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実務経験なしでもなれる?電気通信工事施工管理技士の受験資格をやさしく解説!
公開日:2023年11月24日 更新日:2024年1月12日
実務経験なしでもなれる?電気通信工事施工管理技士の受験資格をやさしく解説!
電気通信工事施工管理技士は令和元年度から認定が始まった、新しい資格です。
令和6年度より、受験資格が大幅に改定されます。
この資格は、実務経験なしで取れるのでしょうか?
令和6年度以降の改定内容も含めて、どのような受験資格があるか確認していきましょう。
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「実務経験なし」でも電気通信工事施工管理技士になれるのか?
電気通信工事施工管理技士になるためには、実務経験が必須です。
これは令和6年度の制度改定後も変わりありません。
一方で技士補は、実務経験がない方でもなれる方法が用意されています。
また令和6年度以降、技士になる方法が変わることに注意が必要です。
技士補であれば実務経験なしで資格を得られる
実務経験がなくても年度末までに17歳に達する方は、第一次検定の合格により2級電気通信工事施工管理技士補になれます。
また令和6年度以降は、1級も第一次検定に合格することで、実務経験が無い方でも技士補になる道が開かれます。
19歳以上の方なら、誰でも1級の技士補を目指せるわけです。
今後は実務経験なしで技士補の資格を得たのち、実務経験を積んで技士を目指す方も多くなるでしょう。
技士を目指しやすくなることは、技士補の資格を取るメリットです。
令和6年度からは一次検定合格後の実務経験が必要
令和6年度以降の技術検定で、第一次検定は実務経験がなくても受験できるルールに変わります。
一方で第二次検定の受験には、第一次検定に合格したのち一定の実務経験年数を要するルールに変わります。
必要な実務経験年数は2級が1年~3年、1級が1年~5年です。
原則としてこれまでのように、第一次検定と第二次検定を同じ年に受験して一気に技士の資格を取ることはできません。
但し経過措置が設けられる予定ですので、国土交通省や全国建設研修センターの情報をチェックしてください。
電気通信工事施工管理技士の受験資格
ここからは電気通信工事施工管理技士の受験資格について、確認していきましょう。
1級と2級に分けて、詳しく解説していきます。
1級の受験資格
1級の受験資格は、第一次検定のみ、第二次検定のみ、第一次検定と第二次検定の両方に出願するケースで分かれます。
どのような受験資格が課されるか、確認していきましょう。
第一次検定のみ受験する場合
1級の第一次検定には、以下の両方に該当する方が出願できます。
- 2級電気通信工事施工管理技術検定の「第二次検定」または「実地試験」に合格した方
- 1級電気通信工事施工管理技術検定「第二次検定」の受験資格を満たしていない方
長い実務経験年数を誇る方など「第二次検定」の受験資格を満たす場合は、次の「第一次検定・第二次検定」で出願するとよいでしょう。
第一次検定・第二次検定の両方を受験する場合
1級の第一次検定・第二次検定の両方を受験したい方には、受験資格があります。
代表的な要件を、以下に挙げました。
- 15年以上の実務経験
- 学歴や卒業した学科により定められた、3年から11年6カ月の実務経験
- 2級電気通信工事施工管理技士になってから5年以上の実務経験
- 6年以上の実務経験を持つ電気通信主任技術者
どのケースでも、指導監督的実務経験を1年以上含んでいなければなりません。
また1級電気工事施工管理技士と異なり、電気主任技術者や第一種電気工事士の資格があっても優遇されません。
主任技術者の経験がある方は、上記よりも短い年数で受験できる場合があります。
詳しくは「受検の手引」をご確認ください。
第二次検定のみ受験する場合
以下のどちらかに該当する方は、第二次検定から受験可能です。
- 1級電気通信工事施工管理技術検定の第一次検定に合格した方
- 技術士(電気電子部門、または総合技術監理部門で選択科目が電気電子部門の方)
1級電気工事施工管理技士と異なり、技術士(建設部門)の方は第一次検定の免除を受けられません。
出願にあたっては、「第一次検定・第二次検定の両方を受験する場合」で示した実務経験の要件を満たす必要があります。
技術士の方も例外ではないことに注意してください。
2級の受験資格
2級の第一次検定は、以下のどちらかにあてはまる方であれば学歴・実務経験を問わず受験できます。
実務経験がまったくなくても、合格すれば技士補になれます。
- 17歳以上の方
- 16歳で、試験実施日の年度末までに17歳になる方
第二次検定は、以下に挙げるいずれかの受験資格を満たさないと出願できません。
- 8年以上の実務経験
- 学歴や卒業した学科により定められた、1年~4年6カ月の実務経験
- 電気通信主任技術者で、1年以上の実務経験
電気電子部門や総合技術監理部門(選択科目が電気電子部門の方)の技術士は第一次検定が免除され、第二次検定に合格すれば2級電気通信工事施工管理技士になれます。
但し出願の際には上で示した1番から3番のうち、いずれかの受験資格を満たさなければなりません。
なお2級電気工事施工管理技士と異なり、電気主任技術者や第一種電気工事士、技術士(建設部門)の資格があっても優遇を受けられません。
電気通信工事施工管理技士の実務経験を具体的に紹介
出願にあたり、なにが実務経験に当たるか把握しておくことは重要です。
電気通信工事施工管理技士の実務経験について、具体的な例も含めて確認します。
実務経験となる経歴の一例
実務経験となる経歴はさまざまです。
ここでは、3つの例を挙げました。
- 無線LAN設備工事の現場監督
- 発注者の立場で、入退室管理システムの工事を監理する業務
- ケーブルテレビの設備を光ファイバーにする工事の施工監理業務
上記以外にも、実務経験となる経歴があります。
詳しく確認していきましょう。
実務経験にできる工事
実務経験となる工事は、大きく以下の5つに分かれています。
- 有線電気通信設備工事(通信ケーブル工事、電話交換設備工事、伝送設備工事など)
- 無線電気通信設備工事(携帯電話設備工事、航空保安無線設備工事など)
- ネットワーク設備工事(LAN設備工事、無線LAN設備工事)
- 情報設備工事(監視カメラ設備工事、入退室管理システム工事など)
- 放送機械設備工事(放送用送信設備工事、構内放送設備工事など)
上記のほかにも、該当する工事はあります。
「受検の手引」でお確かめください。
実務経験にできる地位や立場
電気通信工事施工管理技士では、実務経験となる地位や立場が以下の3つに限られます。
- 施工管理(現場代理人、主任技術者、工事主任、施工監督、施工管理係など)
- 発注者の立場で工事を監理する方
- 工事監理など、設計者の立場で工事を監理する方
お持ちの経歴が上記のいずれかに該当するかチェックした後で、実務経験証明書に記入しましょう。
1級で必須とされる「指導監督的実務経験」の例
1級で求められる「指導監督的実務経験」は、発注者側・受注者側どちらでも経験を積めます。
以下の表にまとめました。
項目 | 受注者側 | 発注者側 |
---|---|---|
該当する地位や職名の例 | 現場代理人、主任技術者、工事主任、施工監督など | 現場監督技術者など |
求められる役割 | 工事の技術面を総合的に指導・監督する | 発注者側の立場で総合的に指導・監督する |
上記にあてはまる経験が1年以上あれば、指導監督的実務経験の要件を満たせます。
実務経験とならない工事や作業に要注意
電気通信工事に携わった経験が、すべて実務経験として扱われるわけではありません。
全国建設研修センターでは実務経験とならない工事や作業の例を示しています。
確実に受験するためにも、しっかり確認しておきましょう。
実務経験とならない工事
以下の工事は、電気通信工事施工管理技士の実務経験と認められません。
- 電気通信設備の取り付け
- ケーブルラックや電線管などの配管工事
実務経験とならない工事のなかには、他の工事種別に分類されるものもあります。
一例を以下に挙げました。
- 地中配管埋設工事は「土木工事」に該当
- 送配電線工事や受変電設備工事は「電気設備工事」に該当
- 通信鉄塔工事は「鋼構造物工事」に該当
- 漏電火災警報設備工事は「消防施設工事」に該当
実務経験をまとめる際には、電気通信工事に該当するかよくチェックしましょう。
実務経験とならない作業
電気通信工事に関係する仕事であっても、以下の業務や作業は実務経験と認められないことに注意が必要です。
- 雑役務や単純な労働作業、労務作業
- 撤去するだけの工事
- 据付調整を含まない工場製作のみの工事
- 設計、積算業務
- 保守、点検、維持メンテナンス業務
- 営業や事務
- 行政、教育、指導、研究等の業務
実務経験年数を計算する際には上記の期間を除外したうえで、受験資格を満たしているかどうかチェックしましょう。
よくある質問
ここからは電気通信工事施工管理技士の受験資格について、よく出される4つの質問を取り上げます。
しっかり確認して、正しく出願しましょう。
実務経験年数が規定の期間に達しない方は受験できない?
出願する時点で実務経験年数が規定の期間に達しない方も、いるかもしれません。
この場合は第一次検定の前日までに規定の期間を満たせば、受験できます。
複数の種類の工事を同時に経験した場合、実務経験期間の計算方法は?
皆さまのなかには、1つの現場で電気通信工事と電気工事というように、複数の検定種目にまたがる工事に携わった方もいるかもしれません。
採用試験の履歴書と異なり、施工管理技士では複数の検定種目が重複する期間があってはいけません。
例えば年間にわたり電気通信工事と電気工事を兼務した場合でも、出願書類には担当した期間を完全に分けて記入する必要があります。
1月から6月までは電気通信工事、7月から12月は電気工事といった書き方は、一つの例です。
職業訓練を受講した期間は実務経験年数に加算できる?
職業訓練の受講期間は、受験資格を満たすために必要な年数の3分の2まで加算できます。
たとえば2級の技士を取得する場合、大学で指定学科以外を卒業した方には1年6カ月以上の実務経験を求められますが、このうち1年までは職業訓練で要件を満たせます。
残り3分の1の期間は、現場で仕事に従事することが必要です。
実務経験年数に加算する職業訓練には、以下の制限があることに注意してください。
- 実務経験に算入可能な職業訓練は1つのみ
- 出願の時点で職業訓練を修了し、「修了証明書」を受け取っていることが必要
- 職業訓練の期間は、指導監督的実務経験として認められない
実務経験を偽って合格しても大丈夫?
実務経験を偽って合格すると、本人と会社へのペナルティが待っています。
受験者は合格の取り消しや3年以内の受験が禁止されるといった措置を受けるおそれがあります。
また会社に対しては立入検査や指導・勧告を受ける、企業名が公表されるなどの不都合が生じるかもしれません。
虚偽の実務経験で受験することはキャリアアップの機会を失うだけでなく、会社の信頼も失う行為です。
もし実務経験の要件を満たさないことがわかった場合は、速やかに全国建設研修センターに連絡してください。
第一次検定の前日までであれば、返金を受けられる場合があります。
技士補なら未経験でなれる。
経験を積み技士へステップアップしよう
2級電気通信工事施工管理技士補なら、未経験の方でもなれます。
令和6年度からは、未経験から直接1級の技士補になることも可能です。
技士補の資格を取って施工管理の経験を積み、施工管理技士を目指すことがステップアップの近道です。
技士を目指す「第二次検定」を受験する際には、実務経験の条件を確認したうえで出願し、万全の準備を整えたうえで試験に臨みましょう。
日本建設情報センターでは、合格をあと押しする通信講座や書籍を用意しておりますので、ぜひご活用ください。
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