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技術士第一次試験の合格発表はいつ?合格率や合格基準、一次試験合格のメリットまで紹介
公開日:2022年7月28日 更新日:2024年9月11日
技術士第一次試験の合格発表はいつ?合格率や合格基準、一次試験合格のメリットまで紹介
この記事をご覧の方のなかには技術者としての価値を高めるために、技術士の資格を目指す方もいるのではないでしょうか。
技術士は、技術者にとって大変価値の高い資格です。
取得するためには、豊富な経験と2段階の試験の合格が必要ですが、取得できれば高い信頼を得られることでしょう。
そのため、技術士を目指す方は、第一次試験の合格が最初の目標となります。
この記事では、技術士第一次試験の合格率や合格基準、合格発表や試験合格のメリットなど、技術士第一次試験について詳しく確認していきます。
目次
技術士第一次試験とは
技術士は、技術に関する最高峰の資格です。
各分野のエンジニアやコンサルタントなどで求められる資格で、取得すると以下のスキルが証明されます。
- 豊富な実務経験
- 科学技術に関する高度な応用能力
- 高い技術倫理
技術士は21の技術部門に分かれており、試験や資格の認定は分野ごとに行われていることが特徴です。
試験は第一次試験と第二次試験の2段階があり、合格者は以下の資格や称号を得られます。
合格した試験 | 資格や称号 | 備考 |
---|---|---|
第一次試験 | 修習技術者 | 条件を満たすことで、技術士補になれる |
第二次試験 | 技術士 | – |
なお技術士の詳細は、「技術士一次試験とは?試験概要から部門別の合格率と難易度、勉強方法まで解説!」記事をご参照ください。
技術士第一次試験の合格基準と合格率
ここからは技術士第一次試験の合格基準と合格率について、解説していきます。
あわせて部門別の合格率も確認していきましょう。
合格基準
合格基準は各科目とも、50%以上の得点で合格となります。
科目 | 合格ライン |
---|---|
基礎科目 | 8問以上 |
適性科目 | 8問以上 |
専門科目 | 13問以上 |
1科目でも正答率が50%を下回ると、たとえトータルで50%以上正答していても不合格となることに注意してください。
過去5年間の合格率
技術士第一次試験の合格率は、以下のとおりです。過去5年間の合格率をみていきましょう。
試験実施年度 | 合格率 |
---|---|
令和5年度(2023年度) | 39.7% |
令和4年度(2022年度) | 42.2% |
令和3年度(2021年度) | 31.3% |
令和2年度(2020年度) | 43.7% |
令和元年度(2019年度) | 51.4% |
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 統計情報」
合格率は、技術部門ごとの発表も行われています。以下の表で確認していきましょう。
技術部門 | 令和5年度 | 令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | 令和元年度 |
---|---|---|---|---|---|
機械 | 35.6% | 42.3% | 34.2% | 55.8% | 55.5% |
船舶・海洋 | 65.0% | 47.4% | 68.8% | 58.3% | 63.6% |
航空・宇宙 | 62.1% | 56.4% | 47.8% | 45.8% | 41.2% |
電気電子 | 38.2% | 36.5% | 33.1% | 48.3% | 51.6% |
化学 | 64.7% | 55.2% | 48.4% | 58.0% | 66.5% |
繊維 | 57.9% | 53.7% | 53.1% | 59.0% | 66.0% |
金属 | 52.8% | 35.7% | 41.4% | 50.5% | 53.8% |
資源工学 | 33.3% | 82.4% | 25.0% | 66.7% | 50.0% |
建設 | 36.7% | 41.2% | 28.9% | 39.7% | 49.7% |
上下水道 | 46.1% | 41.0% | 31.7% | 41.8% | 51.5% |
衛生工学 | 47.5% | 50.7% | 35.4% | 46.9% | 56.5% |
農業 | 42.7% | 43.0% | 37.0% | 39.2% | 50.4% |
森林 | 41.6% | 37.8% | 35.4% | 32.8% | 40.5% |
水産 | 40.0% | 32.3% | 23.3% | 39.1% | 61.9% |
経営工学 | 62.2% | 58.5% | 44.7% | 52.6% | 69.8% |
情報工学 | 62.3% | 63.9% | 55.1% | 65.0% | 76.0% |
応用理学 | 32.6% | 40.2% | 26.5% | 29.1% | 36.2% |
生物工学 | 63.1% | 34.5% | 38.2% | 25.0% | 59.3% |
環境 | 34.3% | 39.3% | 11.3% | 39.4% | 39.7% |
原子力・放射線 | 64.7% | 52.9% | 59.4% | 68.6% | 67.8% |
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 統計情報」
上の表から、以下のことがわかります。
- 年ごとの合格率は、おおむね30~70%の範囲で大きく変動する
- 同じ年度の試験でも、技術部門ごとの合格率は大きく異なる
ときには前年と比較して、合格率が30%以上変動する場合があることに注意が必要です。
合格率は参考程度に。一喜一憂する必要はない
技術士第一次試験の合格率は、大きくアップダウンしています。
これから受験する技術部門の合格率が低い場合は、「合格できるのだろうか」と不安になりがちです。
しかし合格率が低い、また大きく変動しやすい理由のひとつには、他の試験と比べて受験者数が少ないことが挙げられます。
技術士の受験者は最も多い建設部門でも1万人程度しかいません。
ほとんどの部門は、数十人から数百人の受験者数にとどまります。
このため、その年の受験者のレベルにより合格率が大きく変動しやすいわけです。
しっかり準備していれば、合格率の低さを過度に気にする必要はありません。
一方で前年の合格率が高くても、油断は禁物です。
一定のレベルに到達しなければ合格できないものと認識し、手を抜かず準備を進てください。
第一次試験合格のメリット
技術士の資格は、第二次試験に合格しないと得られません。
しかし第一次試験に合格しただけでも、いくつかのメリットを得られます。
ここでは3つのメリットについて、順に確認していきましょう。
実務経験を積むことで、第二次試験の受験が可能
技術士の第二次試験を受験するためには、以下に示す2つの条件を満たす必要があります。
- 修習技術者であること
- 所定の実務経験を積むこと
修習技術者の条件は、技術士第一次試験の合格でクリアできます。
また7年を超える実務経験を持つ修習技術者は、技術士第二次試験を受験可能です。
技術士への第一歩を踏み出せることは、代表的なメリットといえるでしょう。
技術士補の資格を得られる
技術士第一次試験の合格者は以下の要件を満たすことで、技術士補になることが可能です。
- 補助しようとする技術士を見つける
- 日本技術士会に登録手続きを行う
技術士補の資格を得ることで、第二次試験をより早く受けられる場合があります。
技術士補になってから4年を超える実務経験があれば、第二次試験の受験が可能です。
実務経験の年数が少ない方にとっては、よい方法となるでしょう。
資格手当により収入が増える可能性がある
技術士補になると、資格手当を支給する会社もあります。
支給額は1万円以上に達する場合もあるため、見逃せないポイントのひとつとなるでしょう。
コンサルタント会社のなかには、月々30,000円もの資格手当を支給する場合もあります。
年間では36万円の収入アップであり、かなり大きな金額です。
生活水準の向上やさらなるスキルの向上、モチベーションアップなどの効果が期待できます。
技術士第一次試験に合格し技術士補になることにはスキルの証明だけではなく、収入のアップという効果ももたらすことは見逃せません。
技術士第一次試験の試験スケジュール
令和6年度の技術士第一次試験は、以下のスケジュールで進められます。
項目 | 日程 | 備考 |
---|---|---|
受験申込書等配布 | 6月7日(金)~6月26日(水) | |
受験申込受付 | 6月12日(水)~6月26日(水) | 当日消印有効 |
試験日 | 11月24日(日) | 試験時間は受験者に通知する |
合格発表 | 令和7年2月下旬 |
試験は11月下旬であることに対して、受験申込の締切りが6月下旬とかなり早いことが特徴です。
申込書の配布が始まってから出願の締切日までは20日足らずと短いため、必要な書類は早めに準備しておき、漏れのないようにしておきましょう。
合格者発表の時期と方法
試験を受けた後、合格・不合格がいつわかるか、どのような方法で確認できるかという点は気になるものです。
ここからは合格者発表の時期と方法について、確認していきましょう。
合格者発表の時期
技術士第一次試験の合格発表は、受験した翌年の2月下旬に行われます。
令和6年度の合格者は、令和7年2月下旬頃に発表される予定です。
発表は2月末日になる可能性もありますが、合格発表は必ず行われます。
合否はどうしても気になりがちですが、あせらずに待ちましょう。
合格者発表の方法
合格者の発表は、以下に挙げる3つの方法で行われます。
- 受験者本人への成績通知(合格者には合格証が送付される)
- 日本技術士会のWebサイト(合格者の受験番号が掲示される)
- 官報で合格者の受験番号と氏名が公告される
日本技術士会のWebサイトや官報を利用すれば、いち早く合否を確認できます。
郵送での結果通知を受け取れる時期は、少なくとも2日後であることに注意してください。
なお官報は発行後30日間、Webサイトから無料で閲覧できます。
また図書館で閲覧可能な場合もあるため、ご自身の名前があるか確認してみることもよい方法です。
合格後は何をすれば良い?
技術士第一次試験の合格は、技術者のキャリアで見ると通過点に過ぎません。ここからは合格後に行うと良いポイントを3つ取り上げます。
キャリアアップに結びつく方法を考えていきましょう。
より一層のスキル向上を図る
技術士第一次試験の合格者は、修習技術者として扱われます。
技術士には及ばないものの、一定のスキルを持つ技術者として認められるわけです。
任される仕事も専門性が高くなり、あなたへの信頼も高まることでしょう。
そのぶん、責任も重くなります。期待にこたえられるレベルの仕事を行わなければなりません。
このため合格者や修習技術者の地位に満足し、スキルアップをやめてしまうことは望ましくありません
ご自身の信頼を高め、さらに高度な仕事を任されるためにも、より一層のスキル向上に向けて努力を重ねてみましょう。
優秀な技術士を見つけ、技術士補の資格を得る
第一次試験の合格者は技術士補の資格を得ることで、実務経験の期間が4年超に短縮されます。このメリットを得るためには、あなた自身が業務を補助する技術士を見つけなければなりません。
しかも技術士なら誰でもよいわけではなく、合格した技術部門と同じ部門の技術士であることが条件です。
いわば「同じ技術部門の師匠を探す」努力が求められるわけです。
もっとも職場に同じ分野の技術士がいれば、すでに業務を補助する仕事も任されているのではないでしょうか。
あなたが技術士補になるための協力も得やすいでしょう。
「師匠」になってもらえそうな技術士がいる場合は、相談してみることをおすすめします。
技術士を目指し、第二次試験への対策を行う
技術士の資格を得るためには、第二次試験に合格しなければなりません。
第二次試験は7月に実施される筆記試験と12月から1月にかけて行われる口頭試験があり、両方に合格する必要があります。
試験の多くは選択式でないため、確実な知識がないと合格できません。
加えて、技術士への適格性も問われます。
第一次試験の合格を勝ち取った時点から第二次試験がスタートしていると考え、合格に向けてじっくり対策を行いましょう。
まとめ
技術士は、第一次試験に合格しただけでもさまざまなメリットが得られます。
一方で合格率は毎年大きく変動し、出願から合格発表までは8カ月以上かかる長丁場な資格試験です。
実力のある方は合格できる試験ですから、あせらずじっくり進めることが合格への近道です。日本建設情報センターでは、「技術士 第一次試験(基礎科目・適性科目)」対策講座を開講しています。
出題範囲が広くなりがちな技術士試験を、短時間でマスター可能です。
少ない時間に効率よく、技術士試験に必要な知識を確学べます。
また、専門家による動画の教材も魅力です。技術士を受験される方は、弊社の通信講座の活用もご検討ください。
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