フルハーネスが必要となる具体的な高さをご存じでしょうか。「フルハーネスの着用義務化」が施行されたことにより、今までの作業とは異なる変更点も出ていますので、この機会にぜひ確認してみましょう。
この記事では、フルハーネスの着用が義務付けられている高さ、墜落制止用器具の選定について詳しく解説します。さらに、フルハーネス特別教育の講習内容と受講方法に加えて、受講が必要な理由と、受講しなかった場合に生じるリスクについてもご紹介しますので、参考にしてみてください。
更新日:2026年9月2日

フルハーネスが必要となる具体的な高さをご存じでしょうか。「フルハーネスの着用義務化」が施行されたことにより、今までの作業とは異なる変更点も出ていますので、この機会にぜひ確認してみましょう。
この記事では、フルハーネスの着用が義務付けられている高さ、墜落制止用器具の選定について詳しく解説します。さらに、フルハーネス特別教育の講習内容と受講方法に加えて、受講が必要な理由と、受講しなかった場合に生じるリスクについてもご紹介しますので、参考にしてみてください。

こちらからは、フルハーネスの着用が義務付けられる高さについて詳しく解説します。
フルハーネスの着用は、6.75mより高い箇所で義務化されています。6.75m以下の場合であれば、胴ベルト型(一本つり)の着用も選択できますが、原則的に墜落制止用器具はフルハーネスを着用することが義務づけられているのです。
また、建設業であれば5m、柱上作業などであれば2m以上でフルハーネスの着用が推奨されています。ただ、実際にどのような墜落制止用器具を着用するかは、作業現場の高さなどによっても変化することを押さえておきましょう。

フルハーネス着用義務化は、2022年1月から施行されています。こちらからは、フルハーネス着用義務化が施行された背景や変更点について詳しく解説していきましょう。
フルハーネス着用義務化に至った背景は、胴ベルト型安全帯の安全性が危惧されていたからです。
胴ベルト型安全帯は、墜落時に内臓の損傷や胸部などの圧迫による危険性が指摘されているうえ、実際に胴ベルト型の使用に関わる災害も確認されています。加えて、国際規格などではフルハーネス型安全帯が採用されているため、政令などの改正が行われました。
フルハーネス着用義務化の変更点については、以下のとおりです。
フルハーネス着用義務化により、胴ベルト型(U字つり)は墜落を制止する機能が備わっていないことから、墜落制止用器具とは認識されないことが定められています。
また、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型のものを用いて行う作業を行う方は、「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」の受講が義務化されました。

墜落制止用器具の選定をする際は、以下4つのポイントを押さえておきましょう。
上記4つのポイントについてご紹介します。
フルハーネス着用義務化により、墜落制止用器具として認められているものは「フルハーネス安全帯」または「胴ベルト安全帯」です。6.75mを超える箇所では、フルハーネス型を選定し、高さが6.75m未満であれば胴ベルト安全帯の選択も可能です。
一方で、柱上作業等で使用されるU字つり胴ベルトを着用する場合は、フルハーネス型と併用することが必要です。
以前の法令に基づいて作られた胴ベルト型・フルハーネス型ではなく、規格変更に基づいて製造された墜落制止用器具を選びましょう。
旧規格と新規格の胴ベルト型・フルハーネス型を見分けるには、販売されている名称を確認することがおすすめです。フルハーネス着用義務化の施行によって名称が変更されたので、「安全帯」ではなく「墜落制止用器具」と記載されているものを選びましょう。
墜落制止用器具は、作業者の体重や装備品の合計重量に適したものを選びましょう。墜落制止用器具に定められている使用可能な最大重量を超えてしまうと、新規格のものを着用していたとしても危険性は拭えません。
作業者の体重よりもゆとりのある耐荷重のものを選び、安全に作業を進めていきましょう。
墜落制止用器具を選ぶときは、作業場所を考慮することもポイントです。万が一落下した際、身の安全を守れるように、作業場所は墜落制止用器具のショックアブソーバに表示された落下距離以上の高さかどうかを確認しましょう。
また、腰の高さ以上にフックなどを掛けて作業を行うことが可能な場合は「第一種ショックアブソーバ」、足下にフックなどを掛けて作業を行う必要がある場合は「第二種ショックアブソーバ」を選定してください。

墜落の危険性がある作業のうち、特に危険性の高い業務を行う労働者は、「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」を実施することが義務付けられています。
こちらでは、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の概要や講習内容、受講方法について詳しく解説していきましょう。
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは、作業者がフルハーネス型墜落制止用器具の安全な使い方を学ぶための講座です。
高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に従事する場合は、受講が義務付けられています。特別教育を実施せずに対象業務へ労働者を就かせた事業者は、「6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」に処せられる場合があるため、十分注意しましょう。
建設業界歴28年のCICがご提供する「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」の講習内容は、以下のとおりです。
| 区分 | 科目 | 講習時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 作業に関する知識 | 1時間 |
| フルハーネスに関する知識 | 2時間 | |
| 労働災害の防止に関する知識 | 1時間 | |
| 関係法令 | 30分 | |
| 合計 | 4.5時間 | |
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は、建設業関連の一般社団法人などの団体で受講することが可能です。
なお、上記のほかに実技科目「墜落制止用器具の使用方法等」(1.5時間)が定められています。Web講座では学科科目を受講いただき、実技については事業者様にて実施していただく形となります。
一般的な流れとしては、該当の講座に申し込み、入金をしたうえで受講を開始します。CIC日本建設情報センターのWeb講座の場合、受講完了後に修了証(PDF)を即時ダウンロードいただけます。完了申請をすると、後日、カード型修了証が郵送されます。

「フルハーネスは装着するだけなのに、なぜ講習まで必要なのか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、特別教育の受講には法令上の理由だけでなく、作業者の命を守るうえでの明確な必要性があります。こちらでは、受講が必要とされる4つの理由を解説します。
もっとも大きな理由は、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育が法令で定められた義務だからです。労働安全衛生法第59条第3項および労働安全衛生規則第36条第41号により、危険または有害な業務に労働者を就かせる際は、事業者が特別教育を行わなければならないと定められています。
対象となるのは、高さ2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところで、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業です。「高さ6.75mを超えるかどうか」ではなく「2m以上で作業床がないかどうか」が基準である点に注意しましょう。足場が組まれている場所や、胴ベルト型のみを使用する作業は対象外です。
厚生労働省が公表した令和7年の労働災害発生状況によると、労働災害による死亡者数は700人でした。このうち事故の型別でもっとも多かったのが「墜落・転落」の186人で、業種別では建設業の214人が最多となっています。
墜落・転落による死亡災害は、長年にわたり事故の型別のワースト1位が続いています。数値上は減少傾向にあるものの、依然として高所作業がもっとも命に関わるリスクを抱えた作業であることに変わりはありません。器具を支給するだけでは災害は防げず、正しい知識を持った作業者が正しく使うことではじめて効果を発揮します。
フルハーネスは、装着しているだけで安全が確保される器具ではありません。誤った使い方をすれば、着用していても墜落を止められない、あるいは着用していたことでかえって危険が生じるケースがあります。
特別教育では、たとえば次のような実務に直結する知識を学びます。
とくに見落とされがちなのが、落下距離と救助の知識です。フックを低い位置に掛けたまま墜落すると落下距離が伸び、地面や下階に激突するおそれがあります。また、墜落を止められたとしても宙づり状態が続くと身体に重篤な影響が及ぶため、速やかに救助する体制と手順をあらかじめ知っておくことが欠かせません。こうした知識は、現場でのOJTだけでは体系的に身につけることが難しい内容といえるでしょう。
法令上の義務に加え、実務面でも修了証は必要になります。多くの建設現場では、入場時に元請から資格や特別教育の修了証の提示を求められます。修了証を提示できなければ、対象となる高所作業に従事できず、現場への入場自体を断られることもあります。
また、労働安全衛生規則第38条により、事業者は特別教育を行った記録を3年間保存する義務があります。安全書類(グリーンファイル)の提出時に修了状況の記載を求められることも多いため、受講は作業者本人だけでなく、事業者にとっても現場を円滑に進めるための前提条件といえるでしょう。

特別教育を受けさせないまま対象業務に労働者を従事させた場合、罰則をはじめとするさまざまなリスクが生じます。こちらでは、未受講のまま作業を行った場合に起こり得ることを4つの観点から解説します。
特別教育を実施せずに対象業務へ労働者を就かせた場合、労働安全衛生法第119条第1号により「6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。さらに同法第122条の両罰規定により、違反行為をした担当者だけでなく、法人にも罰金が科されることがあります。
ここで押さえておきたいのは、罰則の対象となるのは原則として「特別教育を実施しなかった事業者」であるという点です。受講しなかった作業者本人が直接罰せられる規定ではありません。ただし、事業者が講じた措置に従わず保護具を使用しなかった労働者についても、労働安全衛生法第26条および第120条第1号にもとづき50万円以下の罰金の対象となり得ます。「受けさせていなかった」も「使わなかった」も、どちらも法令違反になると理解しておきましょう。
なお、2025年6月1日施行の刑法改正により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されています。古い資料では「6か月以下の懲役」と記載されている場合がありますが、現在の表記は「拘禁刑」です。
労働基準監督署の臨検監督で未受講が判明した場合、まず是正勧告書が交付され、期日までの改善報告が求められます。危険性が高いと判断されれば、使用停止命令や作業停止命令が出され、工期そのものに影響が及ぶこともあります。
是正されない場合や重大な違反があった場合には、書類送検されるケースもあります。労働局が公表する労働安全衛生法違反の送検事例には企業名が掲載されるため、社会的信用の低下という形でも損失が生じます。公共工事では指名停止措置の対象となることもあり、事業への影響は罰金額にとどまりません。
もっとも深刻なのは、実際に墜落災害が発生してしまった場合です。特別教育を実施していなかった事実は、安全配慮義務違反を裏づける事情として扱われ、民事上の損害賠償責任が重くなる要因になります。高所からの墜落は死亡や後遺障害につながりやすく、賠償額が高額化しやすい災害です。
加えて、労災保険給付が行われた場合でも、事業者の責任が重いと判断されれば費用徴収の対象となることがあります。元請にとっても、下請作業員の未受講は現場全体の管理責任を問われる問題です。「受講費用を抑えた」結果として、はるかに大きな金銭的・人的損失を招くことになりかねません。
罰則や災害以前の問題として、未受講のままでは対象となる高所作業に従事できません。現場入場時に修了証を提示できず、その日の作業から外されてしまえば、本人にとっても事業者にとっても機会の損失になります。
特別教育は一度受講すれば有効期限はなく、修了証は全国の現場で通用します。数時間の受講で解消できるリスクを抱えたまま作業を続ける理由はありません。対象業務に従事する予定があるなら、早めに受講を済ませておきましょう。

フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の受講を検討しているなら、Web講座がおすすめです。
会場に足を運ぶことなく、自宅で好きな時間に受講できるため、なかなか受講の時間をとりづらい方にもぴったりです。建設業界歴28年のCICがご用意している「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」のWeb講座であれば、受講後に即時で修了証(PDF)をダウンロードいただけます。
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この記事では、フルハーネスの着用が義務付けられている高さ、墜落制止用器具の選定について詳しく解説しました。
フルハーネス義務化により、6.75mより高い箇所でフルハーネスの着用が必須とされています。
さらに、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な場所でフルハーネス型を使用する作業者は「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」の受講が義務付けられています。
未受講のまま対象業務に従事させた場合、事業者には罰則が科されるおそれがあるほか、労働災害が発生した際の責任も重くなります。4.5時間のWeb講座で完結できる特別教育を、後回しにせず早めに済ませておきましょう。