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【2023年版】建築施工管理技士試験の受験資格は?必要な実務経験年数や免除条件についても徹底解説
公開日:2023年11月24日 更新日:2024年1月12日
【2023年版】建築施工管理技士試験の受験資格は?必要な実務経験年数や免除条件についても徹底解説
建築施工管理技士は、実務経験がないと受験すらできない資格です。
確実に資格を取得するうえで、受験資格を正しく把握することは重要です。
一方で受験資格は学歴や資格、実務経験により、要件が複雑に規定されていることに注意しなければなりません。
この記事では、建築施工管理技士試験(建築施工管理技術検定)の受験資格について解説します。
本記事を読んで出願書類を正しく作成し、スムーズな受験と合格につなげましょう。
目次
最終更新日:
建築施工管理技士とは?
建築施工管理技士は建築工事現場における技術責任者として、施工管理を行える資格です。
資格は1級と2級に分かれており、1級は29種類ある建設工事のうち17の項目において、施工管理を担当できます。
金額を問わず、監理技術者や主任技術者、営業所の専任技術者になれることも強みです。
一方で2級は、監理技術者になれません。
また特定建設業の場合は、営業所の専任技術者にもなれません。
さらに施工管理を行える範囲は3つの種別に分かれているため、担当できる建設工事は1級よりも狭まります。
とはいえ多くの現場で求められている主任技術者等にはなれますから、工事現場の施工管理を十分に担える資格です。
1級建築施工管理技士の受験資格
建築施工管理技士の受験資格は、1級と2級で分かれます。
まず上位資格となる1級の受験資格について、確認していきましょう。
必要な実務経験の年数
1級の出願には、建築施工管理に関する実務経験が必要です。
必要な年数は、最終学歴により変わります。以下の表にまとめました。
最終学歴 | 卒業後に必要な実務経験年数 |
---|---|
大学、専門学校の高度専門士 | 4年6カ月以上(指定学科卒業者は3年以上) |
短大、高等専門学校(5年制) 専門学校の専門士 |
7年6カ月以上(指定学科卒業者は5年以上) |
高校、専門学校の専門課程 | 11年6カ月以上(指定学科卒業者は10年以上) |
上記以外 | 15年以上 |
いずれも実務経験のなかで、1年以上の指導監督的実務経験を含む必要があることに注意してください。
また指定学科には、建築に関する学科などが挙げられます。
詳細は「受検の手引」にてご確認ください。
具体的には以下の業務が該当します。
なお2級建築施工管理技術検定の第二次検定に合格した方は、第一次検定に限り合格後の実務経験は問われません。
合格後、すぐに1級の第一次検定へ出願できます。
実務経験として認められる工事や業務
建設会社や工務店に勤めていれば、実務経験として認められるとは限りません。
出願時に提出が求められている「実務経験証明書」に記載できる内容は、建築工事として実施された工事に限られます。
一例を以下に示しました。
- 事務所ビル建築工事
- 共同住宅建築工事
- 型枠工事
- とび工事、足場仮設工事
- 鉄骨工事
- サイディング工事
- 左官工事
- 屋根葺き工事
- 塗装工事
- 建築物解体工事
橋梁や歩道橋、ダムなどの土木一式工事、火災報知設備やスプリンクラーなどの消防施設工事、給排水などの管工事は、建築工事の実務経験として認められません。
加えて従事した立場も、実務経験の要件に含まれます。
建築工事において、以下いずれかの立場で従事した経験が求められます。
- 施工管理
- 設計監理
- 施工監督
もし建築工事の経験が豊富な方でも、作業員としての実績しかない場合は長年の経験があっても実務経験と認められないことに注意してください。
実務経験を証明する方法
実務経験は、出願時に提出する「実務経験証明書」に記載してください。
記入する際には、以下のポイントを踏まえ、正しく記入する必要があります。
- 勤務先ごとに工事種別や工事内容、従事した立場や期間を記入する
- 建築工事の施工に関する実務経験のみ記載する
- 実務経験年数は、原則として試験年度の前年度末時点で計算する
- 複数の施工管理を担当する場合、重複期間はどちらか一方の工事しか期間に計上できない
実務経験年数が不足する場合、第一次検定の試験日前日までの日数で記入できます。
2級建築施工管理技士の方は、1級第二次検定の試験日前日までの日数で記すことが可能です。
記入後は、「証明者」欄に会社の証明を受ける必要があります。
社内手続きの期間も考慮し、上司と相談しながら早めに記入した方がよいです。
なお転職歴がある場合も、在籍したすべての会社から証明を受ける必要はありません。
現在お勤めの会社から証明を受けるだけで出願できます。
持っていると受験しやすくなる資格
二級建築士試験に合格した方は、実務経験年数が5年となります。
中学校や高校を卒業した方、専門学校の専門課程修了者は、二級建築士の資格があれば実務経験年数を短縮できるため有利です。
2級建築施工管理技士の受験資格
ここからは、2級建築施工管理技士の受験資格について確認しましょう。
1級と比べて、受験資格の要件が緩くなっていることに注目してください。
必要な実務経験の有無や年数
第一次検定の要件は、試験実施年度中に満17歳以上となることです。
実務経験はいりません。誰でも出願し受験できます。
第二次検定の出願には、学歴に対応した実務経験が必要です。
必要な年数を、以下に示しました。
最終学歴 | 卒業後に必要な実務経験年数 |
---|---|
大学、専門学校の高度専門士 | 1年6カ月以上(指定学科卒業者は1年以上) |
短大、高等専門学校(5年制) 専門学校の専門士 |
3年以上(指定学科卒業者は2年以上) |
高校、専門学校の専門課程 | 4年6カ月以上(指定学科卒業者は3年以上) |
上記以外 | 8年以上 |
出典:一般財団法人 建設業振興基金「令和5年度【前期】 2級建築施工管理技術検定 第一次検定のみ受検申込専用 受検の手引」
指定学科には、建築に関する学科などが挙げられます。
詳細は「受検の手引」にてご確認ください。
技能検定合格者で第二次検定を出願する際に「躯体」や「仕上げ」の種別を選ぶ場合は、合格した職種や級によって実務経験年数が短縮される場合があります。
該当する職種の例を、以下に挙げました。
受検種別 | 技能検定の資格で実務経験年数が優遇される職種の例 |
---|---|
躯体 | とび、ブロック建築、型枠施工、鉄筋組立て、コンクリート圧送施工 |
仕上げ | 建築大工、左官、タイル張り、防水施工、サッシ施工、ガラス施工 |
上記にあてはまる場合、技能検定1級の方は実務経験不要、2級の方は4年以上の実務経験で出願できます。
実務経験として認められる工事や業務
2級建築施工技術検定では、経験した工事により受験できる種別が異なります。
種別ごとに実務経験として認められる工事内容の例を、以下に挙げました。
受験できる種別 | 工事内容の例 |
---|---|
建築 | 事務所ビル建築工事、共同住宅建築工事、一般住宅建築工事 |
躯体 | 型枠工事、とび工事、足場仮設工事、建築物解体工事 |
仕上げ | 左官工事、屋根葺き工事、建築板金工事、シーリング工事、防音工事 |
このほかにも建築工事の実務経験として扱われる工事は多数あります。
一方で土木工事や管工事、消防施設工事など、建築工事に該当しない工事は実務経験に含めることができません。
詳しくは「受検の手引」をご参照ください。
1級の場合と同様に、従事した立場も実務経験の要件に含まれます。
建築工事において、以下いずれかの立場で従事した経験が求められます。
- 施工管理
- 設計監理
- 施工監督
もし建築工事の経験が豊富な方でも、作業員としての実績しかない場合は長年の経験があっても実務経験と認められないことに注意してください。
実務経験を証明する方法
実務経験は「実務経験証明書」に記入して会社の証明を受けます。
実務経験年数の算出方法を除き、記入方法や手続きは1級の場合と同様です。
実務経験年数の計算方法は、1級とは異なります。
受験年度の7月末時点で算出し記入しましょう。
実務経験年数が不足する場合、第一次検定の試験日前日までの日数で記入できます。
試験の一部が免除となる資格
一級建築士をお持ちの方は第一次検定が免除され、第二次検定の合格で建築施工管理技士になれます。
資格をお持ちの場合は免除制度を活用し、第二次検定に注力しましょう。
建築施工管理技士の試験スケジュール
ここからは2023年度(令和5年度)に実施される、建築施工管理技術検定の試験スケジュールを解説します。
1級と2級では、試験日や試験の実施回数が異なります。
また申込受付期間は、試験日よりもかなり早いことに注意してください。
1級建築施工管理技士試験のスケジュール
1級建築施工管理技術検定は、第一次検定・第二次検定ともに年1回の実施です。
2023年度のスケジュールを、以下にまとめました。
項目 | 締切日や期間 | 備考 |
---|---|---|
願書販売 | 2023年1月13日開始 | |
願書受付 | 2023年1月27日~2月10日 | 当日消印有効。 第二次検定のみ受験の方も同様 |
第一次検定受検票発送 | 2023年5月22日 | |
第一次検定実施 | 2023年6月11日 | 9時45分入室、16時15分試験終了 |
第一次検定合格発表 | 2023年7月14日 | |
第二次検定受検票発送 | 2023年9月25日 | |
第二次検定実施 | 2023年10月15日 | 12時30分入室、16時00分試験終了 |
第二次検定合格発表 | 2024年2月2日 |
出願から合格発表までは、丸一年を要します。
願書受付は、第一次検定の4カ月前に締め切られることに注意してください。
また再受験者はインターネット申込みが可能であり、願書を郵送する手間が省けます。
2級建築施工管理技士試験のスケジュール
2級建築施工管理技術検定は、年2回実施されます。
但し第二次検定は年1回しか開催されないため、建築施工管理技士になれるチャンスも年1回しかありません。
それぞれの試験について、スケジュールを確認していきましょう。
前期試験(6月実施)
6月に実施される前期試験は、第一次検定のみの実施です。
2023年度のスケジュールを以下にまとめました。
項目 | 締切日や期間 | 備考 |
---|---|---|
願書販売 | 2023年1月13日開始 | |
願書受付 | 2023年1月27日~2月10日 | 当日消印有効。 書面申込みに限る |
第一次検定受検票発送 | 2023年5月22日 | |
第一次検定実施 | 2023年6月11日 | 9時45分入室、12時45分試験終了 |
第一次検定合格発表 | 2023年7月14日 |
出願してから合格まで、最短でも5カ月強かかります。
合格者は後期試験の第二次検定に出願することで、年度内に合格を手にすることも可能です。
後期試験(11月実施)
第一次検定・第二次検定ともに実施されます。
2023年度のスケジュールを以下にまとめました。
項目 | 締切日や期間 | 備考 |
---|---|---|
願書販売 | 2023年6月30日開始 | |
願書受付 | 2023年7月14日~7月28日 | 当日消印有効 |
試験実施 | 2023年11月12日 | 1日で第一次検定・第二次検定を実施 |
第一次検定合格発表 | 2023年12月22日 | |
第二次検定合格発表 | 2024年2月2日 |
願書受付は、第一次検定の3カ月半前に締め切られることに注意してください。
再受験者の場合はインターネット申込みを利用でき、6月30日から出願できます。
願書を郵送する手間を省けることに、メリットを感じる方も多いでしょう。
最新の受験資格に関する動向にも注目!
建築施工管理技術検定は、2024年度(令和6年度)以降にいくつかの項目が改定、または改定を検討されています。
1級と2級に分けて、どのように変わるか確認していきましょう。
1級建築施工管理技士試験の改定内容
2023年までの試験では出願にあたり実務経験を要し、その年数は学歴により異なっていました。
2024年度からは学歴による区別がなくなり、出願の要件が以下のとおり簡素化されます。
試験の段階 | 出願の際に満たすべき要件 |
---|---|
第一次検定 | 19歳以上 |
第二次検定 |
1級技士補として、以下いずれかの実務経験を有すること
|
この結果、2級を経ずにいきなり1級から受験することもしやすくなります。
施工管理の実務経験がなくても、1級建築施工管理技士補になれる道が開かれることにメリットを感じる方もいるのではないでしょうか。
第一次検定の受験からは学歴の要件が外されますが、
新たに科目免除の制度が創設される予定です。
一方で大学を卒業した技術者のなかには、今よりも長い実務経験を要求される場合もあることに注意が必要です。
このため、
2級建築施工管理技士試験の改定内容
2023年度までの試験では、第二次検定の出願において実務経験が求められていました。
2024年度以降は、第二次検定の出願要件が以下のとおり簡素化される予定です。
- 2級技士補になってから3年間の実務経験
- 1級技士補になってから1年間の実務経験
大学や短大、高専を卒業した技術者のなかには、今よりも長い実務経験を要求される場合もあることに注意が必要です。
このため、経過措置の実施が検討されています。
第一次検定の出願要件は変更されませんが、1級と同様に科目免除の制度が設けられる予定です。
大学等で建築を学んだ方は、改定後のほうがより受験しやすくなる可能性があります。
受験資格をよく確認し、正しい情報で出願・受験しよう
建築施工管理技術検定は2級の第一次検定を除き、学歴や資格、これまで携わった実務経験に応じた受験資格が定められています。
特に実務経験の要件は複雑ですから、受検の手引などをよく確認し、正しい情報で出願・受験しましょう。
また、2024年度以降の試験では、現行の受験資格は満たしていても、変更後に受験資格を満たしていない、といった事態が発生する場合が考えられます。
つまり、 現行の1級施工管理技士の受験資格を満たしている方は、今年度取得しなければ大幅なタイムロスになってしまう可能性もあります。
改正前の最後のチャンスを、CICの短期集中型講座で逃さず掴み取りましょう。
反対に「2024年度以降ならば受験できる」という方も、多いのではないでしょうか。
まだ時間があるから…と油断していると、気づけば試験日前日、と慌ててしまう可能性もあります。
そうならないように、市販の対策図書などで、はやめに試験対策を進めつつ、2024年度の試験を狙っていくことも選択肢の一つです。
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