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アスベストパッキンとは?見分け方・健康リスク・安全な対処法を徹底解説

公開日:2025年11月14日 更新日:2025年11月14日

アスベストパッキンとは?見分け方・健康リスク・安全な対処法を徹底解説

アスベストパッキンとは?見分け方・健康リスク・安全な対処法を徹底解説

アスベスト(石綿)は、その優れた耐熱性・耐圧性から、かつては配管のフランジ部分やバルブ、ポンプなどのシール材として広く使用されていました。しかし、深刻な健康被害が明らかになり、現在では使用が全面禁止されています。

そのため、現在では有資格者による調査が必要となりますが、「なぜ調査が必要なの?」「どう調査すればいいの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。外部に調査を依頼することもできるため、情報をしっかりと集めた上で選ぶことが大切です。

この記事では、パッキンとアスベストの関連性について詳しく解説します。健康被害のリスクや含有建材の見分け方、調査の流れなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。


CIC石綿の窓口

目次

アスベストパッキンとは?基礎知識を分かりやすく解説

アスベストパッキンとは?基礎知識を分かりやすく解説

アスベストパッキンとは、アスベスト(石綿)を主原料として作られたシール材のことです。主に配管のフランジ部分やバルブ、ポンプなどの接合部に使用され、液体や気体の漏れを防ぐ重要な役割を担っていました。

まずは、アスベストパッキンの概要やアスベストが用いられた理由について詳しく解説します。

アスベストパッキンの概要

アスベスト(石綿)を主原料とするシール材(ガスケット、パッキン)は、配管フランジ、バルブ、ポンプ、ボイラー、熱交換器などに使用されていました。形状としてはジョイントシート(シート状)やグランドパッキン(紐状)があり、建設業においては配管設備、空調ダクト、プラント設備などで用いられていた歴史を有します。

また2006年以降はアスベスト含有製品の製造・輸入・使用が原則禁止され、2012年にはパッキン類も対象となったため、現在ではアスベストパッキンの使用は禁止されています。

なぜアスベストが使われていたのか?

パッキンを含め、アスベスト含有建材は、1970年代から1990年代の高度経済成長期に多量に使用されました。アスベストには優れた耐熱性・耐圧性・耐薬品性があるためです。

高温・高圧環境下でも劣化せず、腐食性の高い化学薬品にも耐えうる特性に加え、低コストで加工しやすいという点から多く用いられていました。ただし、現在では健康被害のリスクが問題視され、使用も禁じられています。

アスベストパッキンが引き起こす健康リスク

アスベストパッキンが引き起こす健康リスク

アスベストパッキンの最大の問題は、劣化や破損により飛散した微細な繊維を吸い込むことで、命に関わる深刻な健康被害を引き起こす可能性があることです。ここでは、発症する恐れのある病気や安定した状態では飛散リスクが低い理由を解説します。

吸引により発症する深刻な病気

微細なアスベスト繊維を吸い込むことで、以下の深刻な病気の発症につながります。

  • 石綿肺(じん肺の一種):肺組織が線維化する疾患
  • 肺がん:肺に発生する悪性腫瘍
  • 悪性中皮腫:胸膜や腹膜に発生する悪性腫瘍

参考:独立行政法人 環境再生保全機構「アスベスト(石綿)による健康障害のメカニズム」 

アスベストが原因で引き起こされる疾患は、長い潜伏期間が特徴で「静かな時限爆弾」とも呼ばれています。中には10年以上の潜伏期間を有する場合もあり、過去アスベストに暴露した方が数十年後に発症するケースが問題視されているというわけです。

安定した状態では「すぐに危険」ではない理由

アスベストの危険性は繊維の飛散と吸引にあります。建材やパッキンが固定・安定している状態(非飛散性アスベスト)であれば飛散リスクは低いですが、切断や破砕、劣化部分への接触などによって危険が生じます。

そのため、慌てて自己判断で除去作業を行うのではなく、専門家による適切な対応・調査が義務づけられています。

パッキンに含まれるアスベストの見分け方

パッキンに含まれるアスベストの見分け方

パッキンにアスベストが含まれているかどうかの見分け方として、主に以下の3つがあります。

  • 建築年代から推測
  • 設計図書や建材メーカーの情報を確認
  • 【必須】有資格者による分析調査

ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。

建築年代から推測

パッキンにアスベストが含有されているかどうかの見分け方として、建物が建築された年代から判断する方法があります。中でも、2006年以前に建設された建物、特に1950年代~1970年代に建てられた建物には、アスベストが含まれている可能性があるため注意が必要です。

建築確認の申請書や竣工図から建築年代を確認し、リフォーム歴などもあわせてチェックすることでアスベストが含有されているかどうかの判断をしやすくなるでしょう。

設計図書や建材メーカーの情報を確認

建物の設計図書で建材の商品名や製造年代を確認することで、パッキンにアスベストが含有されているかどうかを特定しやすくなります。具体的な調べ方としては、国土交通省の「石綿含有建材データベース」などを利用することで、商品名や型番・品番から確認可能です。

また、建材メーカーの公式サイトから情報を確認するのも1つの方法です。パッキンを製造したメーカーのサイトで商品名や型番・品番をチェックすることで、アスベストの含有の有無を特定しやすくなります。

【必須】有資格者による分析調査

2022年4月の法改正以降、一定規模以上の解体・改修工事では、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による事前調査が義務付けられています。そのため、現場でサンプルを採取し、専門機関で分析することで、アスベストの含有を確実に判定可能です。

パッキンにおけるアスベストの含有も同様、有資格者による調査が義務づけられています。調査の具体的な流れやアスベストの含有が確認された場合の処置などは後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。

アスベスト調査の具体的な流れ

アスベスト調査の具体的な流れ

アスベスト調査は、主に以下の4ステップで進められます。

  1. 書面調査
  2. 目視確認
  3. 分析調査
  4. 報告書作成と提出

アスベスト調査の流れを正しく理解することで、漏れのない適切な調査を実施できます。それぞれの内容についてみていきましょう。

ステップ1:書面調査

調査の第一段階として、建築物の設計図書や施工図面などの文書をもとに事前調査が行われます。書面調査では、以下の内容を確認します。

  • 建築年次(アスベスト含有吹付け材が規制された年代との照合)
  • 使用建材の仕様
  • 過去の改修・補修履歴
  • アスベスト含有建材の使用記載

書面がない場合や記載が不明な場合でも、建築年次から使用の可能性を考慮することが可能です。ただし、書面の記載のみで判断せず、目視確認なども必ず実施する必要があります。

ステップ2:目視確認

書面調査の結果を踏まえ、実際の建築物で行うのが目視確認です目視確認では、以下の内容を確認します。

  • 書面と実際の建物との差異の確認
  • 後から改修・補修された箇所の確認
  • アスベスト含有が疑われる建材の特定

アスベストは天井・壁・鉄骨・配管など、建物の至るところに使用されている可能性があります。調査対象範囲のすべての箇所を漏れなく確認することが大切です。

発じん性レベルによる優先順位

アスベスト含有建材は、解体時の発じん性(危険度)によって以下のように分類されており、優先度の高いものから順に調査します。

レベル 建材の種類 主な使用箇所
レベル1 石綿含有吹付け材 鉄骨梁・柱の耐火被覆・天井・壁の吸音・断熱
レベル2 アスベスト含有断熱材・保温材・耐火被覆材 配管の保温材・煙突の断熱材・屋根裏の断熱材
レベル3 そのほかの石綿含有建材(成形板など) 天井板・壁板・床材・外壁材

ステップ3:分析調査

目視確認でアスベスト含有の有無が判断できない場合、建材のサンプルを採取し、専門の分析機関で分析調査を行います。主な分析方法は、以下の2つです。

  • 偏光顕微鏡法:アスベストの種類と含有率を測定
  • X線回折法:アスベストの結晶構造を分析して同定

分析結果を記した調査票は、報告書の作成に必要となるため、3年間の保存が義務付けられています。

ステップ4:報告書作成と提出

事前調査の結果は、工事開始前に労働基準監督署や地方の自治体の窓口に提出する必要があります。報告は、「石綿事前調査結果報告システム」を通じて時間を選ばずに行うことも可能です。

アスベスト含有建材が確認された場合の対応

アスベスト含有建材が確認された場合の対応

事前調査でアスベスト含有建材が確認された場合、レベル区分に応じた適切な対応が求められます。以下の表は、レベルによる対応策をまとめたものです。

レベル1
  • 工事14日前までに届出の提出
  • 作業場所の隔離
  • 集じん・排気装置の設置
  • 作業員は保護具着用
  • 薬液などによる湿潤化
  • 掲示板の設置 など
レベル2
レベル3
  • 薬液などによる湿潤化
  • 作業員は保護具着用
  • 掲示板の設置 など

2021年にの改正ではレベル3建材も規制対象に追加され、事前調査結果の報告や適切な対応が義務化されました。レベル3では、薬液などの潤滑化や保護具の着用などが求められます。レベル1・2では、集じん・排気装置の設置や作業場所の隔離なども追加され、より厳しい対応が求められます。

信頼できるアスベスト除去業者を見極めるポイント

信頼できるアスベスト除去業者を見極めるポイント

アスベスト除去業者に事前調査を依頼する場合、信頼できる業者選びが大切です。業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてみてください。

  • 資格と許可を取得しているか確認する
  • 経験や実績は豊富か確認する
  • 安全対策は問題ないか確認する
  • 料金と見積りの透明性を確認する

ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

ポイント1. 資格と許可を取得しているか確認する

アスベスト調査・除去は法律で厳しく規制されているため、資格や許可を持つ信頼できる業者選びが大切です。

例えば、「石綿作業主任者」は除去作業の指揮監督に必須の国家資格であり、2022年法改正で義務化された事前調査には「建築物石綿含有建材調査者」の資格が求められます。

また、解体・改修工事には都道府県知事による「解体工事業登録」または「建設業許可」が必要です。業者を選ぶ際は、これらの資格・許可をウェブサイトや契約書で確認し、国土交通省のシステムで実在するか調べることをおすすめします。


CIC石綿作業主任者技能講習


CIC建築物石綿含有建材調査者講習

ポイント2. 経験や実績は豊富か確認する

信頼できる業者を見分けるには、これまでの施工実績を確認することが大切です。特に、依頼を考えている建物と類似した条件(例:住宅、商業施設、工場など)での実績がどのくらい豊富かをチェックしておきましょう。

また実績では、写真を用いて工事の流れが具体的に説明されているかどうかも判断材料になります。実際に依頼した人の口コミ・評判なども確認しておくと安心です。

ポイント3. 安全対策は問題ないか確認する

アスベスト除去作業は非常に危険を伴うため、安全対策の徹底が必要です。業者を選ぶ際は、以下のように適切な防護対策を徹底して作業してもらえるのか、作業中の安全管理がどうなっているかなどを確認しておきましょう。

  • 防護服の着用は徹底しているか
  • 現場の封じ込め対策は万全に行われるか
  • 廃棄物は適切な方法で処理されているか

ポイント4. 料金と見積りの透明性を確認する

見積りを依頼する際は、調査項目や除去方法、廃棄費用まで詳細に記載されているか確認しましょう。

極端に安価な見積もりは、必要な対策が省かれている可能性があります。

過去の施工事例や行政への届出実績なども確認し、信頼性の高い業者を選定してください。

また、見積もりの内訳が詳細で分かりやすいか、項目ごとの単価が明記されているか、追加費用の説明があるかなどを確認しておくと安心です。

アスベスト関連の相談は石綿の窓口がおすすめ!

アスベスト関連の相談は石綿の窓口がおすすめ!

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの調査から報告までを丸ごとお引き受けする「石綿の窓口」を提供しております。ご希望によっては除去工事や産廃、解体工事の「見積り」や「紹介」も無料対応のサービスです。

ここでは、石綿の窓口の特徴や利用の流れについて解説します。

石綿の窓口の特徴

「石綿の窓口」の特徴を大きくまとめると、以下の3つです。

  • 面倒な業務を全て丸投げできる
  • 施工のプロによる高い品質
  • 工事費用の大幅削減が可能

それぞれ詳しく解説します。

特徴1. 面倒な業務を全て丸投げできる

CIC日本建設情報センターの「石綿の窓口」をご利用いただくことで、調査・分析・報告書作成まで全て丸投げ可能です。

書類作成などの難しい業務負担は一切不要になり、本業に専念いただけます。

全国主要エリアで対応可能なため、窓口も一本化できます。建築物だけでなく工作物についてもお気軽にご相談ください。

特徴2. 施工のプロによる高い品質

石綿の窓口は、調査経験が豊富な担当者が窓口になって石綿事前調査結果報告システムの内容を網羅した調査報告書を作成するため、高い品質なのが特徴です。

また、担当者が直接電話対応し、除去工事や産廃などアスベストに関する施工上の疑問や不安なことをお聞きするため安心です。

特徴3. 工事費用の大幅削減が可能

石綿の窓口では、お客様のご希望に応じて、アスベスト除去工事や産廃、解体工事の見積や紹介も無料で行います。そのため、無駄な手間を省きながらトータルの工事費用を削減できます。

石綿の窓口の利用の流れ

「石綿の窓口」を実際にご利用される場合、流れは以下のとおりです。

  1. お問合せ
  2. ヒアリング・見積り提示
  3. 図面・現地調査
  4. 検体分析・報告書作成
  5. 報告書の送付

まずはWebまたはお電話でお気軽にご相談ください。CIC日本建設情報センターの担当者が丁寧にご対応させていただきます。お問い合わせ後、現場に関するヒアリングを実施し、図面等も確認したうえで見積りを無料で提示いたします。

その後、改めて書面調査を行い、その内容にもとづいて有資格者スタッフが現地調査を実施。その後、分析調査や報告書の作成まで行います。報告書の作成完了後、PDFにて事前報告書データをご送付いたします。

アスベストの調査でお悩みの場合は、まずお気軽にご相談くださいませ。

まとめ

まとめ

この記事では、パッキンとアスベストの関係性について解説しました。アスベストパッキンとは、アスベスト(石綿)を主原料として作られたシール材のことで、かつては配管のフランジ部分やバルブ、ポンプなどの接合部などに使用されていました。現在では、全面的に使用が禁止されています。

アスベストの調査は、有資格者が行うことが義務づけられています。内容は書面・目視・分析の3ステップで進み、レベルに応じた適切な除去・飛散防止対策が求められているのが特徴です。調査を外部の業者に依頼する場合は、見積りをとり内訳まで確認する、資格と許可を確認するなどして信頼できる業者を選びましょう。

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの事前調査から報告までを全てお引き受けする「石綿の窓口」を用意しております。建設業界におけるプロが安全面に徹底し、分かりやすくご説明した上で実施致しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

石綿の窓口について詳しくはこちら

お問い合わせ電話:03-6432-4952


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