この記事では、KYK(危険予知活動)とKYT(危険予知訓練)の基本的な意味から両者の違いについて解説します。建設現場での具体的な進め方までご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
更新日:2026年7月27日

この記事では、KYK(危険予知活動)とKYT(危険予知訓練)の基本的な意味から両者の違いについて解説します。建設現場での具体的な進め方までご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

KYKとKYTは、危険予知活動・危険予知訓練のことです。「KY」は、危険(Kiken)の「K」と予知(Yochi)の「Y」を組み合わせたもので、空気が読めないという意味の俗語とは関係ありません。建設業をはじめとする安全管理の現場では、作業に潜む危険をあらかじめ察知し、事故を防ぐための取り組み全般を「KY活動」と呼びます。
まずは、KYKとKYTそれぞれの概要を確認していきましょう。
KYTとは、職場や作業のなかに潜む危険要因と要因が引き起こす現象を小集団で話し合い、行動する前に解決するための訓練のことです。「危険(K)」「予知(Y)」「トレーニング(Training/T)」の頭文字をとってKYTと呼ばれます。
KYTの最大の目的は、一人ひとりの危険予知能力を高めることです。現場以外の場所で写真やイラストを使って作業状況を再現し、「どこに危険が潜んでいるか」をチームで指摘し合います。
参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」危険予知訓練(KYT)
さまざまな状況に潜む危険を予測する練習を繰り返すことで、「初めて遭遇する場面でも自分で危険に気づき、対応できる力」を養えるというわけです。
一方のKYKとは、KYTで身につけた力を実際の作業現場で実践する活動を指します。「危険(K)」「予知(Y)」「活動(Katsudou/K)」の頭文字からKYKと呼ばれます。
KYKは、作業を始める直前に現場で行うのが特徴です。その日の作業に潜む危険を短時間で話し合い、対策と行動目標を決めたうえで作業に取りかかります。建設現場では、朝礼後などのミーティングのなかで実施されるのが一般的です。
参考: 厚生労働省 岐阜労働局「危険予知活動(KYK)」について
KYTが「訓練」でKYKは「実践」と整理すると分かりやすいでしょう。

以下の表は、KYK(危険予知訓練)とKYT(危険予知活動)の意味・タイミング・場所・形式・目的についての違いをまとめたものです。改めて、混同しないように2つの違いを整理しておきましょう。
| 比較項目 | KYT(危険予知訓練) | KYK(危険予知活動) |
|---|---|---|
| 意味 | 危険予知訓練(トレーニング) | 危険予知活動 |
| 実施タイミング | 作業より前(事前) | 作業の直前 |
| 実施場所 | 現場以外の場所(研修室・事務所など) | 作業を行う現場 |
| 実施形式 | グループでの話し合いが中心 | 個人またはチームでの簡易確認 |
| 主な目的 | 危険予知能力を育てる | その日の作業の危険を回避する |

建設業は労働災害のリスクが高く、特に墜落・転落事故が死亡原因の約3割を占めます。原因の多くは、作業への「慣れ」や「不注意」です。こういった気の緩みから起こる労働災害を防止するためにも、実作業直前のKYK(危険予知活動)と、潜在的な危険を見抜くKYT(危険予知訓練)が重要といえます。
また、「1件の重大な事故の背後には、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハット(無傷の事故)が存在する」というハインリッヒの法則にもとづいた考え方も大切です。労働災害を防ぐには、重大な事故になる前のヒヤリハットの段階で危険に気づく必要があります。

KYTは、4ラウンド法(4R法)と呼ばれる手順で進めるのが一般的です。具体的には、以下の4つの進め方で行います。
それぞれの内容についてみていきましょう。
最初のラウンドでは、イラストや写真のシートを見ながら、潜んでいる危険を自由に挙げていきます。この段階では、できるだけ多くの意見を出すことが大切です。
例えば、足場作業の場合、次のような危険が考えられます。
ここでは他のメンバーの指摘を批判せず、自由に発言できる雰囲気をつくりましょう。
次に挙げられた危険のなかから、特に重大なものを絞り込みます。事故が発生する確率や、起きた場合の被害の大きさを考慮しながら、2〜3つまで絞り込みます。
先ほどの例を絞り込むと、以下の2点が特に重大なポイントです。
続いて、絞り込んだ危険のポイントに対して、「危険を現実のものにしないためにどうすればよいか」をチームで検討し、具体的な対策案を出し合います。
今回の例だと、対策としては以下の通りです。
最後に、挙がった対策案のなかから現実的で実効性のあるものを選んでチームの行動目標としてまとめます。この目標は、朝礼で発表したり現場に掲示したりして、メンバー全員の共通認識とすることが大切です。
参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」危険予知訓練(KYT)
▼行動目標の例
「高所作業に入る前に安全帯のフックを親綱にかけ、『フックよし!』と指差呼称で確認する」
このように、4ラウンド法は「危険を見つける・ 絞り込む・対策を考える・行動目標を決める」という流れで進みます。建設現場の作業内容に合わせてシートを用意すれば、さまざまな場面で応用可能です。

KYKは、KYTで培った力を実際の現場で発揮する活動です。建設現場では、主に作業前のミーティングや指差呼称を通じて実践されます。
ここでは、建設現場を想定して危険予知活動の進め方を解説します。
建設現場でのKYKは、TBM(ツールボックスミーティング)のなかで行われることが多くあります。TBMとは、作業前に道具箱(ツールボックス)の周りに集まって行う短時間の打ち合わせのことです。
一般的な流れは、次のようになります。
特に、実際に作業を行う場所まで移動し、その場の状況を見ながらKYKを行う方法が効果的です。机上で想定するよりも、現場の足元や周囲の状況をふまえた、より実践的な危険予知ができます。
KYKの実践で欠かせないのが、指差呼称(しさこしょう)です。これは、もともと鉄道の運転士が始めたとされる確認方法で、次の4つの動作で行います。
たとえば建設現場では、次のように指差呼称を行います。

声に出し、自分の耳で聞くという一連の動作によって、ぼんやりしがちな意識を引き締め、見落としを防ぐ効果が期待できます。
チームでのKYKに加えて作業員が一人で行う一人KYも重要です。これは、チームで共有した危険予知の内容を、各々の持ち場で意識を高く保つために一人で実践するものです。
たとえば、作業に取りかかる前に、「足元の建材につまずくかもしれない」など、自分自身で改めて危険を確認します。作業に慣れてくると省略されがちなこの一手間がヒューマンエラーを防止するためにも重要です。

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| 科目・範囲 | 講習時間 |
|---|---|
| 1.報連相 | 17分 |
| 2.ヒューマンエラー | 16分 |
| 3.リスクアセスメント | 21分 |
| 4.5S活動 | 20分 |
| 5.KYKとKYT | 17分 |
| 6.建設現場で身近な保護具 | 13分 |
| 7.メンタルヘルス | 15分 |
| 8.災害事例・災害時の対応 | 14分 |
| 9.季節の労働災害 | 17分 |
| 10.安全衛生標識 | 12分 |
| 合計 | 2時間40分 |
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この記事では、KYK(危険予知活動)とKYT(危険予知訓練)の基本的な意味から両者の違いについて、建設業での実践想定と合わせて解説しました。
建設現場におけるKYT(危険予知訓練)とKYK(危険予知活動)は、労働災害を未然に防ぐために重要な安全管理方法です。KYTが「訓練」を通じて危険予知能力を養うものであるのに対し、KYKはその能力を現場で「実践」し、日々の作業の安全を確保します。
KYT・KYKを通じて現場作業における「慣れ」を排除し、安全意識を常に持ち続けるための活動を習慣化していくことが大切です。
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