施工管理技士合格をアシスト
建設業特化の受験対策

コンクリート工学とは?知識を活かせる資格や仕事を徹底解説

公開日:2025年9月30日 更新日:2025年9月30日

コンクリート工学とは?知識を活かせる資格や仕事を徹底解説

コンクリート工学とは?知識を活かせる資格や仕事を徹底解説

コンクリートは、ただセメントと水を混ぜればいいというわけではありません。使用される環境や求められる強度、耐久性に応じて、その配合や施工方法は緻密に計算され、管理されています。この、コンクリートの性質・製造・施工・品質管理・維持管理に至るまでを総合的に扱う学問が「コンクリート工学」です。

この記事では、コンクリート工学で学ぶ主要な分野や、その知識が活かせる仕事、取得しておくと有利な資格について詳しく解説します。


CI土木施工管理技士受験対策講座

目次

コンクリート工学とは

コンクリート工学とは

コンクリート工学は、建築物や土木構造物の主要な材料であるコンクリートに関して、専門的な知識を体系的に学ぶ学問です。コンクリートの材料・製造・施工、そして完成後の耐久性や補修方法まで、ライフサイクル全体を科学的、かつ工学的な視点から研究します。

コンクリートは、セメント・水・砂・砂利を混ぜて作られますが、その配合や製造過程は構造物の強度や耐久性に直接影響を及ぼすため、極めて厳密な管理が求められます。わずかな配合ミスや施工不良が、構造物の強度不足や早期劣化につながる可能性があるのです。

コンクリート工学を学ぶことで、以下のような課題を解決できるようになります。

  • 材料の選定:どのような環境で使用するかによって、最適なセメントや骨材(砂利・砂)、混和材料の選定方法を学ぶ。
  • 品質の確保:どのような環境下でも、設計通りの強度や耐久性を確保するための製造・施工方法を研究する。
  • 構造物の長寿命化:劣化やひび割れの原因を究明し、適切な補修や維持管理の方法を確立する。

現代社会では、高度成長期に作られた多くのインフラが老朽化し、その補修・維持管理が急務となっています。コンクリート工学は、新規構造物の建設だけでなく、既存の構造物を長く安全に使い続けるためにも、ますます重要性が高まっている分野です。

コンクリート工学で学ぶ主要な5つの分野

コンクリート工学で学ぶ主要な5つの分野

コンクリート工学の学習範囲は多岐にわたりますが、ここでは特に重要な5つの分野について解説します。

材料(セメント、骨材、水、混和材料)

コンクリートは、セメントと水が反応して固まることで強度を発現します。この化学反応は「水和反応」と呼ばれ、コンクリートの最も基本的な性質を左右します。

  • セメント:コンクリートの主成分で、水と混ぜることで固まる性質(水硬性)を持つ。一般的な普通セメントのほか、高炉セメントやフライアッシュセメントなど、用途に応じたさまざまな種類がある。
  • 骨材:砂や砂利のことで、コンクリートの体積の約70〜80%を占める。骨材の大きさや形状は、コンクリートの強度や流動性に影響を与える。
  • 水:セメントの水和反応に不可欠。水の量が多いと施工しやすくなるが、強度低下や乾燥収縮によるひび割れの原因にもつながる。
  • 混和材料:練り混ぜたコンクリートの性質を改善したり、特別な機能を与えたりするために少量添加される材料。例えば、冬場でもコンクリートが凍結しないようにする「不凍液」や、流動性を高める「高性能AE減水剤」などがある。

これらの材料の特性を理解し適切に選定することが、良質なコンクリートを製造するための第一歩です。

配合設計

コンクリートの品質は、各材料の混合比率によって決まります。配合設計は、求められる強度や耐久性、施工性を実現するために、セメント・水・骨材・混和材料の最適な比率を決定するプロセスです。

設計基準強度・セメントの種類・骨材の品質など、さまざまな要因を考慮して緻密な計算を行います。これは、コンクリート工学の中でも特に専門的な知識が求められる分野であり、構造物の安全性に直結する重要な役割を担います。

フレッシュコンクリート(生コン)の性質

フレッシュコンクリートとは、まだ固まっていない、練り混ぜられたばかりのコンクリートのことです。この状態の性質を理解することは、適切な施工を行う上で欠かせません。

フレッシュコンクリートの段階では、以下のような性質を評価します。

  • ワーカビリティー(施工性):コンクリートがスムーズに流し込まれ隅々まで行き渡るか、また、打設後に分離しないかといった、施工のしやすさを示す指標。
  • コンシステンシー(流動性):コンクリートの柔らかさや流動性を示す指標で、「スランプ」と呼ばれる試験で測定する。スランプ値が大きいほど柔らかいコンクリートである。

これらの性質を理解し、現場の状況に応じて調整する知識が求められます。

硬化コンクリートの性質

硬化コンクリートとは、固まって強度を発現した後のコンクリートのことです。構造物の安全性や寿命を左右する重要な性質を学びます。

以下のような特性が評価の対象です。

  • 強度:コンクリートの最も基本的な性質で、圧縮強度試験で測定される。設計で定められた強度を確保することが、構造物の安全性の基本である。
  • 耐久性:長期間にわたって、外部環境の変化(凍結融解・塩害・中性化など)に耐える能力。特に海洋構造物や寒冷地の構造物では、高い耐久性が求められる。
  • ひび割れ:硬化する過程や外部からの応力によって、コンクリートにひび割れが生じることがある。水の浸入を許し、鉄筋の腐食といった強度や耐久性を損なう重大な問題につながるため、ひび割れ原因究明や対策は非常に重要である。

施工と維持管理

コンクリートは製造された後、現場で打設され、養生を経て初めて構造物として機能します。

  • 施工:打設(コンクリートを流し込む作業)・締め固め・表面仕上げ・養生(硬化を促すための温度や湿度の管理)など、一連の作業を管理する。
  • 維持管理:完成した構造物を長期間安全に利用するために、定期的な点検を行い、劣化や損傷が見られた場合には補修・補強を行う。

これらの知識を体系的に学ぶことで、コンクリートの品質を確保し、構造物の安全性を高められます。

コンクリート工学の知識が活かせる仕事

コンクリート工学の知識が活かせる仕事

コンクリート工学の知識は、建設業界の幅広い職種で活かせます。例えば、建設現場で工事全体の計画・品質・工程を管理する施工管理では、コンクリートの品質確保にこの知識が必須です。

また、生コンクリート工場で高品質な製品を製造するコンクリート製造・品質管理や、橋梁やビルの構造物を設計したり、新しい材料を研究開発したりする設計・研究開発といった分野でも重要な役割を担います。

コンクリート工学の知識は、特に「コンクリート技士」という資格を取得することで、関連業務の専門家として高い評価につながります。コンクリート技士の資格については、以下の記事も合わせてご覧ください。

関連記事:コンクリート技士とは?受験資格や業務内容、取得のメリットまで紹介

コンクリート工学の知識が必要になる資格

コンクリート工学の知識が必要になる資格

コンクリート工学の知識は、さまざまな資格の取得に役立ちます。ここでは、特にキャリアアップに有利な資格をご紹介します。

コンクリート主任技士・コンクリート技士

日本コンクリート工学会が認定する資格で、コンクリートに関する専門家としての知識と技能を証明します。

  • コンクリート技士:コンクリートの製造・施工・品質管理に関する基本的な知識・技能を持つことを証明する資格。土木・建築業界で働く多くの方に取得が推奨されている。
  • コンクリート主任技士:コンクリート技士の上位資格で、より高度な知識と経験を求められる。コンクリート構造物の施工管理や品質管理において、重要な役割を担える。


CICコンクリート技士

これらの資格を取得することで、現場での信頼度が上がり、キャリアアップや年収アップにつながることが期待できます。

土木施工管理技士

建設工事の施工管理を行う上で必須となる国家資格です。特に、土木施工管理技士は、橋梁・道路・ダムなどコンクリート構造物の工事に直接関わるため、コンクリート工学の知識が欠かせません

1級土木施工管理技士:大規模な工事や公共工事において、主任技術者や監理技術者として働けます。

2級土木施工管理技士:小規模な工事で、主任技術者として業務が行えます。

これらの資格試験では、コンクリートに関する問題が多く出題されるため、コンクリート工学を体系的に学ぶことは合格への近道となります。土木施工管理技士の詳しい試験情報については、以下の記事をご確認ください。


CI土木施工管理技士受験対策講座

まとめ

まとめ

この記事では、コンクリート工学の基本から、その知識が活かせる仕事、そしてキャリアアップに役立つ資格について詳しく解説しました。コンクリートは、私たちの生活を支える上で欠かせない材料であり、コンクリート工学は、安全で持続可能な社会を築くための重要な学問です。

土木・建築業界でのキャリアを考えている方は、コンクリート工学の知識を深め、関連資格の取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。コンクリート技士や施工管理技士といった資格は、取得者の専門性を証明し、大きくキャリアを後押ししてくれます。

特に、「土木施工管理技士」はコンクリート構造物の工事に携わる上で欠かせない国家資格です。資格の詳細については、以下のページで詳しくご確認いただけます。受験資格や試験内容、合格率などの情報をぜひチェックして、キャリアアップの第一歩を踏み出しましょう。


CI土木施工管理技士受験対策講座

    一覧へ戻る

    関連コラム


    PAGETOP