
1級電気工事施工管理技士は、大規模な電気工事現場で主任技術者や監理技術者として活躍できる電気系の国家資格です。キャリアアップや年収アップにもつながるため、取得を目指している技術者は少なくありません。
また、1級電気工事施工管理技士は独学でも合格を目指せる資格です。ただし、第二次検定(実地試験)の記述対策や法改正への対応など、独学ならではの課題が存在します。
この記事では、1級電気工事施工管理技士に独学で合格するための勉強方法や必要な勉強時間、おすすめのテキストや選び方について解説します。これから資格取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
1級電気工事施工管理技士は独学で合格できる?

まずは、1級電気工事施工管理技士を独学で目指す上で知っておくべき基本的な情報と、合格率や難しいポイントについて解説します。
独学での合格は十分に可能
1級電気工事施工管理技士は、独学での合格を十分に狙える資格です。実際、多くの受験者は電気工事会社などで現場監督や職人として働いており、日中は現場業務、夜や休日に勉強というスタイルで合格しています。
ただし、独学で合格できるから簡単な試験というわけではありません。勉強スケジュールを組み立てたり自分に適したテキスト・問題集を選んだりして質の高い勉強を継続する必要があります。
合格率から見る難易度
1級電気工事施工管理技士の難易度に関して、合格率からご紹介します。以下の表は、過去3年間の合格率の推移をまとめたものです。
| 年度 |
第一次検定 |
第二次検定 |
| 令和6年度 |
36.7% |
49.6% |
| 令和5年度 |
40.6% |
53.0% |
| 令和4年度 |
38.3% |
59.0% |
第一次検定は40%前後、第二次検定は40〜50%の合格率で推移しています。一見すると合格率が高いように見えますが、1発合格の視点から考えると難易度の高い資格です。
また、令和6年度からは受験資格の緩和(19歳以上であれば実務経験なしで第一次検定を受験可能)により受験者層が広がっています。合格率はあくまでも目安にとどめ、自分の実力に合わせた対策を試験日まで継続することが大切です。
独学の難しいポイント
1級電気工事施工管理技士の合格を独学で目指す場合、難しいポイントは以下の3点です。
| 課題 |
内容 |
| モチベーションの維持 |
仕事が終わった後でも勉強時間を確保する意志が必要。分からない問題に直面した際は自分で解決しなければならない。 |
| 第二次検定の記述式問題の対策 |
自分の実務経験を文章にする「経験記述」などの記述式問題は、単なる暗記では対応できない。自分の書いた文章が合格基準を満たしているか客観的に判断することが難しい。 |
| 法改正への対応 |
最新の法規変更や出題形式の変更に関する情報は、自分で集める必要がある |
上記の課題を乗り越えるために、最新年度版のテキスト・問題集の使用が大切です。プロの解説が掲載されたものであれば、独学でも効率よく対策できます。
1級電気工事施工管理技士の独学合格に必要な勉強時間

ここからは、1級電気工事施工管理技士の合格に必要な勉強時間について解説します。
勉強時間の目安は150〜500時間
合格に必要な勉強時間は、受験者の保有資格や実務経験によって異なります。目安としては150〜500時間程度です。
| 区分 |
勉強時間 |
該当する人 |
| 初学者・基礎から学ぶ人 |
300〜500時間(約6ヶ月〜) |
・1級電気工事施工管理技士補や2級電気工事施工管理技士を持っていない
・現場経験が浅い
・基礎知識からしっかり学ぶ必要がある人 |
| 経験者・関連資格保有者 |
150〜250時間(約3ヶ月〜) |
・第一種電気工事士や電験三種を取得している
・1級電気工事施工管理技士補や2級電気工事施工管理技士を取得している
・普段から施工管理業務に携わっている人 |
上記の勉強時間はあくまでも目安です。「1日何時間勉強できるか」から計算し、自分に必要な期間をイメージしておきましょう。
第一次検定と第二次検定の比率
1級電気工事施工管理技士は第一次・第二次検定で構成されているため、勉強時間の配分も大切です。第一次検定と第二次検定では対策の質が異なります。
| 第一次検定 |
電気工学・電気設備・関連法規・施工管理法などからの出題。マークシート方式のため、スキマ時間を活用した過去問演習が中心となる。暗記要素もあるため、反復学習が効果的。 |
| 第二次検定 |
施工管理法に関する記述式試験。特に「経験記述」は実際に文章を書いて推敲する時間が必要で、机に向かってじっくり取り組む時間の確保が求められる。 |
第二次検定は、第一次検定よりも多めの時間を確保しておきましょう。第一次検定が終了したら、すぐに切り替えて取り組むなどの工夫が大切です。
1日の勉強スケジュール例
以下の表は、働きながら合格を目指すためのスケジュール例をまとめたものです。
| 区分 |
時間 |
内容 |
| 平日 |
合計2時間 |
・朝30分・通勤30分:単語帳やアプリで用語チェック
・帰宅後1時間:テキスト読み込み、過去問題を解く |
| 休日 |
合計3〜4時間 |
・まとまった時間で過去問を年度別に解く
・経験記述の文章作成と修正 |
「毎日少しずつでも触れる」ことが記憶の定着には効果的です。平日はインプット中心、休日はアウトプット中心とメリハリをつけるとより勉強の質を高められるでしょう。
1級電気工事施工管理技士の勉強で大切な3つのポイント

1級電気工事施工管理技士の勉強で大切なポイントは、主に以下の3つです。
- 過去問を5~7年分繰り返す
- 苦手分野を作らない(特に法規と施工管理法)
- 第二次検定の「経験記述」の対策は早めに開始する
勉強のポイントを把握しておけば、より迷わずに対策を継続できます。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
ポイント1. 過去問を5~7年分繰り返す
試験問題の中には、過去に出題された問題に類似したものや応用問題が出題されます。そのため、まずは過去5〜7年分の過去問を繰り返し解いて出題傾向を掴みましょう。
特に第一次検定は、過去問に類似した問題が出題されやすい傾向です。過去問を解きながらテキストも併用することで最短距離での合格を目指せます。
ポイント2. 苦手分野を作らない(特に法規と施工管理法)
勉強していると得意な分野・苦手な分野が登場するかと思いますが、苦手分野・弱点は克服することが大切です。特に関連法規・施工管理法の問題は落とさないよう対策しておきましょう。
というのも、法規や施工管理法は出題数が比較的多く、暗記でも対応しやすいジャンルなので得点を稼ぎやすい分野です。過去問題集とテキストと併用しながら、「正解以外の選択肢がなぜ不正解か」までじっくり理解を深めてみてください。
ポイント3. 第二次検定の「経験記述」の対策は早めに開始する
多くの受験者が苦戦する内容が、第二次検定の「経験記述」です。経験記述の対策は、一次試験が終わってから準備するのでは遅い可能性があります。
早い段階で自分の担当した電気工事の実績(工期・施工内容・現場状況など)を整理し、「安全管理」「品質管理」「工程管理」などの管理項目に分けて、どのような課題があってどう対処し、どのような結果になったか骨組みを考えておきましょう。骨組みをもとに書き方を徹底して学習することで効率よく合格を目指せます。
独学におすすめのテキスト・過去問題集の選び方

独学では、自分に適したテキスト・問題集選びが非常に大切です。失敗しないためのポイントは、主に以下の3つです。
- 解説が詳しく分かりやすいものを選ぶ
- 実績のある企業から出版されているものを選ぶ
- 最新の法改正・試験制度に対応しているか
それぞれの内容について詳しく解説します。
選び方1. 解説が詳しく分かりやすいものを選ぶ
過去問を解く際、正解の選択肢だけでなく「なぜ他の選択肢は間違いなのか」まで理解を深められると、より効率的に知識が定着します。そのため、解説が詳しく分かりやすいものを選びましょう。
また、図解やイラストが豊富なものは、視覚的にイメージしやすいためおすすめです。解説の分かりやすさ・イラストの豊富さは必ずチェックしてください。
選び方2. 実績のある企業から出版されているものを選ぶ
テキスト・問題集は施工管理や電気系資格の試験対策で実績のある企業から出版されているテキストから選ぶことをおすすめします。実績のある企業のテキストは、膨大な過去のデータ分析に基づいて作られているためです。
データに基づいて「出るところ」と「出ないところ」が明確に整理されていると、安心して学習を進められます。無理に満点を狙わず、合格に焦点を当てて最短距離で目指せるのがメリットです。
選び方3. 最新の法改正・試験制度に対応しているか
電気・建設業界では法改正が頻繁に行われます。令和6年度からの受験資格緩和のように試験制度自体も変更されるケースもあります。
中古のテキストは、新しい出題形式への対応や情報の古さからリスクを伴うためおすすめできません。必ず最新年度版のテキストを購入して勉強しましょう。
1級電気工事施工管理技士の独学に関するよくある質問

ここでは、1級電気工事施工管理技士の独学に関するよくある質問についてまとめました。
実務経験がなくても受験できますか?
第一次検定は、令和6年度より満19歳以上であれば実務経験を問わず受験可能となりました。ただし、第二次検定を受験して1級電気工事施工管理技士の資格認定を受けるためには実務経験が必要です。
まずは第一次検定合格(技士補)を目指すのもキャリア形成の有効な手段といえます。
過去問だけの勉強で合格できますか?
過去問対策は有効的な手段であるものの、単体だけでは不十分な可能性が高いです。近年は過去問題の丸暗記では対応できない応用力が試される問題も増えています。第二次検定も記述式なので過去問だけでは対策が難しいといえます。
プロが分かりやすく解説したテキスト・過去問題集を併用して対策するのがおすすめです。
勉強はいつ頃から始めれば良いですか?
初学者の場合は試験の半年前、電気系の資格保有者や実務経験がある方でも3ヶ月前には始めましょう。仕事と両立しながらの対策になるため、余裕を持った状態から開始することをおすすめします。
まとめ

この記事では、1級電気工事施工管理技士に独学で合格するための方法について詳しく解説しました。1級電気工事施工管理技士は独学で合格を目指せますが、簡単な試験ではありません。
合格に必要な勉強時間は、受験者ごとに異なりますが150〜500時間程度が目安です。勉強方法としては、テキスト・過去問題集の併用が軸となるため、信頼できる機関が出版した分かりやすいものを選びましょう。
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