屋外や高温の環境での作業が多い現場仕事は、もともと熱中症のリスクが高い職場です。2025年6月からは、現場における熱中症対策が法律で義務化され、対応しなければ罰則が科される恐れもあります。
この記事では、現場で熱中症対策が欠かせない理由から、2025年に義務化された内容、現場ですぐに実践できる対策方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。
また、熱中症対策は個人だけでの対策では限界があるため、熱中症予防管理者の設置も欠かせません。詳しくはこちらのコラムもご覧ください。
更新日:2026年7月16日

屋外や高温の環境での作業が多い現場仕事は、もともと熱中症のリスクが高い職場です。2025年6月からは、現場における熱中症対策が法律で義務化され、対応しなければ罰則が科される恐れもあります。
この記事では、現場で熱中症対策が欠かせない理由から、2025年に義務化された内容、現場ですぐに実践できる対策方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。
また、熱中症対策は個人だけでの対策では限界があるため、熱中症予防管理者の設置も欠かせません。詳しくはこちらのコラムもご覧ください。

熱中症とは、高温多湿な環境のもとで体温の調節機能がうまく働かなくなり、体内の水分や塩分のバランスが崩れて起こるさまざまな健康障害の総称です。めまいや立ちくらみなどの軽い症状から、意識障害などの重い症状まで幅があり、対応が遅れると重大な労働災害につながります。
なかでも建設現場は、次のような理由から特に熱中症が起こりやすい環境です。
そのため、現場での熱中症対策は欠かせないといえるでしょう。
厚生労働省の統計によると、2024年(令和6年)に職場で熱中症により亡くなったりケガをしたりした人は1,257人にのぼり、そのうち31人が亡くなっています。死傷者数は2021年以降も年々増え続けており、深刻な状況が続いているのが現状です。
中でも建設業は、被害が最も大きいとされており、次いで製造業や運送業、警備業と続きます。屋外や暑い環境下での作業が中心となる現場仕事は、熱中症対策が非常に重要といえるわけです。
参考:総務省消防庁|熱中症情報
熱中症対策は重要であるものの、個人で対策するには限界があります。特に、熱中症は進行が早く、熱中症が発症してからの対応が遅れると、意識を失ったり後遺症が残ったりする可能性が考えられます。
そこで、「熱中症予防管理者」と呼ばれる熱中症による労働災害が起きないための管理者の設置が必要です。熱中症予防管理者は、熱中症のリスクを把握し、必要に応じて作業内容を調節するなどの対応を行います。建設業においても非常に重要な役割といえるでしょう。
また、熱中症対策は個人だけでの対策では限界があるため、熱中症予防管理者の設置も欠かせません。詳しくはこちらのコラムもご覧ください。

これまで職場の熱中症対策は、事業者の「努力義務」という位置づけでした。しかし、2025年6月1日に改正労働安全衛生規則(第612条の2の新設)が施行され、現在は一定の条件にあてはまる作業については、熱中症対策が罰則付きの義務化がされています。
ここでは、義務化の対象となる作業や事業者に求められる義務、罰則について解説します。
熱中症対策は、すべての作業が対象になるわけではありません。以下の「作業環境」と「作業時間」の両方の条件にあてはまる作業が義務化の対象です。
| 区分 | 対象となる条件 |
|---|---|
| 作業環境 | WBGT(暑さ指数)28以上または気温31度以上の環境での作業 |
| 作業時間 | 連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業 |
屋外作業の多い建設業だけでなく、工場や倉庫での作業、さらには気温の高い日に長時間外回りをする場合なども対象になり得ます。夏場の現場作業の多くが、この条件にあてはまると考えて良いでしょう。
対象となる作業を行う事業者には、「見つける → 判断する → 対処する」という考え方にもとづいて、次の3つの対応が義務づけられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報告体制の整備(見つける) | 作業者本人が体調の異変を自覚したときや、周囲が異変に気づいたとき、誰にどう報告するかを決めて関係者に周知する |
| 実施手順の作成(判断する) | 作業の中断や体の冷却、医療機関への搬送など、重症化を防ぐための措置の内容と手順をあらかじめ定めておく |
| 関係者への周知(対処する) | 整備した報告体制や対応手順を、朝礼やミーティング、掲示などを通じて作業に関わる全員に知らせる |
これらの義務に違反した場合、6カ月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科される可能性があります。熱中症に関する健康被害は無視できない問題なので、労働災害防止の観点からも熱中症対策に力を入れることが大切です。
現場でできる熱中症対策に関しては後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。

熱中症対策の必要性は、実際に起きてしまった労働災害から学ぶことができます。ここでは、建設現場での災害事例をいくつか紹介します。
1つ目の事例が足場の解体・資材搬出における熱中症の労働災害です。
| 当日の状況 | 最高気温37.4度。直射日光を遮る設備なし。服装はポロシャツ・ジーパン・薄手のベストで作業をしていた。 |
|---|---|
| 経過 | 作業開始30分で気分不良→日陰で休憩。午後に作業を再開するもふらつき、再び休憩。その後悪化して搬送、多臓器不全で死亡 |
| 主な原因・教訓 | 遮るもののない炎天下での作業と、水分・塩分補給体制の不備。異変が出た後に作業へ戻したことが重症化を招いた |
2つ目の事例が屋根ふき作業における熱中症の労働災害です。
| 当日の状況 | 最高気温28.3度の環境下。安全帽・安全帯・長袖作業服で作業。重量130kgの屋根材を数名で運搬していた。 |
|---|---|
| 経過 | 作業開始30分で気分不良が起きたため日陰で休憩。午後に作業を再開するもふらつき、再び休憩。その後悪化して搬送、多臓器不全で死亡した。 |
| 主な原因・教訓 | 遮るもののない炎天下での作業と、水分・塩分補給体制の不備。異変が出た後に作業へ戻したことが重症化を招いた |
3つ目の事例が屋根ふき作業における熱中症の労働災害です。
| 当日の状況 | 8月、最高気温35.3度に舗装面の照り返しが加わっていた環境下。冷房のないトラックで連続作業をしていた。 |
|---|---|
| 経過 | 段取りの都合で午後の休憩を取れず作業を再開→10分でふらつきが生じた、搬送の約1時間後に死亡した。 |
| 主な原因・教訓 | 地面からの照り返しで体感温度が上昇。休憩していないことが労働災害につながった |
3件に共通するのは、「異変への気づき・対応の遅れ」と「作業環境・作業管理の不備」が重なって重症化している点です。これらのことからも、熱中症対策や義務化された報告体制・対応手順が、いかに命を守るうえで重要かが分かります。

義務化された仕組みづくりに加えて、現場では以下のように対策することが大切です。
それぞれの内容について詳しく解説します。また、こちらの記事では、管理体制の見直しによって変わった現場の声もご紹介していますので、ぜひご覧ください。
熱中症対策の基本は、暑さそのものを和らげるために工夫することです。簡易な屋根やテントで日陰をつくる、通風・冷房設備やスポットクーラーを設置する、ミストシャワーで散水するなど、暑いと感じづらくするための環境作りを心がけましょう。
また、涼しく休める休憩場所を確保し、飲料水や塩あめを常備しておくことも効果的です。
のどの渇きを感じる前に、作業の前後だけでなく作業中も定期的に水分と塩分を補給しましょう。大量に汗をかく場合は、塩分濃度0.1〜0.2%程度のスポーツドリンクや経口補水液の摂取も適しています。
また、いきなり長時間作業するのではなく、体を徐々に暑さに慣れさせることも大切です。新しく現場に入った人や、連休明けで暑さから遠ざかっていた人には、計画的に慣らしていく配慮を心がけてみましょう。
熱を吸収・保持しにくく、通気性・透湿性の良い服装を選ぶことも大切です。ファン付きの空調服やクールベスト、冷感インナーなどのグッズを取り入れると、体温の上昇を抑えながら作業しやすくなります。

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この記事では、現場で熱中症対策が欠かせない理由や2025年に義務化された内容、現場ですぐに実践できる対策方法について解説しました。
現場仕事は屋外作業や重労働が多く、もともと熱中症のリスクが高い環境です。さらに2025年6月からは、WBGT28以上または気温31度以上などの条件にあてはまる作業について、報告体制の整備・実施手順の作成・関係者への周知が罰則付きで義務化されました。
熱中症から命を守るためには義務化された仕組みづくりに加えて、作業環境の改善やこまめな水分補給といった予防策を、現場全体で総合的に進めていくことが大切です。
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