建設現場で起こる事故やミスの原因として、「ヒューマンエラー」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。ヒューマンエラーは、意図しない結果を生じてしまう人間の行為のことです。
「人のミスだから仕方がない」と思われがちですが、実はその発生には一定の傾向があり、正しく理解することで対策を立てられます。
この記事では、ヒューマンエラーの基本的な概要から種類、起こりやすい原因について解説します。現場で実践できる具体的な対策方法までご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
更新日:2026年7月16日

建設現場で起こる事故やミスの原因として、「ヒューマンエラー」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。ヒューマンエラーは、意図しない結果を生じてしまう人間の行為のことです。
「人のミスだから仕方がない」と思われがちですが、実はその発生には一定の傾向があり、正しく理解することで対策を立てられます。
この記事では、ヒューマンエラーの基本的な概要から種類、起こりやすい原因について解説します。現場で実践できる具体的な対策方法までご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ヒューマンエラーとは、意図しない結果を生じてしまう人間の行為のことです。「人的ミス」とも呼ばれており、人間の判断の誤りや思い違い、不注意や知識不足などが原因で発生しています。
まずは、違反との違いやヒューマンエラーに含まれないものについて解説します。
ヒューマンエラーと間違えられやすいものに「違反」があります。違反とは、ルールや手順が決まっているにもかかわらず、それを承知のうえで「やるべきことをやらない」あるいは「やってはならないことをやる」という意図的な行為のことです。
一方でヒューマンエラーは、あくまで本人が「意図していない」状態で起こるものです。この2つは原因も対策も異なるため、別のものとして考える必要があります。
同じように、ヒューマンエラーに含まれないケースもある。代表的なのが、わざと作業手順を間違えたり、意図的に誤った情報を伝えたりする「故意」によるものです。これは悪質性が高く、場合によっては犯罪と認定されることもある。
また、マニュアルどおりに正しく作業したにもかかわらず、マニュアル自体の誤りや機械の故障といった「モノ」が原因でミスが起きた場合も、ヒューマンエラーとは区別される。

ヒューマンエラーは、さまざまな要因が重なることで発生します。主な原因としては、以下の通りです。
それぞれの原因についてみていきましょう。
過去の経験や先入観から、「この作業はいつもどおりだから大丈夫だろう」と判断してしまう思い込みや誤認によってエラーにつながります。手順や図面が変更されていても気づきにくく、確認ミスにつながるでしょう。
集中力や注意力の低下が起きるとエラーにつながります。主に長時間労働や単調な作業の繰り返し、周囲の騒音などが引き金になって起こりうるものです。
業務に必要な判断や対応ができないことでエラーにつながります。経験の浅い若手や、配置転換してきたばかりの作業者は、専門知識や手順を十分に把握できていないことが多いため、特に注意が必要です。
同じ業務を長く続けるうちに、基本的な手順や確認作業を省略しがちになってエラーにつながるケースもあります。特にベテランに起こりうるエラーです。「これくらいは平気」という気の緩みが出やすいため、油断せずに作業に着手することが大切です。
口頭での曖昧な指示や報告の不備、部門間の情報共有不足によって生じるエラーです。正確な情報が伝わらないことが原因であるため、複数の作業者が関わる現場では、とくに起こりやすいエラーとなります。
過度な疲労やストレスが、集中力や判断力の低下につながってエラーが起こりえます。特に長時間労働や短い納期に追われる状況下では、エラーが起こりやすくなるため注意が必要です。
職場環境が悪いことも、エラーにつながります。例えば、職場が暑すぎる・寒すぎるなどの温度面、暗い照明や騒音、狭い作業スペースといった環境要因がミスを誘発させます。

ここでは、ヒューマンエラーによる建設業の災害事例をいくつか紹介します。実際の労働災害をもとに、ヒューマンエラーの危険性についてみていきましょう。
※出典:厚生労働省|建設業で実際に発生した死亡、または後遺障害を残す重篤な労働災害事例集
1つ目の事例が、重機との接触による労働災害です。
| 当日の状況 | 重機が稼働する作業エリア内で、運転席を離れて書類を作成していた。誘導者の配置はなかった。 |
|---|---|
| 経過 | ダンプがバックで接近→本人は「いつものようにクラクションの合図で止まるはず」と思い込み、危険箇所から離れなかった。そのまま轢かれて労働災害につながった |
| 主な原因・教訓 | 「いつもどおり合図があるはず」という思い込み。運転中の重機の危険箇所には立ち入らせず、必要なときは誘導者を配置することが欠かせない。 |
2つ目の事例が、クレーン作業中の荷崩れによる労働災害です。
| 当日の状況 | 複数の鉄骨をクレーンでつり上げ旋回する作業。旋回方向のルールはあったが、オペレーターが交代したばかりだった。 |
|---|---|
| 経過 | 新しいオペレーターが旋回ルールを知らないまま逆方向へ旋回。つり荷が崩れて、作業者に激突、労働災害につながった。 |
| 主な原因・教訓 | 決めていた作業ルールが交代者に周知されていなかったこと。担当が替わるときこそ、作業方法の共有を徹底する必要がある |
3つ目の事例が、足場の組立・解体作業中の墜落による労働災害です。
| 当日の状況 | 高所での足場作業だったが、「すぐ終わる」「面倒だから」という認識で、墜落防止の措置がとられていなかった。 |
|---|---|
| 経過 | 墜落防止措置を省略したまま作業。途中でバランスを崩し墜落、死亡事故につながった |
| 主な原因・教訓 | 短時間・手間を理由にした安全措置の省略。墜落制止用器具(安全帯)は、フックを単管や親綱に確実に掛けて初めて命を守れる。 |

ヒューマンエラーを防ぐためには、エラーが起きにくい仕組みをつくることが大切です。主な対策方法としては、以下の4つあります。
それぞれの内容について詳しく解説します。
まず1つ目が「危険予知(KY)活動」を行うことです。KY活動とは作業前に潜在的なリスクを洗い出し、対策を共有する取り組みのことで、チーム全体として「どこにどんな危険が潜んでいるか」を共有します。
危険性をチーム全体で意識することで安全意識も高まり、ヒューマンエラーの防止につながります。
2つ目が「マニュアル・作業手順」の整備です。作業手順や注意点、よくあるミスをまとめておくことで、誰が作業しても一定の品質を保てます。
特に建設現場では、初めて従事する作業者への指導なども起こりうるものなので、初めての作業者にも分かりやすく作成し、変更があれば最新の内容に更新し続ける仕組みを作っておくことが大切です。
3つ目が「コミュニケーションの活性化」です。報告・連絡・相談を密に行うことで、指示や情報の伝達ミスを減らせます。疑問や意見を言い合えるオープンな職場環境づくりが、結果的にヒューマンエラーの防止にもつながるでしょう。
4つ目が「職場環境の改善」です。温度・照明・騒音・作業スペースなど、身体的・精神的な負担を減らす環境を整えることもヒューマンエラーの防止につながります。現場で働く人の意見を聞きながら随時改善を重ねることが大切です。

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| 科目・範囲 | 講習時間 |
|---|---|
| 1.報連相 | 17分 |
| 2.ヒューマンエラー | 16分 |
| 3.リスクアセスメント | 21分 |
| 4.5S活動 | 20分 |
| 5.KYKとKYT | 17分 |
| 6.建設現場で身近な保護具 | 13分 |
| 7.メンタルヘルス | 15分 |
| 8.災害事例・災害時の対応 | 14分 |
| 9.季節の労働災害 | 17分 |
| 10.安全衛生標識 | 12分 |
| 合計 | 2時間40分 |
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ヒューマンエラーとは、意図せず生じてしまう行為のことであり、誰にでも起こり得るものです。その種類や原因を正しく理解すれば、決して「仕方のないもの」ではなく、仕組みづくりによって減らしていけるものといえます。
とくに重大事故につながりやすい建設現場では、KY活動やマニュアルの整備、教育・資格取得といった対策が安全につながります。まずはできることから一つずつ取り入れ、エラーの起きにくい現場づくりを目指していきましょう。
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