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酸欠の業務に関わる人必見!必要な資格について紹介
公開日:2024年4月25日 更新日:2024年7月4日
酸欠の業務に関わる人必見!必要な資格について紹介
- 酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育
- 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習
それぞれどのような講習なのか、どこで受講すればいいかについて見ていきます。マンホール内や地下ピットでの作業では酸素欠乏症や硫化水素中毒などの危険性があります。以下で紹介する特別教育や講習を受講することで、酸欠に関するノウハウを身につけておくのが自分を身を守るために欠かせません。
目次
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育
こちらの特別教育とは、酸素欠乏や硫化水素中毒をはじめとした危険な環境で作業するために必要な知識や発生した場合の対処法について、学習するカリキュラムです。特別講習の受講は労働安全衛生法で義務化されているので、該当する人は講義を受けて学習しなければなりません。
特別教育の対象者とは?
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の受講対象は、酸素欠乏危険作業を伴う業務に従事している人です。そして酸素欠乏危険作業には第1種と第2種がある点にも留意してください。第1種は酸欠の危険性のある作業です。第2種は酸欠に加えて、硫化水素中毒の危険性の伴う作業が対象です。第2種に該当するのはマンホール内やピット、地下室、タンク内部といった場所で作業する人となります。
マンホールや地下ピット内部の作業では酸欠状態に陥りやすいです。空気中の酸素濃度の低下するような場所で酸素が欠乏した空気を吸い込むと、酸素欠乏症になります。軽くてもめまい、最悪意識を失って死につながる可能性すらあります。
一方硫化水素中毒になりやすいのは、し尿や汚水が貯蔵されているタンク内部での作業といわれています。汚泥などを拡販するときをはじめ、化学反応によって高濃度の硫化水素ガスが発生すると硫化水素中毒を発症する危険性が高まります。こちらも最悪死につながる危険性すらあります。
対象となる業界
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育を受講義務があるのは、基本的に酸欠や硫化水素中毒の発生する危険性のある現場に入るすべての人です。キャリアや現場での役割、業種など一切関係ありません。
業種で見た場合、建設業やガス・水道工事業、清掃業、運送業などが対象になってくるでしょう。特別教育の受講対象は多岐にわたります。もし受講義務があるかどうかわからなければ、所轄の労働局に問い合わせてみてください。
特別教育のカリキュラムについて解説
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育を受講しなければならない場合、具体的にどのようなことを学習すればいいのでしょうか?下記の表のとおり、必須科目と受講時間が決められています。
科目 | 時間 |
---|---|
酸素欠乏等の発生の原因 | 1時間 |
酸素欠乏症等の症状 | 1時間 |
空気呼吸器等の使用の方法 | 1時間 |
事故の場合の退避及び救急蘇生の方法 | 1時間 |
その他酸素欠乏症等の防止に関し必要な事項 | 1時間30分 |
「発生の原因・症状」とは、酸素欠乏症の発生する原因や発生リスクの高い場所、症状などについて学習する科目です。安全に作業を進めるために必要なものです。「空気呼吸機等の使用方法」とは、空気呼吸器や酸素呼吸器、早期マスクの使い方や点検方法について学習する科目です。「退避・救急・蘇生」では、事故が発生してしまった際の応急処置や心肺蘇生法、AEDの使い方について学ぶ科目です。いずれも実際に作業する際に必要な知識です。
受講条件などは一切ありません。酸素欠乏症の発症リスクのある場所で作業する人であれば、だれでも受講可能です。そして資格試験のようなものはなく、講習をすべて受講すれば修了扱いになります。
受講方法について解説
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育を受講する方法は主に2種類です。業界団体や企業が主催する講座を受講するかオンライン講座を受講するかのいずれかです。
酸欠特別教育は幅広い業種で勤務している人が受講する必要のあるカリキュラムです。そこで日本全国の団体や企業で特別教育を開講しています。該当する作業員をそこに派遣し、受講してもらう方法です。事業者としてはただ特別教育に申し込んで、該当する作業員に会場に行ってもらうだけなので手間がかかりません。
受講できる場所ですが、建設業労働災害防止協会や中央労働基準協会、中小建設業特別教育協会などが挙げられます。受講料は団体によりまちまちですが、おおよそ1万円前後です。
ただし事業所によっては、近くに特別講習を開催していない可能性もあります。また毎日開講していないところもあるので、なかなかスケジュールが合わないといったデメリットが起こりえます。
オンライン教育もあります。厚生労働省の認可したテキストやカリキュラムを順守していれば、自社内で受講することも可能です。オンライン環境があれば、自宅で学習できます。もし近くに特別教育を実施しているところがなければ、オンライン教育を受講しましょう。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習
酸欠の職場で働く人を対象にしたカリキュラムにもう一つ、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習があります。酸欠などの危険を伴う作業場では、作業者を指揮する作業主任者をつける必要があります。この作業主任者になるために必要な講習を指します。
作業主任者の選任が求められる作業とは?
作業主任者が必要な作業については、労働安全衛生法施行令第6条第21号で定められています。具体的に考えられる場所として、以下のような項目が考えられます。
- メタンやエタン、ブタンが含まれる地
- 層や炭酸水の湧きだしている地層に接する井戸などの内部
- 長期間放置されている井戸などの内部
- 地下に敷設されるものを収容するために暗渠やマンホール、ピットの内部
- 相当期間密閉されていた鋼製ボイラーやタンクなど酸化の危険性のある施設内部
- 石炭や硫化鉱、鋼材など酸素を吸収する物質を収容しているタンクなど
- 天井や床など完成油を含むペイントで塗装され、乾燥前に密閉された地下室や倉庫など
- 穀物や飼料の貯蔵などで使用されたサイロやピットなどの内部
- 醤油や酒類など発酵物を入れたことのあるタンクなど
- ドライアイスを利用して冷蔵や冷凍している、もしくは水セメントのあく抜きを行っている冷蔵庫や冷凍庫などの内部
- ヘリウムや窒素など不活性の期待を入れたことのあるボイラーやタンクなどの内部
- その他、厚生労働大臣が定める場所
作業主任者技能講習のカリキュラム内容について
技能講習は履修すべき科目や時間が決められています。詳しくは以下の表のとおりですが、学科と実技の2つに分けて行われます。
科目 | 時間 | |
---|---|---|
学科 | 酸素欠乏症、硫化水素中毒及び救急蘇生に関する知識 | 3時間 |
酸素欠乏及び硫化水素の発生原因及び防止措置に関する知識 | 4時間 | |
保護具に関する知識 | 2時間 | |
関係法令 | 2時間30分 | |
修了試験 | 1時間 | |
実技 | 救急蘇生の方法 | 2時間 |
酸素及び硫化水素の濃度測定方法 | 2時間 | |
修了試験 | 1時間 |
作業主任者技能講習を修了しただけでは主任者にはなれません。講習ののちに学科と実技の修了試験が開催されます。こちらに合格して初めて作業主任者になることができます。
特別教育との関係
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了し、資格取得していれば先ほど紹介した特別教育が免除されます。ただし酸素欠乏に関する主任者技能講習を受講している場合、硫化水素中毒に関する特別教育の受講義務は残りますので注意してください。
受講できる機関について紹介
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を受講できる会場は、日本各地にあります。まずは都道府県にそれぞれある労働基準協会連合会です。また東京や神奈川、千葉に事業所があれば技術技能講習センターでも講習を開催しているのでこちらに申し込んでみるのも一考です。その他にも各都道府県で講習を実施している民間業者や教育機関もあります。まずは最寄りでどこが開講しているか確認してください。
よくある質問
最後に酸欠の資格に関するよくある質問についていくつかピックアップしてみました。気になることがあれば、以下の情報を確認してください。
酸素欠乏危険作業の1種と2種の違いとは何ですか?
酸欠の危険性があるだけの場合は1種、硫化水素中毒の危険性がある作業は第2種に分類されます。つまり第2種の方が、より広範囲の作業が該当します。
特別教育はどこで受講すればいいですか?
2種類あります。まずは講習会に参加する方法です。もう一つはオンラインにて受講する方法です。近くで講習会が開催されていればこちらに参加すればいいですが、最寄りで通学できる講習会が開かれていなければ、オンライン講習を受講するといいでしょう。
CICでも特別教育をオンライン講習にて開催していますのでぜひご検討ください。
特別教育と技能講習の違いは何ですか?
特別教育は酸欠リスクのある場所での作業をする者全員が対象です。一方技術講習は酸欠の危険性のある場所で管理や監督業務を担当する者を対象にしています。また作業主任者技能講習を受講しているのであれば、特別教育は免除されます。
まとめ
酸欠や硫化水素中毒に陥る危険性の高い職場で勤務する人は、労働災害に遭遇する危険性が高いです。実際労働災害はなかなか減少しない問題がありました。この問題を解決するために特別教育や作業主任者になるための技術講習が義務化されています。もし該当する作業を担当するのであれば、特別教育や技術講習を受講しましょう。日本全国で講習会は開催されていますが、近くで行われていなければ、オンライン講習を受講するのも一考です。CICでは特別教育をオンライン講習にて開催しています。もし気になることがあれば、お気軽にご連絡ください。