更新日:2026年9月1日

草が生い茂っている現場では、草刈りのために刈払機を使うことがあります。刈払機は資格が必要なのでしょうか?
この記事では刈払機がどのような機械か、また操作に関する資格を紹介します。さらに、安全衛生教育を受講すべき理由と、受講しないまま作業を続けた場合のリスク、よくある質問についてもまとめました。刈払機の知識を深めましょう。

草刈りに利用する刈払機には種類があります。ここでは、どのような刈払機があるのか説明しましょう。刈払機の種類を知っておくと、利用する際にも役立つはずです。
刈払機は、外観の構造により以下の3つに分類されます。
これらの中で一番よく使われるのはエンジン(原動機)、操作棹(メインパイプ)、Uハンドル、刈刃、飛散防護カバー、肩掛けバンドで構成されるUハンドル肩掛け式です。このタイプの刈払機を操作する際は、メインパイプに固定されたUハンドルを握りながら左右に動かします。そして、ハンドルに付けられているスロットルレバーを操作し、エンジンの回転を調整します。
その際に危険なのは刈刃の回転です。刈刃は非常に高速で回転するため、作業中の事故の原因になりやすい部分です。事故回避のために、刈払いは右から左へ振るのが基本で、右へ戻すときは草を刈りません。戻す際はスロットルレバーを戻して回転を下げ、刈刃を草や地面から離した状態で戻します(空戻し)。これは、刈刃の右側で硬い草木や石に接触した際に機体が右後方へ跳ね返る「キックバック」を防ぐためです。
作業中は常に危険性を念頭に置いて操作しましょう。

刈払機の操作そのものに免許や国家資格は必要ありません。ただし厚生労働省の通達「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育について」(平成12年2月16日
基発第66号)により、事業者は刈払機を使用する業務に就く労働者に対し、特別教育に準じた教育として「刈払機取扱作業者安全衛生教育」を実施することが求められています。
特別教育とは異なり法的な受講義務や罰則はありませんが、労働安全衛生法第60条の2(安全衛生水準の向上のための教育)の趣旨に沿って、事業者が実施に努めるべき教育とされています。
刈払機を扱う仕事に刈払機を扱う仕事に従事する予定の方や、これから就きたいと考えている方は参考にしてください。
事業者は、刈払機を使用する業務に就く労働者に対し、通達に基づく安全衛生教育を実施するよう求められています。特別教育のような法令上の義務や罰則はありませんが、労働安全衛生法第60条の2(安全衛生水準の向上のための教育)の趣旨に沿って、労働災害防止のため実施に努めるべき教育とされています。この講習は外部機関に委託することも可能です。
なお、労働安全衛生法は事業者と雇用関係にある労働者を対象とする法律です。自分の所有する農地や自宅の敷地での草刈り、ボランティア活動での使用は法の対象外となりますが、刈払機の危険性は変わらないため受講が強く推奨されています。
安全衛生教育が導入された背景には、刈払機の危険性を認識せずに扱うとケガや事故につながるという問題があります。ここに、国民生活センターが注意喚起している刈払機使用時のポイントをまとめておきますので、刈払機を取り扱う際にお役立てください。
安全衛生教育では学科や実技があり、刈払機の正しい扱い方が学習できるシステムになっています。
受講すると「刈払機取扱作業者安全衛生教育修了証」が交付されます。これは免許・技能講習・特別教育とは性格の異なるもので、未受講でも法違反にはなりません。ただし国や地方公共団体が発注する道路・河川の維持管理業務などでは、入札や作業従事の条件として修了証の提示を求められることが多く、実務上は「資格」に近い扱いを受けています。
刈払機取扱作業者安全衛生教育は、日本各地で実施されています。従業員に受講させたいと考える事業主の方は、インターネットなどで刈払機取扱作業者安全衛生教育を扱っているサイトを探してみてください。
学歴や実務経験の条件はなく、これから刈払機を扱う予定の方でも受講できます。ただし実施機関によっては満18歳以上を受講条件としている場合があるため、申込前にご確認ください。
受講料や講習日程は行っている機関により異なるため、ホームページなどを注意深くチェックする必要があります。また、オンラインでの受講を行っているところも存在するので、オンライン受講を希望する場合は、合わせてチェックしましょう。
刈払機取扱作業者安全衛生教育の内容は以下のとおりです。
| 科目 | 教育時間 |
|---|---|
| 刈払機に関する知識 | 1時間 |
| 刈払機を使用する作業に関する知識 | 1時間 |
| 刈払機の点検及び整備に関する知識 | 0.5時間 |
| 振動障害及びその予防に関する知識 | 2時間 |
| 関係法令 | 0.5時間 |
実技に関しては以下のようになっています。
| 科目 | 教育時間 |
|---|---|
| 刈払機の作業等 | 1時間 |
ここに記載されている教育時間は、休憩時間を含まない教育規定で定められた時間です。
そのため、実際に行われる受講時間とは異なります。
刈払機取扱作業者安全衛生教育の受講方法を一例で説明します。
定員いっぱいになり受講生を募集していなかったり、なんらかの理由で受講を中止している日程があったりします。
よく確認してから申し込むようにしてください。

「法的な義務でも罰則もないなら、受けなくてもいいのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、刈払機取扱作業者安全衛生教育には、義務かどうかとは別の次元で受講すべき理由があります。ここでは4つの観点から解説します。
刈払機取扱作業者安全衛生教育は、厚生労働省の通達「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育について」(平成12年2月16日 基発第66号)にもとづき、特別教育に準じた教育として位置づけられています。
法令ではなく通達が根拠であるため罰則こそありませんが、「実施しなくてよい教育」ではなく「実施すべきとされている教育」です。労働安全衛生法第60条の2は、事業者に対して危険有害業務に従事する労働者への安全衛生教育の実施を努力義務として定めており、この通達はその趣旨に沿ったものといえます。
加えて、振動工具の取り扱いについては「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」(平成21年7月10日
基発0710第2号)でも、作業者を新たに振動業務に就かせるとき、または取り扱う振動工具の種類を変更したときに教育を行うことが求められています。刈払機はこの指針の対象工具に含まれます。
刈払機は身近な機械である一方、高速回転する刈刃を身体の近くで振り回すという、構造的に危険な作業を伴います。国民生活センターにも、刈払機による草刈り中の事故情報が継続的に寄せられており、作業者本人だけでなく周囲の人にケガを負わせてしまった事例も報告されています。
農林水産省の調査では、刈払機事故の主な原因として次のような傾向が示されています。
いずれも「知っていれば避けられた」類の事故です。とくにキックバックは、刈刃の右側前方が硬い草木や石に接触した際に機体が右方向へ跳ね返る現象で、発生を知らなければ身構えることすらできません。教育で学ぶ「右から左へ振る」「戻すときは刈らない(空戻し)」という基本動作は、この危険を避けるための具体的な技術です。
刈払機のリスクは、目に見えるケガだけではありません。振動工具を長期間使い続けることで生じる振動障害は、手指のしびれやレイノー現象(白ろう病)として、数年から十数年かけて現れます。振動障害による労災保険の新規支給決定者数は、近年も年間200人台で推移しています。
現在の振動障害対策は、工具に表示された「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」と1日の使用時間から「日振動ばく露量A(8)」を算出して管理する方式です。この計算方法や、限界値5.0m/s²・対策値2.5m/s²といった基準は、現場での経験だけでは身につきません。教育カリキュラム6時間のうち2時間が振動障害に充てられているのは、それだけ体系的な知識が必要だからです。
法的な義務ではないにもかかわらず、刈払機取扱作業者安全衛生教育の修了証は、実務上「資格」に近い扱いを受けています。国や地方公共団体が発注する道路・河川の維持管理業務などでは、入札や作業従事の条件として修了証の提示を求められることが少なくありません。
さらに、令和9年4月1日からは、労働者と同一の場所で作業を行う個人事業者も、労働者と同様に安全衛生水準の向上のための教育を受けるよう努めなければならないとされています。一人親方やシルバー人材センター経由で草刈り作業を請け負う方にとっても、修了証を持っていることが仕事を受ける前提になっていくと考えられます。

刈払機取扱作業者安全衛生教育は、未受講でも直ちに法律違反となるものではありません。しかし「罰則がない=リスクがない」ではないという点は、正しく理解しておく必要があります。ここでは、受講しないまま作業を続けた場合に起こり得ることを4つ解説します。
刈払機の安全衛生教育そのものに罰則はありませんが、事業者には労働契約法第5条にもとづく安全配慮義務があります。刈払作業中にケガや振動障害が発生した場合、国が実施を求めている教育を行っていなかったという事実は、安全配慮義務を尽くしていなかった事情として扱われます。
刈払機による事故は、切創や飛来物による失明など、後遺障害につながるものも少なくありません。損害賠償請求に発展した場合、教育の実施記録があるかどうかが争点になります。「罰則がないから実施しなかった」という説明は、民事の場では通用しないと考えておくべきでしょう。
見落とされやすいのが、刈払機の教育とは別に、労働安全衛生規則第35条の「雇入れ時等の教育」は法令上の義務であるという点です。新たに刈払作業に就かせるときや、作業内容を変更するときには、機械の危険性、保護具の取り扱い、作業手順、作業開始時の点検などを教育しなければなりません。
これは労働安全衛生法第59条第1項にもとづく義務で、実施しなかった場合は50万円以下の罰金の対象となります。さらに令和6年4月1日の改正により、業種による省略規定が廃止され、すべての業種で全項目の実施が必要になりました。
加えて、令和7年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、職場の熱中症対策は罰則付きで義務化されています。夏季の刈払作業はほとんどが対象に該当するため、こちらの体制整備も欠かせません。「刈払機の教育に罰則はない」という一点だけを見て、周辺の義務まで見落とさないよう注意しましょう。
実務面での影響として最も直接的なのが、修了証がないために仕事を受けられないケースです。道路・河川の維持管理業務をはじめ、公共工事の草刈り作業では修了証の提示が求められることが一般的で、提示できなければ入札への参加や現場への入場ができません。
「受講していないから現場に入れない」という状況は、罰則よりもはるかに高い頻度で、現実の損失として発生します。6時間の受講で解消できる制約を抱えたまま作業を続ける理由はありません。
最も重いのは、作業者自身が負うリスクです。キックバックによる切創や、飛散した石・刈刃の破片が目に当たることによる失明は、一瞬で起こります。振動障害のように、数年かけて進行し、日常生活にまで影響を及ぼすものもあります。
いずれも、正しい姿勢・保護具の着用・作業時間の管理といった基本を守ることで、大きく確率を下げられるリスクです。刈払機取扱作業者安全衛生教育は、学科5時間と実技1時間の計6時間で修了できます。これから刈払作業に従事する予定があるなら、作業を始める前に受講を済ませておきましょう。

刈払機の操作資格と同等と考えられる、刈払機取扱作業者安全衛生教育に関してよくある質問をまとめました。多くの人が疑問を抱くポイントなので、ご覧になって参考にしてください。
刈払機取扱作業者安全衛生教育では、刈払機の作業等に関する実技は1時間行います。刈払機取扱作業者安全衛生教育の実施機関によっては、実技の人数制限があるので、よく確認しておいた方が良いでしょう。
たとえば、出張講習を希望する場合は、一度の講習で20名以内となっているところもあります。
未受講でも法律違反にはならず、罰則もありません。ただし刈払機の取り扱いは危険を伴うため、国は事業者に対して、刈払機を取り扱う作業者に安全衛生教育を受講させることを求めています。詳しくは「受講しないとどうなる?」をご覧ください。
なお、この安全衛生教育の対象は刈払機作業に従事して賃金を得る作業者ですが、以下の目的で刈払機を扱う人が安全確保のために受講することも可能です。
安全衛生教育の対象になります。実施要領は対象者を「刈払機を使用する作業に従事する者」としており、刃の形状や動力(電動・エンジン)による適用除外はありません。
自走式草刈機(ハンマーナイフモア)は、肩掛式・背負式の可搬型である刈払機とは別の機械であり、「刈払機取扱作業者安全衛生教育」の対象ではありません。同教育の修了証で代替することもできません。
ただし、自走式草刈機を新たに扱わせる場合は、労働安全衛生規則第35条にもとづく「雇入れ時等の教育」の対象になります。これは労働安全衛生法第59条第1項による事業者の義務であり、実施しなかった場合は50万円以下の罰金の対象です。さらに令和6年4月1日の改正により、業種による省略規定が廃止され、すべての業種で以下の全項目を実施する必要があります。
以下は労働安全衛生規則第35条で実施すべきとされている労働安全衛生教育の内容です。
厚生労働省|労働安全衛生規則第35条で実施すべきとされている労働安全衛生教育
自走式草刈機は、機体の構造・走行時の転倒リスク・刈刃の形状が刈払機とは大きく異なります。導入時は取扱説明書に基づく教育と作業手順の整備を行い、判断に迷う場合はお近くの労働局又は労働基準監督署にご確認ください。
有効期限はなく、更新手続きも不要です。ただし「安全衛生教育等推進要綱」では、危険有害業務に現に就いている者への定期的な再教育をおおむね5年ごとに行うことが望ましいとされています。
法令改正があった場合や、長期間刈払機を使用していなかった場合、新しい機種を導入した場合などは、あらためて受講することをおすすめします。
刈払機は振動工具であり、長期間の使用は手指のしびれや、指が白くなる「レイノー現象(白ろう病)」などの振動障害につながります。振動障害による労災保険の新規支給決定者数は、近年も年間200人台で推移しています。教育カリキュラム6時間のうち2時間が振動障害に充てられているのは、このためです。
かつては昭和50年基発第608号に基づく作業時間管理が行われていましたが、同通達は廃止され、現在は平成21年7月10日基発0710第2号「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」が適用されます。工具に表示された「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」と1日の使用時間から「日振動ばく露量A(8)」を算出し、次のように管理します。
「1日2時間まで」という数字だけが独り歩きしがちですが、現在はA(8)による管理が原則で、2時間は当面の上限という位置づけです。
また振動業務に従事する労働者には、雇入れ時・配置替え時および6か月以内ごとに1回(うち1回は冬季)の特殊健康診断が行われます。
令和7年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、職場の熱中症対策が罰則付きで義務化されました。対象となるのは、WBGT28℃以上または気温31℃以上の環境下で、継続1時間以上または1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業です。
事業者には次の3点が義務付けられます。
夏季の刈払作業は屋外・立ち姿勢・長時間の連続作業となるため、ほとんどの現場がこの対象に該当します。
個人事業者等の安全衛生対策強化により、令和8年4月1日から、労働者と同一の場所で作業に従事する個人事業者等も安全衛生上の措置の対象となり、元方事業者や注文者による安全配慮の対象に含まれることになりました。
さらに令和9年4月1日からは、労働者と同一の場所で作業を行う個人事業者は、労働者と同様に必要な特別教育を受けなければならず、安全衛生水準の向上のための教育を受けるよう努めなければならないとされています。一人親方やシルバー人材センター経由で刈払作業を請け負う方も、早めに修了証を取得しておくことをおすすめします。

刈払機の操作に免許や国家資格は不要ですが、業務として使用する場合は、厚生労働省の通達により事業者に「刈払機取扱作業者安全衛生教育」の実施が求められています。法的な受講義務や罰則はないものの、切創・跳ね返り・振動障害・熱中症といったリスクが伴う作業であり、公共工事の受注条件となることも多いため、受講しておくことが実務上ほぼ必須といえます。
また、教育そのものに罰則はなくても、労働安全衛生規則第35条の雇入れ時等の教育や熱中症対策のように、罰則付きで義務化されている周辺の措置がある点にも注意が必要です。事故が起きた際には、教育を実施していたかどうかが安全配慮義務の観点から問われます。
CIC日本建設情報センターでも刈払機の安全衛生教育講座を取り扱っておりますので、ぜひお申込みください。