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ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)の年収は?年代別平均年収や年収UPのポイントを解説

公開日:2025年11月12日 更新日:2025年11月12日

ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)の年収は?年代別平均年収や年収UPのポイントを解説

私たちが日常的に利用するオフィスビル・商業施設・病院・ホテルなどの大型施設は、専門家によって管理されているからこそ、快適で安全な空間が維持されています。その安全と衛生を守る管理・統括する役目を担うのが、ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)です。

ビル管理士の仕事は人々の生活に不可欠な存在であるため、安定した需要があり、キャリアを考える上でも魅力的な選択肢となります。しかし、実際にこの資格を取得すると「どれくらいの年収が得られるのか」「将来的にどれほどの収入アップが見込めるのか」が気になる方が多いでしょう。

この記事では、ビル管理士の平均年収を年代別に解説し、年収1,000万円を目指せるかどうかの可能性を探ります。さらに、年収を上げるために効果的な資格の組み合わせや、キャリア戦略についても具体的なポイントをご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


CICビル管理

目次

ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)とは

ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)とは

「ビル管理士」は一般的に呼ばれる通称で、正式名称は「建築物環境衛生管理技術者」と言います。特定建築物の環境衛生を監督する国家資格です。

特定建築物(床面積3,000平方メートル以上のオフィスビル・商業施設・学校・病院など)の環境衛生を監督・管理するために、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)に基づいて選任が義務付けられています。

ビル管理士の主な役割は、建物の環境衛生の維持管理に関する業務を総括し、技術的な指導・管理を行うことです。具体的には、空気環境の測定・調整、給水・排水の管理、ねずみや害虫の防除計画、清掃やごみ処理の衛生管理など、建物の利用者にとって快適かつ安全な環境を維持する多岐にわたる業務を担います。

ビル管理士の資格は、その選任義務から、大規模な建物が多く存在する都市部を中心に、常に高い需要があるのが特徴です。

ビル管理士の平均年収

ビル管理士の平均年収

ビル管理士の平均年収は、働く企業の規模や地域、そして個人の経験年数や保有資格によって異なりますが、一般的な会社員と比較して、安定した水準にあると言えます。

全体の平均年収は、約400万円〜600万円程度が相場です。特に大手のビル管理会社や、好待遇の企業に勤務する場合、この平均を大きく上回ることも珍しくありません。

20代の平均年収

20代の平均年収は、約300万円〜400万円程度が目安です。この年代は、実務経験を積み始めたばかりであるため、年収はまだ比較的低い水準にあります。

しかし、ビル管理士の資格を取得することで、他の同年代の社員よりも早い段階で資格手当を得たり、昇進のチャンスを掴んだりする可能性が高まります。

30代の平均年収

30代になると、実務経験が豊富になり、任される業務の範囲も広がるため、年収は大きく上昇します。平均年収は約400万円〜550万円程度が一般的です。

主任や係長といった役職に就くケースも増え、それに伴い役職手当が加算されます。この時期に、後述する関連資格を取得することで、さらなる収入アップを目指せます。

40代の平均年収

40代はキャリアの中核を担う時期です。豊富な経験と実績、そして複数の資格を持つことで、管理職に昇進する方も多くなります。

平均年収は約450万円〜600万円程度がボリュームゾーンです。管理職手当や資格手当が充実している企業であれば、年収600万円台を安定して超えることも十分に見込めます。

50代の平均年収

50代は部門の責任者や幹部クラスとして活躍する方が増えるため、年収も最も高くなる傾向があります。役職や勤務先によっては、約500万円〜700万円以上に達することも珍しくありません。

この年代は、長年の経験とビル管理士の資格が最大限に評価される時期であり、高収入を得られる可能性が最も高いと言えるでしょう。

定年後の再就職での平均年収

ビル管理士の資格は、定年後の再就職の選択肢としても人気があります。年齢に関係なく需要が高く、経験が重視されるためです。

再就職後の平均年収は、雇用形態や勤務時間によって異なりますが、おおよそ約300万円〜450万円程度が相場です。現役時代に培った知識と経験を活かし、安定した収入を得ながら働けます。60歳以降も長く活躍できるのが、ビル管理士の魅力の一つです。

ビル管理士は年収1,000万円を狙える?

ビル管理士は年収1,000万円を狙える?

ビル管理士の資格だけで年収1,000万円を達成するのは、簡単ではありません。キャリアアップを目指す方が多い資格ではあるものの、資格単体で年収1,000万円以上を得るのは困難でしょう。

ビル管理士の資格は、安定した需要と一定水準以上の収入を保証してくれます。年収1,000万円オーバーを目指すためには、資格を保有するだけでなく、高度なマネジメント能力や他の専門分野の知識が必須です。

例えば、以下のような複数の要素を組み合わせることで、年収1,000万円に近づけます。

  • 大企業の管理職・幹部クラスへの昇進:大手総合ビルメンテナンス企業や大手不動産会社の設備部門など、給与水準の高い企業で、部長や役員といったマネジメント層に昇進する。
  • 難関資格の複数保有:ビル管理士に加え「電験三種(第三種電気主任技術者)」や「エネルギー管理士」といった、さらに高度で需要の高い資格を複数取得し、自身の市場価値を格段に高める。
  • 専門性と実績:省エネ技術の導入計画や大規模な設備改修工事の企画・実行など、他の社員にはない卓越した専門性を身に付け、実績を積む。

このように、ビル管理士の資格は高収入を目指せるものの、年収1,000万円を達成するためには、そこからさらに努力を積み重ねる必要があります。

ビル管理士試験の受験資格

ビル管理士試験の受験資格

ビル管理士試験は、他の国家資格とは異なり、誰でも自由に受験できるわけではありません。この資格が「実務経験を持つ専門家」として高く評価される大きな理由の一つは、受験資格に厳格な実務経験が定められているためです。

試験を受けるには、学校・病院・事務所などの「特定建築物」において、環境衛生上の維持管理に関する実務に2年以上従事した経験が必須とされています。

この「実務」とは、単にビル内で働いていたというだけでは認められません。具体的には、空気環境の調整、給水・排水の管理、清掃、ねずみ・昆虫の防除などの業務を指します。実務経験は、勤務先による証明が必要で、この条件を満たさなければ試験を受けることすらできません。

このように受験資格が絞られているため、合格者は即戦力となる高度な専門家として、就職や転職市場で優位な立場に立つことができます。

参考:国家試験情報 建築物環境衛生管理技術者 試験について|公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター

ビル管理士として年収を上げるためのポイント

ビル管理士として年収を上げるためのポイント

ビル管理士の資格があれば安定した収入を得ることはできますが、さらに年収を上げ、高所得を目指すためには、戦略的なキャリアアップが求められます。単なる資格保有者にとどまらず、市場価値の高い専門家になるためのポイントを解説します。

①関連する資格を取得する

ビル管理士の資格は環境衛生の専門性を証明するものですが、年収を大きく伸ばすには、他の分野の専門知識を加えることが最も効果的です。特に、電気設備やエネルギー管理に関する難関資格を組み合わせることで、企業から支払われる資格手当が大幅にアップします。

  • 電験三種(第三種電気主任技術者):ビルの受変電設備など、電気設備の保安・監督ができる資格。ビル設備で最も重要かつリスクの高い電気系統を扱えるため、資格を取得することで市場価値が飛躍的に高まる。
  • エネルギー管理士:大規模なビルや工場で、エネルギー使用の合理化・省エネを推進する専門家。環境意識の高まりとともに需要が高く、高評価につながる。
  • 冷凍機械責任者:ビルの空調設備や冷却装置の保安管理に必要な資格。ビル管理士の業務と密接に関わるため、セットで取得する価値が高い。

上記の資格を複数持つことで、転職市場での競争力と交渉力が格段に向上します。

②大手ビルメンテナンス企業への転職

一般的に、地域の中小企業よりも、全国展開する大手総合ビルメンテナンス企業や、大手デベロッパー系の管理会社の方が、給与水準が高い傾向にあります。

ビル管理士や複数の関連資格を取得した後は、より待遇の良い大手企業へ積極的に転職を検討することで、年収を一気に引き上げることが可能です。大企業では大規模な物件や、より高度な技術を要するプロジェクトに関わる機会も増えます。

③マネジメントスキルを磨く

年収の上限を突破し、高所得を目指すなら、現場の作業者ではなく、現場全体を統括するマネジメント層になることが不可欠です。

部下や協力会社の作業員をまとめ上げるリーダーシップ、予算や工期を厳格に守るコスト管理能力、そしてクライアント(オーナー)との交渉力など、ビジネススキルを意識的に磨きましょう。高度な資格を取得し、マネジメント経験を積み重ねることで、年収800万円〜1,000万円超えの実現につながります。

まとめ

まとめ

今回は、ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)の年収について、年代別の相場や年収アップの具体的な方法を解説しました。

ビル管理士は、大規模建築物の安全と衛生を管理する専門家として、安定したキャリアと収入が見込める魅力的な国家資格です。資格取得は、現在の昇給や定年後の再就職にも非常に有利に働きます。

しかし、ビル管理士の試験は実務経験が必須で、出題範囲も広く、合格率が低いため、独学での対策では限界があります。効率よく合格を目指したい方には、体系立てて学べるオンライン講座がおすすめです。

中でも、実績豊富なCIC日本建設情報センターの対策講座の「建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)」では、過去問分析に基づき合格に必要な知識に絞り込んだカリキュラムで、あなたの資格取得を力強くサポートします。資格情報もより詳しく掲載していますので、以下のページからぜひチェックしてみてください。


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