
「消防設備士」は、消防用設備等の点検・整備・工事を行うことができる国家資格です。元々は男性が多い職種でしたが、近年は人手不足などの影響もあって女性の消防設備士も増えてきています。性別問わず、需要が急増しているのが特徴です。
女性の消防設備士の場合、女性専用エリアでの業務対応など、独自の強みを活かして活躍できます。どのようなメリットがあるか、どのくらいの年収を年収が見込めるのか事前に情報をチェックしておきましょう。
この記事では、女性が消防設備士として活躍できる理由や、働く上での大きなメリット、年収の目安について詳しく解説します。消防設備士として就職をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも消防設備士とは

そもそも「消防設備士」とは、消防法に基づいて設置される消防用設備等の点検・整備・工事を行うことができる国家資格です。「甲種」と「乙種」に分かれており、乙種は整備・点検のみ、甲種は工事・整備・点検のすべてに従事できます。
以下の表は、各類で扱える消防設備の違いについてまとめたものです。
| 区分 |
取扱い設備 |
甲種(工事・整備・点検) |
乙種(整備・点検のみ) |
| 特類 |
特殊消防用設備など
(従来の消防用設備などに代わり、総務大臣が当該消防用設備等と同等以上の性能があると認定した設備など) |
〇 |
- |
| 第1類 |
屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備
パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備・共同住宅用スプリンクラー設備 |
〇 |
〇 |
| 第2類 |
泡消火設備・パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備、特定駐車場用泡消火設備 |
〇 |
〇 |
| 第3類 |
不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備
パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備 |
〇 |
〇 |
| 第4類 |
・自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備
・共同住宅用自動火災報知設備・住戸用自動火災報知設備
・特定小規模施設用自動火災報知設備・複合型居住施設用自動火災報知設備 |
〇 |
〇 |
| 第5類 |
金属製避難はしご、救助袋、緩降機 |
〇 |
〇 |
| 第6類 |
消火器 |
- |
〇 |
| 第7類 |
漏電火災警報器 |
- |
〇 |
区分によって扱える消防設備は異なります。需要の高い乙種第6類や甲種第4類を中心に取得しつつ、自分の業務に関係する区分などの資格を取得することをおすすめします。
女性が消防設備士として活躍できる3つの理由

女性が「消防設備士」として活躍できる主な理由として、以下の3つが挙げられます。
- 力仕事が多くない職業
- 人手不足を課題として抱えている
- 需要が高く資格によって担当できる範囲が広がる
これらを把握することで、より自分の強みを生かした就職・転職が可能です。それぞれの内容についてみていきましょう。
理由1. 力仕事が多くない職業
「消防設備士」の仕事は、力仕事が比較的少なめです。点検・整備が主な業務となるため、女性でも無理なく働けます。
具体的な業務としては、消火器や火災報知器などの消防設備の点検、無理なく作動するかの動作チェック、不具合が生じた場合の整備作業などです。重たい点検器具を運ぶなどの作業は発生しないため、体力に自信がない方でも問題なく活躍できるでしょう。
理由2. 人手不足が課題として抱えている
「消防設備士」は、需要の高さに対して人手不足の課題を抱えています。今後も、高齢化や定年退職者の増加が考えられるため、新たな人材を欲する企業は多い傾向です。
また、女性の消防設備士は女性専用エリアでも問題なく業務をこなせる点からも企業に重宝されます。未経験からでも経験を積みやすく、安定したキャリアを積んでいけるでしょう。
理由3. 需要が高く資格によって担当できる範囲が広がる
「消防設備士」は需要が高く、取得資格を増やすことで担当できる範囲が広がります。資格を活かして、さまざまな職種で活躍できるのも特徴です。
例えば、ビル・商業施設・マンションなどの建物の消防点検はもちろん、新築や改修される建物においても業務が発生します。消防設備士の資格でも複数の区分を取得することで付加価値は高まりますし、「電気工事士」などの相性の良い資格も取得することで、より技術者としてのキャリアを積みやすくなるでしょう。
男性・女性問わず、消防設備士は長く安定して働けるチャンスが広がっている仕事といえます。
女性が消防設備士として働く3つの大きなメリット

女性が「消防設備士」として働く大きなメリットは、主に以下の3つです。
- 女性専用エリアに入りやすい
- 転職や収入アップで有利に働きやすい
- ワークライフバランスを重視できる
それぞれの内容について詳しく解説します。
メリット1. 女性専用エリアの業務にも対応しやすい
「消防設備士」は、消防設備が設置されている建物を訪問しますが、中には女性専用のエリアや建物での設備点検・工事などの業務も存在します。女性の消防設備士の場合、女性専用の建物での業務が行いやすく、担当できる建物が増える点が大きなメリットです。
例えば、女子寮や女子更衣室、レディースクリニックなどであれば、女性の消防設備士が非常に重宝されるでしょう。
メリット2. 転職や収入アップで有利に働きやすい
「消防設備士」は国家資格であるため、転職や収入アップで有利に働きます。資格を取得して経験を積むことで、技術者としての付加価値が高まるためです。
そのため、結婚・出産後の再就職や転職においても問題なく価値を発揮します。特に消防設備士は人手不足問題を抱えており、即戦力の技術者は常に求められている状態です。必要に応じて調整しやすい点もメリットといえるでしょう。
メリット3. ワークライフバランスを重視できる
「消防設備士」の仕事は、休日・休暇が安定している場合が多いです。そのため、ワークライフバランスを重視しやすい方にもメリットがあります。
例えば、寮での点検であれば、寮で暮らす方が不在になりやすい平日などに点検を行うことが多いです。ほかの建物であっても、電気の工事などと違って停電などが生じないため、平日に日程を調節して点検を行います。
休日を重要視したい方にとって大きなメリットといえるでしょう。

消防設備士(女性)の年収・給与相場の目安

以下の表は、令和6年度の賃金構造基本統計調査のデータをもとに、女性の「消防設備士」を含めた電気工事従事者の平均年収をまとめたものです。
| 区分 |
年収の目安 |
| 女性 |
約446万円 |
| 男性 |
約550万円 |
| 全体 |
約548万円 |
| 日本の平均年収 |
約460万円 |
参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
年収を見ると、「消防設備士」全体の平均年収は日本人の平均年収を上回っているものの、女性の消防設備士の年収は若干平均を下回っていることが分かりました。ただし、一般的な事務職より評価されやすいことや、資格手当が支給されるケースがある可能性も考えると、十分に平均以上の年収は狙えます。
例えば、「消防設備士」の甲種を取得して、より責任の伴う立場へと昇格したり、「建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)」などのビルの管理業務系の仕事などへステップアップすることで、より高い年収を狙えるでしょう。
これから消防設備士を目指す場合におすすめの資格

「消防設備士」を目指す場合、まずは「乙種6類(消火器)」か「甲種4類(火災報知器)」の取得がおすすめです。
自動火災報知設備や消火器はほとんどの建物に設置されているため、それらを扱う甲種第4類(乙種第4類)や乙種第6類は、最も需要の高い分野です。次いで、消火器を扱う屋内消火栓やスプリンクラー設備を扱う甲種第1類(乙種第1類)も対応できる現場が広くなるため、取得をおすすめします。
また、「消防設備士」以外の電気系資格や管工事系の資格を取得することで、より付加価値を高められます。
例えば、「電気工事士」の資格があれば、消防設備の電源・配線工事まで担当できるため、実務的な観点からアピールにつなげられます。ほかにも、管工事施工管理技士や電気工事施工管理技士を取得しておくことで、より規模の大きいプロジェクトに携わるチャンスにもつながるでしょう。

消防設備士としての就職でよくある質問

ここでは、「消防設備士」の就職でよくある質問についてまとめました。
消防設備士は将来性のある仕事?
「消防設備士」は、消防法によって定められていることから独占業務に該当します。加えて、建築物は建てて終わりではなく、維持・管理が必要になるため、消防設備士の需要はなくなりません。
また、技術者の現場判断能力が重要視される仕事である点からもAIやロボットに奪われにくく、将来性の高い仕事であるといえるでしょう。
消防設備士資格は独学で合格できる?
消防設備士資格は独学でも合格できる資格です。実際、働きながら独学で合格を目指す方は少なくありません。
ただし、独学はモチベーションの維持が難しいのも事実です。独学が苦手な方は、通信講座などの受講もご検討ください。
消防設備士はどんな職場で働くの?
「消防設備士」の職場は幅広い傾向にあります。消防設備会社・防災関係の会社やビルメンテナンス会社、電気設備業界など、さまざまな職場で活躍可能です。
消防設備士の資格を中心に仕事するのも良いですし、別業種での付加価値を高めるために消防設備士の資格取得を狙うのも良いでしょう。
まとめ

この記事では、女性が「消防設備士」として活躍できる理由や、働く上での大きなメリット、年収の目安について解説しました。消防設備士は、点検・整備・工事を行う国家資格で、近年は女性の活躍も増えています。
消防設備士は体力的な負担が少なく人手不足の業界のため需要が高いため、性別問わず働きやすいのが特徴です。また、女性の消防設備士であれば、女性専用エリアでの業務対応など独自の強みも活かせます。
まずは乙種第6類や甲種第4類などの需要が高い資格から取得し、その後別の区分の「消防設備士」や「電気工事士」などの相性の良い関連資格を取得するのが良いでしょう。
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