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「設備」管理と「施設」管理の違いは?必要な資格から仕事の内容・範囲までそれぞれの違いを解説

公開日:2022年9月6日 更新日:2023年12月13日

「設備」管理と「施設」管理の違いは?必要な資格から仕事の内容・範囲までそれぞれの違いを解説

「設備」管理と「施設」管理の違いは?
必要な資格から仕事の内容・範囲までそれぞれの違いを解説

設備系コラム01

建物管理業務では、設備管理、清掃、警備などさまざまな仕事がありますが、このほかに「施設管理」という業務があります。

設備管理と施設管理は似ているように思えますが、明確な違いがありますので、業務に携わる方はよく把握しておくことをおすすめします。

また、それぞれの業務によって求められるスキルや資格も異なりますので、転職を考えている方は前もって情報収集しておきましょう。

本記事では設備管理と施設管理の違いや、必要な資格などについて詳しく解説します。


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設備管理と施設管理とは?

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一般的に考えられている設備管理と施設管理の定義は以下の通りです。

  • 設備管理:建物内の設備機器の点検・保守を担当する仕事
  • 施設管理:建築物の管理に関する総合的なマネジメントを行う仕事

建物の管理業務は大きく分けて、設備管理、清掃、警備の3種類があり、設備管理はその一部という位置づけです。

施設管理は上記3つの業務を統括する立場に該当し、さらにビルのテナント対応、オーナー対応など顧客との折衝をメインにします。

それぞれの仕事内容

設備管理、施設管理のイメージが掴めたところで、それぞれの仕事内容をより詳しく解説していきます。

設備管理の仕事内容

建物内の電気、給排水、空調など建物の維持管理や環境衛生に関わる設備機器全般の管理を担当します。

具体的には受電設備、空調機、ボイラー、給排水ポンプなど多数の設備機器の点検、動作確認のほか、日常的なメンテナンス、修繕、施設全体の巡回点検といった業務を行っています。

また、エレベーターや機械式駐車場、消防設備など専門的な知識を要する設備点検は専門業者へ保守点検を委託し、自身は監督者として業務の立会いをします。

設備管理の仕事では、実際に建物内に常駐型の設備員と、複数の建物を担当する巡回型の設備員がいます。

基本的に規模の大きい建物では常駐の設備員を複数名配置しますが、小規模な建物では常駐の設備員を配置せず、巡回管理や緊急対応のみを委託するケースが多くなっています。

施設管理の仕事内容

設備管理、清掃、設備といった現場業務のすべてを統括する業務です。

建築管理に関する総合的なマネジメントを行うことから「ビルマネジメント」と呼ばれることもあります。

単に管理業務を行うだけでなく、顧客に当たるビルオーナーやテナントとの折衝も施設管理の重要な仕事の一つです。

具体的には建物の管理状況の報告、工事や修繕の見積提出、中長期修繕計画や省エネの立案など、賃貸経営に関わる範囲まで携わります。

現場の細かい業務を把握するよりも、顧客への説明、クレーム対応などコミュニケーション能力が重視される傾向にあります。

主な就職先や業種

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設備管理と統括管理の仕事に関係する主な就職先や業種を3つ紹介します。

独立系ビルメンテナンス会社

親会社を持たないビル管理(ビルメンテナンス)を専門とする会社のことです。

独立系ビルメンテナンス会社の数は多数ありますが、規模が大きく古い歴史を持つ会社の場合、特に設備管理や清掃業務に強い傾向があります。

一方、さまざまな現場を抱えているため、総合的な管理ではなく、設備管理、清掃業務単独で業務を受けているケースも多いでしょう。

系列系ビルメンテナンス会社は、専門知識を要する設備管理業務や清掃業務を協力会社などへ委託するケースが多い中、独立系ビルメンテナンス会社はコスト削減のため、できる限り自社で実施する傾向があります。

したがって、現場の実務を覚えるためには最適な環境で働ける可能性があります。

管理物件に関しては、親会社がないことから、自分たちで営業して獲得するのが基本です。

そのため、現在委託を受けている物件でも毎年あるいは数年置きに入札が実施され、品質と金額が折り合わなければ、解約となるケースも考えられます。

系列系ビルメンテナンス会社

デベロッパー、ゼネコン、商社、銀行、保険会社など大企業を親会社に持つビル管理会社のことです。

管理物件は基本的に親会社が所有する物件であるケースが多く、独立系のように他社と競合して管理業務を獲得するケースは少ないでしょう。

一方、忙しい現場も多く、コンプライアンスや安全管理の意識が高い傾向にあるので、独立系ビルメンテナンス会社よりも仕事は厳しく、高い能力が求められます。

また、親会社の影響を強く受ける点も理解しておく必要があります。

業務に関しては、設備管理、清掃業務といった一部の業務のみ受けるのではなく、親会社が所有する物件の統括管理を受けるケースが多いので、総合的な管理業務を経験したい方に向いています。

プロパティマネジメント会社

設備管理や施設管理が不動産のハード面の管理であるのに対し、プロパティマネジメントは主に不動産のソフト面における管理業務を指しています。

施設管理業務のほか、賃貸借契約書の締結、書類管理、テナント誘致のためのリーシング業務、工事や修繕の設計や工程管理を担当するコンストラクションマネジメント業務など、不動産経営全般に関わる業務を担当します。

プロパティマネジメント会社では、現場の業務よりも、経営面の知識が重要になるので、設備管理や施設管理よりも広い考え方をする必要があるでしょう。

また、オーナー代行という立ち位置で仕事をすることが多いため、建物の業務に関して幅広い権限を持つことが可能ですが、その分、責任も重くなります。

元々、不動産経営の知識がある方か、施設管理業務を経験したうえで、より高度な業務を目指したい方向けの転職先といえるでしょう。

必要な資格は?

建物管理業務では必要となる資格が多数あります。

所持していると役に立つ資格から、所持者を配置することが義務とされている資格もあるため、関係する資格の種類を把握しておくことが重要です。

以下に設備管理、施設管理でそれぞれ必要になる資格を紹介します。

設備管理で必要な資格

設備管理は現場仕事を担当するため、主に技術系の資格が必要とされます。

また、建物の規模や用途、設置してある設備機器の種類によっては、法律上、選任が義務づけられている資格もあります。

以下に主な資格を紹介します。

  • 建築物環境衛生管理技術者
  • 第三種電気主任技術者
  • エネルギー管理士
  • 第二種電気工事士
  • 第三種冷凍機械責任者
  • 危険物取扱者乙種4類
  • 二級ボイラー技士
  • 消防設備士乙種4類

このうち、建築物環境衛生管理技術者、第三種電気主任技術者、エネルギー管理士はビルメン三種の神器と呼ばれており、作業員ではなく管理監督する立場に当たる人に必要な資格です。

取得の難易度が高い反面、選任が義務づけられる建物が多いため、有資格者は重宝される傾向があります。

第二種電気工事士、第三種冷凍機械責任者、危険物取扱者乙種4類、二級ボイラー技士を合わせてビルメン四点セット消防設備士乙種4類を加えてビルメン五点セットと呼ぶこともあります。

前述した3つよりは取得しやすい資格ですが、冷凍機やボイラーの管理・点検、電気工事、危険物の扱いが発生する場面では、有資格者が必要になります。

こうした作業は多くの設備管理で必要になるため、設備管理の仕事に携わる場合は、ぜひ取得しておきたい資格といえます。

施設管理の必要な資格

施設管理は建物の総合的な管理や顧客との折衝を主に担当するため、主に技術系の資格のほか、マネジメントや経営に関わる資格が必要とされます。

以下に主な資格を紹介します。

  • 認定ファシリティマネージャー
  • ビル経営管理士
  • 宅地建物取引士(宅建)

認定ファシリティマネジャーは、施設・設備(ファシリティ)を経営上の視点から有効活用するためのマネジメントや業務改善に貢献する資格であり、ビル経営管理士はビルの経営管理に関する人材育成、知識の普及を図るための資格です。

宅地建物取引士は不動産取引では必須となる資格ですが、管理業務においては義務付けられていません。

ただし、宅建の知識は不動産の管理に関わる仕事であれば、知識が役立つ場面が多々あるほか、テナントの誘致や賃貸借契約を担当するプロパティマネジメントでは必須な資格です。

そのため、将来的にプロパティマネジメントの仕事を目指したい方は、特に取得することをおすすめします。

これらに加えて、管理・監督の資格である建築物環境衛生管理技術者、第三種電気主任技術者、エネルギー管理士の取得を目指すことをおすすめします。

転職するならどちらを目指すべき?

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設備管理と施設管理の違いや仕事内容は理解できたのではないでしょうか。

それぞれにメリット・デメリットがありますが、もし転職をするのであればどちらを目指すべきなのか、以下に解説します。

年収重視なら施設管理を目指すべき

設備管理と施設管理では、施設管理の仕事のほうが高待遇になる傾向があります

施設管理では建物の総合的な管理を担当することから、幅広い知識やマネジメント力が求められるうえ、責任も大きくなります。

また、ビルオーナー・テナントなど顧客との折衝のほか、外注業者とのやり取り、自社の社員への指示や教育も必要になるため、高いコミュニケーション能力が求められます。

ただし、転職を目指す場合、未経験で入社するのはやや難しく、設備管理、清掃など現場の業務の経験や資格を必須条件としているケースが多いでしょう。

仮に未経験で転職できたとしても未経験の場合、仕事についていけない可能性が考えられるため、まずは現場で仕事を経験して覚えることをおすすめします。

好条件の設備管理を目指すのもあり

設備管理の仕事では、業務が設備に限定される一方、その分野に関しては深い知識が必要になります

施設管理ほど幅広い知識が求められず、昨今は業界全体が人手不足であるため、未経験での転職可能なケースが多い反面、年収は劣ります。

ただし、待遇面に関しては会社によって差が大きい傾向があります。

例えば前述した系列系ビルメンテナンス会社と独立系ビルメンテナンス会社では、同じ設備員でも年収に100万円近い開きがあるケースも珍しくありません。

一方、仕事に関しては系列系ビルメンテナンス会社のほうが高いレベルを求められる傾向があるため、その点はよく理解しておく必要があります。

また、現場によって忙しさや業務の難しさが大きく異なるのが、この業界の特徴なので、どんな会社に入社した場合でも、配属される現場によって当たり外れが出てしまう点も理解しておきましょう。

まとめ

設備管理と施設管理では対象となる業務の範囲が異なります。

したがって、求められるスキルや年収も変わるため、自分の希望する環境は何か、まず考えたうえでどちらを目指すべきか検討することが大切です。

ただし、設備管理と施設管理の両方に共通しているのは、現場の設備機器に詳しい知識を持つことが重要であるという点です。

そのため、建築物環境衛生管理技術者をはじめとした資格の取得は大きな意味があるでしょう。

ぜひ、資格の取得を目指して学習を始めてみてください。


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