建設現場では、安全衛生標識と呼ばれる、働く人の命と健康を守るための標識が設置されています。実際に、工事現場や工場で「立入禁止」「保護具着用」「火気厳禁」といった標識を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ただし、安全衛生標識は種類や色・形が持つ意味、設置のルールまで理解していないと正しく伝わらずに労働災害につながる恐れがあります。
この記事では、安全衛生標識の役割や種類について詳しく解説します。設置する際のポイントなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
更新日:2026年7月27日

建設現場では、安全衛生標識と呼ばれる、働く人の命と健康を守るための標識が設置されています。実際に、工事現場や工場で「立入禁止」「保護具着用」「火気厳禁」といった標識を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ただし、安全衛生標識は種類や色・形が持つ意味、設置のルールまで理解していないと正しく伝わらずに労働災害につながる恐れがあります。
この記事では、安全衛生標識の役割や種類について詳しく解説します。設置する際のポイントなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

安全衛生標識とは、危険箇所の警告や安全な方向への誘導などを、文字や図記号(ピクトグラム)を使って周囲の人間に伝えるための標識です。
ヘルメットや安全帯のような保護具と違い、標識そのものが物理的に身を守るわけではありませんが、「ここは危険です」「この行動が必要です」という情報を、ひと目で伝えられます。危険を事前に知らせて事故を未然に防ぐという観点で、安全管理の土台となるのが特徴です。
ここからは、役割や法律・規格との関係について解説します。
建設現場で設備に何かしらの欠陥が見つかったとき、すぐに修理ができない可能性があります。その際、「使用禁止」や「立入禁止」の標識を掲げることで、作業員が誤って近づくことを防ぎ、労働災害の発生を抑えられます。
安全衛生標識は、応急的な対策としても役割を持っているのが特徴です。
安全衛生標識には、労働安全衛生法や労働安全衛生規則などの法令によって掲示・表示が義務付けられているものがあります。また、デザインや色の基準は日本産業規格(JIS)で定められており、国際規格であるISO 3864との整合も図られているのが特徴です。
そのため、日本語が読めない外国人労働者でも、標識・図記号を見れば内容を理解できるよう配慮されています。

安全衛生標識は、伝えたい内容によって大きく4つに分類されます。以下の表は、色や形状の組み合わせについてまとめたものです。
参考:建設業労働災害防止協会「建災防統一安全標識一覧」、公益社団法人 日本保安用品協「改正JIS Z 9101・JIS Z 9103の概要及び解説」
| 区分 | 安全色 | 形状 | 意味・目的 | 代表例 |
|---|---|---|---|---|
| 禁止 | 赤 | 円形(斜線入り) | 行ってはいけない行動を示す | 立入禁止・火気厳禁 |
| 警告(注意) | 黄 | 三角形 | 危険や注意すべき状態を知らせる | 高電圧注意・足元注意 |
| 指示 | 青 | 円形 | 守るべき行動を指定する | 保護具着用・ヘルメット着用 |
| 安全状態 | 緑 | 四角形 | 安全・避難・救護の場所を示す | 非常口・救急用品 |
それぞれで示す意味は異なるため、労働災害を防止するためにも把握しておきましょう。ここからは、安全色のルール・ユニバーサルデザインへの配慮を解説します。
安全衛生標識に使われる色は「JIS Z 9103」規格によって、以下の表のように色と意味が決められています。
| 安全色 | 主な意味・目的 |
|---|---|
| 赤 | 防火・禁止・停止・高度の危険 |
| 黄赤 | 危険・航海や航空の保安施設 |
| 黄 | 注意・警告 |
| 緑 | 安全・避難・衛生・救護・進行 |
| 青 | 指示・業務的な行動 |
| 赤紫 | 放射能 |
これら6色の「安全色」に加えて、色を引き立てるための対比色として白と黒の2色が規定されているのが特徴です。
2018年に改正された「JIS Z 9103」では、色の見え方の多様性(色覚多様性)に配慮したユニバーサルデザインカラーが世界に先駆けて採用されました。一般的な色覚の人だけでなく、色を見分けにくい人にとっても識別しやすい色づかいへと見直されています。
色や形状の組み合わせによって、誰にとっても分かりやすいものとなっているわけです。また誰が見ても同じ意味に受け取れるよう、建設業労働災害防止協会(建災防)が定めた「建災防統一安全標識」も広く使われています。

安全衛生標識は、ただ掲示すればよいというものではありません。以下のように、設置のポイントを把握しておく必要があります。
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 見やすい位置に設置する | 危険箇所の手前や作業者の目に入りやすい高さに設置し、障害物の陰にならないようにする。 |
| 内容に合った色・形を選ぶ | 禁止なら赤い円形、注意なら黄色い三角形など、JISルールに沿った標識を選ぶ。 |
| 劣化したら交換する | 紫外線や雨風で色あせたら早めに新しいものへ交換する。 |
| 外国人労働者に配慮する | 図記号の活用や外国語併記などで、言葉の壁を越えて危険を伝える。 |
標識をただ掲げるだけでなく、上記のポイントを意識して労働災害防止につなげることが大切です。

ここでは、安全衛生標識に関する実例を3つご紹介します。
それぞれの内容についてみていきましょう。
1つ目は、設備の点検中における誤操作の防止に標識を活用した事例です。
| 場面・課題 | 設備の点検中に、別の作業者が誤ってスイッチを操作してしまう危険があった |
|---|---|
| 取り組み | スイッチ全体に「操作禁止」の表示を掲げ、点検口には施錠したうえで「開放禁止」を表示した |
| 効果・ポイント | 手を触れる前に必ず目に入る位置へ禁止標識を設置。誤操作による挟まれ・巻き込まれ事故を防いでいる |
2つ目は、通路の危険度を色で見える化した事例です。
| 場面・課題 | 構内の通路ごとに危険度が異なり、どこが特に危ないのか直感的に分かりにくかった |
|---|---|
| 取り組み | 通路を危険度に応じてカラーコーンで赤・黄・緑の3色に色分けし、危険度を見える化した |
| 効果・ポイント | JISの安全色の考え方を応用し、ひと目で危険度が伝わるよう工夫。作業員からも「通行しやすくなった」と好評 |
3つ目は、フォークリフトと作業者の接触を防ぐために標識を組み合わせた事例です。
| 場面・課題 | 安全通路とフォークリフトの動線が交差し、接触事故の危険があった |
|---|---|
| 取り組み | 交差部に四方から見える注意表示を掲げ、作業中は通路に「通行禁止」を掲示して動線を分けた |
| 効果・ポイント | 警告と禁止の標識を組み合わせ、人と車両の動線を分離。死角からの接触リスクを下げている |

CIC日本建設情報センターでは、「安全管理の基本」講座をWeb形式で提供しています。新入社員・現場未経験者の不安と、教育担当・先輩社員の悩みを解消する内容となっており、安いコストで安全管理のリテラシーを高められるのが特徴です。
講習の内容に関しては、以下のとおりです。
| 科目・範囲 | 講習時間 |
|---|---|
| 1.報連相 | 17分 |
| 2.ヒューマンエラー | 16分 |
| 3.リスクアセスメント | 21分 |
| 4.5S活動 | 20分 |
| 5.KYKとKYT | 17分 |
| 6.建設現場で身近な保護具 | 13分 |
| 7.メンタルヘルス | 15分 |
| 8.災害事例・災害時の対応 | 14分 |
| 9.季節の労働災害 | 17分 |
| 10.安全衛生標識 | 12分 |
| 合計 | 2時間40分 |
また、CIC日本建設情報センターのWeb講座は、以下の手順で受講できます。
CICの講座では顔認証システムを採用しており、受講者が画面の前にいない場合は学習が進まない仕組みです。このため、講座を修了した時点で「受講者本人がしっかりと受講を終えた」ことを証明できます。
受講方法でお悩みの場合は、ぜひCIC日本建設情報センターの講座をご検討ください。

この記事では、安全衛生標識に関して概要や実例をご紹介しました。安全衛生標識は、危険を知らせ、安全な行動へと導くことで労働災害を未然に防ぐ役割を担っています。禁止・警告・指示・安全状態という4つの区分や、JISで定められた色のルールを押さえておくことで現場の標識の意味が読み取りやすくなるでしょう。
CIC日本建設情報センターでは、「安全管理の基本」講座と「建設現場入門講座 現場デビュー前 (講座5本セット)」講座をWeb講座の形式で提供しています。労働災害の防止につながる重要な内容ですので、ぜひ受講をご検討ください。