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アスベストが使われた建物に住む際の注意点や対策、除去方法について解説

公開日:2025年12月1日 更新日:2025年12月1日

アスベストが使われた建物に住む際の注意点や対策、除去方法について解説

アスベストが使われた建物に住む際の注意点や対策、除去方法について解説

アスベスト(石綿)問題は、負の遺産として現代の私たちに重くのしかかっています。特に建築業界においては、解体や改修工事の際に避けては通れない重要な課題です。そのような状況の中で、アスベスト含有建材を使用した建物と共存する方法はあるのでしょうか。

本稿では、アスベストに関わる業務を行う皆様に、建物の構造からみたアスベスト含有建材の種類と、付き合い方の基礎知識をお伝えしていきます。


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目次

アスベストの基本知識

アスベストの基本知識

アスベストは、耐熱性や耐久性に優れた天然の繊維状鉱物です。しかし、その微細な繊維を吸い込むと、20年~50年という長い潜伏期間を経て悪性中皮腫などを引き起こします。日本では段階的に規制が強化され、2006年9月以降、アスベスト含有率が0.1重量%を超える製品の製造・使用は原則禁止されました。

まずは専門家による事前調査を

まずは専門家による事前調査を

「自宅や職場にアスベストが使われているかもしれない」という状況は、大きな不安を与えるものです。しかし、リスクが顕在化するのは、建材が劣化したり、不適切な工事で破壊されたりして、繊維が空気中に飛散した場合に限られます。

最も重要な第一歩は、有資格者による正確な事前調査を行い、アスベストの有無、使用箇所、そして建材の状態を客観的に把握することです。調査の結果、リスクが低いと判断されれば、性急な除去は不要なケースも少なくありません。まずは冷静に現状を把握し、その後の対策については専門家とじっくり相談することが、安心につながる最善の道筋です。

構造別アスベストが使用されている部位と建材

構造別アスベストが使用されている部位と建材

建物の構造によって、アスベストが使用されやすい部位や建材に特徴があります。

表1:建築構造別の主なアスベスト使用部位と建材

使用場所 使用部位 主な建材の種類 木造・プレハブ造 鉄骨造(S造) RC・SRC造
外装 屋根 住宅屋根用化粧スレート、スレート波板、ルーフィング(防水紙)
ルーフィング、仕上塗材、下地調整材
外壁・軒天 窯業系サイディング、けい酸カルシウム板第1種、スレートボード
仕上塗材、下地調整材、コーキング
内装 壁・天井 せっこうボード、けい酸カルシウム板第1種、ロックウール吸音天井板、パルプセメント板、内装塗装材
ビニル床タイル、クッションフロア、ビニル床シート、接着剤
水回り、設備 台所・浴室・トイレ けい酸カルシウム板第1種、スレートボード、ビニル床タイル、タイル接着剤、シール材
煙突・配管 石綿セメント円筒、石綿含有煙突用断熱材、石綿含有保温材
特有 耐火被覆(柱・梁・デッキ裏) 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(レベル1)、石綿含有耐火被覆板、けい酸カルシウム板第2種(レベル2)
断熱・吸音材(機械室・駐車場・屋根裏) 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(レベル1)、屋根用折板石綿断熱材(レベル2)
防火区画(貫通部充填材など) 吹付け石綿、耐火被覆板
天井裏、PS(パイプスペース)等 配管保温材、ダクトパッキン

記号の意味
○:使用されている、△:まれに使用されている、-:ほとんど使用されない

アスベストを含む建物に住む際の注意点

アスベストを含む建物に住む際の注意点

ここでは、アスベスト含有建材がある状況での注意点を挙げていきます。

4.1建材別、危険行為とアスベスト暴露リスク

アスベスト含有建材は、固形で安定している限りただちに危険ではありません。しかし、切断、破砕、穿孔、研磨といった粉じんを発生させる行為は極めて危険です。特に以下の行為は絶対に避けるべきです。

  • 屋根材・外壁材: 高圧洗浄機での洗浄やドリルでの穴あけ。
  • 内装材・床材: 室内での穴あけや解体、床タイルの剥離作業。

4.2安全性を確保するための対策

安全性を確保するための対策は以下の通りです。


レベル3建材が使用されている場合の注意点

通常の生活における掃除について

建材が健全な状態であれば、繊維が飛散する可能性は極めて低いです。そのため、日常的な掃除機がけや拭き掃除で、アスベストの飛散を過度に心配する必要はありません。

建材が損傷し、ゴミや粉じんが発生した場合の対処法

万が一、アスベスト含有の可能性がある建材が破損し、欠片や粉じんが発生した場合は、飛散させないための慎重な対応が求められます。

  1. 湿潤化: 霧吹きなどでゴミや粉じんを十分に湿らせ、飛散を防止。
  2. 拭き取り: 湿らせた布やペーパータオルで静かに清拭。ほうきの使用は厳禁です。
  3. 密閉: 拭き取ったゴミと使用した布などは、ビニール袋に二重に入れて密封。
  4. 廃棄: 廃棄方法は、お住まいの自治体の指示に従ってください。

一般家庭から出るアスベスト含有ごみの法的整理

居住者が行う応急的な清掃や、それによって生じたごみの処理について、「石綿障害予防規則」のような法律で直接定められた手順はありません。

しかし、環境省の「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」や関連通知において、一般家庭から排出される際の基本的な考え方が示されています。

  • 排出時の原則: 石綿含有家庭用品を排出する際は、分解などせず、そのままの状態で飛散しないように排出することが求められています。
  • ごみとしての梱包: ごみとして出す場合は、飛散防止のために二重に袋に入れるなどの措置を講じることとされています。
  • 最終的な廃棄: 最終的な廃棄方法の詳細は、自治体(市町村)によって異なるため、必ずお住まいの自治体に確認する必要があります。


レベル1・2建材が発見された場合の対応

吹付け石綿(レベル1)や保温材(レベル2)など、発じん性が高い建材が発見された場合は、より厳格な対応が求められます。存在自体が潜在的なリスクとなるため、必ず専門家による評価を受けてください。

専門家による劣化状況の点検

専門家の劣化状況点検項目概要は以下の通りです。

  • 吹付け材(レベル1): 表面の毛羽立ち、繊維のくずれ、垂れ下がり、下地との浮き・はがれ、局部的な損傷・欠損などの確認。
  • 保温材等(レベル2): 表面の剥離、垂れ下がり、外装材の破損など。

劣化・損傷時の飛散防止措置

点検の結果、劣化や損傷が確認され、アスベスト粉じんが飛散するおそれがある場合、以下のいずれかの措置を講じることが法律で義務付けられています。

  • 除去工法: アスベスト層を下地から完全に取り除く、最も推奨される工法です。
  • 封じ込め工法: 薬剤を吹付け、アスベスト層を固めて飛散を防止する工法です。
  • 囲い込み工法: アスベスト層を板状の材料で完全に覆い隠し、物理的に隔離する工法です。

損傷が著しい場合や、振動・漏水がある場所では、除去が唯一の選択肢となります。


アスベストを放置するリスクとその影響

「無対策での放置」は、経年劣化による飛散リスクの増大、将来的な健康被害、対策コストの増大、資産価値への悪影響など、多くのリスクを伴います。定期的な点検と、必要に応じた適切な維持管理が不可欠です。


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アスベスト撤去の流れと費用

アスベスト撤去の流れと費用

ここでは、除去工法を選択した場合の流れの概要と費用の目安を記述していきます。

5.1 アスベスト除去工事の流れ

アスベストの除去は、法規制に基づき厳格な手順で進められます。

  1. 事前調査: 有資格者による調査と分析。
  2. 計画・届出: 除去計画を作成し、レベル1・2工事では労働基準監督署および自治体へ届出。
  3. 隔離・養生: 作業区域を完全に隔離し、負圧管理などを実施。
  4. 除去作業: 専用の防護服と保護具を着用し、湿潤化しながら慎重に除去。
  5. 廃棄物処理: 除去物を二重に梱包し、「特別管理産業廃棄物」等として適正に処理。
  6. 完了確認: 資格者が取り残しがないか確認し、空気中濃度測定で安全を確認後、養生を撤去。

5.2 アスベスト撤去の費用相場と補助金情報

除去費用は、レベル、面積、場所などによって大きく変動します。下記は記事執筆時点の費用の目安です。

費用相場(1平方メートルあたり)

  • レベル1: 15,000円~85,000円程度
  • レベル2: 10,000円~60,000円程度
  • レベル3: 3,000円~20,000円程度

※上記に加え、足場設置費用や廃棄物処理費用などが別途かかります。

多くの自治体で補助金制度がありますが、対象はレベル1の吹付けアスベストが中心です。制度内容は自治体により大きく異なるため、必ず工事着手前に管轄の自治体へ相談するようにしましょう。

5.3 信頼できるアスベスト除去業者の見分け方

不適切な工事は飛散事故に直結するため、業者選びは極めて重要です。

確認項目 チェックポイント
許可・資格 ・建設業許可または解体工事業登録があるか。
・「石綿作業主任者」や「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者が在籍しているか。
実績と経験 ・同種の工事実績が豊富か、施工事例を提示できるか。
見積もりの透明性 ・「一式」ではなく、項目別に詳細な内訳が記載されているか。
安全管理体制 ・飛散防止対策や作業計画について具体的に説明できるか。
保険加入 ・万が一の事故に備え、損害賠償責任保険に加入しているか(加入証明書の提示を求める)。
コミュニケーション ・過度に不安を煽り、契約を急がせないか。
・書面で正式な契約を交わすか。

まとめ

まとめ

アスベスト含有建材が建物に存在するという事実は、それ自体が直ちに危険を意味するものではありません。重要なのは、その存在を正しく認識し、適切に管理することです。

不安を感じた場合は、決して自己判断で対処せず、必ず専門の知識と資格を持つ業者に相談してください。

なお、私たち「石綿の窓口」でも、アスベスト含有建材のある住居に関するご相談から、調査、工事までの一貫したサービスを提供しております。

不安は知らない事から生じます。相談は無料ですので、まずは不安を払拭する為にも、一度お声かけください。

「石綿の窓口」について詳しくはこちら

お問い合わせ電話:03-6432-4952


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