公開日:2025年12月18日 更新日:2025年12月18日
「電気工事士の資格を取ったら、どんな仕事に就けるのだろう？」
「未経験からでも、電気工事士として就職できるのかな？」
「電気工事士」の資格を活かした就職や転職について、疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。電気工事士は、私たちの生活に欠かせない「電気」を守る仕事です。電気工事業界や建設業界、ビル設備の管理業界など活躍の場は多くあります。
この記事では、電気工事士の資格が役立つ主な就職先から、未経験でも就職しやすい理由、就職活動を成功させるための具体的なポイントまでを詳しく解説します。どのように電気工事業界への就職を目指すのが良いか気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
「電気工事士」とは、住宅やビル、工場などの電気設備の工事や取り扱いを行うための国家資格です。電気は扱いを間違えると感電や火災などの重大な事故につながる危険性があるため、電気工事を行う際は電気工事士資格が必須となります。
まずは資格の概要や就職に有利な理由についてみていきましょう。
電気工事士は「第一種」と「第二種」の2つの区分が設けられています。以下の表は、それぞれの業務範囲についてまとめたものです。
| 資格名 | 担当できる工事の範囲 |
|---|---|
| 第二種電気工事士 | 一般住宅や小規模な店舗など、600V以下で受電する一般用電気工作物の工事 |
| 第一種電気工事士 | 第二種の範囲に加え、ビルや工場などの最大電力500kW未満の自家用電気工作物の工事 |
就職を考える際、まず第二種電気工事士を取得していれば、多くの現場で即戦力として活躍できます。あわせて第一種を取得すれば、より大規模な工事に携わることができ、キャリアの幅が大きく広がるのが電気工事士の特徴です。
電気工事士が就職で有利な理由は、主に以下の3つです。
電気工事士の仕事は法律で定められた独占業務であり、作業には資格が必須です。また、電気は現代社会の重要なインフラであり、建物が存在する限り電気工事の需要は途切れることがないことから需要も高い仕事です。
また、電気・建設業界全体で高齢化が進んでおり、若手や新しい技術者の確保が課題となっている点も就職で有利に働く理由といえます。
電気工事士の資格を持っていれば、建設業界や電気業界を中心に、非常に幅広い分野で活躍できます。主な就職先は以下の通りです。
それぞれの就職先について詳しく解説します。
電気工事会社は、電気工事士の代表的な就職先です。一般住宅からオフィスビル、商業施設まで、電気に関わるあらゆる工事を担当します。
現場での作業が中心なので、技術を磨きたい方に適しています。様々な現場経験を通じてスキルが身につきやすく、将来的な独立・開業を目指す方にとっても適した環境となるでしょう。
建設会社（ゼネコンなど）では、新築マンションやオフィスビルなどの建設プロジェクトにおける電気設備の施工を担当します。大規模なプロジェクトに携われるのが魅力であり、仕事量の安定、福利厚生が充実しやすい点も特徴です。
施工管理技士などの資格も取得することで、将来的に施工管理（現場監督）へのキャリアアップも見込めます。
工務店では、戸建ての新築・リフォームにおける住宅内の配線や照明取り付けなどを担当します。お客様からの感謝を直接得られることがやりがいになるため、転勤が少なく地元で働きたい、アットホームな環境で働きたいという場合に適しています。
ビル設備管理会社（ビルメンテナンス）では、オフィスビルなどの建物にある電気設備や空調設備、給排水設備などの保守・点検を行います。
電気設備の点検・修繕には電気工事士の資格が必須であり、特に第二種電気工事士は2級ボイラー技士・第三種冷凍機械責任者・危険物取扱者乙種4類と合わせて「ビルメン4点セット」とも言われます。工事現場と比べて肉体的な負担が少なく、ワークライフバランスも取りやすいため、安定して長く働きたい方に人気です。
電気通信工事会社は、インターネット回線や電話回線、基地局や防犯カメラなど情報通信に関わる設備工事を行います。
現代社会で通信インフラの重要性は増しており、5G普及などで需要は拡大しており、「電気通信主任技術者」や「工事担任者」などの資格を取得することで、キャリアアップが可能です。
再生可能エネルギーとして注目の太陽光発電設備の設置工事です。一般住宅から大規模メガソーラーまで扱う工事の規模は様々です。パネル設置に加え、パワーコンディショナー取り付けや配線工事には電気工事士の資格が必要となります。
消防設備工事会社では、火災報知器やスプリンクラーなどの設置・点検を行います。消防設備の工事には「消防設備士」が必要ですが、第二種電気工事士の資格を保有しておくことで、「甲種消防設備士」の受験資格や試験科目の一部免除が得られます。
鉄道工事会社では、架線工事や信号システムの設置・保守、駅構内設備の工事など、社会インフラである鉄道を支える役割を担います。電車の運行時間外である夜間の作業が生じるケースもありますが、夜勤手当による収入アップが見込めるのが特徴です。
電機メーカーや医療機器メーカーなどで、自社製品（業務用エアコン、医療機器、産業用ロボットなど）の設置、保守、修理を行うサービスエンジニア（カスタマーエンジニア）という働き方も方法の1つです。
自社製品に特化した深い知識と技術力を活かしてトラブルを解決する仕事で、機械いじりや問題解決が好きな方に適しています。
建設・電気業界以外にも、電気工事士の知識や資格を活かせる場は存在します。具体的な職種は、以下の通りです。
それぞれの職種について詳しく解説します。
電気工事士の資格を活かし、都道府県や市町村の技術職（電気区分）として採用されれば、公共施設の電気設備維持管理や公共工事の設計・監督業務に携われます。公務員試験の合格が必要ですが、雇用・福利厚生が充実・安定しているのが特徴です。
警備会社の機械警備部門（セキュリティシステム）では、防犯カメラやセンサーなどの設置・配線に電気工事の知識が活かせます。人々の安全を守る社会貢献度の高い仕事で、決まった手順での作業が多く、体力的な負担が少ないのも特徴です。
ビルメンテナンスだけでなく、工場設備のメンテナンスやエレベーター・エスカレーターの保守点検、自動販売機の設置・修理など、メンテナンス業界全体で電気工事士はニーズがあります。長期的な視点での管理を通じて幅広い知識・技術力が身につくのが特徴です。
中には、「未経験だと採用されないのでは？」と不安に思う方もいるかもしれません。結論からお伝えすると、電気工事士は未経験からでも十分に就職が可能です。その理由は、主に以下の3つです。
それぞれの内容について詳しく解説します。
建設・電気工事業界は人手不足、特にベテラン技術者の高齢化が進んでいます。そのため、若手・新人材の確保を優先的に行っている企業が多い傾向です。
実際、「未経験者歓迎」の求人は多く、企業は研修・教育体制を整えて、一から技術者を育成する姿勢を持っています。未経験であっても、大きく気にする必要はありません。
電気工事士の資格は、未経験でも「電気の基礎知識」と「学習意欲」の証明になります。また、技能試験に合格していれば、基礎的な技術力が身についているのも特徴です。
資格があれば、企業側は資格取得支援のコストを削減できます。入社直後から簡単な作業から即戦力になれるため、採用で高く評価されるでしょう。
電気工事士は技術力がメインとなる仕事なので、年齢に関係なく活躍できる業界です。30代、40代からの転職も多く、若さだけでなく社会人経験やコミュニケーション能力も評価されます。やる気・技術力があれば、何歳からでもキャリアを始められる業界です。
ここまで、電気工事士の就職先や未経験でも問題ない理由をご紹介しました。ここからは、就職活動を成功させるポイントを解説します。主なポイントは、以下の3つです。
それぞれの内容について確認し、電気工事士への就職を成功させやすくしましょう。
就職先から分かる通り、電気工事士は職種によって仕事内容や働き方が大きく異なります。
上記のように、自分の希望を整理して業種や企業を選ぶことが、入社後のミスマッチを防ぐために大切です。
面接では、電気工事士になりたい動機と、その会社を選んだ具体的な理由を伝えることが大切です。「手に職をつけたい」「社会インフラを支えたい」といった一般的な動機に加え、「御社の実績〇〇に惹かれた」など、企業特有の理由を述べると説得力が増します。
未経験の場合は、「早く一人前になるために努力する」という熱意をアピールしておくと良いでしょう。
電気工事士以外の関連する資格を取得しておくことで、就職活動時に有利に働きます。
これらの資格は、入社後の業務範囲を広げることにもつながります。積極的に取得を目指してみてください。
この記事では、電気工事士の就職について詳しく解説しました。電気工事士の就職先は、電気工事会社や建設会社、ビルメンテナンスや鉄道など多岐にわたります。
業界全体の人手不足や資格の強みから、未経験や年齢を問わず挑戦しやすい職種でもあります。自分の希望する働き方やキャリアプランに合わせて、最適な就職先を見つけることが大切です。
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