
ビル管理士(建築物環境衛生監理技術者)は試験または講習の受講によって取得できる資格です。
受験資格には「2年以上の実務経験」が規定されているため、試験合格を目指す受験生の多くは現役の社会人が占めています。
しかし、 社会人の場合、働きながら学習をするため時間が限られており、効率的な学習を心がける必要があります 。
また、 全体の65%以上が合格するための基準点 であり、満点を狙う試験ではないことから、特に押さえるべき問題を把握しておくことが大切です。
本記事では働きながらビル管理士の資格学習をする方へ向けて、働きながら効率的な学習をするポイントを解説します。
オンライン講座を活用した効率的な対策についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ビル管理士の資格とは

はじめにビル管理士の資格の概要を解説します。
取得を目指す方は、資格のメリットや専任された場合に担当する業務について、理解を深めておきましょう。
特定建築物で専任義務のある資格
ビル管理士は建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称ビル管法)により、特定建築物で選任が義務づけられています。
もし特定建築物に該当する建築物でビル管理士を専任しなかった場合、所有者に対し罰則(30万円以下の罰金)が科せられる可能性があります。
そのため、建物が存在する限り、一定以上の需要がある資格といえるでしょう。
なお、
ビル管法における特定建築物とは、特定用途に利用される部分の面積が、3000㎡以上の建物(学校の場合は8000㎡以上) と定められています。
環境衛生上の維持管理に関わる業務を担当する
特定建築物に選任されたビル管理士は、環境衛生上の維持管理に関わる業務を担当することになります。
主な業務としては以下の通りです。
- 管理業務計画の立案
- 管理業務の指揮監督
- 建築物環境衛生管理基準に関する測定または検査結果の評価
- 環境衛生上の維持管理に必要な各種調査の実施
建物に常駐してビル管理士として仕事をする場合、設備点検や清掃などの年間スケジュール作成、各専門業者の指導・監督、点検や清掃報告書の取りまとめ、記録などの業務を担当します。
ビル管理士試験の概要

ビル管理士試験は誰でも受けられる試験ではなく、受験資格が定められています。
また、試験で合格するための合格基準点は、他の国家資格と比較してややシビアな内容になっています。
以下にビル管理士試験の概要をまとめます。
合格率や合格点
合格基準点として、2つの条件が定められています。
- 全体の出題数の65%以上(117問以上)に正答する
- 各科目の出題数の40%以上に正答する
多くの国家試験が、正答率が全体の60%以上であることを合格基準としているなかで、ビル管理士の基準点65%以上は、やや高いと感じられるかもしれません。
また、 科目ごとの合格基準点が40%以上 と決められているため、苦手科目を1つでも作るといわゆる「足切り」に合ってしまう可能性があります。
試験スケジュールや申し込み期間
ビル管理士試験は例年10月の第一日曜日に実施されます。
試験の申し込み期間は、 5月前半~6月中旬頃 が目安となっており、合格発表は試験日から約1ヶ月後に行われます。
| 項目 |
日程 |
| 試験日 |
2026年10月4日(日) |
| 合格発表日 |
2026年11月10日(火)午前10時 |
| 受験申込期間 |
2026年5月7日(木)午前10時~6月15日(月)午後4時 |
| 受験票送付 |
2026年9月9日(水) |
| 受験費用 |
17,900円(消費税は非課税) |
ビル管理士試験の受験資格

ビル管理士試験には受験資格が必要
ビル管理士試験を受けるためには、 厚生労働省が定めた建築物での実務経験が2年以上必要 とされています。
厚生労働省が定めた建築物とは、事務所、店舗、学校、ホテルなど、衛生環境を維持する必要性があり、多数の人が利用するタイプの建物です。
実務経験とは「環境衛生上の維持管理に関する実務」の経験を指しており、空調、給排水、電気設備といった建物の設備管理業務や、清掃、廃棄物処理、害虫駆除など環境衛生に関わる業務が該当します。
主な例としては、ビル管理会社で設備員、清掃員として現場の実務を経験している方や、空調、給排水、電気設備の点検業者として働いている方があげられます。
建物の用途と実務経験に関しては、その他にも幅広い捉え方が可能であるため、自分の仕事が該当するかどうか不明な場合は、日本建築衛生管理教育センター国家試験課へ直接問い合わせるようにしましょう。
実務経験2年未満でも講習を受講することで資格取得可能
ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)資格試験の受験には、通常2年以上の実務経験が必要とされていますが、 講習を受講することで資格取得が可能 です。 試験での資格取得と比較して費用や受講時間はかかりますが、実務経験が2年未満の方にとっては早く資格を取得することができる方法です。
ビル管理士試験で押さえるべき問題

ビル管理士試験では以下の7科目から合計で180問もの問題が出題されます。
| 科目 |
問題数 |
| 建築物衛生行政概論 |
20問 |
| 建築物の環境衛生 |
25問 |
| 空気環境の調整 |
45問 |
| 建築物の構造概論 |
15問 |
| 給水及び排水の管理 |
35問 |
| 清掃 |
25問 |
| ねずみ、昆虫等の防除 |
15問 |
中には重箱の隅を突くような問題も出題されますが、合格の最低ラインは117点であることから、難解な問題すべてを取る必要はありません。
一方で得点源となる問題も多数あるため、事前に押さえるべき問題とそうでない問題の見極め方を理解しておくことが大切です。
得点源とすべき科目とは?
まず7つの中で得点源とすべき科目を把握しましょう。
得点源としておすすめしたい科目は、 建築物衛生行政概論、建築物の環境衛生、清掃の3科目 です。
建築物衛生行政概論
建築物衛生行政概論は法律に関わる問題が多数出題されるため、応用力は問われず、単純に覚えているかどうかが得点を左右します。
年度によっては過去問で一切触れられなかった問題が出題されるケースもありますが、基本的に過去問数年分を繰り返し解き、ポイントを押さえておけば、7~8割程度の得点が期待できる科目といえます。
建築物の環境衛生
建築物の環境衛生も同じく過去問からの出題が多い傾向にあります。
室内環境や健康管理、感染症予防などの日常生活でも役立つ知識を問う問題が多い特徴があり、暗記で対応できる問題がほとんどです。
清掃
清掃は設備系の仕事に就いていると、知識が少なく苦手に感じる方が多いかもしれません。
しかし、清掃の科目は出題範囲が狭く、応用力が問われる問題が少ないため、しっかりと学習すれば得点源になります。
洗剤やワックスの種類などは、実際に利用した方でないと名前が覚えにくいかもしれませんが丸暗記するしかありません。
最初は取っつきにくいと感じるかもしれませんが、ぜひ力を入れて学習してみましょう。
空調・給排水は分かる問題のみ確実に取ろう
次に難易度が高く、複雑な問題が出題されやすい科目を紹介します。
空気環境の調整
もっとも難しい科目としてあげられるのが、空気環境の調整です。
この科目は範囲が広く空調設備に関わる問題が多数出題されます。
冷凍サイクルや空調方式の分類を理解している方であれば頭に入りやすい問題が多いですが、実際に空調管理の業務を経験した方でなければイメージが湧きにくく、苦戦を強いられる傾向にあります。
ただし、問題数は45問と多いため、 18問正解すれば科目ごとの最低ラインである40%はクリア できます。
他の問題で点数を稼げる自信があれば、あまり難しい問題に深入りする必要はありません。
給水及び排水の管理
給水及び排水の管理も範囲が広いため、 広く浅く学習する必要があります 。
問題数も35問と2番目に多い科目となっています。
また、給排水管の長さや太さ、給水や排水の流速、排水管の勾配、掃除口の大きさ、設置間隔など細かい数値も覚えなければならないため、暗記力が試される科目でもあります。
ただし、設備管理の仕事をしている人なら慣れ親しんだ内容なので得点源にすることもできるでしょう。
構造概論・ねずみ昆虫等の防除は足切りに注意
構造概論とねずみ昆虫等の防除は、問題数が少ないという特徴があります。
そのため 最低ラインである40%の正答率を下回る、いわゆる足切りになりやすい科目です 。
特に 構造概論は問題数が少ないながらも試験範囲が広く、難解な問題も出題されます。
また、建築理論などが関わるため、設備や清掃業務に携わっている方でも馴染みが薄く、頭に入りにくい科目です。
空気環境の調整と並んで、もっとも苦戦する科目の一つといえるでしょう。
一方、ねずみ昆虫等の防除に関する問題数は少ないものの、内容自体はそこまで難解ではありません。
ただし、害虫や薬剤の名称が覚えにくい特徴がありますが、語呂合わせなどを使って効率的に暗記することをおすすめします。
オンライン講座の利用がオススメ

忙しい社会人が限られた時間で膨大な試験範囲を網羅するには、オンライン講座の活用が効率的です。
独学では理解に時間がかかる複雑な設備の構造や法令の解釈も、専門講師による動画解説を視聴することでスムーズに理解でき、記憶の定着を早められます。
また、オンライン講座では近年の出題傾向を徹底的に分析し、合格に必要なポイントを凝縮したオリジナルテキストや厳選問題集が提供されるため、情報の取捨選択に迷う必要がありません。
スマートフォンやタブレットがあれば、通勤時間や休憩中などのスキマ時間を利用して場所を選ばずに学習を進められる点も、学習を継続させる上で大きなメリットです。
完璧を目指さない意識が大切

ビル管理士試験は65%の正答率で合格できる試験です。
本試験は180問中117問正解すれば合格ラインに届くため、難解な計算問題や滅多に出題されない特殊な問題に深入りするのではなく、誰もが正解すべき標準的な問題を確実に得点することが重要となります。
学習の軸としては、直近5年から6年分程度の過去問を繰り返し解き、出題パターンを把握することに集中しましょう。
過去問と類似した問題が数多く出題される傾向があるため、反復演習によって基礎を固めるだけで合格圏内に到達できます。
ただし、1科目でも正答率が40%を下回ると不合格となる足切り制度があるため、苦手科目であっても最低限の知識は網羅し、全体的にバランスの取れた学習を心がけることが大切です。
まとめ

ビル管理士は特定建築物で選任が義務付けられていることから、建物の管理・運用が続く限り、今後も安定した需要が見込まれます。
しかし、試験合格は決して簡単ではなく、多くの受験者が働きながら限られた時間の中で学習を進める必要があります。
そのため、すべての項目を完璧に覚えようとするのではなく、満点を狙わずに合格ラインを確実に超える戦略的な学習が重要です。独学のみでは理解や暗記が難しいと感じる場合には、要点を効率よく学べるオンライン講座の活用も検討しましょう。