収容する施設では、甲種防火管理者の資格が求められます。

通常は自治体等が実施する「防火・防災管理講習」を受講しなければ、資格を得られません。

これは乙種の資格を持つ方も同様です。

危険物取扱者甲種をお持ちで危険物保安監督者に選任された方は講習を受講することなく、甲種防火管理者になれます。

「すぐに選任したい」というニーズに対応可能といった、施設側にもたらすメリットも見逃せません。

甲種・乙種・丙種の違いは?

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危険物取扱者は甲種・乙種・丙種により、異なる点がいくつかあります。

ここでは「取り扱い可能な危険物」と「仕事内容や権限」の2つに分けて、どのような違いがあるか確認していきましょう。

取り扱い可能な危険物の違い

取り扱い可能な危険物は、以下のように大きな違いがあります。

資格 取り扱い可能な危険物
甲種 すべての危険物を扱える
乙種 合格した類の危険物を扱える
丙種 ガソリン、灯油、軽油、第3石油類(重油、潤滑油及び引火点130度以上のものに限る)、第4石油類、動植物油類

出典:消防試験研究センター千葉県支部「令和4年度第1回危険物取扱者試験」

すべての危険物を扱う場合、乙種では1類から6類まですべての試験に合格しなければなりません。

一方で甲種に合格すれば、それだけですべての危険物を扱えることは魅力です。

仕事内容や権限にも違いがある

危険物取扱者は危険物の取り扱い以外にも、以下に挙げる業務を担当します。

  • 定期点検
  • 保安の監督
  • 無資格者の立ち会い

定期点検が可能な資格は、取り扱い可能な危険物の資格と同じです。

一方で保安の監督と無資格者の立ち会いが可能な資格は、以下のとおりとなっています。

資格 保安の監督と無資格者の立ち会い
甲種 すべての危険物で可能
乙種 合格した類の危険物で可能
丙種 不可

出典:消防試験研究センター「危険物取扱者について」

甲種の資格があれば、どのような危険物にも対応することが可能です。

危険物取扱者甲種を取得するメリット

危険物取扱者甲種の資格を持つことには、さまざまなメリットがあります。

ここでは主な3つのメリットについて、解説していきましょう。

どのような危険物にも対応可能

甲種の資格があれば、どのような危険物にも対応できます。

乙種のように新しい危険物に対応するため、試験を受ける必要はありません。

これは企業にとってもメリットのある資格です。

社内に乙種の資格を持つ方しかいない場合、「新しい危険物は社内の要員で対応できるか」という点を気にしなければなりません。

一方で甲種の有資格者がいれば、危険物の種類を気にせずスムーズに導入できます。

就職・転職の幅が広がる

甲種は乙種よりも高い評価を得ている資格です。

また甲種を持つことで、多種多様な危険物を扱う企業への就職も有利となるでしょう。

就職や転職の幅が広がることも、メリットのひとつに挙げられます。

防火管理者や防災管理者になりやすい

さきに解説したとおり、危険物取扱者甲種をお持ちで危険物保安監督者に選任された方は、「防火・防災管理講習」の講習が免除されます。

必要なタイミングで防火管理者や防災管理者に着任できることも、メリットといえるでしょう。

危険物取扱者甲種の受験資格

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危険物取扱者甲種の試験を申し込む際には、受験資格が必要です。

受験資格は、大きく4つに分けられます。

それぞれの条件について、詳しく確認していきましょう。

その1:化学に関する学部・学科を卒業

1つ目の条件は、大学や短大、高等専門学校などで化学に関する学部・学科を卒業することです。

一見して化学と別の学部・学科でも、以下のように対象となるものは多数あります。

  • 薬学科、薬科学科、製薬学科
  • 食品学科
  • 金属学科
  • 林産学科
  • 塗装科
  • 材料学科
  • 生物工学科
  • 分子工学科
  • 原子力科

受験資格を得られる学部・学科の詳細は、試験案内でご確認ください。

この受験資格で出願する場合は、以下のいずれかの書類が必要です。

学科等の名称がわかる書類を用意してください。

  • 卒業証明書
  • 卒業証書(コピー可)
  • 学位記(コピー可)

また専門学校を卒業した方は、修業年限が2年以上、総授業時数が1,700時間以上の専門課程を修了していることが必要です。

その2:化学に関する単位を15単位以上修得

化学に関する学部・学科を卒業していなくても、化学に関する授業科目を15単位以上修得した方は甲種の受験資格を得られます。

一見して化学に結びつく科目はもちろん、それ以外の科目も該当するものが多数あります。一例をみていきましょう。

  • 科学史
  • 安全工学
  • 金属学
  • 半導体工学
  • 栄養学
  • 食品科学
  • 薬学
  • 公衆衛生学
  • 林産学
  • 塗装学

該当する科目の詳細は、試験案内を参照してください。

この受験資格で出願する場合は、以下のいずれかの書類が必要です。

科目と単位数がわかる書類を用意してください。

  • 単位修得証明書
  • 成績証明書

専門学校を卒業した方の条件は、「その1」と同様です。

その3:危険物取扱者乙種の免状を持っている

この条件を満たせば、学歴を問わず甲種にチャレンジすることが可能です。

条件は2つに分けられますので、詳しく確認していきましょう。

4つ以上の類について免状を持っている

この方法は化学を学ばず、危険物に関する実務経験もない方が甲種を受験できる唯一の方法です。

6種類ある乙種のうち、以下の資格を取得すれば甲種の受験資格を得られます。

とにかく4種類揃えれば受験できるわけではないことに注意が必要です。

  • 乙種3類
  • 乙種5類
  • 乙種1類または6類
  • 乙種2類または4類

甲種を目指す方のなかには、すでに乙種4類をお持ちの方も多いでしょう。

その場合は3類、5類、1類または6類に合格すれば受験資格を満たせます。

免状の交付後、2年以上の実務経験がある

乙種の免状を取得後、危険物取り扱いの経験が2年以上ある方は、他の類に合格しなくても甲種の受験資格を得られます。

この場合は願書B面の裏面に以下の事項を記入したのち、勤務先の証明を受けてください。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 取り扱った危険物の類と品名
  • 危険物を取り扱った期間
  • 製造所等の区分

会社の承認印を押してもらう手続きには、日数を要する場合があります。

早めの申請を心がけましょう。

その4:化学に関する事項を専攻した修士または博士

大学院で化学に関する事項を専攻し、修士や博士の学位を持つ方も受験資格を得られます。

この要件については、外国で得た学位も認められます。

この受験資格で出願する場合は、以下のいずれかの書類が必要です。

専攻等の名称がわかる書類を用意してください。

  • 学位授与証明書
  • 学位記(コピー可)

過去に甲種を受験した方は、受験票や試験結果通知書で受験資格を証明できる

甲種を受験し不合格になった方は、再度証明書類を準備する必要はありません。

以下に示す書類(コピー可)のうち1つを提出することで、受験可能です。

  • 受験票(電子申請の方は、受験票(控))
  • 試験結果通知書(資格判定コード欄に番号が印字されているものに限る)

不合格になったからといって、受験票などを処分しないよう注意しましょう。

危険物取扱者甲種の資格試験の概要

危険物取扱者甲種の試験は、どのように実施されるのでしょうか。

ここからは甲種の資格試験について、概要を解説していきます。

試験内容や試験の実施方法

甲種の試験は、以下の3科目について行われます。

科目 出題数
危険物に関する法令 15問
物理学及び化学 10問
危険物の性質並びに
その火災予防及び消火の方法
20問

出典:消防試験研究センター中央試験センター「令和4年度危険物取扱者試験案内〔東京試験〕」

試験形式は5肢択一のマークシート方式です。

試験時間は合計で2時間30分となっています。

甲種の試験は、各都道府県で毎年実施されます。

甲種の試験は、以下の3科目について行われます。

ただし東京都や大阪府といった大都市でも年5回の開催であり、頻繁に受験できる試験ではありません。

試験日を事前に確認したうえで、受験の準備を進めましょう。

また都道府県によっては、事前に試験会場が提示されている場合もあります。

試験手数料は6,600円です。

これとは別に、以下の手数料や郵送料も必要です。

申請方法 別途必要な費用
書面申請 払込取扱票による払込手数料(最低203円)
願書を郵送する場合は、特定記録郵便による郵送料
電子申請 230円(払込手数料)

書面申請を行う際の郵送料は、添付する書類により変わります。

発送時に、郵便局の窓口でお確かめください。

配点や合格ライン

危険物取扱者試験は、問題による配点の違いはありません。

従って合否は、正答率により決まります。

合格ラインは科目ごとに、出題数の60%以上となっています。

1科目でも正答率が60%未満となった場合は、不合格となることに注意してください。

以下の例でみていきましょう。

科目 Aさん Bさん
危険物に関する法令(15問出題) 8問正解 9問正解
物理学及び化学(10問出題) 8問正解 6問正解
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(20問出題) 14問正解 12問正解
正答数の合計 30問 27問
合否 不合格 合格

AさんはBさんよりも、多くの問題を正解しています。

しかし「危険物に関する法令」の正答数が60%に達していないため、不合格となってしまいました。

一方でBさんはすべての科目で60%の正答率となっており、ギリギリですが合格です。

合格率や合格者数、受験者数

ここからは2016年度から2020年度について、合格率や合格者数、受験者数の推移をみていきましょう。

科目 合格率 受験者数 合格者数
2020年度(令和2年度) 43.8% 12,863人 5,635人
2019年度(令和元年度) 39.5% 19,540人 7,721人
2018年度(平成30年度) 39.8% 20,977人 8,358人
2017年度(平成29年度) 37.3% 22,504人 8,388人
2016年度(平成28年度) 33.5% 22,845人 7,653人

出典:消防試験研究センター「試験実施状況」

例年は年間で約2万人の方が受験し、8,000人前後の合格者を出しています。

2020年度は新型コロナウイルス蔓延の影響により、受験者数は減少しました。

合格率は2017年度以降、40%前後で推移しています。

まとめ

危険物取扱者甲種の資格は、さまざまな仕事で活かせます。

職場においても、一目置かれる存在になるでしょう。

誰でも受験できる資格ではないことも、価値を高める要因に挙げられます。

一方で合格率は40%程度。

しっかり努力すれば合格できる試験です。

効率的に学び、合格を勝ち取りましょう!


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