コンクリート建造物の解体や改修工事を行う際、気になるのがアスベストの含有です。アスベストは、2006年に全面使用禁止となりました。ただし、2006年以前に建てられた建造物は今も多く残存しており、工事前の適切な確認が法律で義務づけられています。
この記事では、コンクリートとアスベストの関係性について詳しく解説します。モルタルやセメントとの違い、調査の手順や信頼できる業者選びのポイントなどにも触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
公開日:2025年11月13日 更新日:2025年11月13日

コンクリート建造物の解体や改修工事を行う際、気になるのがアスベストの含有です。アスベストは、2006年に全面使用禁止となりました。ただし、2006年以前に建てられた建造物は今も多く残存しており、工事前の適切な確認が法律で義務づけられています。
この記事では、コンクリートとアスベストの関係性について詳しく解説します。モルタルやセメントとの違い、調査の手順や信頼できる業者選びのポイントなどにも触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

アスベストは天然に産出する繊維状ケイ酸塩鉱物の総称で、かつて建材として広く使用されていました。結論からお話しすると、コンクリート本体にはアスベストは含まれていませんが、表面の塗料や仕上げ材には注意が必要です。
まずは、コンクリートにアスベストが含まれていない理由と注意が必要な箇所について詳しく解説します。
コンクリート本体には、基本的な配合にアスベストは含まれていません。一般的なコンクリートは、セメント・砂・砂利・水を混合して硬化させた建材であるためです。
そのため、柱や梁、床などのコンクリート単体で構成される主構造部分にアスベストが含まれている可能性は極めて低いといえます。ただし、コンクリート表面に塗布された塗料や仕上げ材、周辺建材には注意が必要です。
コンクリート本体にはアスベストが含まれていなくても、その表面に施された塗料や仕上げ材にはアスベストが含まれている可能性があります。特に1960年代から2005年頃までに施工された建造物では、防火性能や耐久性向上を目的として、アスベスト含有の建築仕上塗材が使用されていました。
アスベスト含有の仕上げ材は、コンクリート表面に直接塗布されているため、解体や改修工事の際に削り取ったり破砕したりすると、アスベスト繊維が飛散するリスクを伴います。そのため、工事前の事前調査では、コンクリート本体だけでなく、表面に施された材料についても必ず確認が必要です。

コンクリートと類似し、建設業界でよく使用される建材として、モルタルやセメントがあります。以下の表は、それぞれの違いについてまとめたものです。
| 建材名 | 主な材料 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| コンクリート | セメント・砂・砂利・水 | ・圧縮強度が非常に高い ・水と反応して硬化する性質(水和反応)を持つ |
建造物の柱・梁・床・基礎など、荷重を負担する構造部材として用いられる |
| モルタル | セメント・砂・水 | ・砂利を含まない ・コンクリートほどの強度はない ・薄く塗り広げられ、柔軟性がある |
壁や床、天井などの仕上げ材、レンガやブロックを積む際の接着剤、コンクリートの補修材として用いられる |
| セメント | 石灰石、粘土(クリンカを微粉砕したもの) | ・水と反応して硬化する性質(水和反応)を持つ ・単体で使用されることはほとんどない |
コンクリートやモルタルの「結合材」として用いられる |

コンクリート造やRC造の建造物の解体・改修工事では、構造体そのものにアスベストが含まれていなくても、周辺建材や仕上げ材にアスベストが使用されている可能性があります。そのため、アスベストの対策は必要不可欠です。
ここでは、工事計画におけるアスベスト対策の位置づけやアスベスト含有材が確認された場合の対応方法について解説します。作業員や周辺住民の健康を守るためにも、必ず把握しておきましょう。
解体・改修工事の計画段階では、アスベスト対策を工程計画の最初に組み込む必要があります。事前調査によってアスベスト含有建材が確認された場合、除去作業をほかの工事よりも優先して実施しなければならないためです。
工事全体のスケジュールを立てる際、まずは事前調査(書類調査・目視確認・分析調査)、行政への届出、アスベスト除去工事の期間が十分に確保されます。
特にアスベストの危険性が高いとされるレベル1やレベル2の建材が存在する場合、除去工事には専門業者による隔離養生や集じん装置の設置が必要です。
工事の初期段階でアスベスト対策を適切に計画することが、工事全体の円滑な進行につながるため、調査から除去作業まで全ての作業が重要なものとなります。
事前調査でアスベスト含有建材が確認された場合、レベル区分に応じた適切な対応が求められます。以下の表は、レベルによる対応策をまとめたものです。
| レベル1 |
・工事14日前までに届出の提出 ・作業場所の隔離 ・集じん・排気装置の設置 ・作業員は保護具着用 ・薬液などによる湿潤化 ・掲示板の設置 など |
|---|---|
| レベル2 | |
| レベル3 | ・薬液などによる湿潤化 ・作業員は保護具着用 ・掲示板の設置 など |
飛散リスクの高いレベル1・2については、適切な飛散防止対策が求められます。一方、レベル3では、対策の厳しさがやや緩和される傾向です。

アスベスト調査は、主に以下の4ステップで進められます。
アスベスト調査の流れを正しく理解することで、漏れのない適切な調査を実施できます。それぞれの内容についてみていきましょう。
調査の第一段階として、建築物の設計図書や施工図面などの文書をもとに事前調査が行われます。書面調査では、以下の内容を確認します。
書面がない場合や記載が不明な場合でも、建築年次から使用の可能性を考慮することが可能です。ただし、書面の記載のみで判断せず、目視確認なども必ず実施する必要があります。
書面調査の結果を踏まえ、実際の建築物で行うのが目視確認です目視確認では、以下の内容を確認します。
アスベストは天井・壁・鉄骨・配管など、建物の至るところに使用されている可能性があります。調査対象範囲のすべての箇所を漏れなく確認することが大切です。
アスベスト含有建材は、解体時の発じん性(危険度)によって以下のように分類されており、優先度の高いものから順に調査します。
| レベル | 建材の種類 | 主な使用箇所 |
|---|---|---|
| レベル1 | 石綿含有吹付け材 | 鉄骨梁・柱の耐火被覆・天井・壁の吸音・断熱 |
| レベル2 | アスベスト含有断熱材・保温材・耐火被覆材 | 配管の保温材・煙突の断熱材・屋根裏の断熱材 |
| レベル3 | そのほかの石綿含有建材(成形板など) | 天井板・壁板・床材・外壁材 |
目視確認でアスベスト含有の有無が判断できない場合、建材のサンプルを採取し、専門の分析機関で分析調査を行います。主な分析方法は、以下の2つです。
分析結果を記した調査票は、報告書の作成に必要となるため、3年間の保存が義務付けられています。
事前調査の結果は、工事開始前に労働基準監督署や地方の自治体の窓口に提出する必要があります。報告は、石綿事前調査結果報告システムを通じて時間を選ばずに行うことも可能です。

アスベスト除去業者に事前調査を依頼する場合、信頼できる業者選びが大切です。業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてみてください。
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
アスベスト調査・除去は法律で厳しく規制されているため、資格や許可を持つ信頼できる業者選びが大切です。
例えば、「石綿作業主任者」は除去作業の指揮監督に必須の国家資格であり、2022年法改正で義務化された事前調査には「建築物石綿含有建材調査者」の資格が求められます。
また、解体・改修工事には都道府県知事による「解体工事業登録」または「建設業許可」が必要です。業者を選ぶ際は、これらの資格・許可をウェブサイトや契約書で確認し、国土交通省のシステムで実在するか調べることをおすすめします。
信頼できる業者を見分けるには、これまでの施工実績を確認することが大切です。特に、依頼を考えている建物と類似した条件(例:住宅、商業施設、工場など)での実績がどのくらい豊富かをチェックしておきましょう。
また実績では、写真を用いて工事の流れが具体的に説明されているかどうかも判断材料になります。実際に依頼した人の口コミ・評判なども確認しておくと安心です。
アスベスト除去作業は非常に危険を伴うため、安全対策の徹底が必要です。業者を選ぶ際は、以下のように適切な防護対策を徹底して作業してもらえるのか、作業中の安全管理がどうなっているかなどを確認しておきましょう。
見積りを依頼する際は、調査項目や除去方法、廃棄費用まで詳細に記載されているか確認しましょう。
極端に安価な見積もりは、必要な対策が省かれている可能性があります。
過去の施工事例や行政への届出実績なども確認し、信頼性の高い業者を選定してください。
また、見積もりの内訳が詳細で分かりやすいか、項目ごとの単価が明記されているか、追加費用の説明があるかなどを確認しておくと安心です。

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの調査から報告までを丸ごとお引き受けする「石綿の窓口」を提供しております。ご希望によっては除去工事や産廃、解体工事の「見積り」や「紹介」も無料対応のサービスです。
ここでは、石綿の窓口の特徴や利用の流れについて解説します。
「石綿の窓口」の特徴を大きくまとめると、以下の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
CIC日本建設情報センターの「石綿の窓口」をご利用いただくことで、調査・分析・報告書作成まで全て丸投げ可能です。
書類作成などの難しい業務負担は一切不要になり、本業に専念いただけます。
全国主要エリアで対応可能なため、窓口も一本化できます。建築物だけでなく工作物についてもお気軽にご相談ください。
石綿の窓口は、調査経験が豊富な担当者が窓口になって石綿事前調査結果報告システムの内容を網羅した調査報告書を作成するため、高い品質なのが特徴です。
また、担当者が直接電話対応し、除去工事や産廃などアスベストに関する施工上の疑問や不安なことをお聞きするため安心です。
石綿の窓口では、お客様のご希望に応じて、アスベスト除去工事や産廃、解体工事の見積や紹介も無料で行います。そのため、無駄な手間を省きながらトータルの工事費用を削減できます。
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まずはWebまたはお電話でお気軽にご相談ください。CIC日本建設情報センターの担当者が丁寧にご対応させていただきます。お問い合わせ後、現場に関するヒアリングを実施し、図面等も確認したうえで見積りを無料で提示いたします。
その後、改めて書面調査を行い、その内容にもとづいて有資格者スタッフが現地調査を実施。その後、分析調査や報告書の作成まで行います。報告書の作成完了後、PDFにて事前報告書データをご送付いたします。
アスベストの調査でお悩みの場合は、まずお気軽にご相談くださいませ。

この記事では、コンクリートとアスベストの関係性について解説しました。コンクリートそのものにアスベストが含まれている可能性は低いものの、表面に塗布された塗料や仕上げ材、モルタルや周辺建材にはアスベストが含まれている可能性があります。
現在であれば、有資格者による事前調査を必ず実施し、アスベスト含有建材の有無を正確に把握することが法律で義務づけられています。そのため、信頼できる業者を選び、正確な事前調査を実施して作業者や周囲の人間の安全を守りましょう。
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