公開日:2024年5月16日 更新日:2025年5月19日
石綿(アスベスト)は戦後、建築物の資材などに使用されてきた鉱物繊維です。しかし石綿(アスベスト)には深刻な健康被害を及ぼすことがわかり、解体や改修工事の際には事前に石綿等の使用の有無を調査することになりました。
令和2年7月に石綿障害予防規則等が改正(令和5年10月1日に施行)され、必要な知識を持った調査者が事前に建築物石綿含有建材の調査を行うことになりました。
建築物石綿含有建材調査者とは建築物の解体や改修工事を行う際、資材などに含有された石綿について事前に調査できる資格を有する者のことです。
厚生労働省、国土交通省、環境省告示第1号に基づいた講習を受講したうえで、修了考査に合格した者とされています。
建築物石綿含有建材調査者による事前調査の義務化は、令和2年7月に石綿障害予防規則等の改正を受け、令和5年10月1日に施行されました。
建築物石綿含有建材調査者の資格は、事前調査できる範囲によって以下の3つに分類されます。
一戸建て等石綿含有建材調査者は調査できる範囲が限定されており、一戸建ての共用部分の調査などは、特定・一般の資格が必要です。
関連記事:「建築物石綿含有建材調査者とは?資格の概要から試験の難易度まで詳しく解説」
建築物石綿含有建材調査者の資格は建築物石綿含有建材調査者講習を受講し、講習後の筆記試験に合格することで取得できます。
ただし、建築物石綿含有建材調査者講習を受講するには、一定の学歴と実務経験が必要です。
詳しくは次の章でご紹介します。
建築物石綿含有建材調査者講習を受講するには、一定の資格を要するので自身が該当しているのか確認が必要です。
労働局に登録した機関が建築物石綿含有建材調査者の講習を行うことができ、受講する場合はこの登録機関の一覧から選んで申し込みます。登録機関によって受講料やカリキュラムに多少の違いがあるので検討が必要です。
CIC日本建設情報センターも、建築物石綿含有建材調査者講習の2日間の通学講座を行っております。東京・大阪・名古屋のほか全国各地の会場で受講可能です。
建築物石綿含有建材調査者講習を受講するには、一定の資格が必要です。以下の資格以外にも規定されているものがあります。詳細は建築物石綿含有建材調査者講習登録規程第7条をご覧ください。
詳しくはこちらもご確認ください。
建築物石綿含有建材調査者の資格は3つに分類されるため、講習もその資格によって区分されます。
建築物石綿含有建材調査者講習を受講する流れは、次のような手順です。
講習のカリキュラムは講座内容は、『厚生労働省策定の建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程』に基づいて作成されています。
建築物石綿含有建材調査者講習(一般)
① | 建築物石綿含有建材調査者に関する基礎知識 1 | 1時間 |
② | 建築物石綿含有建材調査者に関する基礎知識 2 | 1時間 |
③ | 石綿含有建材の建築図面調査 | 4時間 |
④ | 現場調査の実施と留意点 | 4時間 |
⑤ | 建築物石綿含有建材調査報告書の作成 | 1時間 |
⑥ | 筆記試験 | 1.5時間 |
合計 12.5時間 |
建築物石綿含有建材調査者講習(一戸建て等)
① | 建築物石綿含有建材調査者に関する基礎知識 1 | 1時間 |
② | 建築物石綿含有建材調査者に関する基礎知識 2 | 1時間 |
③ | 一戸建て住宅等における石綿含有建材の建築図面調査 | 3時間 |
④ | 現場調査の実施と留意点 | 1時間 |
⑤ | 建築物石綿含有建材調査報告書の作成 | 1時間 |
⑥ | 筆記試験 | 1時間 |
合計 8時間 |
建築物石綿含有建材調査者講習のカリキュラムの最後に筆記試験が行われ、試験に合格すれば、建築物石綿含有建材調査者の資格を取得できます。
一科目でも欠席した場合は試験を受けられないため、注意しましょう。
試験はマークシート式の筆記試験80問で、60%以上正解する必要があります。
一般建築物石綿含有建材調査者の試験合格率は、約60%〜90%といわれています。
建築物石綿含有建材調査者の試験の過去問は、CIC日本建設情報センターにも掲載していますので参考にしてください。
2023年10月に公開された過去の問題です。注意事項を事前によく確認しておくことも大切です。
建築物石綿含有建材調査者試験の合格率は比較的高いものと考えられます。ただし講習に参加するだけでは不合格になる可能性も否定できません。しっかりと受講し知識を得ることが大切です。
受講中はメモを取りながら、講師の言葉を聞き漏らさないように集中しましょう。2日間とは言え長時間の講義のため、集中力を高める工夫も必要です。
また講師から試験に出る内容について提示される場合がありますので、聞き逃さないように気をつけることが必要です。
なお、試験に出る内容は、実務に通じていることがほとんどです。
”試験をクリアすればいい”ということではなく、しっかりと理解して業務に繋げるということが一番大切になります。
特定建築物石綿含有建材調査者講習は、一般建築物石綿含有建材調査者が受講する講習内容に実地研修や口述試験・調査票試験を追加したものです。
建築物石綿含有建材調査者の一般と特定の違いは、試験方式によるもので、講習や筆記試験の内容については違いはありません。
現在の法律では一般・特定のどちらの資格を保持していても、従事する業務はどちらも同じ範囲となっています。
ただ現時点では、特定と一般の調査者で行える業務は同じですが区分がわかれているので将来的に変更が起こる可能性はあります。
建築物石綿含有建材調査者講習の登録機関機関の一覧は厚生労働省のページからご確認ください。
令和5年10月1日に、建築物石綿含有建材調査者による事前調査の義務化が施行されました。そのため建築物石綿含有建材調査者の育成を早急に行う必要となり、建築物石綿含有建材調査者講習はさまざまな機関で取り扱っています。
CIC日本建設情報センターでも通学やWebでの講習を申し込めます。また社内など複数名のグループで受講する場合には、講師の派遣も行っており「出張研修」も可能です。