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酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の重要性と災害事例から学ぶ 作業環境と安全意識

公開日:2025年8月27日 更新日:2025年8月27日

酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の重要性と災害事例から学ぶ 作業環境と安全意識

酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の重要性と災害事例から学ぶ 作業環境と安全意識

酸素欠乏症や硫化水素中毒は、密閉空間や地下作業において発生する労働災害です。作業者の油断や判断ミスが命取りとなるだけでなく、救助の方法も誤ると二次災害に発展する恐れもあります。

そのため労働安全衛生法では、酸素欠乏危険場所や硫化水素が発生する恐れのある場所での作業に従事する労働者に対して酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の受講が義務付けられています。ただし、特別教育がなぜ必要なのか、その重要性を十分に理解している方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の重要性について詳しく解説します。実際に発生した災害事例から原因を分析し、労働災害を防止するために必要な対策もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


CIC酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育講座

目次

酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の重要性

酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の重要性

酸素欠乏・硫化水素危険作業は、マンホール・地下室・タンク・暗きょ・ピット・井戸などの密閉空間や換気の悪い場所で行われる作業が該当します。下水道工事や浄化槽の清掃・点検、化学工場のタンク内作業やトンネル工事など、幅広い業種で着手の可能性がある危険作業です。

通常の大気中の酸素濃度は約21%ですが、18%未満になると酸素欠乏症のリスクが高まります。硫化水素は10ppmを超えると許容濃度を超えます。高濃度では一呼吸で意識を失う「ノックダウン」と呼ばれる現象が起こる極めて危険な気体です。

労働安全衛生規則第36条第26号では、酸素欠乏危険場所における作業に係る業務を特別教育の対象として定めています。酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育では、酸素欠乏症等の発生原因や症状、事故時の措置、保護具の使用方法など、安全作業に必要な知識を学習する講習です。

事業者が特別教育を実施せずに労働者を従事させた場合、罰則が適用される恐れがあります。労働災害防止の観点からみても非常に危険なため、必ず受講を修了した者のみを従事させましょう。

酸素欠乏・硫化水素危険作業に関する代表的な災害事例

酸素欠乏・硫化水素危険作業に関する代表的な災害事例

ここからは、酸素欠乏・硫化水素に関連する代表的な災害事例を3つご紹介します。

  • 事例1:汚泥から突然硫化水素が発生して中毒 「濃度異常なし」の循環水槽内で作業
  • 事例2:下水道工事現場のたて坑内での酸素欠乏症
  • 事例3:換気口内地下ピットに溜まった雨水を内燃機関付ポンプで排水作業中に発生

それぞれの事例からなぜ発生したか原因を把握しつつ、どう対策していくのが良いかポイントを学びましょう。

事例1:汚泥から突然硫化水素が発生して中毒 「濃度異常なし」の循環水槽内で作業

最初の事例は、事前測定で異常がなかった循環水槽内で、作業中に硫化水素が発生し中毒となった事故です。

項目 詳細内容
発生状況 工場構内の循環水受入槽内で、汚泥処理を行っていた構内業者の作業員が、汚泥から発生した硫化水素を吸入して中毒にかかった。災害発生の前日、ポンプで槽内の汚水を排出した。しかし、底に残った汚泥が深さ5cm程度あったため当日、槽内の勾配を利用して消火栓のホースで放水しながら汚泥を洗い流して、東側の低所からポンプで汲み上げる方法で作業を進めていたが、被災者が西側の昇降口に戻ってきて意識を失って倒れ、救出に手間取ったため、重症の硫化水素中毒を負った。なお、作業前に工場側の担当者が槽内の酸素濃度および硫化水素濃度等を測定したが異常がないため、作業許可を業者に与えていた。
事故の原因 ・作業前の測定では異常がなかったが、汚泥をかき混ぜたことで硫化水素が急激に発生した
・作業中の継続的な濃度測定を行っていなかった
・換気装置が不十分だった
・送気マスクなどの呼吸用保護具を使用していなかった
結果 作業者が重症の硫化水素中毒を負い、長期入院が必要となった
学べるポイント ・汚泥をかき混ぜる作業では硫化水素が発生する可能性を予測し、送気マスクを着用する
・作業中も継続的に濃度測定を実施する
・十分な換気設備を設置してから作業を開始する
・緊急時の救助体制と装備を整備する

参考:汚泥から突然硫化水素が発生して中毒 「濃度異常なし」の循環水槽内で作業|労働新聞社

事例2:下水道工事現場のたて坑内での酸素欠乏症

2つ目は、地質調査でたて坑内に入った作業者が酸素欠乏症で死亡し、救助者も被災した事例です。

項目 詳細内容
発生状況 作業者AとBは下水道工事現場の地質調査のため、たて坑内へ降りて行くや否や折り重なって倒れた。作業者Cは救助のため、腰にロープを巻いてたて坑の中に入ったが、すぐ倒れてしまい、地上にいた作業者により救助された。AとBはレスキュー隊により救助されたが死亡、Cは3日間の休業となった。災害が発生したたて坑内では、粘土中に大量に含まれる鉄イオンが酸素を消費し、酸素欠乏状態になったと推定される。
事故の原因 ・作業前の酸素濃度測定を実施していなかった
・換気を行わずに坑内に入った
・呼吸用保護具を着用していなかった
・救助者も適切な保護具なしに坑内に入った
結果 作業者2名が死亡、救助者1名が3日間の休業。二次災害により被害が拡大した
学べるポイント ・作業前に必ず酸素濃度を測定して18%以上であることを確認する
・換気装置により十分な換気を行ってから入坑する
・空気呼吸器や送気マスクを着用する
・救助時も必ず呼吸用保護具を着用し、命綱を使用する

参考:下水道工事現場のたて坑内での酸素欠乏症|労働新聞社

事例3:換気口内地下ピットに溜まった雨水を内燃機関付ポンプで排水作業中に発生

3つ目は、ガソリンエンジン付ポンプを密閉空間で使用し、一酸化炭素中毒となった事例です。

項目 詳細内容
発生状況 午前8時30分頃から、2人で地下ピットに溜まった雨水を排水するため、あらかじめピット入口にあったガソリンエンジン付ポンプで排水作業を開始したが、台風の影響で雨水が思ったよりも多かったため、追加でガソリンエンジン付ポンプ1台をピット内に持ち込んで排水作業をしていたところ、2人とも気分が悪くなりその場に倒れた。
昼食時に作業員詰所へ2人が戻ってこないため同僚の作業員がピット内をのぞいたところ倒れている2人を発見し、7人で救出したがその7人も救出中に次々と具合が悪くなり、病院で一酸化炭素中毒と診断された。
事故の原因 ・密閉空間でガソリンエンジンを使用した
・換気設備がなかった
・一酸化炭素の危険性を認識していなかった
・ガス検知器による測定を行っていなかった
結果 作業者2名が重症、救助者7名も一酸化炭素中毒となり、大規模な災害に発展した
学べるポイント ・密閉空間では内燃機関を使用しない(電動ポンプを使用する)
・やむを得ず使用する場合は排気を外部に導く
・十分な換気を確保する
・一酸化炭素濃度を継続的に測定する

参考:換気口内地下ピットに溜まった雨水を内燃機関付ポンプで排水作業中に発生|労働新聞社

事故の背景・原因分析

事故の背景・原因分析

酸素欠乏・硫化水素による災害事例で共通するパターンとして、「見えない危険に対する認識不足」と「事前の安全確認の不徹底」が挙げられます。酸素や硫化水素は無色であり、特に酸素欠乏は無臭のため、五感では危険を察知できません。

多くの事故で見られる共通の要因は、作業前の環境測定を怠ったり測定結果を過信したりすることです。作業前は問題なくても、作業中に状況が急変することもあります。汚泥をかき混ぜたり溶剤を使用したりすることで、急激に危険な環境に変化する可能性を常に意識しなければなりません。

また、酸素欠乏・硫化水素による災害事例では二次災害の多発も大きな特徴です。倒れた仲間を見て反射的に助けに入ってしまい、自らも被災するケースが見受けられます。「まず自分の安全を確保する」という鉄則を徹底することが大切です。

酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育では、作業環境の特性やガスの性質、測定方法や保護具の使用方法、緊急時の対応など、安全作業に必要な知識を徹底的に学びます。単に知識を得るだけでなく、危険を予測し、適切な対策を講じる能力を身につけることが労働災害防止の大きなポイントといえるでしょう。

酸素欠乏・硫化水素による災害を防ぐための現場対策と教育

酸素欠乏・硫化水素による災害を防ぐための現場対策と教育

酸素欠乏・硫化水素による労働災害を防ぐためには、現場での徹底した安全対策と、作業者への適切な教育が不可欠です。

改善点として最も重要なのは、作業前・作業中の継続的な環境測定です。酸素濃度計や硫化水素濃度計を用いて、常に作業環境を監視する体制を整えなければなりません。測定は作業主任者が責任を持って実施し、異常が認められた場合は直ちに作業を中止する判断が求められます。

作業者だけでなく、管理側が責任を持つことも大切です。事業者は、労働安全衛生法に基づき、酸素欠乏危険作業主任者を選任し、作業計画の策定や作業の指揮、環境測定や保護具の点検など、安全管理体制を構築する義務があります。

教育を受けさせる義務が事業者側にあることを認識し、酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育を必ず実施しなければなりません。未受講者を作業に従事させることは法令違反であり、罰則が適用されたり労働災害発生につながったりする恐れがあります。

CIC日本建設情報センターでは、25年以上の実績を持つWeb講座により、効率的で確実な受講体制を提供しています。ぜひ、受講をご検討ください。

まとめ

まとめ

この記事では、酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の重要性について、実際の災害事例を踏まえながら解説しました。

酸素欠乏症や硫化水素中毒は、一瞬の油断が命取りとなる極めて危険な労働災害です。事故の多くは、危険性の認識不足や事前の安全確認の不徹底、不適切な救助活動などが原因となっています。

事業者には労働安全衛生法に基づく酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の実施義務があり、作業者の命と健康を守る責任があります。作業者自身も、見えない危険の存在を常に意識し、定められた作業手順や保護具の着用を徹底することが大切です。

CIC日本建設情報センターでは、酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育のWeb講座を提供しています。受講者がモチベーションを維持しながら効率的に学習できる内容となっておりますので、ぜひご活用ください。


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