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アスベストに関する法律とは?規制内容から罰則まで徹底解説

公開日:2025年11月20日 更新日:2025年11月20日

アスベストに関する法律とは?規制内容から罰則まで徹底解説

アスベストに関する法律とは?規制内容から罰則まで徹底解説

アスベストは優れた耐熱性・断熱性を持つ天然鉱物繊維として、1960年代~2006年まで多くの建築材料に使用されてきました。現在は、建設現場や解体工事において、アスベスト(石綿)への対応は法律で厳しく規制されています。
もし、アスベストに対して適切な知識がないまま工事を進めてしまうと、重大な健康被害を引き起こす可能性があり非常に危険です。また罰則が適用される恐れもあります。
この記事では、アスベストに関する法律について詳しく解説します。違反時の罰則やアスベスト調査の具体的な流れなども触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

また、CIC日本建設情報センターでは、アスベストの事前調査から報告までを全てお引き受けする「石綿の窓口」を用意しております。


CIC石綿の窓口

目次

アスベストとは

アスベストとは

アスベストは、1960年代~2006年まで、優れた耐熱性・断熱性から多くの建築材料に使用されてきた天然鉱物繊維です。ただし、アスベスト繊維の吸入によって肺がんや中皮腫、石綿肺などの深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになり、現在ではその使用は全面的に禁止されています。

まずは、アスベストの種類や健康被害について詳しく解説します。

アスベスト(石綿)の種類

アスベストの種類として、クリソタイル(白石綿)やアモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)などがあります。アスベストの健康被害が明らかになってからは、使用・製造・輸入が法律によって全面的に禁止・規制されています。

例えば、アスベスト保温材ではクリソタイルとアモサイトが利用されていました。どのアスベストが用いられているかは建材によって異なるため、建材ごとに正しい知識を身に付けておく必要があります。

アスベストによる健康被害

アスベスト繊維を吸い込むことで生じるリスクのある健康被害は、主に以下のとおりです。

  • 石綿肺(じん肺の一種):肺組織が線維化する疾患
  • 肺がん:肺に発生する悪性腫瘍
  • 悪性中皮腫:胸膜や腹膜に発生する悪性腫瘍

参考:独立行政法人 環境再生保全機構「アスベスト(石綿)による健康障害のメカニズム」

これらの疾患は潜伏期間が長く、アスベストへの暴露から10年以上経過して発症するケースも珍しくありません。このことから、「静かな時限爆弾」と呼ばれることもあります。現在は、過去にアスベストに暴露した人が数十年後に発症することが問題視されています。

アスベストに関連する主な法律

アスベストに関連する主な法律

アスベストに関する規制は、複数の法律によって幅広く定められています。主な法律をまとめると、以下のとおりです。

  • 労働安全衛生法
  • 大気汚染防止法
  • 建築基準法

ここでは、それぞれの法律について詳しく解説します。

労働安全衛生法・石綿障害予防規則

労働安全衛生法と石綿障害予防規則は、建設現場で働く労働者のアスベストばく露を防止することを目的に、規制内容が定められている法律です。

アスベストに関して、事前調査の実施や作業計画の作成、石綿作業主任者の選任や労働者への特別教育など、解体・改修工事における具体的な義務が定められています。

大気汚染防止法

大気汚染防止法はアスベストの大気中への飛散を防止し、周辺環境や住民の健康を守ることを目的に、規制内容が定められている法律です。

定期的に法改正が行われており、2021年の改正ではレベル3建材(アスベスト含有成形板等)も規制対象に追加され、事前調査結果の報告が義務化されました。解体工事の届出や作業基準の遵守が求められています。

建築基準法

建築基準法では、吹付けアスベストやアスベスト含有吹付けロックウール(含有率0.1%超)の使用禁止など、建築における内容が定められています。

既存建築物の増改築や大規模な修繕・模様替えを行う際には、アスベスト含有建材の除去等が義務づけられており、一定規模以下の場合は封じ込めや囲い込みも認められています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

レベル3建材は「石綿含有産業廃棄物」として、レベル1・2建材は「特別管理産業廃棄物」として適正に処理しなければなりません。そのため、アスベスト含有建材を撤去した後の廃棄物処理についても、法律で厳しく定められています。

アスベスト規制違反時の罰則

アスベスト規制違反時の罰則

アスベストの規制に違反してしまうと罰則が適用される恐れがあります。では、具体的にどのような罰則が適用されるのでしょうか。

ここでは、主な法律の罰則について詳しく解説します。

労働安全衛生法・石綿障害予防規則違反の罰則

労働安全衛生法や石綿障害予防規則に違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が適用される恐れがあります。事前調査の不実施や作業主任者の未選任、特別教育の未実施などが違反の項目に該当します。

また、作業従事者だけでなく事業者側にも罰則が適用される恐れがあるため、必ず有資格者に調査を実施してもらいましょう。

大気汚染防止法違反の罰則

大気汚染防止法に違反した場合、作業基準違反には3か月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用される恐れがあります。事前調査結果の報告義務違反や虚偽報告の場合に適用されるのは、30万円以下の罰金です。

また、改善命令が下されたにも関わらず従わなかった場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という、さらに重い罰則が適用される恐れがあります。

廃棄物処理法違反の罰則

アスベスト含有廃棄物を適切に処理しなかった場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という重い罰則が適用される恐れがあります。主に、不法投棄や無許可業者への委託などが該当します。

また、これまで同様作業者だけでなく、事業者側も罰則が適用される恐れがあるため注意が必要です。

アスベスト調査の具体的な流れ

アスベスト調査の具体的な流れ

アスベスト調査は、主に以下の4ステップで進められます。

  1. 書面調査
  2. 目視確認
  3. 分析調査
  4. 報告書作成と提出

アスベスト調査の流れを正しく理解することで、漏れのない適切な調査を実施できます。それぞれの内容についてみていきましょう。

ステップ1:書面調査

調査の第一段階として、建築物の設計図書や施工図面などの文書をもとに事前調査が行われます。書面調査では、以下の内容を確認します。

  • 建築年次(アスベスト含有吹付け材が規制された年代との照合)
  • 使用建材の仕様
  • 過去の改修・補修履歴
  • アスベスト含有建材の使用記載

書面がない場合や記載が不明な場合でも、建築年次から使用の可能性を考慮することが可能です。ただし、書面の記載のみで判断せず、目視確認なども必ず実施する必要があります。

ステップ2:目視確認

書面調査の結果を踏まえ、実際の建築物で行うのが目視確認です目視確認では、以下の内容を確認します。

  • 書面と実際の建物との差異の確認
  • 後から改修・補修された箇所の確認
  • アスベスト含有が疑われる建材の特定

アスベストは天井・壁・鉄骨・配管など、建物の至るところに使用されている可能性があります。調査対象範囲のすべての箇所を漏れなく確認することが大切です。

発じん性レベルによる優先順位

アスベスト含有建材は、解体時の発じん性(危険度)によって以下のように分類されており、優先度の高いものから順に調査します。

レベル 建材の種類 主な使用箇所
レベル1 石綿含有吹付け材 鉄骨梁・柱の耐火被覆・天井・壁の吸音・断熱
レベル2 アスベスト含有断熱材・保温材・耐火被覆材 配管の保温材・煙突の断熱材・屋根裏の断熱材
レベル3 そのほかの石綿含有建材(成形板など) 天井板・壁板・床材・外壁材

ステップ3:分析調査

目視確認でアスベスト含有の有無が判断できない場合、建材のサンプルを採取し、専門の分析機関で分析調査を行います。主な分析方法は、以下の2つです。

  • 偏光顕微鏡法:アスベストの種類と含有率を測定
  • X線回折法:アスベストの結晶構造を分析して同定

分析結果を記した調査票は、報告書の作成に必要となるため、3年間の保存が義務付けられています。

ステップ4:報告書作成と提出

事前調査の結果は、工事開始前に労働基準監督署や地方の自治体の窓口に提出する必要があります。報告は、石綿事前調査結果報告システムを通じて時間を選ばずに行うことも可能です。

アスベスト含有建材が確認された場合の対応

事前調査でアスベスト含有建材が確認された場合、レベル区分に応じた適切な対応が求められます。以下の表は、レベルによる対応策をまとめたものです。

レベル1 ・工事14日前までに届出の提出
・作業場所の隔離
・集じん・排気装置の設置
・作業員は保護具着用
・薬液などによる湿潤化
・掲示板の設置 など
レベル2
レベル3 ・薬液などによる湿潤化
・作業員は保護具着用
・掲示板の設置 など

2021年にの改正ではレベル3建材も規制対象に追加され、事前調査結果の報告や適切な対応が義務化されました。レベル3では、薬液などの潤滑化や保護具の着用などが求められます。レベル1・2では、集じん・排気装置の設置や作業場所の隔離なども追加され、より厳しい対応が求められます。

信頼できるアスベスト除去業者を見極めるポイント

信頼できるアスベスト除去業者を見極めるポイント

アスベスト除去業者に事前調査を依頼する場合、信頼できる業者選びが大切です。業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてみてください。

  • 資格と許可を取得しているか確認する
  • 経験や実績は豊富か確認する
  • 安全対策は問題ないか確認する
  • 料金と見積りの透明性を確認する

ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

ポイント1. 資格と許可を取得しているか確認する

アスベスト調査・除去は法律で厳しく規制されているため、資格や許可を持つ信頼できる業者選びが大切です。

例えば、「石綿作業主任者」は除去作業の指揮監督に必須の国家資格であり、2022年法改正で義務化された事前調査には「建築物石綿含有建材調査者」の資格が求められます。

また、解体・改修工事には都道府県知事による「解体工事業登録」または「建設業許可」が必要です。業者を選ぶ際は、これらの資格・許可をウェブサイトや契約書で確認し、国土交通省のシステムで実在するか調べることをおすすめします。


CIC石綿作業主任者技能講習


CIC建築物石綿含有建材調査者講習

ポイント2. 経験や実績は豊富か確認する

信頼できる業者を見分けるには、これまでの施工実績を確認することが大切です。特に、依頼を考えている建物と類似した条件(例:住宅、商業施設、工場など)での実績がどのくらい豊富かをチェックしておきましょう。

また実績では、写真を用いて工事の流れが具体的に説明されているかどうかも判断材料になります。実際に依頼した人の口コミ・評判なども確認しておくと安心です。

ポイント3. 安全対策は問題ないか確認する

アスベスト除去作業は非常に危険を伴うため、安全対策の徹底が必要です。業者を選ぶ際は、以下のように適切な防護対策を徹底して作業してもらえるのか、作業中の安全管理がどうなっているかなどを確認しておきましょう。

  • 防護服の着用は徹底しているか
  • 現場の封じ込め対策は万全に行われるか
  • 廃棄物は適切な方法で処理されているか

ポイント4. 料金と見積りの透明性を確認する

見積りを依頼する際は、調査項目や除去方法、廃棄費用まで詳細に記載されているか確認しましょう。

極端に安価な見積もりは、必要な対策が省かれている可能性があります。

過去の施工事例や行政への届出実績なども確認し、信頼性の高い業者を選定してください。

また、見積もりの内訳が詳細で分かりやすいか、項目ごとの単価が明記されているか、追加費用の説明があるかなどを確認しておくと安心です。

アスベスト関連の相談は石綿の窓口がおすすめ!

アスベスト関連の相談は石綿の窓口がおすすめ!

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの調査から報告までを丸ごとお引き受けする「石綿の窓口」を提供しております。ご希望によっては除去工事や産廃、解体工事の「見積り」や「紹介」も無料対応のサービスです。

ここでは、石綿の窓口の特徴や利用の流れについて解説します。

石綿の窓口の特徴

「石綿の窓口」の特徴を大きくまとめると、以下の3つです。

  • 面倒な業務を全て丸投げできる
  • 施工のプロによる高い品質
  • 工事費用の大幅削減が可能

それぞれ詳しく解説します。

特徴1. 面倒な業務を全て丸投げできる

CIC日本建設情報センターの「石綿の窓口」をご利用いただくことで、調査・分析・報告書作成まで全て丸投げ可能です。

書類作成などの難しい業務負担は一切不要になり、本業に専念いただけます。

全国主要エリアで対応可能なため、窓口も一本化できます。建築物だけでなく工作物についてもお気軽にご相談ください。

特徴2. 施工のプロによる高い品質

石綿の窓口は、調査経験が豊富な担当者が窓口になって石綿事前調査結果報告システムの内容を網羅した調査報告書を作成するため、高い品質なのが特徴です。

また、担当者が直接電話対応し、除去工事や産廃などアスベストに関する施工上の疑問や不安なことをお聞きするため安心です。

特徴3. 工事費用の大幅削減が可能

石綿の窓口では、お客様のご希望に応じて、アスベスト除去工事や産廃、解体工事の見積や紹介も無料で行います。そのため、無駄な手間を省きながらトータルの工事費用を削減できます。

石綿の窓口の利用の流れ

「石綿の窓口」を実際にご利用される場合、流れは以下のとおりです。

  1. お問合せ
  2. ヒアリング・見積り提示
  3. 図面・現地調査
  4. 検体分析・報告書作成
  5. 報告書の送付

まずはWebまたはお電話でお気軽にご相談ください。CIC日本建設情報センターの担当者が丁寧にご対応させていただきます。お問い合わせ後、現場に関するヒアリングを実施し、図面等も確認したうえで見積りを無料で提示いたします。

その後、改めて書面調査を行い、その内容にもとづいて有資格者スタッフが現地調査を実施。その後、分析調査や報告書の作成まで行います。報告書の作成完了後、PDFにて事前報告書データをご送付いたします。

アスベストの調査でお悩みの場合は、まずお気軽にご相談くださいませ。

まとめ

まとめ

この記事では、アスベストに関する法律について解説しました。アスベストは、過去に多くの建築物で使用されていましたが、健康被害のリスクが明らかになり、現在では法律で厳しく規制されています。

労働安全衛生法や大気汚染防止法など、複数の法律がアスベストに関する規制を定めており、違反した場合には懲役や罰金などが適用される恐れがあります。またアスベスト調査は、書面調査・目視確認・分析調査・報告書作成と提出の4ステップで進められ、レベル区分に応じた適切な対応が求められます。

CIC日本建設情報センターでは、アスベストの事前調査から報告までを全てお引き受けする「石綿の窓口」を用意しております。建設業界におけるプロが安全面に徹底し、分かりやすくご説明した上で実施致しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

石綿の窓口について詳しくはこちら

お問い合わせ電話:03-6432-4952


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