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施工管理の現場で求められる事務作業とは?工事計画・進行・完了までを支える事務作業、アシスタントの役割などを詳しく解説

公開日:2025年5月13日 更新日:2025年5月13日

施工管理の現場で求められる事務作業とは?工事計画・進行・完了までを支える事務作業、アシスタントの役割などを詳しく解説

施工管理の現場で求められる事務作業とは?工事計画・進行・完了までを支える事務作業、アシスタントの役割などを詳しく解説

施工管理の仕事は、建設現場で重要な役割を担うものです。

施工計画や現場の監督だけでなく、事務作業も仕事に含まれます。施工計画の立案から資材の発注、進捗管理や報告書の作成などの事務業務の正確さとスピードも、工事全体の品質に直結するためとても大切です。

この記事では、施工管理における事務作業について「工事開始前」「工事中」「工事完了後」の3つに分けて詳しく解説します。

また、施工管理アシスタントの役割や、事務職として求められるスキルについても紹介します。

施工管理の現場でどのような事務作業が行われているのか知りたい方や、転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。


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目次

施工管理の仕事における事務作業とは?​

施工管理の仕事における事務作業とは?

施工管理の仕事は、工程・品質・原価・安全といった工事全体のマネジメントを行う業務です。その中で、事務作業はすべての工程を裏から支える基盤となります。

工事開始前から完了時における事務作業を大きくまとめると以下のとおりです。

  • 施工計画書や見積書の作成、資材や人員の手配に必要な資料作成
  • 進捗を記録する日報や会議資料、写真の整理など
  • 竣工報告書や請求書の作成・提出など

裏方仕事に見えがちな事務作業ですが、実際は現場の効率や安全性を高めるために欠かせないものです。経験豊富な施工管理技士であっても、正確な資料や書類なしでは工事を円滑に進められません。

施工管理の仕事における事務作業は、現場とは別に重要な業務の1つといえるでしょう。

工事開始前の事務作業

工事開始前の事務作業

多くの業務内容がある事務作業の中でも、工事開始前に該当するのは以下のとおりです。

  • 施工計画書の作成​
  • 顧客との打ち合わせ資料の準備​
  • 原価計算(見積書・発注書の作成)​
  • 図面の作成(プロット図・施工図)​
  • 申請や調達手配

それぞれの内容について詳しく解説します。

施工計画書の作成​

施工管理の初期段階では、「施工計画書」の作成が必要不可欠です。

施工計画書は、工事全体の進行を管理するための基本資料のことで、「施工要領書」「安全衛生管理計画書」「工程表」などの関連書類を作成します。

施工要領書は、明確な作業手順を記載したものです。安全衛生管理計画書はリスクアセスメントや事故防止策などを具体的に記載した書類です。

工程表は、着工から完了までの流れや各作業のタイミングを示した書類で、関係者間での情報共有に活用されます。

施工計画書の作成は、元請・協力会社・発注者との連携の基盤であり、工事の品質と安全を支える重要な事務作業といえるでしょう。

顧客との打ち合わせ資料の準備​

施工管理の仕事では、施主や発注者との打ち合わせに使う資料も、事前準備が必要です設計図やイメージパース、工程表や仕様書などをまとめ、要望に対して的確に応えられるようにします。

打ち合わせ時の確認内容を反映した資料は、合意形成の証拠となるだけでなく、後工程での食い違いを防ぐ手段としても活用できるため紛失しないように管理が大切です。また、議事録にて誰が何を決めたのかを明確に記録しておくことで、よりスムーズに作業を進められるでしょう。

原価計算(見積書・発注書の作成)

原価計算は、工事の予算の管理において大切となるものです。材料費・人件費・機械使用料などのコストを積算して見積書を作成します。

見積り書は、金額の根拠や内訳を明確に示すことで顧客の納得感にもつながるため、見積書の作成は重要な事務作業の1つです

また、業者や協力会社に資材や作業を依頼する際、発注書の作成も必要となります。発注書に発注内容や金額、納期などを正確に記載することでトラブルの未然防止につながります。

発注書の作成も見積り書同様、施工管理の事務作業で基本的かつ重要な業務の1つです。​

図面の作成(プロット図・施工図)​

施工管理技士が従事する現場では、現場の状況や施工の内容を図面で正確に表すことが欠かせません。

プロット図や施工図の作成は、工事の精度や安全性に直結する重要な事務作業の1つです。

CADソフトなどを使って、設計者や各工種の担当者とコミュニケーションを図りながら図面を仕上げていきます。図面は工程ごとに細かく修正が加わることも多く、正確さと柔軟な対応力が求められます。

申請や調達手配

施工前には、さまざまな申請業務や手配業務が発生します。たとえば、道路使用許可や建築確認申請など、行政機関への許可申請が必要です。行政機関への申請は、着工前に確実に済ませておく必要があり、書類の不備や遅延が生じると工期に大きな影響を及ぼします。

また、工事に使用する資材や機材の調達手配も仕事の1つです。仕様・数量・納期を管理し、現場のスケジュールに合わせて段取りする能力が求められます段取りに伴って、関係者との連絡調整も大切です。

各業者や担当者とのスムーズなコミュニケーションを図り、誤配や手配漏れを防ぐことがポイントといえるでしょう。

工事進行中の事務作業

工事進行中の事務作業

続いて、工事進行中における事務作業をご紹介します。主な作業内容は以下のとおりです。

  • 朝礼用資料の準備​
  • 職人や関係者との会議運営​
  • 日報・報告書の作成​
  • 写真の管理​
  • 作業手順書の作成​

それぞれの作業内容について詳しく解説します。

朝礼用資料の準備​

作業現場での朝礼は、1日の作業内容や注意事項を共有する重要な場所です。施工管理の事務作業では、調整の際に使用される資料の準備も含まれます。

資料には作業予定、天候、作業人数、安全対策などを盛り込んで、関係者全員が同じ認識で動けるように図ります。複数の業者が入る現場では、作業の重複や干渉を避けるために情報の可視化が欠かせません。

また、朝礼の資料は日々内容が変わるため、正確かつスピーディーな対応力が必要です。

職人や関係者との会議運営​

施工管理の現場では、定期的に行われる関係者との会議も欠かせません。会議は、進捗確認や課題共有、変更点の説明などを目的に実施されます。事務作業としては、会議資料の作成やアジェンダの準備、議事録の記録などが生じます。

会議の運営においては、職人や協力会社の担当者とスムーズに情報を共有するため、資料のわかりやすさや内容の正確性が必要です。議事録は、合意内容や対応方針を後から確認できる重要な記録となるため、丁寧にまとめると後の仕事がしやすくなります。

日報・報告書の作成​

工事が進行している期間は、工事の進捗を記録する日報や定期的な報告書の作成も業務の1つとなります。日報は、作業内容や作業人数、発生したトラブルや対応策などを記録し、現場の状況を正確に把握する手段として活用します。

また、週報・月報などの報告書は、発注者や社内管理者への報告資料として必要です。工程管理や原価管理の資料としても利用されるため、正確性と分かりやすさを意識して作成する力が求められます。

写真の管理​

現場で撮影された施工写真の管理も、工事期間中の事務作業として大切です。写真は作業内容の証拠となるほか、安全対策や品質管理の確認にも活用されます。工程ごとに分類・整理し、ファイル名や撮影日時、位置情報などを記録しておきましょう。

また、写真は報告書や申請書類に添付するケースも多く、適切な形式や解像度への調整も欠かせません。そのため、撮影した写真を正確に管理することで、トラブルの対応や検査時の信頼性につながります。

作業手順書の作成​

施工管理技士が従事する現場において、安全かつ効率的に工事を進めるためには、作業手順書の作成が不可欠です。作業手順書には作業の流れや使用機材、注意点や担当者の分担などが記載されており、職人や関係者にとっての共通ルールとして用いられます。

高所作業や重機使用などリスクの高い作業では、具体的かつ明確な手順書が事故・労働災害発生の防止に大きく影響します。そのため、現場の現状を上手く書類に反映させる柔軟性や分かりやすい文書を作るスキルが求められます。

工事終了時の事務作業

工事終了時の事務作業

工事終了時の主な事務作業は、以下のとおりです。

  • 工事完了報告書(竣工報告書)の作成​
  • 完了検査申請書の作成​
  • 請求書の作成と手配​

それぞれの内容について詳しく解説します。

工事完了報告書(竣工報告書)の作成

工事が完了した後は、「工事完了報告書」または「竣工報告書」の作成が必要です。報告書には、工事の概要や実施内容、使用資材、写真資料などが記載されます。書類作成後は、発注者や監督官庁に提出する流れです。

報告書は、契約通りに工事が完了したことを証明するための資料なので非常に大切です。内容に誤りや不足があると再提出を求められる可能性があるため、正確かつ詳細な記載が求められます。報告書は社内の記録として次の工事計画の参考資料にもなるのも特徴です。

完了検査申請書の作成​

工事の完了後は、監督官庁や第三者機関による完了検査を受ける必要があります。そこで提出するのが「完了検査申請書」です。

完了検査申請書には、検査の対象や実施日時、工事内容などを記載します。

法令や規定に沿った形式で作成する必要があるため、検査に必要な図面や写真、書類をスムーズに揃えて手続きを進めなければなりません。申請ミスや不備があると検査日程の延期や引き渡しに影響が出る可能性があるため、細かなチェックが大切です。

請求書の作成と手配​

工事の完了後は、発注者に対しても請求書を提出します。

請求書には、契約内容に基づいた金額や支払条件、工事期間などを正確に記載します。

請求書の作成や提出は支払期日を過ぎないよう、必要書類を添付しながら早めに準備を進めることが大切です。また、元請業者として協力会社への支払いを行う場合も、請求内容や納品確認などの対応が求められます。

金額のミスや手配漏れは信用問題につながるため、丁寧かつ正確な処理能力が必要です。

施工管理アシスタントの役割とは?

施工管理アシスタントの役割とは?

ここまで見ると「施工管理の事務仕事は1人で担うのに負担が大きい」と感じる人もいるのではないでしょうか。事実、このボリュームの仕事量を1人で抱えると負担は大きいため、施工管理の仕事ではアシスタントを雇うケースもあります。

ここでは、施工管理アシスタントの役割について詳しく解説します。

現場監督の右腕として事務業務をサポート

施工管理アシスタントは、現場監督を支える右腕として、主に事務作業を担当するポジションです。

図面や工程表、見積書、報告書などの資料作成をはじめ、写真撮影・整理や備品管理、申請書類の作成補助、業者との連絡など、幅広い事務の業務を担います。

現場監督となる施工管理技士が円滑に判断・指示を出せるよう、情報整理と記録管理の正確さが求められる仕事です。また、実務を通じて施工管理に必要な知識も習得できるため、将来的に施工管理技士を目指す場合におけるキャリアパスの第一歩としても活用できます。

未経験から始められる入口としても注目

施工管理アシスタントは、建設業界未経験でもチャレンジしやすい職種です。特別な資格がなくても始められる求人が多く、PCスキルやビジネスマナーがあれば即戦力として歓迎されるケースもあります。

最初は事務作業からスタートし、徐々に現場知識を身につけることでキャリアアップも可能です。現場経験が豊富な施工管理技士と日常的に関わるため、実践的な学びが得られます

ここまで解説した通り、事務作業といっても現場の効率や安全性を高めるために欠かせないため、やりがいも十分です。将来的に施工管理技士を目指す人にとって、有効的な働き方といえるでしょう。

施工管理の事務作業で役立つスキル

施工管理の事務作業で役立つスキル

施工管理の事務作業で役立つスキルは、主に以下のとおりです。

  • CADの使用や図面の読解力​
  • Microsoft Office(Excel、Word、PowerPoint)の活用​
  • 時間管理能力​
  • コミュニケーション能力​

それぞれの内容について詳しく解説します。

CADの使用や図面の読解力​

施工管理では図面の扱いが欠かせないため、CADの操作スキルや図面を読み取る力があると役立ちます。

作業手順や寸法、構造の情報が正確に把握できることで、資料作成や現場との連携がスムーズになるためです。

未経験であっても、基本的な図面記号や構成を理解できれば大きな問題はありません。仕事を通じて簡単な図面修正や追記ができるようになれば、現場からの信頼も高まって業務の幅も広がるでしょう。

Microsoft Office(Excel、Word、PowerPoint)の活用​

事務作業では、ExcelやWord、PowerPointといったOfficeソフトの操作が求められます。

Excelは工程表や原価計算、日報の集計などに活用され、Wordは報告書や申請書の作成に使われる傾向です。PowerPointは会議や打ち合わせ資料の作成向けのソフトで、視覚的にわかりやすい資料作成で使われます。

また、基本的な関数やレイアウト、印刷設定などをマスターしておくと、作業効率が大きく向上します事務作業のスキルは会社規模に関係なく、どんな現場でも通用する汎用スキルとなるでしょう。

時間管理能力​

施工管理の仕事では多くの業務を並行して進めるため、時間管理能力が大切です。事務作業に関しても同様で、工程に合わせて納期や提出期限を調節・厳守する必要があります。

また、突発的な対応やトラブル処理も発生するため、優先順位をつけて業務を進めることも大切です。現場のスケジュールを可視化し、タスクを整理しながら優先順位を正しくつける習慣があると、ミスや遅延を防げます

資格として残るスキルではありませんが、どの現場においても基盤となるものといえるでしょう。

コミュニケーション能力​

事務作業とはいえ、施工管理の仕事では多くの人間と関わりを持ちます。

設計者・職人・発注者・協力会社など、さまざまな立場の人と情報をやり取りする機会が多く、相手に合わせて文書を作成し、伝える力が求められます。

また、メールや電話、対面での対応からスムーズな進行を支える調整力が大切です。人間どうしのやり取りとなるため、質問しやすい雰囲気づくりや聞かれた内容に対する的確な回答も信頼を高める要素として欠かせません

コミュニケーション能力は、雰囲気の良い現場を作るための潤滑油として大きな武器となるでしょう。

まとめ

まとめ

この記事では、施工管理における事務作業を「工事開始前」「工事中」「工事完了後」の3つに分けて解説しました。

施工管理の事務作業は、各セクションごとに多くの業務を担います。現場での役割と比較して見劣りするかもしれませんが、裏方として現場の効率や安全性を高めるための支えとなる大切な仕事です。

また、施工管理の事務作業は非常に業務内容が多いため、最近では施工管理アシスタントの存在が注目を集めています。施工管理アシスタントとして働くことで、効率的に施工管理技士を目指すことも可能です。

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