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海洋土木(マリコン)とは?主な仕事内容や業界トレンドについて徹底解説

公開日:2026年4月30日 更新日:2026年5月1日

海洋土木(マリコン)とは?主な仕事内容や業界トレンドについて徹底解説

海洋土木(マリコン)とは?主な仕事内容や業界トレンドについて徹底解説

海洋土木とは、海や河川、湖沼などの水域において、社会基盤となるインフラを整備する土木工学の一分野を指します。地上で行われる一般的な土木工事と比較すると、波浪や潮流、水圧、塩害といった厳しい自然環境への対応が求められる点が特徴です。港湾や防波堤の整備、海底トンネルの構築など、物流や防災に直結するプロジェクトを扱います。

私たちの暮らしに欠かせないエネルギーや物流の拠点を守り、時には海底に道を作る。そのスケールの大きさに憧れて業界を志す人も少なくありません。しかし、その実態や最新の技術動向までを詳しく知る機会は意外と少ないものです。

本記事では、海洋土木の基礎知識から業界を牽引する最新の技術動向、さらに実務に必要な資格取得の要件までを具体的に解説します。海洋土木の分野に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

海洋土木とは?

海洋土木とは?

海洋土木は、水域の環境を利用または保全するために行われる建設工事の総称です。対象となる範囲は、港湾施設・海岸保全施設・海底トンネル・橋梁の基礎・人工島・埋立地など多岐にわたります。

水域での工事は、常に海水や水の動きにさらされるため、材料の耐久性や構造の安定性について高度な計算が必要です。また、水中の作業は視認性が低く、直接手が届かない場所も多いため、特殊な建設機械や潜水技術を用いた施工が行われます。

海洋土木工事を専門的に請け負う建設会社を「マリコン(マリン・コントラクター)」と呼びます。大型の作業船や特殊な水中施工技術を保有しており、水域における大規模な構造物の設計、施工、維持管理を担うのが特徴です。

特殊環境下での工事を完遂するために独自の技術開発を行い、土木施工管理の知識に加え、海象(波浪・潮位など)・気象のデータ解析・水中での精密な位置計測といった専門スキルを組み合わせてプロジェクトを遂行します。

マリコン各社の特徴や売上高、年収の比較については、以下の記事を参照してください。

日本における海洋土木の重要性

日本における海洋土木の重要性

四方を海に囲まれた島国である日本にとって、海洋土木は経済活動と国土保全の両面で重要な役割を担います。

国内に流入する原材料や製品のほとんどは、海上輸送を経由して各地の港湾に届きます。大型のコンテナ船やタンカーが安全に接岸するためには、海底を一定の深さに保つ浚渫(しゅんせつ)工事や、強固な岸壁の整備が欠かせません。こうした港湾インフラの機能が損なわれると、国内の産業活動や国民の生活物資の供給に多大な支障をきたします。海洋土木技術は、目に見えにくい場所で日本の流通の根幹を支えています。

また、自然災害から国民の生命と財産を守る防衛策としても、海洋土木の存在は極めて重要です。日本は地形的に台風による高潮や地震に伴う津波の影響を受けやすく、海岸線の浸食も深刻な課題となっています。

海洋土木技術によって強固な防波堤や護岸を築き、波のエネルギーを適切に制御することで、沿岸部の居住区や工業地帯を水の脅威から保護します。近年の深刻化する自然災害や将来的な海面上昇への対策として、既存の構造物をさらに強化する粘り強いインフラ整備が全国各地で進められています。

海洋土木の代表的な工法とその特徴

海洋土木の代表的な工法とその特徴

海洋土木には、水域という特殊な条件を克服するための独自工法が確立されています。ここでは、代表的な2つの技術について、その手順と特徴を解説します。

ケーソン工法:巨大なコンクリート箱を沈める技術

ケーソン工法は、岸壁や防波堤などをつくる際に用いられる代表的な築造方法です。「ケーソン」と呼ばれる大型の箱型構造物(たいていは鉄筋コンクリート製)を陸上やドックで製作し、海上へ浮かべて所定の位置まで曳航した後、海底に沈めて据え付けます。

特徴としては、次のような点が挙げられます。

  • あらかじめ陸上で製作するため品質を確保しやすい
  • 一つひとつが非常に大きく、重い構造物となるため、据え付け時には高い施工管理能力が必要
  • 海底地盤の整地(マウンド造成)や、沈設精度の確保がポイントになる

港の外郭を守る大規模な防波堤や、大型船が接岸する岸壁などで、多用される工法です。

沈埋工法:海底トンネルをつなぎ合わせる精密技術

沈埋工法(沈埋トンネル工法)は、海底にトンネルを通すときに使われる工法です。陸上やドックでトンネルの一部分となる「沈埋函(ちんまいかん)」を製作し、それを船で運んで海底に沈め、複数のブロックを順番につなげて一本のトンネルとして完成させます。

特徴は次の通りです。

  • 長大な海底トンネルを、比較的浅い水深でも構築しやすい
  • 沈設する位置や接合精度が非常にシビアで、高度な測量・施工管理が必要
  • 完成後は、陸上トンネルとほぼ同様の断面形状・利用イメージになる

都市部の湾を横断する道路トンネルや鉄道トンネルなどで採用されることが多く、都市圏の交通を支える「影の立役者」といえる工法です。

海洋土木のトレンド①:洋上風力発電

海洋土木のトレンド①:洋上風力発電

CO2排出を減らすグローバルな動きの中で、洋上風力発電は世界的にも日本国内でも急速に注目度が高まっています。海に囲まれた日本は風況の良い海域が多く、陸上よりも大きな発電ポテンシャルがあると評価されています。

洋上風力発電の建設には、厳しい海象条件に耐えうる土台を築く技術が必要です。洋上風力発電の基礎には、以下のようなタイプがあります。

  • 着床式:海底に基礎を直接固定する方式で、水深が比較的浅い海域に適する
  • 浮体式:タービン(風車)を浮体に載せて海底に固定(係留)する方式で、水深が深い海域でも設置可能

日本周辺は急に水深が深くなる海域が多いため、浮体式の技術開発と実証が活発に進められています。洋上風力発電所を建設するには、基礎構造物の据え付け、海底ケーブルの敷設、港湾での組立ヤード整備など、多くの場面で海洋土木の技術が役立ちます。

海洋土木のトレンド②:水中DX

海洋土木のトレンド②:水中DX

ここ数年で一気に広がり始めているのが、水中作業のデジタル化・自動化、いわゆる「水中DX」です。

人が潜水して行っていた調査や点検、施工の一部を、ロボティクスや情報化施工で置き換えていく動きが加速しています。​

水中ドローン(ROV)による自動点検

ROV(Remotely Operated Vehicle)は、ケーブルで母船とつながった遠隔操作型の水中ロボットで、防波堤や護岸、海底配管などの点検に活用が広がっています。

ROV活用のメリットは、次のような点です。

  • 潜水士が入れない水深・流速の現場でも調査が可能
  • 映像やセンサー情報を記録し、後から詳細に解析できる
  • 点検作業の安全性・効率性を高め、人手不足への対応にもつながる

機種によっては、自律型水中ロボット(AUV)としての機能を備え、設定したルートを自動で走査しながら画像・データを取得するものも登場しています。

3次元データによる水中施工の可視化

水中DXのもう一つの柱が、3次元データを用いた施工管理です。マルチビーム測深機やレーザースキャナ、ROV搭載カメラなどから得られたデータを統合し、海中の地形や構造物の状態を3Dモデルとして把握します。その効果として、以下のような利点が生まれます。​

  • 施工前後の地形変化や、築造物の形状を定量的に評価できる
  • 事務所側からでも現場の状況を立体的に確認し、指示・検討を行いやすくする
  • 施工履歴や点検履歴を「デジタルツイン」として蓄積し、長期的な維持管理に活かす

国土交通省が推進する港湾分野の情報化施工(いわゆる「i-Construction」)の一環として、海洋分野の情報化施工は今後さらに一般化していくと見込まれます。

参考:港湾におけるi-Construction|国土交通省

海洋土木のトレンド③:カーボンニュートラルポート(CNP)の構築

海洋土木のトレンド③:カーボンニュートラルポート(CNP)の構築

CNP(Carbon Neutral Port)は、港湾を拠点としてサプライチェーン全体の脱炭素化を進めていく、国土交通省が掲げるコンセプトです。港湾施設を造り替えるだけでなく、港を利用する企業や周辺産業と連携しながら、CO2排出を大幅に減らしていくことが狙いとされています。

CNPの取り組み例には、次のようなものがあります。

  • LNG・水素・アンモニアなどの燃料供給拠点の整備
  • 岸壁での船舶への陸上電力供給設備(AMP 等)の導入
  • 港湾内で活躍するトラックや荷役機械の電動化・水素化
  • 洋上風力や太陽光を活用した再エネ電源の導入
  • ブルーカーボンの保全・創出(藻場や干潟などの海洋生態系による炭素固定)

こうした設備の基盤となる岸壁・防波堤・護岸・大型ヤードなどを整備し、物流動線を踏まえた配置計画を行うのが、海洋土木の重要なミッションの一つです。また、構造物を造るだけでなく、水生生物が棲息しやすい環境配慮型ブロックを採用するなど、海洋生態系を活用した脱炭素化(ブルーカーボン施策)への貢献も新たなトレンドとなっています。

今後、主要港の多くでCNPの検討が進むと見込まれており、環境とインフラを両立させる新しい仕事のフィールドが広がっています。

参考:カーボンニュートラルポート(CNP)の形成|国土交通省

海洋土木の将来性

海洋土木の将来性

海洋土木は、景気の波を完全に無視できるわけではありませんが、インフラ整備・維持管理という性質上、長期的なニーズがなくなりにくい分野です。加えて、以下の要因からも将来性が高いと評価されています。

  • 港湾更新・耐震強化、老朽施設の更新需要
  • 洋上風力や再エネ関連インフラの新設
  • 気候変動に伴う防災・減災対策の強化(高潮・津波・浸食対策)
  • CNP をはじめとした脱炭素インフラへの転換
  • 海底ケーブルや海洋資源開発など、新規分野の拡大

さらに、海上工事の専門性が高いことから、新規参入企業が限られやすく、一定の技術力を持つ企業・技術者にとっては安定的に案件が見込める市場構造でもあります。

海洋土木業界で活躍するために必要な資格

海洋土木業界で活躍するために必要な資格

海洋土木の現場では、一般的な土木系資格に加え、水中作業や重機操作など、海ならではの資格が現場で重宝されます。ここでは代表的なものをご紹介します。

「土木施工管理技士」

海洋土木に関わるなら、ベースとなるのが「土木施工管理技士」です。

工事の工程管理・品質管理・安全管理など、現場全体をマネジメントする国家資格で、1級と2級があります。​

  • 1級:大規模・複雑なプロジェクトの主任技術者や監理技術者として活躍したい人向け
  • 2級:比較的小規模な工事の監督からスタートしたい人向け

海洋土木に特化した実務経験を積み、土木施工管理技士の資格を取得することで、現場での発言力やキャリアの幅が大きく広がります。​

土木施工管理技士の取得を目指すなら、CIC日本建設情報センターの「土木施工管理技士」受験対策講座を活用して、計画的に学習を進めるのがおすすめです。過去問中心の効率学習で、仕事と両立しながら短期間合格を狙える環境が整っています。

「潜水士」

潜水士は、潜水して行う作業に必須となる国家資格で、水中での点検・補修・調査などを行う際に求められます。海底ケーブルの確認・防波堤基礎の点検・水中でのコンクリート打設など、人が直接潜って行う作業はまだ多く、海洋土木の現場で必要とされる資格です。

「技術士(建設部門)」

技術士(建設部門)は、計画・設計・評価など、より上流の技術判断を担う高度専門職向けの国家資格です。海象・地盤・構造・施工など、多くの要素が絡み合う海洋土木では、複雑な条件を整理して最適な解を導く力が求められ、その能力の裏付けとして技術士資格が高く評価されます。

その他の資格

このほか、現場によっては以下のような資格・技能講習が役に立ちます。

  • クレーン・デリック運転士
  • 小型移動式クレーン運転技能講習
  • 玉掛け技能講習
  • 車両系建設機械運転者

どの資格から取るべきなのかは、現在の立場や目指したいキャリアによって変わりますが、「土木施工管理技士 → 潜水士や重機系資格 → 技術士」といったステップアップを目指す人も多いです。

​理想のキャリアにあったプランを考えてみましょう。

まとめ

まとめ

海洋土木は、港湾・防波堤・海底トンネル・洋上風力など、海を舞台にした多様なインフラを支える専門分野で、日本のような海洋国家では特に重要な役割を担っています。近年は、洋上風力発電や水中DX、カーボンニュートラルポートといった新しいテーマが次々に生まれ、従来の土木技術に加えて、環境やデジタル技術への対応が求められるようになってきました。

マリコンをはじめとする専門企業では、国内外の大規模プロジェクトに関わるチャンスもあり、スケールの大きな仕事を通じて社会に貢献できるフィールドが広がっています。

「マリコンってどんな会社があるの?」という方は、業界全体のイメージを掴むためにも、合わせて以下の記事を参照ください。

■■■リンク設定【「マリコン大手5社の特徴と売上高、平均年収を徹底比較 | CIC日本建設情報センター」】■■■

海洋土木業界で長く活躍するうえで重要なのが、土木施工管理技士をはじめとした資格の取得です。

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