建設業の現場は外での作業になるため、夏になると熱中症・冬は足元が滑りやすいなど、季節ごとのリスクが生じます。
そのため、季節の特徴を知らないまま作業を続けてしまうことで、思わぬケガや事故につながりかねません。逆に言えば、季節ごとのリスクをあらかじめ把握しておくことで、効果的に労働災害を防止できます。
この記事では、季節の労働災害の基本的な考え方から、春・夏・秋・冬それぞれの災害事例について解説します。季節を問わず取り組みたい基本の安全対策などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
更新日:2026年7月27日

建設業の現場は外での作業になるため、夏になると熱中症・冬は足元が滑りやすいなど、季節ごとのリスクが生じます。
そのため、季節の特徴を知らないまま作業を続けてしまうことで、思わぬケガや事故につながりかねません。逆に言えば、季節ごとのリスクをあらかじめ把握しておくことで、効果的に労働災害を防止できます。
この記事では、季節の労働災害の基本的な考え方から、春・夏・秋・冬それぞれの災害事例について解説します。季節を問わず取り組みたい基本の安全対策などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

季節の労働災害とは、気温・湿度・天候・日照時間など、季節特有の環境要因によって発生しやすくなる労働災害の総称です。
建設業の労働災害といえば、高所からの墜落や機械への巻き込まれなど、季節に関係なく起こるものをイメージするかもしれません。もちろん、それらの労働災害も起こりうるものですが、夏の熱中症のような季節ごとの労働災害も存在します。
また、季節の労働災害を把握していく中で大切な視点は、以下の2つです。
| 視点 | 内容 |
|---|---|
| その季節に増える労働災害 | 夏は熱中症、冬は転倒といった傾向を把握する |
| なぜ増えるのか | 高温多湿、積雪・凍結といった原因を把握する |
原因まで理解しておくと、現場の状況に合わせて適切な対策を選択できるようになります。次のセクションでは、季節ごとの労働災害についてみていきましょう。

ここからは、各季節ごとにどのような労働災害に気をつけるべきか解説します。実際に生じた関連する災害事例もご紹介しますので、それぞれみていきましょう。
春は過ごしやすい季節というイメージがありますが、労働災害の観点では油断できない時期です。新年度を迎えて新人や異動者が増え、現場に不慣れな作業者が多くなることが原因に挙げられます。
また、春は日ごとの寒暖差が大きく体調を崩しやすい季節でもあります。体が重く感じたり集中力が落ちたりすると、ちょっとした不注意が墜落・転落といった重大災害につながりかねません。
以下は、実際に起きた墜落・転落事故の事例です。
| 当日の状況 | 集合住宅の屋根・外壁の塗装工事で、被災者は屋根上での作業を担当していた。保護帽も安全帯も着用しておらず、丸太足場には手すりがなく、屋根の軒先にも墜落防止措置がなかった。 |
|---|---|
| 経過 | 「足場板は点検して使うように」と指示され、軒先で点検しようと足場板に飛び乗ったところ、足場板同士の重ね部が固定されておらず天びんのように傾いた→足場板とともに約5.5m下の地上に墜落し、まもなく死亡した。 |
| 主な原因・教訓 | 保護帽・安全帯の未着用、足場板の固定不良、そして高所作業の墜落防止に関する安全衛生教育が行われていなかったこと。経験の浅い作業者が増える時期こそ、基本の保護具着用と丁寧な教育の徹底が欠かせない。 |
参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト|屋根の塗装作業中、墜落し死亡
夏に最も警戒すべき労働災害が熱中症です。建設業は屋外・高温環境での長時間作業が多く、職場における熱中症の死傷者数は全業種の中でも特に多い業種となっています。
以下は、実際に建設現場で起きた熱中症の事例です。
| 当日の状況 | 8月の炎天下、道路の路肩のコンクリートをブレーカーではがし、ダンプに積み込む作業を実施。最高気温は35.3度で、舗装面からの照り返しも強く、直射日光を遮るものがなかった。 |
| 経過 | 午後はトラックで破片を運搬し、午後の休憩を取らないまま現場に戻って手作業で積み込みを再開→約10分後にトラックのバックミラーをつかんでふらつき、声をかけても明確に返事ができない状態になった。車庫で寝かせても回復せず、病院搬送の約1時間後に熱中症で死亡した。 |
| 主な原因・教訓 | 直射日光と照り返しの強い場所での作業、午後に休憩を取らなかったこと、冷房のないトラックで連続して作業したこと。炎天下では決まった休憩に加えてこまめな休憩と水分・塩分補給を行い、作業者の体調を声かけで確認することが重要。 |
参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト|道路改修工事中に熱中症となる
秋は気候が安定して作業しやすい季節ですが日没が早まることに注意が必要です。夕方の作業時間帯に視界が悪くなり、足元の段差や障害物に気づきにくくなることで、転倒や墜落のリスクが高まります。
以下は、台風シーズンの秋にも警戒したい、強風による足場倒壊の事例です。
| 当日の状況 | ビル屋上で広告塔の看板文字の取付け・塗装作業を実施。当日は朝から風が強く、平均風速は10〜15m/秒だった。足場には塗装用ネットが全面に張られていた。 |
|---|---|
| 経過 | 午後の作業で看板文字をロープで吊り上げた瞬間、突風を受けて丸太足場のつなぎ部分が変形→足場の一部が倒壊し、足場上にいた作業者3名がビル屋上に墜落して負傷した。 |
| 主な原因・教訓 | 強風の中で高所作業を続けたこと、足場の壁つなぎや張り出し材の強度・補強が不足していたこと。平均風速10m/秒以上の強風時は高所作業を中止し、ネット類を取り外すなどの判断が必要。 |
参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト|広告塔の改修工事中に丸太足場が風圧で倒壊
冬は一年の中でも特に労働災害が多発する季節です。最大の原因は、積雪や路面の凍結による「転倒」です。屋根の上での除雪中に墜落・転落したり、除雪機に手や衣服を巻き込まれたりすることで、死亡や障害が残るような重大な事故が毎年発生しています。
以下は、密閉された場所で除雪機を動かして起きた、一酸化炭素中毒の事例です。
| 当日の状況 | 無人駅のホームで、早朝から単独で除雪作業に従事。ホームに積もった雪を除雪機でホーム外へ飛ばす作業を行う予定だった。 |
|---|---|
| 経過 | ホームに隣接する狭い小屋(気積約14.2立方メートル)の中で、出入口のシャッターを閉めたまま除雪機のエンジンをかけて暖機運転し、電気ストーブで暖を取っていたところ→一酸化炭素中毒となった。 |
| 主な原因・教訓 | 換気のない密閉空間で、排気ガスを出すエンジンを稼働させたこと。除雪機などの内燃機関は屋内や囲われた場所で使用せず、やむを得ない場合は十分な換気を確保することが欠かせない。 |

近年の猛暑を背景に、熱中症対策に関する法令が変更されました。2025年6月1日から改正労働安全衛生規則の施行により、職場における熱中症対策が罰則付きで義務化されています。
具体的には以下の表のように、これまで努力義務とされていた対策が、一定の条件を満たす作業では事業者の義務となりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる作業 | WBGT値28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業 |
| 求められる対応 | 熱中症の疑いがある人を早期に発見する体制づくり、発見時の対応手順の整備、関係者への周知 |
| 違反した場合 | 事業者に対する罰則(6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金など)の対象となる場合がある |
建設業のように屋外・高温環境での作業が多い現場では、特に影響の大きい改正といえます。ルールを守ることはもちろん、作業者一人ひとりの命と健康を守るための仕組みとして捉え、現場全体で前向きに取り組むことが大切です。

季節ごとの対策以外にも、1年を通じて取り組むべき基本の安全活動は複数あります。以下の表は、季節に関係なく土台となる安全活動をまとめたものです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| KY(危険予知)活動 | 作業前に関係者で集まり、その日に起こり得る危険を予測して対策を話し合う活動。一人で行うよりも、全員でさまざまな角度から危険を洗い出すと効果的。 |
| リスクアセスメント | 作業ごとに災害の起こりやすさや重大さを見積もり、どのリスクから優先的に対策すべきかを明確にする手法。 |
| 教育訓練の継続 | 最新の事故事例や法令改正を反映しながら、定期的に作業者へ安全教育を行う。 |
| 保護具の正しい使用 | ヘルメットや安全帯、絶縁保護具などを、点検したうえで正しく着用する。 |
上記のような基本活動を日常的に積み重ねることが、季節を問わず労働災害の防止につながります。

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講習の内容に関しては、以下のとおりです。
| 科目・範囲 | 講習時間 |
|---|---|
| 1.報連相 | 17分 |
| 2.ヒューマンエラー | 16分 |
| 3.リスクアセスメント | 21分 |
| 4.5S活動 | 20分 |
| 5.KYKとKYT | 17分 |
| 6.建設現場で身近な保護具 | 13分 |
| 7.メンタルヘルス | 15分 |
| 8.災害事例・災害時の対応 | 14分 |
| 9.季節の労働災害 | 17分 |
| 10.安全衛生標識 | 12分 |
| 合計 | 2時間40分 |
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この記事では、季節ごとに発生しやすい労働災害について解説しました。春は不慣れによるヒヤリハット、夏は熱中症と感電、秋は日没の早まりや悪天候、冬は転倒や除雪作業中の事故が増えやすい傾向です。それぞれの原因を理解して対策をとりましょう。
また、2025年6月からは職場の熱中症対策が義務化されるなど、安全に関するルールも年々アップデートされています。KY活動やリスクアセスメントといった基本の取り組みを土台にしながら、最新の情報を取り入れることが大切です。
CIC日本建設情報センターでは、「安全管理の基本」講座と「建設現場入門講座 現場デビュー前 (講座5本セット)」講座をWeb講座の形式で提供しています。労働災害の防止につながる重要な内容ですので、ぜひ受講をご検討ください。