自社の事業場もしくは作業現場において、重要なポイントとして考えるべきは、 労働災害を発生させないこと です。また、同時に 従業員が安全で衛生的な環境で働けるというのも大事なポイント となります。
こうした作業現場や事業場を実現するために、必要とされるのが安全衛生教育です。この記事では、安全衛生教育とはどのようなものなのかという点から、効率的な受講方法まで詳しく解説していきます。
公開日:2024年7月22日 更新日:2026年6月1日

自社の事業場もしくは作業現場において、重要なポイントとして考えるべきは、 労働災害を発生させないこと です。また、同時に 従業員が安全で衛生的な環境で働けるというのも大事なポイント となります。
こうした作業現場や事業場を実現するために、必要とされるのが安全衛生教育です。この記事では、安全衛生教育とはどのようなものなのかという点から、効率的な受講方法まで詳しく解説していきます。

働安全衛生教育は、職場の安全を確保し、労働災害や健康障害を未然に防ぐために欠かせない取り組みです。事業者は法律に基づき、業務の内容や危険度に応じた適切な教育を継続的に実施することが求められます。
労働衛生教育とは、 労働者が安全で衛生的な職場環境で業務を遂行しながら、作業現場や事業場などで発生する可能性がある労働災害を防止することを目的に行われる講習全般 を指します。つまり、労働衛生教育は、1つの講習の名称というわけではなく、 労働災害を防止するために行われる講習全般をまとめて指す言葉 となります。
法律上定められている労働衛生教育は全部で6種類あり、そのうち4つの講習は実施義務があるもの、残り2つの講習は実施が努力義務のものです。
なお、一般的に「労働安全衛生教育」は職場における安全・衛生教育の総称として用いられますが、本記事(CIC日本建設情報センター)では、根拠となる法律の性質に基づき、以下の通り区分して表記しています。
読者の皆様が各講習の「法的根拠」と「義務の強さ」を正しく判別できるよう、専門的な分類を採用しております。
「労働安全衛生教育」は、大きく分けて「安全教育」と「労働衛生教育」の2つの側面があります。
安全教育は、機械の操作ミスや転落事故といった「不安全な状態・行動」による怪我や事故を防ぐための知識を養うものです。一方、労働衛生教育は、有害物質による健康被害や職業病、メンタルヘルス不調などを防ぎ、心身の健康を維持するための知識を習得するものを指します。
事業者はこれらを適切に組み合わせ、現場の危険有害要因に応じた教育を実施することで、従業員が安心して働ける環境を整える必要があります。

まずは6種類ある労働安全衛生教育について紹介していきましょう。労働安全衛生法に基づく法的根拠も同時に紹介していきます。
事業者が、 新たに雇用契約を結んだ従業員に対し行う義務があるのが雇用時の教育 です。これは、労働安全衛生法の59条で規定されています。
労働安全衛生法第五十九条
事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
引用元: e-GOV法令検索 労働安全衛生法
雇用時の教育で、教えるべき項目も同じく労働安全衛生法の35条で規定されており、以下の8項目に関する教育が行われます。
事業場における作業内容の変更があった場合や、取り扱う設備機器の入れ替えなどを行った場合は、雇用時の教育と同様の内容で、新たに作業内容変更時の教育が義務付けられています。 この講習は新たな雇用者だけではなく、その業務に就くすべての従業員が対象です。
労働安全衛生法第五十九条2項
前項の規定(労働安全衛生法第五十九条)は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する
引用元: e-GOV法令検索 労働安全衛生法
作業現場や事業場内で行う業務の中で、特に労働災害の危険性が高い業務に関しては、特別教育の実施が義務付けられているケースがあります。 特別教育は、その業務に従事するすべての従業員に受講義務があり、同時に雇用者である事業者には、受講してもらう義務があります。
そのため、特別教育を受講していない方が業務に従事した場合には、 事業者にも罰則があるので注意が必要です。
労働安全衛生法第五十九条3項
事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
引用元: e-GOV法令検索 労働安全衛生法
特定の業種において、 新たに職長(作業主任者を除く)となる者に対して、実施が義務付けられている のが職長等への教育です。
労働安全衛生法第六十条
事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
引用元: e-GOV法令検索 労働安全衛生法
上の法律の文章にある「事業場の業種が政令で定めるもの」は、以下のような職種を指します。
職長等への教育で行われる講習内容は以下の通りです。
| 受講内容 | 受講時間 |
|---|---|
| 作業方法の決定および労働者の配置に関すること | 2時間 |
| 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること | 2時間30分 |
| 危険性又は有害性等の調査および その結果に基づき講ずる措置等に関すること |
4時間 |
| 異常時、災害発生時における措置に関すること | 1時間30分 |
| その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること | 2時間 |
| 安全衛生責任者の職務等(安全衛生責任者と兼任する場合) | 1時間 |
| 統括安全衛生管理の進め方 | 1時間 |
| 合計受講時間 | 14時間 |
職長等への教育は、2日間にかけて行います。
安全衛生業務従事者に対し、業務を遂行するにあたって必要な能力を向上させるために設定されているのが能力向上教育です。対象となる安全衛生業務従事者には以下のような者が含まれます。
能力向上教育は、3つに分かれています。 新たに業務に就くことになった安全衛生業務従事者に対する「初任教育」、定期的に受講すべき「定期教育」、作業内容や設備機器の変更などに合わせて行う「随時教育」の3種類です。
事業者は状況に応じて能力向上教育を行うことが、強く推奨されています。
労働安全衛生法第六十条の二
事業者は、前二条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない。
引用元: e-GOV法令検索 労働安全衛生法
能力向上教育と同様に、努力義務とされているのが健康教育です。健康教育には、主に以下のようなことが含まれます。
それぞれの事業場の事情に合わせ、こうした健康教育を行うことで、 従業員の健康保持等を促すことが目標です。
労働安全衛生法第六十九条
事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない。
引用元: e-GOV法令検索 労働安全衛生法

近年の労働環境の変化や異常気象の深刻化に伴い、従来の教育内容をアップデートする必要性が高まっています。特に化学物質の管理体制や熱中症対策については、法的義務の強化や新制度の導入が進んでおり、最新の情報に基づいた教育の実施が急務となっています。
2024年4月より「化学物質の自律的管理」を柱とした改正労働安全衛生規則が完全施行されました。これにより、リスクアセスメント対象物を製造・取扱・譲渡提供する全ての事業場において「化学物質管理者」の選任が義務化されています。
化学物質管理者は、ラベルやSDS(安全データシート)の確認、リスクアセスメントの実施、ばく露防止措置の策定など、現場の安全を自律的に管理する重要な役割を担います。
CIC日本建設情報センターでは、厚生労働省の定めるカリキュラムに準拠した「化学物質管理者講習」を提供しています。全業種に対応しており、事業形態に合わせて「取扱事業場向け」と「製造事業場向け」から選択可能です。
夏季の猛暑が深刻化する中、2024年には「気候変動適応法」が改正されました。これにより、従来の熱中症警戒アラートの一段上の位置づけとして、過去に例のない広域的な危険を知らせる「熱中症特別警戒アラート」が新設され、より高度な管理体制が求められるようになっています。
さらに2025年6月からは、熱中症の早期発見のための体制整備や重症化防止の手順作成などが罰則付きで義務化されています。現場の安全を守るためには、管理者が最新の法改正内容や緊急時の救急処置を正しく理解しておくことが不可欠です。
CIC日本建設情報センターの「熱中症予防労働衛生教育 Web講座」は、これらの義務化ポイントを網羅しており、多忙な業務の間でも効率的に最新の対策を学ぶことができます。

事業者である以上、さまざまな労働安全衛生教育を実施する必要があります。そのためにはある程度計画を立て、しっかりと講習を行っていくのが理想です。では、そんな労働安全衛生教育の実施方法には、どのような方法があるのかを確認していきましょう。
労働安全衛生教育の多くは、自社内でも実施することが可能です。そのために用意すべきは、テキストと講師役の人材です。
雇用時の教育や作業内容変更時のテキストに関しては、厚生労働省にマニュアルがありますので、そのマニュアルを参考にするといいでしょう。特別教育などの場合は、より専門的な内容となりますので、厚生労働省の規定に沿ったテキストを用意する必要があります。
講師役は、原則従業員から選任することが可能です。ただし、実施する教習の内容に関して深い知識や経験を持つ方が対象となりますので、従業員の中でも経験豊富な方を選任しましょう。
特別教育や能力向上教育に関しては、自社内で完結させるのは簡単ではありません。講師役を選任したとしても、その講師役の方は他人にものを教える専門家ではありませんので、どうしても講習の質が担保できません。無理に自社内ですべての講習を行おうとせず、ある程度外部の力を活用するのがおすすめです。
特別教育や能力向上教育など、より専門的な知識が必要であり、また労働災害の防止に直結するような具体的な内容を伝えるべき講習に関しては、外部団体の講習会等の活用を検討しましょう。
こうした講習を提供する団体や企業には、他人にものを教える専門家である講師がいるため、より質の高い講習が可能です。また、自社内でテキストを用意したり、講師を選任したり必要がありません。
自社内で完結させようとした場合、講師役の方も講習期間は業務に従事することができなくなります。上記の通り講師役は経験豊富な従業員となりますので、こうした従業員が1人でも欠けると厳しいという事業場は少なくないでしょう。
自社の業務に大きな影響を与えず、より質の高い講習が受講できる外部団体の利用がおすすめです。

労働安全衛生教育を効率的に進める手段として、オンライン(Web)講座の活用が有効です。自社内の会議室や自宅などで受講できるため、講習会場へ移動するための時間や交通費を大幅に削減できます。
また、インターネット環境さえあれば自社の業務スケジュールに合わせて受講のタイミングを調整できる点も大きなメリットです。現場を長期間止めることなく、必要な知識を個人のペースで着実に習得できるため、多忙な技術者や小規模な事業場にとっても、より効率的で実用的な選択肢といえます。

CIC日本建設情報センターでは、特別教育や能力向上教育、そして最新の化学物質管理者教育など、多岐にわたる労働安全衛生教育を提供しています。集合研修形式で集中して学べる「通学講座」と、場所を選ばず受講できる「オンライン(Web)講座」の両方に対応しており、講習の内容や企業のニーズに合わせて最適な学習スタイルを選択することが可能です。
長年の実績に基づいた分かりやすい教材と、実務に即したカリキュラムにより、形式的な受講にとどまらない、実効性の高い安全教育を実現しています。法令遵守(コンプライアンス)の強化や、現場の安全意識の向上を目指す際は、ぜひご活用ください。

労働衛生教育とは、作業現場や事業場で業務に従事する従業員が、安全で衛生的な環境で働くことができ、また労働災害を未然に防ぐために実施する講習の総称です。安全衛生教育には、4つの受講義務がある講習と、2つの努力義務がある講習があります。
事業者は、義務付けられた講習を確実に実施できるよう計画を立てなければなりません。また、化学物質管理の義務化や熱中症対策の強化といった最新の動向にも対応し、常に職場環境をアップデートしていくことが求められます。
しかし、これらすべての教育を自社内で完結させるのは大きな負担です。専門的な知識や最新の法改正を網羅するためには、外部団体の講習会やオンライン(Web)講座を柔軟に活用するのがよいでしょう。
CIC日本建設情報センターでは、実務に即した多数の安全衛生教育を提供しています。効率的な受講方法を検討されている方は、ぜひ利用を検討してみてください。