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アスベスト含有の断熱材とは?種類や見分け方、適切な対処方法を徹底解説

公開日:2025年11月13日 更新日:2025年11月13日

アスベスト含有の断熱材とは?種類や見分け方、適切な対処方法を徹底解説

アスベスト含有の断熱材とは?種類や見分け方、適切な対処方法を徹底解説

建設業界や電気工事業界で働く方にとって、アスベスト含有建材への適切な対応は、作業者の安全確保と法令遵守の両面で欠かせません。アスベストは、過去に多く使用されていたものの、健康被害の観点から現在では使用が禁止されている鉱物であるためです。

断熱材としても、屋根用折板石綿断熱材・煙突用石綿断熱材などでアスベストが含有している可能性が考えられます。見極め方や必要な調査などもあるため、しっかりと情報を把握しておくことが大切です。

この記事では、アスベスト含有断熱材について詳しく解説します。含有の恐れがある断熱材の種類や危険性のレベル、現場での見分け方、事前調査の流れや信頼できる業者の見極め方なども触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

CIC石綿の窓口

目次

アスベスト含有断熱材とは

アスベスト含有断熱材とは

アスベストは天然に産出する繊維状ケイ酸塩鉱物の総称です。中でも、アスベスト含有の断熱材は、耐熱性・断熱性・耐久性に優れた建材として、建築物や工業施設で広く使用されていました。

特に1950年代~1990年代にかけて製造された断熱材の多くにアスベストが含まれており、古い建物の解体や改修工事の際に遭遇する可能性が高い建材です。現在では、肺がんや悪性中皮腫といった深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになったことから、現在では使用が全面禁止されています。

ただし、禁止以前に施工された建物には今も多くのアスベスト含有断熱材が残存しているため、建設・電気工事に携わる技術者は、断熱材を含めたアスベスト含有建材の種類や危険性、適切な取扱方法を正しく理解しておく必要があります。

アスベスト含有断熱材の主な種類と使用箇所

アスベスト含有断熱材の主な種類と使用箇所

アスベスト含有の恐れがある断熱材の種類は、主に以下の2つです。

  • 屋根用折板石綿断熱材
  • 煙突用石綿断熱材

ここでは、それぞれの概要や使用箇所について詳しく解説します。

屋根用折板石綿断熱材

屋根用折板石綿断熱材は、工場や倉庫などの金属折板屋根の裏側に貼り付けられた断熱材です。危険性レベルとしては、「レベル2」に分類されます。

商品名としては「フェルトン」「ブルーフェルト」「レアフォーム」などがあり、1990年頃まで使用されていました。アスベスト含有率は90%と非常に高く、破損や切断により大量の繊維が飛散する危険性があります。

煙突用石綿断熱材

煙突用石綿断熱材は、ボイラーや暖房設備の煙突周囲に巻き付けられる断熱材です。屋根用同様、「レベル2」に分類されます。「ハイスタック」「カポスタック」「ニューカポスタック」などの商品名で流通し、1990年頃まで使用されました。

煙突用断熱材も含有率が90%を超えるものがあり、調査時には十分な飛散防止対策が必要とされています。

アスベスト含有建材の危険性レベル

アスベスト含有建材の危険性レベル

アスベスト含有建材は、解体時の発じん性(危険度)によって以下のようにレベル分けされています。

レベル 建材の種類 主な使用箇所
レベル1 石綿含有吹付け材 鉄骨梁・柱の耐火被覆・天井・壁の吸音・断熱
レベル2 アスベスト含有断熱材・保温材・耐火被覆材 配管の保温材・煙突の断熱材・屋根裏の断熱材
レベル3 そのほかの石綿含有建材(成形板など) 天井板・壁板・床材・外壁材

ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。

レベル1(発じん性が著しく高い)

レベル1は、発じん性が著しく高いとされるものが該当します。具体的には、吹付けアスベストや石綿含有吹付けロックウールなど、繊維が露出しており、軽微な刺激でも容易に飛散する建材です。

最も危険性が高く、作業時には完全隔離養生と負圧集じん装置の使用が法律で義務付けられています。

レベル2(発じん性が高い)

レベル2はレベル1ほどではないものの、発じん性が高いものが該当します。具体的には、屋根用折板石綿断熱材や煙突用石綿断熱材など、板状やフェルト状に成形された保温材・断熱材です。

通常の使用状態では比較的安定していますが、破損や切断、撤去作業時には大量の粉じんが発生する恐れがあるため、レベル1に準じた厳重な対策が求められます。

レベル3(発じん性が比較的低い)

レベル3は、レベル1・レベル2と比較すると発じん性が低いものが該当します。具体的には、石綿含有スレートボードやけい酸カルシウム板など、セメントなどで硬く固化された成形板です。

通常の状態では飛散リスクは低いものの、切断や穿孔、破砕時には繊維が飛散する可能性があるため、適切な対策が必要となります。

断熱材に含まれるアスベストの見分け方

断熱材に含まれるアスベストの見分け方

現場で断熱材に含まれるアスベストを見分ける際、主なポイントは以下のとおりです。

  • 設計図書や建材メーカーの情報を確認
  • 有資格者による分析調査

それぞれの内容について詳しく解説します。

設計図書や建材メーカーの情報を確認

建物の設計図書に記載された建材の商品名や製造年代を確認することで、断熱材におけるアスベスト含有の可能性を絞り込めます。国土交通省の「石綿含有建材データベース」などを活用すれば、商品名や型番・品番などから含有の有無を調べることが可能です。

【必須】有資格者による分析調査

2022年4月の法改正により、一定規模以上の解体・改修工事を行う際には、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による事前調査が義務化されました。そのため、現場でサンプルを採取し、専門機関で分析を行うことで、確実にアスベストの含有を判定できます。

アスベストの調査の流れに関しては後述するので、ぜひ参考にしてみてください。

アスベスト調査の具体的な流れ

アスベスト調査の具体的な流れ

アスベスト調査は、主に以下の4ステップで進められます。

  1. 書面調査
  2. 目視確認
  3. 分析調査
  4. 報告書作成と提出

アスベスト調査の流れを正しく理解することで、漏れのない適切な調査を実施できます。それぞれの内容についてみていきましょう。

ステップ1:書面調査

調査の第一段階として、建築物の設計図書や施工図面などの文書をもとに事前調査が行われます。書面調査では、以下の内容を確認します。

  • 建築年次(アスベスト含有吹付け材が規制された年代との照合)
  • 使用建材の仕様
  • 過去の改修・補修履歴
  • アスベスト含有建材の使用記載

書面がない場合や記載が不明な場合でも、建築年次から使用の可能性を考慮することが可能です。ただし、書面の記載のみで判断せず、目視確認なども必ず実施する必要があります。

ステップ2:目視確認

書面調査の結果を踏まえ、実際の建築物で行うのが目視確認です目視確認では、以下の内容を確認します。

  • 書面と実際の建物との差異の確認
  • 後から改修・補修された箇所の確認
  • アスベスト含有が疑われる建材の特定

アスベストは天井・壁・鉄骨・配管など、建物の至るところに使用されている可能性があります。調査対象範囲のすべての箇所を漏れなく確認することが大切です。

ステップ3:分析調査

目視確認でアスベスト含有の有無が判断できない場合、建材のサンプルを採取し、専門の分析機関で分析調査を行います。主な分析方法は、以下の2つです。

  • 偏光顕微鏡法:アスベストの種類と含有率を測定
  • X線回折法:アスベストの結晶構造を分析して同定

分析結果を記した調査票は、報告書の作成に必要となるため、3年間の保存が義務付けられています。

ステップ4:報告書作成と提出

事前調査の結果は、工事開始前に労働基準監督署や地方の自治体の窓口に提出する必要があります。報告は、石綿事前調査結果報告システムを通じて時間を選ばずに行うことも可能です。

アスベスト含有建材が確認された場合の対応

アスベスト含有建材が確認された場合の対応

事前調査でアスベスト含有建材が確認された場合、レベル区分に応じた適切な対応が求められます。以下の表は、レベルによる対応策をまとめたものです。

レベル1
  • 工事14日前までに届出の提出
  • 作業場所の隔離
  • 集じん・排気装置の設置
  • 作業員は保護具着用
  • 薬液などによる湿潤化
  • 掲示板の設置 など
レベル2
レベル3
  • 薬液などによる湿潤化
  • 作業員は保護具着用
  • 掲示板の設置 など

2021年にの改正ではレベル3建材も規制対象に追加され、事前調査結果の報告や適切な対応が義務化されました。レベル3では、薬液などの潤滑化や保護具の着用などが求められます。レベル1・2では、集じん・排気装置の設置や作業場所の隔離なども追加され、より厳しい対応が求められます。

信頼できるアスベスト除去業者を見極めるポイント

信頼できるアスベスト除去業者を見極めるポイント

アスベスト除去業者に事前調査を依頼する場合、信頼できる業者選びが大切です。業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてみてください。

  • 資格と許可を取得しているか確認する
  • 経験や実績は豊富か確認する
  • 安全対策は問題ないか確認する
  • 料金と見積りの透明性を確認する

ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

ポイント1. 資格と許可を取得しているか確認する

アスベスト調査・除去は法律で厳しく規制されているため、資格や許可を持つ信頼できる業者選びが大切です。

例えば、「石綿作業主任者」は除去作業の指揮監督に必須の国家資格であり、2022年法改正で義務化された事前調査には「建築物石綿含有建材調査者」の資格が求められます。

また、解体・改修工事には都道府県知事による「解体工事業登録」または「建設業許可」が必要です。業者を選ぶ際は、これらの資格・許可をウェブサイトや契約書で確認し、国土交通省のシステムで実在するか調べることをおすすめします。

CIC石綿作業主任者技能講習

CIC建築物石綿含有建材調査者講習

ポイント2. 経験や実績は豊富か確認する

信頼できる業者を見分けるには、これまでの施工実績を確認することが大切です。特に、依頼を考えている建物と類似した条件(例:住宅、商業施設、工場など)での実績がどのくらい豊富かをチェックしておきましょう。

また実績では、写真を用いて工事の流れが具体的に説明されているかどうかも判断材料になります。実際に依頼した人の口コミ・評判なども確認しておくと安心です。

ポイント3. 安全対策は問題ないか確認する

アスベスト除去作業は非常に危険を伴うため、安全対策の徹底が必要です。業者を選ぶ際は、以下のように適切な防護対策を徹底して作業してもらえるのか、作業中の安全管理がどうなっているかなどを確認しておきましょう。

  • 防護服の着用は徹底しているか
  • 現場の封じ込め対策は万全に行われるか
  • 廃棄物は適切な方法で処理されているか

ポイント4. 料金と見積りの透明性を確認する

見積りを依頼する際は、調査項目や除去方法、廃棄費用まで詳細に記載されているか確認しましょう。

極端に安価な見積もりは、必要な対策が省かれている可能性があります。

過去の施工事例や行政への届出実績なども確認し、信頼性の高い業者を選定してください。

また、見積もりの内訳が詳細で分かりやすいか、項目ごとの単価が明記されているか、追加費用の説明があるかなどを確認しておくと安心です。

アスベスト関連の相談は石綿の窓口がおすすめ!

アスベスト関連の相談は石綿の窓口がおすすめ!

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの調査から報告までを丸ごとお引き受けする「石綿の窓口」を提供しております。ご希望によっては除去工事や産廃、解体工事の「見積り」や「紹介」も無料対応のサービスです。

ここでは、石綿の窓口の特徴や利用の流れについて解説します。

石綿の窓口の特徴

「石綿の窓口」の特徴を大きくまとめると、以下の3つです。

  • 面倒な業務を全て丸投げできる
  • 施工のプロによる高い品質
  • 工事費用の大幅削減が可能

それぞれ詳しく解説します。

特徴1. 面倒な業務を全て丸投げできる

CIC日本建設情報センターの「石綿の窓口」をご利用いただくことで、調査・分析・報告書作成まで全て丸投げ可能です。

書類作成などの難しい業務負担は一切不要になり、本業に専念いただけます。

全国主要エリアで対応可能なため、窓口も一本化できます。建築物だけでなく工作物についてもお気軽にご相談ください。

特徴2. 施工のプロによる高い品質

石綿の窓口は、調査経験が豊富な担当者が窓口になって石綿事前調査結果報告システムの内容を網羅した調査報告書を作成するため、高い品質なのが特徴です。

また、担当者が直接電話対応し、除去工事や産廃などアスベストに関する施工上の疑問や不安なことをお聞きするため安心です。

特徴3. 工事費用の大幅削減が可能

石綿の窓口では、お客様のご希望に応じて、アスベスト除去工事や産廃、解体工事の見積や紹介も無料で行います。そのため、無駄な手間を省きながらトータルの工事費用を削減できます。

石綿の窓口の利用の流れ

「石綿の窓口」を実際にご利用される場合、流れは以下のとおりです。

  1. お問合せ
  2. ヒアリング・見積り提示
  3. 図面・現地調査
  4. 検体分析・報告書作成
  5. 報告書の送付

まずはWebまたはお電話でお気軽にご相談ください。CIC日本建設情報センターの担当者が丁寧にご対応させていただきます。お問い合わせ後、現場に関するヒアリングを実施し、図面等も確認したうえで見積りを無料で提示いたします。

その後、改めて書面調査を行い、その内容にもとづいて有資格者スタッフが現地調査を実施。その後、分析調査や報告書の作成まで行います。報告書の作成完了後、PDFにて事前報告書データをご送付いたします。

アスベストの調査でお悩みの場合は、まずお気軽にご相談くださいませ。

まとめ

まとめ

この記事では、アスベストと断熱材の関係性について詳しく解説しました。断熱材としても、屋根用折板石綿断熱材・煙突用石綿断熱材などでアスベストが含有している可能性が考えられます。

アスベストが含有されているかどうかを見極めるため、現在では有資格者による調査が義務づけられています。専門機関に調査を依頼する際は、複数社の見積りをとる、経験や実績を確認するなど信頼できるかどうかをチェックしておくことが大切です。

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの事前調査から報告までを全てお引き受けする「石綿の窓口」を用意しております。建設業界におけるプロが安全面に徹底し、分かりやすくご説明した上で実施致しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

石綿の窓口について詳しくはこちら

お問い合わせ電話:03-6432-4952

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