2025年5月14日に交付された労働安全衛生法改正に伴い、一人親方の安全管理ルールが変更されました。
この記事では、一人親方の安全管理ルールが変わる理由、【元請け・発注者向け】混在作業現場における新たな義務、【一人親方向け】個人事業者自身に課せられる3つの義務について詳しく解説します。さらに、「業務上災害報告制度」が開始すること、改正を受けて準備すべきこともご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
更新日:2026年8月28日

2025年5月14日に交付された労働安全衛生法改正に伴い、一人親方の安全管理ルールが変更されました。
この記事では、一人親方の安全管理ルールが変わる理由、【元請け・発注者向け】混在作業現場における新たな義務、【一人親方向け】個人事業者自身に課せられる3つの義務について詳しく解説します。さらに、「業務上災害報告制度」が開始すること、改正を受けて準備すべきこともご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
一人親方の安全管理ルールが変わる理由は、建設アスベスト訴訟の最高裁判決において、労働安全衛生法第22条は「労働者だけでなく、同じ場所で働く労働者ではない者も保護する趣旨」とみなされたためです。
この件をふまえて、労働者のみならず、一人親方をはじめとする個人事業者等の業務上災害を防止することを目的に、同条に基づく省令の規定が改正されることになりました。

こちらからは、元請け(委託事業者)・発注者の方向けに混在作業現場とは何か、混在作業現場における新たな以下3つの義務について解説します。
この機会に、ぜひ労働安全衛生法改正の内容を押さえておきましょう。(参考:改正労働安全衛生法説明会~個人事業者等の安全衛生対策の推進について~)
混在作業現場とは、「一つの現場」において複数の事業者で作業を行う現場のことです。例として、荷の搬入や搬出作業、機械・設備のメンテナンス作業などが挙げられます。
このような現場では、元方事業者の労働者とその請負人の労働者が混在して作業を行うため、自社だけで作業を進めるよりも労働災害が生じやすくなるという危険性があります。
元請け(委託事業者)・発注者の方に対して、労働安全衛生法第3条第3項に定められている注文者に対する規定が、建設工事以外の注文者にも適用されるように、適用範囲や配慮の内容等が明確化されました。
また、安全衛生経費の必要性に関する意識啓発の実施や、関係者へ具体的な作業内容や作業条件などを契約時に周知することも示されています。
混在作業現場における新たな義務として、建設業等の元方事業者が実施する統括管理の対象や、政令で定められた機械等・建築物を他の事業者に貸与する際に講ずべき措置の対象に、当該労働者だけではなく「個人事業者等」が含まれることになりました。
なお、この「個人事業者」は、個人や法人、請負の有無を問わず「事業を行う者で労働者を雇用しない者」を指します。
上記のほか、機械等貸与者が講ずべき措置の対象機械にフォークリフト・ショベルローダー・フォークローダーが追加されたうえ、建築物等貸与者の対象建築物が事業用のあらゆる建築物とされたことも明確化されています。
業種や仕事に限らず、混在作業場所で業務を行う場合、作業場所管理事業者に対して、連絡調整等が義務化されました。
改正前は、建設業・造船業・製造業の3業種のみに措置義務が課されていましたが、施行後は業種を問わないこととなるので注意が必要です。

一人親方を含めた個人事業者自身に課せられる3つの義務は以下のとおりです。
上記3つの義務について解説します。
参考:厚生労働省|改正労働安全衛生法説明会~個人事業者等の安全衛生対策の推進について~
混在作業現場で一人親方をはじめとする個人事業者等が作業をする際、構造規格または安全装置を具備しない機械等の使用が禁止されます。
上記はもともと事業者に義務付けられていた事柄ですが、安全確保の観点から個人事業者等も対象となりました。
一人親方などの個人事業者等自身が混在作業現場で作業を行う場合、特定機械等(車両系建設機械や移動式クレーンなどの)を対象とする定期自主検査等の実施が義務化されます。
こちらも、「危険な機械の使用禁止」と同様に事業者に義務付けられていましたが、今回の改正で対象が拡大されました。
一人親方を筆頭とする個人事業者等自身が、危険・有害な業務を行う場合、特別教育の修了が義務化されます。
また、個人事業者等自身が、法令により修了が義務付けられているもの以外に、すでに危険、または有害な業務を行っている場合は、業務に関する安全衛生教育を受けることが努力義務とされています。
一人親方を含む個人事業者等において、休業4日以上の業務上死傷災害が発生した場合、「特定注文者」等が労働基準監督署に遅滞なく報告することが定められました。加えて、個人事業者等が就業する場所や請け負った作業において、労働安全衛生関係法令に違反していた場合、労働基準監督署等への申告、および必要な措置を求める制度も創設されています。
なお、個人事業者等が申告をした場合、契約相手方はそれを理由とする不利益取り扱いを禁止されています。
こちらからは、労働安全衛生法改正に伴い準備すべきことを「元請事業者の場合」「一人親方の場合」にわけて解説します。
元請事業者の場合、労働安全衛生法改正にあたって下記の準備を進めていきましょう。
施行後は、一人親方が安全管理の対象になることを含め、元請事業者の責任はより重くなります。このため、あらかじめ混在作業に内在する危険要因や具体的な統括管理の方法について、理解を深めることが重要です。
一人親方の場合、労働安全衛生法改正を受けて下記の準備を行いましょう。
保護具の着用をはじめ、元請け(委託事業者)から求められる安全行動を無視してしまうと、労働災害のリスクが高まることはもちろん、「危険すぎて任せられない」といった評価につながるため注意してください。また、改正にあたり業種・作業内容に応じた安全衛生教育を確認し、受講していきましょう。

この記事では、一人親方の安全管理ルールが変わる理由、【元請け・発注者向け】混在作業現場における新たな義務、【一人親方向け】個人事業者自身に課せられる3つの義務などについて詳しく解説しました。
また、令和8(2026)年1月1日から段階的に施行される、「労働安全衛生法及び作業環境測定法改正の主なポイント」についても、「【2026年最新】労働安全衛生法改正の全体像と施行スケジュール総まとめ」の記事でまとめていますので、ぜひご確認ください。
労働安全衛生法の改正に伴い、墜落や重機接触などの重大災害を防ぐべく、現場全体を俯瞰した管理能力がより求められます。CIC日本建設情報センターの「統括安全衛生責任者教育」では、現場全体を統括するために必要な安全管理の知識を、Web受講でいつでも手軽に習得できます。
他にも、数々の特別教育・安全衛生教育に関連する講座をご提供しておりますので、一人親方を筆頭とした個人事業者の方もぜひこちらから講座一覧をご確認ください。
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