
「衛生管理者」の資格取得を考えている方の中で、資格が転職でどう活かせるのか、どのように評価されるのか気になる方も多いのではないでしょうか。衛生管理者は、労働者の健康管理と職場環境の安全維持を担う国家資格です。
転職市場でも高く評価されており、安全衛生法にて選任が義務づけられている観点からみても、将来性・需要ともに安定しています。とはいえ、どのような職場で資格を活かせるのか、転職時にはどうアピールすればいいのか情報の把握が必要です。
この記事では、衛生管理者の転職市場での評価や資格を活かせる職場について解説します。具体的なアピール方法や試験の概要まで触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

衛生管理者とは?転職市場での評価

「衛生管理者」は、労働者の健康管理と職場環境の安全維持を担う国家資格です。転職市場でも高く評価されているため、資格を取得することで有利に働きます。
まずは、衛生管理者の役割や配置義務、一種と二種の違いを詳しくみていきましょう。
衛生管理者の役割と配置義務
衛生管理者の主な役割は、職場内の巡回や健康診断の管理、労働災害防止対策や衛生教育の実施です。労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では衛生管理者の選任が義務付けられています。
また、選任の人数は労働者数に応じて変わります。50人以上で1人以上、200人超で2人以上、3,000人超で6人以上です。選任義務違反をした場合、50万円以下の罰金が適用されることからも、衛生管理者は必要不可欠な人材といえるでしょう。
第一種と第二種の違い
衛生管理者には、第一種と第二種の区分が設けられています。以下の表は、それぞれの違いについてまとめたものです。
| 種類 |
業務可能な業種・事業場 |
有害業務の取り扱い |
| 第二種衛生管理者 |
有害業務を含まない業種に限定される(金融業、情報通信業、小売業など) |
不可 |
| 第一種衛生管理者 |
全業種・全事業場で業務可能 |
製造業や建設業などでも選任可能 |
第二種衛生管理者は、金融業、情報通信業、小売業などの有害業務を含まない業種に限定されます。一方で第一種衛生管理者は、製造業や建設業などの有害業務を含む全業種で選任可能です。
そのため、転職市場では業種の制限がない第一種の需要が高く、取得することで業界・業種の選択肢が大幅に広がります。
衛生管理者の資格を活かせる転職先・職場

衛生管理者の資格は、企業の管理を行う部署・部門で活躍する資格です。そのため、職種というよりも企業の規模や部門などで活躍できるかをチェックしておきましょう。
ここでは、衛生管理者の資格を活かせる転職先・職場について詳しくご紹介します。
人事・総務部門で需要が高い
衛生管理者の資格は、人事・総務部門で需要が高くなります。労働者の健康管理や職場環境の整備、労働災害防止などの業務内容が総務・人事部門での業務と親和性が高いためです。
人事・総務部門で働く場合、一般的には衛生管理者としての専任ではなく、総務や人事の業務を担当しながら兼務します。そのため、管理部門でのキャリアアップに直結する資格として衛生管理者は評価されている傾向です。
大企業への転職で特に有利
衛生管理者の配置義務でご紹介した通り、従業員数が多い企業ほど必要な衛生管理者の選任数は増加します。3,000人超の大企業では6人以上の衛生管理者の選任が必要です。
また、本社だけでなく事業所ごとに配置する義務があります。大企業の場合、全国展開するケースも珍しくないため、衛生管理者の需要は一層高まります。競争率が高い大企業への転職でも衛生管理者の資格は即戦力として評価されるでしょう。
業界別の求人動向
業種別に見た場合、製造業や建設業などの有害業務を含む業種では、第一種衛生管理者が必要不可欠です。サービス業や情報通信業、小売業などでは第二種でも可能ですが、第一種を持っておくことで、将来的な異動や転職の選択肢がより広がります。
また、事業拡大を予定している企業では衛生管理者の需要は増加します。衛生管理者はベンチャー企業から大手企業まで幅広い求人があるため、自分の希望する働き方に合った企業を選択して転職しましょう。

衛生管理者資格を転職活動でアピールする際のポイント

衛生管理者資格の保有によって転職で有利に働きますが、より効果的なアピールができれば、さらに転職の成功率は高まります。転職活動で資格をアピールする際のポイントは、主に以下の3つです。
- 応募書類で誤字なく正しい名前で記載する
- 面接では熱意や貢献意識をアピールする
- 関連資格を取得して更に付加価値を高める
資格を効果的にアピールすることで転職を成功させましょう。
1. 応募書類で誤字なく正しい名前で記載する
転職の際、履歴書を記載することになりますが、「免許・資格」欄には正式名称である「第一種衛生管理者免許」または「第二種衛生管理者免許」を正確に記載しておきましょう。誤字や脱字があると正しく評価されない可能性があるためです。
また、転職サイトや転職エージェントのプロフィール欄への登録も忘れずに行ってください。正確に登録することで企業側からのスカウトを受けやすくなるでしょう。
2. 面接では熱意や貢献意識をアピールする
希望する企業との面接では、資格取得の動機を具体的に説明できるよう準備しましょう。「働きやすい環境づくりに関心があった」「労働者の健康と安全に貢献したい」など、一般的な動機に加えて、企業へどう貢献できるか熱意を伝えることが大切です。
また、総務・人事としてのキャリアビジョンを明確に示すことでより効果的にアピールできるでしょう。
3. 関連資格を取得して更に付加価値を高める
衛生管理者の資格と相性の良い関連資格を取得することで、より自分の付加価値を高められます。知識が身につくだけでなく、転職の成功率もさらに高まるのが魅力です。
取得しておきたい関連資格として、以下の4つが挙げられます。
- 社会保険労務士:労務管理の専門性が高まる
- 安全管理者:安全衛生分野での専門性が高まる
- 防火管理者:施設管理分野での強みを発揮できる
- 危険物取扱者:製造業などでの評価向上につながる
社会保険労務士は労務管理の専門性を高める資格として相性が良い資格です。安全管理者は安全衛生分野での専門性を示し、防火管理者や危険物取扱者は施設管理や製造業などでの評価向上につながります。自分が希望する業種・企業との相性も踏まえながら、積極的に資格取得に挑戦してみてください。
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衛生管理者の試験概要

最後に、衛生管理者資格の試験概要についてまとめます。どんな内容で実施されるのか把握し、資格取得に向けた対策に役立ててみてください。
受験資格
大学・短大・高専卒業者は労働衛生の実務経験が1年以上、高校・中学卒業者は3年以上、学歴を問わない場合は10年以上の実務経験が必要です。また受験申請時には、実務経験を証明する事業証明書の提出が必要となります。
試験科目と合格基準
第一種と第二種では出題範囲が一部異なりますが、基本的な構成は同じです。試験科目は関係法令・労働衛生・労働生理の3科目となります。
また合格基準は、各科目で40%以上かつ3科目合計で60%以上の得点が必要です。過去問と類似した問題の出題傾向が高いため、過去問対策をしっかり行うことで合格の可能性は高まります。
効率的な学習方法
衛生管理者資格は、第一種・第二種ともに過去問を繰り返し解く学習方法が効果的です。まずは参考書で基礎的な知識を身につけ、問題集を繰り返し解きながら知識を定着させていきましょう。
また、関係法令は暗記が中心となりますが、労働生理は人体の仕組みや働きについての理解が大切です。独学よりも効果的な学習をお探しの場合、Web講座を活用し、計画的な学習スケジュールを立てて最短距離で合格を目指すことをおすすめします。
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まとめ

衛生管理者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任義務がある国家資格です。転職市場では、企業にとって必置の資格であること、需要に対して有資格者が不足していることから高く評価されています。
また、資格を活かして転職を成功させるには、応募書類への正確な記載や面接での熱意や貢献意識のアピール、関連資格の取得などが効果的です。特に第一種衛生管理者は全業種で活躍できるため、積極的に取得に挑戦してみてください。
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