公開日:2022年8月9日 更新日:2023年3月29日
コンクリート技士とは?
受験資格や業務内容、取得のメリットまで紹介
建設業界などコンクリートに関わる業界に入って、はじめてコンクリート技士という言葉を聞いた。
このような方も、多いのではないでしょうか。
コンクリート技士はコンクリートに関する、さまざまな仕事に関係する資格です。
働くうえで、ぜひ持っておきたい資格といえるでしょう。
コンクリート技士の仕事にはどのようなものがあり、資格を取ることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では試験の概要や受験資格も含めて、詳しく解説します。
目次
最終更新日:
「コンクリート技士」は、公益社団法人日本コンクリート工学会が認定する資格です。
コンクリートの製造や配合設計、施工、検査や管理といった、幅広い業務を遂行する能力が認定されます。
コンクリート技士の有資格者は、生コンクリートを扱う職場で求められています。
資格を活かせる職場は、生コンクリート業が代表的。
また建設業やコンクリート製造業など、幅広い職種で求められる資格です。
コンクリート技士の仕事内容は、大きく3つに分かれます。
現場で資格を活かすためにも、しっかり理解しておきましょう。
ひとくちにコンクリートといっても、用途によって求められる品質は異なります。
工事業者からのオーダーに沿ったコンクリートの製造は、重要な業務のひとつ。
水や砂、砂利などの配合を計算し、試し練りを繰り返して依頼に沿うコンクリートを製造します。
ベストの配合割合は、気候や材料の状態によっても変わります。
コンピュータ化が進んでいるとはいえ、職人の技が必要となる場面もあるでしょう。
コンクリート技士の資格が役立つ、主な仕事に挙げられます。
コンクリートの施工においても、コンクリート技士の資格は役立ちます。
工場から運ばれたコンクリートの品質が求めるものかどうか、チェックすることは重要な役割のひとつです。
またコンクリートの施工には、さまざまな制約があります。
打重ねなど、時間制限のある作業も少なくありません。
コンクリートの適性を把握し適切な施工を行う観点でも、コンクリート技士は役立つ資格です。
コンクリートの試験や検査、管理も、重要な業務のひとつです。
たとえば試験や検査には、以下のものが挙げられます。
また良質な品質の製品を製造し続けるため、品質管理も求められる業務のひとつです
コンクリート技士が求められる職種や業界は、いくつかあります。
ここでは主な4つの業種を取り上げ、どのような形で活かせるか確認していきましょう。
建設業は生コンクリートを材料に、建物や構造物をつくります。
完成後に不備があると建て直しが必要となるなど、多額の出費が必要。
施工を正しく行うことは、重要な役割のひとつです。
加えて生コンクリートを受け入れる際に、工事に必要な品質を満たしているかチェックしなければなりません。
近年では、大規模かつ高度な技術を求められるコンクリート工事も増加しています。
要求される条件を満たすためにも、コンクリート技士の資格が求められています。
建設現場で使うコンクリートを生産する生コンクリート業では、品質が大変重要です。
材料の品質が悪ければ、良い工事はできません。
このため施主や工事業者の要求に沿った製品を提供できるよう、しっかりした品質管理が求められます。
コンクリート技士の資格が役立つ、代表的な職業といえるでしょう。
生コンクリート業界には、コンクリートの品質をチェックする「JIS認定試験所」があります。
社内で行う検査はもちろん、工事現場に出向いて検査を行うこともよくあります。
もしいい加減な試験を行うと、建物の安全性を損ないかねません。
試験所の従業員は、コンクリートのプロフェッショナルであることが必要。
信頼を勝ち取るうえでも、コンクリート技士は必須の資格です。
コンクリート製品を作って提供する企業でも、コンクリート技士は役立ちます。
自社で製品まで仕上げるため、品質に責任を持たなければなりません。
製品の製造や検査、管理など、幅広い工程で資格を役立てることが可能です。
コンクリート主任技士は、コンクリート技士の上位にあたる資格です。
両者には、以下の違いがあります。
資格名 | 主な業務 |
---|---|
コンクリート技士 | コンクリート技士 コンクリートの製造や施工など、日常業務を遂行できる |
コンクリート主任技士 | コンクリート技士のスキルに加えて、研究や指導を行える |
まずはコンクリート技士の資格を取得したのち、コンクリート主任技士を目指すとよいでしょう。
コンクリート技士を取得することで、さまざまなメリットが得られます。
ここからは主な3つのメリットを取り上げ、業務の遂行やキャリアアップに役立つ理由を確認していきましょう。
コンクリート技士の試験では、コンクリートに関するさまざまなスキルを試されます。
ふだんは施工業務だけを担う方でも、試験や検査、製造といった知識を身につけないと合格できないわけです。
試験対策をしっかり行うことでコンクリートに関する総合的な知識が身につき、技術力のアップにつながります。
加えて資格の取得により、スキルの高さを証明できることもうれしいメリットといえるでしょう。
お勤めの会社によっては、コンクリート技士の資格手当が支給される場合があります。
月1万円以上の収入増となる可能性もありますので無視できません。
毎月の収入が増えることは、うれしいポイントです。
コンクリート技士の資格を得ることで、コンクリート診断士の受験資格を得られます。
これは実務経験の要件で試験を受ける方にとって、うれしいポイント。
以下のメリットがあります。
コンクリート技士は、さらなるステップアップのきっかけともなる資格です。
コンクリート技士になるためには、試験の合格が欠かせません。
ここからは試験の概要について、詳しく確認していきましょう。
コンクリート技士の試験は年1回、11月下旬に行われます。
2021年の場合、試験日は11月28日(日)でした。
試験は全国の主要都市で行われます。
2021年には、以下の9都市に試験会場が設けられました。
なお試験会場は、受験票で指定されます。
コンクリート技士の試験は、誰もが受けられるわけではありません。
以下に挙げるいずれかの資格を満たす必要があります。
それぞれの条件について、順に確認していきましょう。
以下に示す資格のうち、どれか1つを持っていればコンクリート技士の試験を受験できます。
また1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士の場合は、「監理技術者資格者証」を持っていれば出願可能です。
コンクリートの実務経験を3年以上積んだ方は、コンクリート技士の受験資格を得られます。
実務経験として認められる業務は「コンクリートの技術関係業務」であることに注意が必要。
例として、以下の業務が挙げられます。
この条件で受験をお考えの方は、経験してきた仕事が上記にあてはまるか、事前に確認しておきましょう。
大学や短大、高等専門学校、高校でコンクリート技術に関する科目を履修し卒業した方は、2年以上の実務経験を積むことでコンクリート技士試験を受験できます。
コンクリート技術に関する科目の例には、以下のものが挙げられます。
必要な実務経験の内容は、原則として「実務経験で受験資格を満たす条件」と同じです。
但し大学院を修了した方は、コンクリートに関する研究を実務経験に含めることも可能です。
この場合は、以下の条件が追加されます。
コンクリート技士の受験には、受験料に加えて願書の費用も必要です。
1回の受験につき、11,000円程度の費用がかかるものと考えておきましょう
コンクリート技士の受験願書は有料で、1部1,000円の費用がかかります。
日本コンクリート工学会の窓口では購入できないため、以下のステップを踏まなければなりません。
1番・2番それぞれについて、数百円程度の料金がかかります。
また「コンクリート技士」と「コンクリート主任技士」の願書は別です。
受験願書請求書には技士・主任技士それぞれについて、必要部数を記入する欄があります。
誤って記入しないよう、注意を払いましょう。
こちらも受験票の払込みと書類の送付において、それぞれ数百円程度の料金が必要です。
試験の方法は、頻繁に変更されています。
過去5年間の出題形式と設問数を、以下の表にまとめました。
試験を実施した年 | 四肢択一式の設問 | ○×式の設問 |
---|---|---|
2017年 | 40問 | 20問 |
2018年 | 36問 | 18問 |
2019年 | 36問 | 18問 |
2020年 | 36問 | 無し |
2021年 | 36問 | 無し |
○×式の設問は、誤答すると減点されることに注意が必要です。
試験時間は2時間です。
2021年の試験は、13時30分から15時30分までの実施でした。
コンクリート技士試験に合格しても、そのままでは有資格者として認められません。
資格を得るためには合格通知に同封された「登録申込用紙」に記入し、試験を受けた翌年の1月中旬から2月上旬の間に手続きを行う必要があります。
登録証を受け取れば、コンクリート技士の有資格者になれます。
コンクリートは社会で広く用いられる素材であり、今後ともさまざまな業界で使われることでしょう。
コンクリート技士は生コンクリート業界だけでなく、多くの職場で仕事に活かせる資格。
持っていれば長い期間にわたり、あなたのキャリアを支えてくれることでしょう。
コンクリート技士は受験資格のハードルがあるにもかかわらず、年間9,000人前後の方が受験し、2,700人前後の合格者を出しています。
コンクリートに関わる仕事に就いている方はこの機会に資格を取得し、評価のアップにつなげましょう。
コンクリートは社会で広く用いられる素材であり、今後ともさまざまな業界で使われることでしょう。
コンクリート技士は生コンクリート業界だけでなく、多くの職場で仕事に活かせる資格。
持っていれば長い期間にわたり、あなたのキャリアを支えてくれることでしょう。
コンクリート技士は受験資格のハードルがあるにもかかわらず、年間9,000人前後の方が受験し、2,700人前後の合格者を出しています。
コンクリートに関わる仕事に就いている方はこの機会に資格を取得し、評価のアップにつなげましょう。