建設現場では、どれだけ安全に配慮していても、墜落や挟まれといった労働災害が起こる可能性をゼロにはできません。「もし目の前で事故が起きたら何をしたらいいの?」「災害発生後にはどんな手続きが必要?」と迷わないよう災害発生時の対応手順をあらかじめ理解しておくことが大切です。
この記事では、建設業で実際に起こりやすい災害事例を紹介したうえで、災害発生直後に取るべき行動を解説します。労働災害を未然に防ぐためのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
更新日:2026年7月27日

建設現場では、どれだけ安全に配慮していても、墜落や挟まれといった労働災害が起こる可能性をゼロにはできません。「もし目の前で事故が起きたら何をしたらいいの?」「災害発生後にはどんな手続きが必要?」と迷わないよう災害発生時の対応手順をあらかじめ理解しておくことが大切です。
この記事では、建設業で実際に起こりやすい災害事例を紹介したうえで、災害発生直後に取るべき行動を解説します。労働災害を未然に防ぐためのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

厚生労働省の調査によると、建設業の労働災害による死亡者数は 全業種の中で最も多く、年間200人を超える水準で推移しています。建設業は高所での作業や重機の使用、不安定な足場での作業が多く、事故が重大な結果につながりやすいのが特徴です。
なかでも発生件数が多いのが 「墜落・転落」 です。足場や屋根、開口部などの高所からの転落は、建設業における死亡災害の代表的な原因となっています。次いで「はさまれ・巻き込まれ」などが続きます。
現状からも分かるように、建設業に携わる方にとって労働災害は他人事ではありません。自分事として捉え、災害が発生したときに「誰が」「何を」「どの順番で」行うのかを事前に共有しておくことが大切です。

先ほど、建設業における労働災害の現状について解説しました。ここでは、実際に起こりやすい労働災害について以下の3つをご紹介します。
それぞれの内容についてみていきましょう。
1つ目の事例が、屋根の塗装作業中に起きた墜落・転落の労働災害です。
| 当日の状況 | 集合住宅の改修・外壁塗装工事の一環で、勾配のある屋根の上で塗装作業を行っていた。外壁塗装はすでに終わっており、屋根の周囲には足場や手すりがなく安全帯のフックを掛ける親綱も設置されていなかった。 |
|---|---|
| 経過 | 作業中に雨が降り出して屋根が濡れ、作業中止が伝えられた。被災者が屋根の上を移動して地上へ戻ろうとした際に転倒し、約7メートル下の道路へ墜落して死亡した。作業者は誰も安全帯を着用していなかった。 |
| 主な原因・教訓 | 屋根の周囲に墜落防止の足場・手すりがなく、親綱もないまま安全帯なしで作業させていたこと、工事計画書の作成や安全教育を行っていなかったこと。高所では足場・手すりの設置と安全帯(墜落制止用器具)の使用、計画と教育の徹底が不可欠。 |
参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト|屋根の塗装作業中、墜落し死亡
2つ目の事例が、ダム建設工事での資材組立て作業中に起きた、はさまれ・巻き込まれの労働災害です。
| 当日の状況 | ダム建設工事で、生コンクリートを運ぶ軌道装置車両の組立て作業の初日。車両メーカーの組立作業員5名と移動式クレーンの運転手1名が従事し、生コンを投入する部分(ベッセル)を移動式クレーンで吊り上げて車両本体に組み付けていた。 |
|---|---|
| 経過 | ベッセルを吊り上げて組み付けようとしたところ、ベッセルに取り付けてワイヤロープを掛けていたアイボルトが破損し、吊っていたベッセルが急降下。その真下で合図を行っていた被災者が、ベッセルと車両本体の間にはさまれて死亡した。 |
| 主な原因・教訓 | アイボルトの強度不足、吊り荷の真下で合図を行ったこと、組立て作業の手順が検討されておらず、指揮・管理体制も不十分だったこと。吊り荷の下には立ち入らず、玉掛け具の強度確認と作業手順・合図方法の徹底が欠かせない。 |
参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト|ダム建設現場で軌道装置を組立てるため部品をつり上げたところ、ワイヤロープを掛けていたアイボルトが破断し、挟まれる
3つ目の事例が、雨天のアーク溶接作業中に起きた感電の労働災害です。
| 当日の状況 | 建設現場の足場上で、鉄筋にラス(コンクリート打設用の下地金網)を交流アーク溶接機で取り付ける作業を実施。作業の途中で雨が降り出し、作業衣がずぶ濡れの状態になっていた。被災者はアーク溶接の特別教育を受けていなかった。 |
|---|---|
| 経過 | 濡れた作業衣のまま溶接を続行。足場にもたれかかった姿勢で溶接棒に触れたところ、濡れて人体の抵抗が大きく低下していたため大きな電流が流れ、感電して死亡した。 |
| 主な原因・教訓 | 濡れによる人体抵抗の低下と、感電の危険性・自動電撃防止装置への理解不足。悪天候時は作業を中断し、体勢を変えるときは溶接棒をホルダーから外す。アーク溶接業務に必要な特別教育の実施も重要。 |

建設業における災害発生時の対応方法は、主に以下の6ステップです。
それぞれの内容について詳しく解説します。
労働災害が生じた場合、最初にすべきことは二次災害の防止です。災害が起きた場所への立ち入りを禁止し、周囲の作業員を安全な場所へ退避させて稼働している機械があれば停止します。
救助に向かう人が新たな被災者になってしまう「二次災害」を防ぐため、まずは現場全体の安全を確保することが原則です。
続いて、現場の安全を確認したうえで被災者の救助を行います。このとき、救助する側の安全が確保された場所を選ぶことが大切です。
もし被災者の状態が重い場合は、ためらわずに救急車(119番)を要請しましょう。
災害の程度や発生状況を確認し、直属の上司や現場所長へできるだけ早く報告します。これを「第一報」 と呼びます。
報告の際は、「いつ・どこで・誰が・どのような災害に遭ったのか」を正確かつ簡潔に伝えることが大切です。第一報が早いほど、その後の対応もスムーズに進みます。
救急隊が到着するまでの間、必要に応じて応急手当を行いましょう。応急手当は傷病をそれ以上悪化させないための一時的な措置ですが、被災者の意識がないなど重大な症状の場合は迅速な処置が命を左右します。
また、迅速に対応できるようAED(自動体外式除細動器)の設置場所や使い方を日頃から把握しておくことが大切です。
労災指定病院であれば手続きがスムーズですが、難しい場合は最寄りの病院へ搬送します。搬送と並行して、被災した労働者のご家族へも速やかに連絡を入れましょう。
死亡や重傷を伴うような重大な災害の場合は、警察と所轄の労働基準監督署へ通報して今後とるべき措置について指示を仰ぎましょう。
調査する際は、現場の状況をできるだけそのまま保存しておくことが大切です。保存することで、原因究明や再発防止のために重要な情報となります。

災害発生時の対応を理解しておくと同時に「災害そのものを起こさないための取り組み」も把握しておきましょう。以下の表は、現場で広く実践されている代表的な予防活動をまとめたものです。
| 取り組み名 | 概要 |
|---|---|
| KY(危険予知)活動 | 作業開始前に、作業員全員で「どんな危険が潜んでいるか」を話し合い、対策を共有する活動。 |
| 5S活動 | 整理・整頓・清掃・清潔・しつけの頭文字を取った活動で、職場環境を整えることで事故の発生防止につながる。 |
| リスクアセスメント | 現場に潜む危険を事前に洗い出し、優先度の高いものから対策する手法。 |
こうした取り組みを支えるのが、一人ひとりの正しい知識と技術です。電気工事士や施工管理技士といった資格の学習を通じて、作業手順や法令、安全管理の考え方を体系的に身につけることは、災害を防ぐうえで大きな力になります。
CICでは、建設・電気工事業界で活躍するための各種資格講座をご用意しています。安全に対する理解を深めたい方は、ぜひ関連する講座もチェックしてみてください。

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講習の内容に関しては、以下のとおりです。
| 科目・範囲 | 講習時間 |
|---|---|
| 1.報連相 | 17分 |
| 2.ヒューマンエラー | 16分 |
| 3.リスクアセスメント | 21分 |
| 4.5S活動 | 20分 |
| 5.KYKとKYT | 17分 |
| 6.建設現場で身近な保護具 | 13分 |
| 7.メンタルヘルス | 15分 |
| 8.災害事例・災害時の対応 | 14分 |
| 9.季節の労働災害 | 17分 |
| 10.安全衛生標識 | 12分 |
| 合計 | 2時間40分 |
また、CIC日本建設情報センターのWeb講座は、以下の手順で受講できます。
CICの講座では顔認証システムを採用しており、受講者が画面の前にいない場合は学習が進まない仕組みです。このため、講座を修了した時点で「受講者本人がしっかりと受講を終えた」ことを証明できます。
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この記事では、建設業で起こりやすい災害事例と災害が発生したときの対応方法について解説しました。災害発生時は「二次災害の防止・救助・救急要請・報告・応急手当・搬送・監督署への通報」という流れを基本として動くことが大切です。
いざというときに正しく行動できるかどうかは、日頃の備えにかかっています。「災害そのものを起こさないための取り組み」も同様に大切なので、現場で広く実践されている「5S活動」や「KY(危険予知)活動」などの代表的な予防活動に関しても取り組むのが良いでしょう。
CIC日本建設情報センターでは、「安全管理の基本」講座と「建設現場入門講座 現場デビュー前 (講座5本セット)」講座をWeb講座の形式で提供しています。労働災害の防止につながる重要な内容ですので、ぜひ受講をご検討ください。