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アスベスト保温材とは?使用箇所や健康リスク、関連資格と法令ルールを徹底解説

公開日:2025年11月17日 更新日:2025年11月17日

アスベスト保温材とは?使用箇所や健康リスク、関連資格と法令ルールを徹底解説

アスベスト保温材とは?使用箇所や健康リスク、関連資格と法令ルールを徹底解説

建設業界や電気工事業界に従事していると、よく耳にするのがアスベストについてです。アスベスト保温材は、配管やボイラーなどに使用されている建材ですが、年代によってはアスベスト含有のリスクを伴います。現場で従事する方は、アスベストに関する正しい知識を身につけ、適切に行動しなければなりません。

この記事では、アスベスト保温材の概要や使用されている場所、具体的な調査の流れや外部に調査を依頼する場合のポイントなどをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

また、CIC日本建設情報センターでは、アスベストの事前調査から報告までを全てお引き受けする「石綿の窓口」を用意しております。


CIC石綿の窓口

目次

アスベストとは

アスベストとは

アスベストとは、優れた耐熱性・断熱性を持つ天然鉱物繊維のことで、1960年代から2006年まで多くの建築材料に使用されてきました。ただし、繊維を吸入することで肺がんや中皮腫、石綿肺などの深刻な健康被害を引き起こすことが判明し、現在は全面的に使用が禁止されています。

まずは、アスベストの種類や保温材が持つ特性について詳しく解説します。

アスベスト(石綿)の種類

アスベストは、クリソタイル(白石綿)やアモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)など、天然に産する複数の繊維状鉱物の総称です。中でも、クリソタイルとアモサイトが主に保温材として利用されてきました。

現在は種類問わず使用が全面的に禁止されています。

アスベスト保温材が持つ4つの優れた特性

アスベスト保温材が持つ特性は、主に以下の4つがあります。

  • 高い耐火性・防火性:500〜800℃でも燃えない
  • 優れた保温性:微細な空気層による低熱伝導率
  • 腐食にも強い耐久性:半世紀以上経過しても残存
  • 低い生産コスト:天然鉱石を粉砕・選別するだけで大量供給可能

アスベストが持っていた優れた特性から、保温材以外にも断熱材や吹付け材など建築物のさまざまな箇所で使用されていました。そのため、アスベストの調査は保温材以外にも、建築物全体でアスベストが含有されている建材がないか実施する必要があります。

アスベスト保温材が使用されている場所と設備

アスベスト保温材が使用されている場所と設備

アスベスト保温材は、1955年頃~2006年まで長期にわたり使用されました。主に化学プラント・ボイラー本体・配管・煙突・暖房機器など、高温設備を中心に幅広く採用された歴史を有します。

ここでは、アスベスト保温材が使用されていた場所について詳しく解説します。

工業施設における使用箇所(ボイラー・配管・煙突)

工業施設における主な使用箇所は、以下のとおりです。

  • 工場のボイラー胴体
  • 配管
  • 煙突の外面など

工業施設においては、高温環境下で使用される設備の保温・断熱材としてアスベスト保温材が使用されていました。上記以外にも、配管の継手やバルブ周辺の細かな部分にも使用されている恐れがあるため、解体・改修工事では入念な事前調査が必要です。

建築物における使用箇所(天井・壁・屋根)

建築物における主な使用箇所は、以下のとおりです。

  • 鉄骨造建築物の耐火被覆材
  • 天井や壁の吸音・結露防止材
  • スレート屋根板など

建築物の構造材や内外装材にもアスベスト保温材が使用されていました。中でも1960年代頃の高度成長期に建設されたビルには多く残存しています。

アスベスト保温材の健康リスクと危険性を知ろう

アスベスト保温材の健康リスクと危険性を知ろう

アスベスト繊維の吸入は、重大な健康被害につながり、症状が現れた際には治療が困難なケースも少なくありません。そのため、予防と早期発見が極めて大切です。

ここでは、アスベストが引き起こす疾患や保温材の位置づけについて解説します。

アスベストが引き起こす3つの主な疾患

アスベスト繊維を吸引することで引き起こされる疾患は、主に以下の3つです。

  • 石綿肺(じん肺の一種):肺組織が線維化する疾患
  • 肺がん:肺に発生する悪性腫瘍
  • 悪性中皮腫:胸膜や腹膜に発生する悪性腫瘍

参考:独立行政法人 環境再生保全機構「アスベスト(石綿)による健康障害のメカニズム」

これらの疾患は潜伏期間が10年以上と非常に長いのが特徴です。症状が現れた際には治療が困難であるケースも珍しくなく、これらの点から現在では使用が全面的に禁止されています。現場でも、事前調査でリスクをゼロにすることが求められているというわけです。

飛散しやすいレベル分類と保温材の位置付け

アスベスト建材は、飛散性の高さによってレベル1〜3に分類されます。以下の表は、レベルと建材の関係性についてまとめたものです。

レベル 建材の種類 主な使用箇所
レベル1 石綿含有吹付け材 鉄骨梁・柱の耐火被覆・天井・壁の吸音・断熱
レベル2 アスベスト含有断熱材・保温材・耐火被覆材 配管の保温材・煙突の断熱材・屋根裏の断熱材
レベル3 そのほかの石綿含有建材(成形板など) 天井板・壁板・床材・外壁材

参考:国土交通省「アスベストの飛散性・非飛散性とレベル1~3の整理

保温材はレベル2に該当することからも、発じん性が高く危険です。有資格者による事前調査・適切な飛散防止対策が求められます。

アスベスト調査の具体的な流れ

アスベスト調査の具体的な流れ

アスベスト調査は、主に以下の4ステップで進められます。

  1. 書面調査
  2. 目視確認
  3. 分析調査
  4. 報告書作成と提出

アスベスト調査の流れを正しく理解することで、漏れのない適切な調査を実施できます。それぞれの内容についてみていきましょう。

ステップ1:書面調査

調査の第一段階として、建築物の設計図書や施工図面などの文書をもとに事前調査が行われます。書面調査では、以下の内容を確認します。

  • 建築年次(アスベスト含有吹付け材が規制された年代との照合)
  • 使用建材の仕様
  • 過去の改修・補修履歴
  • アスベスト含有建材の使用記載

書面がない場合や記載が不明な場合でも、建築年次から使用の可能性を考慮することが可能です。ただし、書面の記載のみで判断せず、目視確認なども必ず実施する必要があります。

ステップ2:目視確認

書面調査の結果を踏まえ、実際の建築物で行うのが目視確認です目視確認では、以下の内容を確認します。

  • 書面と実際の建物との差異の確認
  • 後から改修・補修された箇所の確認
  • アスベスト含有が疑われる建材の特定

アスベストは天井・壁・鉄骨・配管など、建物の至るところに使用されている可能性があります。調査対象範囲のすべての箇所を漏れなく確認することが大切です。

ステップ3:分析調査

目視確認でアスベスト含有の有無が判断できない場合、建材のサンプルを採取し、専門の分析機関で分析調査を行います。主な分析方法は、以下の2つです。

  • 偏光顕微鏡法:アスベストの種類と含有率を測定
  • X線回折法:アスベストの結晶構造を分析して同定

分析結果を記した調査票は、報告書の作成に必要となるため、3年間の保存が義務付けられています。

ステップ4:報告書作成と提出

事前調査の結果は、工事開始前に労働基準監督署や地方の自治体の窓口に提出する必要があります。報告は、石綿事前調査結果報告システムを通じて時間を選ばずに行うことも可能です。

アスベスト含有建材が確認された場合の対応

アスベスト含有建材が確認された場合の対応

事前調査でアスベスト含有建材が確認された場合、レベル区分に応じた適切な対応が求められます。以下の表は、レベルによる対応策をまとめたものです。

レベル1
  • 工事14日前までに届出の提出
  • 作業場所の隔離
  • 集じん・排気装置の設置
  • 作業員は保護具着用
  • 薬液などによる湿潤化
  • 掲示板の設置 など
レベル2
レベル3
  • 薬液などによる湿潤化
  • 作業員は保護具着用
  • 掲示板の設置 など

2021年にの改正ではレベル3建材も規制対象に追加され、事前調査結果の報告や適切な対応が義務化されました。レベル3では、薬液などの潤滑化や保護具の着用などが求められます。レベル1・2では、集じん・排気装置の設置や作業場所の隔離なども追加され、より厳しい対応が求められます。

信頼できるアスベスト除去業者を見極めるポイント

信頼できるアスベスト除去業者を見極めるポイント

アスベスト除去業者に事前調査を依頼する場合、信頼できる業者選びが大切です。業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてみてください。

  • 資格と許可を取得しているか確認する
  • 経験や実績は豊富か確認する
  • 安全対策は問題ないか確認する
  • 料金と見積りの透明性を確認する

ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

ポイント1. 資格と許可を取得しているか確認する

アスベスト調査・除去は法律で厳しく規制されているため、資格や許可を持つ信頼できる業者選びが大切です。

例えば、「石綿作業主任者」は除去作業の指揮監督に必須の国家資格であり、2022年法改正で義務化された事前調査には「建築物石綿含有建材調査者」の資格が求められます。

また、解体・改修工事には都道府県知事による「解体工事業登録」または「建設業許可」が必要です。業者を選ぶ際は、これらの資格・許可をウェブサイトや契約書で確認し、国土交通省のシステムで実在するか調べることをおすすめします。


CIC石綿作業主任者技能講習


CIC建築物石綿含有建材調査者講習

ポイント2. 経験や実績は豊富か確認する

信頼できる業者を見分けるには、これまでの施工実績を確認することが大切です。特に、依頼を考えている建物と類似した条件(例:住宅、商業施設、工場など)での実績がどのくらい豊富かをチェックしておきましょう。

また実績では、写真を用いて工事の流れが具体的に説明されているかどうかも判断材料になります。実際に依頼した人の口コミ・評判なども確認しておくと安心です。

ポイント3. 安全対策は問題ないか確認する

アスベスト除去作業は非常に危険を伴うため、安全対策の徹底が必要です。業者を選ぶ際は、以下のように適切な防護対策を徹底して作業してもらえるのか、作業中の安全管理がどうなっているかなどを確認しておきましょう。

  • 防護服の着用は徹底しているか
  • 現場の封じ込め対策は万全に行われるか
  • 廃棄物は適切な方法で処理されているか

ポイント4. 料金と見積りの透明性を確認する

見積りを依頼する際は、調査項目や除去方法、廃棄費用まで詳細に記載されているか確認しましょう。

極端に安価な見積もりは、必要な対策が省かれている可能性があります。

過去の施工事例や行政への届出実績なども確認し、信頼性の高い業者を選定してください。

また、見積もりの内訳が詳細で分かりやすいか、項目ごとの単価が明記されているか、追加費用の説明があるかなどを確認しておくと安心です。

アスベスト関連の相談は石綿の窓口がおすすめ!

アスベスト関連の相談は石綿の窓口がおすすめ!

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの調査から報告までを丸ごとお引き受けする「石綿の窓口」を提供しております。ご希望によっては除去工事や産廃、解体工事の「見積り」や「紹介」も無料対応のサービスです。

ここでは、石綿の窓口の特徴や利用の流れについて解説します。

石綿の窓口の特徴

「石綿の窓口」の特徴を大きくまとめると、以下の3つです。

  • 面倒な業務を全て丸投げできる
  • 施工のプロによる高い品質
  • 工事費用の大幅削減が可能

それぞれ詳しく解説します。

特徴1. 面倒な業務を全て丸投げできる

CIC日本建設情報センターの「石綿の窓口」をご利用いただくことで、調査・分析・報告書作成まで全て丸投げ可能です。

書類作成などの難しい業務負担は一切不要になり、本業に専念いただけます。

全国主要エリアで対応可能なため、窓口も一本化できます。建築物だけでなく工作物についてもお気軽にご相談ください。

特徴2. 施工のプロによる高い品質

石綿の窓口は、調査経験が豊富な担当者が窓口になって石綿事前調査結果報告システムの内容を網羅した調査報告書を作成するため、高い品質なのが特徴です。

また、担当者が直接電話対応し、除去工事や産廃などアスベストに関する施工上の疑問や不安なことをお聞きするため安心です。

特徴3. 工事費用の大幅削減が可能

石綿の窓口では、お客様のご希望に応じて、アスベスト除去工事や産廃、解体工事の見積や紹介も無料で行います。そのため、無駄な手間を省きながらトータルの工事費用を削減できます。

石綿の窓口の利用の流れ

「石綿の窓口」を実際にご利用される場合、流れは以下のとおりです。

  1. お問合せ
  2. ヒアリング・見積り提示
  3. 図面・現地調査
  4. 検体分析・報告書作成
  5. 報告書の送付

まずはWebまたはお電話でお気軽にご相談ください。CIC日本建設情報センターの担当者が丁寧にご対応させていただきます。お問い合わせ後、現場に関するヒアリングを実施し、図面等も確認したうえで見積りを無料で提示いたします。

その後、改めて書面調査を行い、その内容にもとづいて有資格者スタッフが現地調査を実施。その後、分析調査や報告書の作成まで行います。報告書の作成完了後、PDFにて事前報告書データをご送付いたします。

アスベストの調査でお悩みの場合は、まずお気軽にご相談くださいませ。

まとめ

まとめ

この記事では、アスベスト保温材について解説しました。アスベスト保温材は、優れた耐熱性・断熱性を持つ一方で、吸入すると肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こすため、現在では使用が全面的に禁止されています。

アスベスト含有建材は飛散性の高さによってレベル1〜3に分類され、保温材は発じん性の高いレベル2に該当します。そのため、解体・改修工事を行う際は、有資格者による事前調査と適切な飛散防止対策が必要です。アスベスト調査や除去を外部に依頼する際は、資格と許可、豊富な経験と実績、徹底した安全対策などを確認して信頼できる業者を選びましょう。

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの事前調査から報告までを全てお引き受けする「石綿の窓口」を用意しております。建設業界におけるプロが安全面に徹底し、分かりやすくご説明した上で実施致しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

石綿の窓口について詳しくはこちら

お問い合わせ電話:03-6432-4952


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