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廃棄物処理法とは?知識を活かせる資格や仕事を徹底解説

公開日:2025年9月30日 更新日:2025年9月30日

廃棄物処理法とは?知識を活かせる資格や仕事を徹底解説

廃棄物処理法とは?知識を活かせる資格や仕事を徹底解説

建設工事や製造業など、私たちの社会活動からは必ず廃棄物が発生します。こうした廃棄物は適切に処理しないと環境汚染や健康被害を引き起こすリスクがあるため、国や自治体によって厳格なルールが定められています。その中心となるのが「廃棄物処理法」です。

この記事では、廃棄物処理法の基礎から、建設業界で働く人にとってなぜ重要なのか、さらには知識が活かせる仕事や役立つ資格、効率的な勉強方法まで徹底的に解説します。廃棄物処理法への理解を深めることで、環境保全に貢献しながら専門家としてのキャリアを築く一助となれば幸いです。


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目次

廃棄物処理法とは

廃棄物処理法とは

廃棄物処理法とは、「廃棄物の排出を抑制し、適正な処理を推進することで、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図る」ことを目的に、1970年に制定された法律です。正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」といいます。

制定された背景には、高度経済成長期に産業廃棄物が急増し、不法投棄や不適正処理が社会問題化したことがあります。環境汚染や健康被害が深刻化する中で、国や自治体が廃棄物の処理に関する責任を明確にし、適正な管理を義務付ける必要が生じました。

廃棄物処理法は、廃棄物の種類を「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類し、それぞれの処理方法や責任を細かく規定しています。企業の信頼性を高め、社会的責任を果たすためにも、廃棄物処理法を遵守することは不可欠といえるでしょう。

廃棄物処理法の基礎知識

廃棄物処理法の基礎知識

廃棄物処理法を理解する上で、いくつかの基礎的な用語や原則を押さえておくことが重要です。

廃棄物の種類と分類

廃棄物処理法では、廃棄物は発生源によって「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられます。

  • 一般廃棄物:事業活動以外の日常生活で発生する廃棄物(例:家庭から出る生ごみや粗大ごみなど)
  • 産業廃棄物:事業活動によって生じたもので法律で定められた21種類の廃棄物(例:建設現場から出るコンクリートくずや木くず、製造業から出る燃え殻など)

特に建設業界で扱う廃棄物はほとんどが産業廃棄物にあたるため、その種類と処理方法を正確に理解しておくことが重要です。

排出事業者の責任

廃棄物を排出した事業者(排出事業者)は、自らその廃棄物を適正に処理するか、または許可を持つ専門の処理業者に委託する義務があります。この責任は「排出事業者責任」と呼ばれ、廃棄物処理法の最も重要な原則の一つです。

また、排出事業者は廃棄物の種類や量、処理方法などを詳細に記載した「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を交付し、最終処分が完了するまでの一連の流れを把握・管理しなければなりません。マニフェスト制度は、廃棄物の不法投棄を防止し、適正な処理を確保するための重要な仕組みです。

建設業界における廃棄物処理法の重要性

建設業界における廃棄物処理法の重要性

建設業界、特に工事現場では、毎日大量の廃棄物が発生します。これらの廃棄物を適正に処理することは法令を遵守するだけでなく、環境への影響を最小限に抑え、企業の信頼性を保つ上で不可欠です。

1. 法令遵守とリスク管理のため

建設工事で発生する廃棄物は、ほとんどが産業廃棄物です。これらを不適切に処理すると、法律違反となり、罰則や行政指導の対象となります

例えば、マニフェストを交付・管理しなかったり、無許可の業者に委託したりすると、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。また、不法投棄や不適正処理が発覚した場合、企業の社会的信用は失墜し、プロジェクトの継続が困難になるだけでなく、損害賠償や風評被害といった大きなリスクを抱えることになります。

2. コスト削減と効率化のため

廃棄物の種類や量を正確に把握し、分別を徹底することは、処理コストの削減にもつながります。例えば、再利用可能な資材(コンクリートがらや木くずなど)を適切に分別すれば、産業廃棄物として処分する費用を抑えることが可能です。

また、廃棄物の処理過程を効率的に管理することで現場作業の円滑化が図られ、プロジェクト全体のスケジュールも遵守しやすくなります。廃棄物処理は、プロジェクト管理の一環として捉えるべき重要な業務といえるでしょう。

廃棄物処理法の知識が活かせる仕事

廃棄物処理法の知識が活かせる仕事

廃棄物処理法は、建設業界の幅広い職種で重要な知識となります。

  • 施工管理:建設現場で工事全体の管理を行う施工管理技士にとって、廃棄物処理法の知識は必須です。廃棄物の種類ごとに分別計画を立てたり、マニフェストを管理したりする業務は、日々の作業の中で頻繁に発生します。
  • 産業廃棄物処理業:廃棄物の収集運搬や処分を専門に行う仕事です。法律で定められた許可を取得し、排出事業者から委託された廃棄物を適正に処理します。
  • 環境コンサルタント:企業や自治体に対して、廃棄物処理に関するコンサルティングを行います。法律の専門知識を活かし、最適な処理方法の提案や、法令遵守のための指導を行います。
  • 公務員:国や地方自治体の職員として、廃棄物処理法の施行や取り締まりに携わる仕事です。不法投棄のパトロールや、事業所の立ち入り検査などを行います。

廃棄物処理法の知識が必要になる資格

廃棄物処理法の知識が必要になる資格

廃棄物処理法に関する知識は、特定の資格の取得に不可欠なものです。これらの資格は、専門知識を習得し、キャリアアップを目指す上で大きな強みとなります。

建築物環境衛生管理技術者

建築物環境衛生管理技術者は、特定用途の大型建築物(特定建築物)の環境衛生を管理する国家資格です。通称「ビル管」と呼ばれます。建築物の環境衛生管理には、廃棄物の処理も含まれるため、廃棄物処理法に関する知識が必須です。

この資格を取得することで、廃棄物管理を含む、建物の維持管理全般に関する専門家として、ビル管理会社やゼネコンなどで活躍の場が広がります。

建築物環境衛生管理技術者(ビル管)の資格詳細については、以下の講座ページをご確認ください。


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土木施工管理技士

土木施工管理技士は、土木工事全般の施工管理を行う国家資格です。道路やダム、上下水道などの工事では、掘削土やコンクリートくずといった大量の産業廃棄物が発生するため、廃棄物処理法に基づいた適正な処理計画の策定やマニフェスト管理が必須業務となります。

おすすめの勉強方法

おすすめの勉強方法

廃棄物処理法の全体像や実際の業務での適用方法を理解するためには、体系的な学習が効果的です。しかし、廃棄物処理法は専門用語や条文が多く、独学で学ぶのは難しいと感じる人も少なくありません。特に、独学ではどこから手をつければいいか分からず、挫折してしまうこともあるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、オンライン学習の活用です。オンライン学習であれば、複雑な法律や専門用語もプロの講師が分かりやすく解説してくれるため、スムーズに理解できます。

また、資格試験の出題傾向を分析したカリキュラムに沿って学習できるため、無駄なく必要な知識を習得できます。スマートフォンやタブレットがあれば、通勤時間や休憩時間など、スキマ時間を使って学習を進められるのも大きなメリットです。

まとめ

まとめ

この記事では、廃棄物処理法の基本から、その知識が活かせる仕事、そしてキャリアアップに役立つ資格について詳しく解説しました。

廃棄物処理法は、建設業界で働く人にとって、企業の信頼性やプロジェクトの成功を左右する重要な法律のひとつです。内容を深く理解することは、環境に配慮した社会づくりに貢献すると同時に、自身の専門性を高め、キャリアアップにもつながるでしょう。

特に、廃棄物処理に関する知識が問われる「建築物環境衛生管理技術者(ビル管)」は、建物の維持管理のプロとして高い需要があります。

CIC日本建設情報センターでは、資格合格を目指す方に向け、合格点主義に基づいた効率的な対策講座を提供しています。難しい法律や専門用語も分かりやすく解説するため、独学に不安がある方でも安心して学習を進められるでしょう。

廃棄物処理のプロとしてキャリアアップを目指したい方は、「建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)」の詳細をご確認ください。


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