公開日:2024年7月22日 更新日:2024年7月22日
自社の事業場もしくは作業現場において、重要なポイントとして考えるべきは、労働災害を発生させないことです。また、同時に従業員が安全で衛生的な環境で働けるというのも大事なポイントとなります。
こうした作業現場や事業場を実現するために、必要とされるのが安全衛生教育です。この記事では、安全衛生教育とはどのようなものなのかという点から、効率的な受講方法まで詳しく解説していきます。
労働衛生教育とは、労働者が安全で衛生的な職場環境で業務を遂行しながら、作業現場や事業場などで発生する可能性がある労働災害を防止することを目的に行われる講習全般を指します。つまり、労働衛生教育は、1つの講習の名称というわけではなく、労働災害を防止するために行われる講習全般をまとめて指す言葉となります。
法律上定められている労働衛生教育は全部で6種類あり、そのうち4つの講習が実施義務があるもの、残り2つの講習が実施は努力義務のものです。
まずは6種類ある労働衛生教育について紹介していきましょう。法的根拠も同時に紹介していきます。
事業者が、新たに雇用契約を結んだ従業員に対し行う義務があるのが雇用時の教育です。これは、労働安全衛生法の59条で規定されています。
雇用時の教育で、教えるべき項目も同じく労働安全衛生法の35条で規定されており、以下の8項目に関する教育が行われます。
事業場における作業内容の変更があった場合や、取り扱う設備機器の入れ替えなどを行った場合は、雇用時の教育と同様の内容で、新たに作業内容変更時の教育が義務付けられています。この講習は新たな雇用者だけではなく、その業務に就くすべての従業員が対象です。
作業現場や事業場内で行う業務の中で、特に労働災害の危険性が高い業務に関しては、特別教育の実施が義務付けられているケースがあります。特別教育は、その業務に従事するすべての従業員に受講義務があり、同時に雇用者である事業者には、受講してもらう義務があります。
そのため、特別教育を受講していない方が業務に従事した場合には、事業者にも罰則があるので注意が必要です。
特定の業種において、新たに職長(作業主任者を除く)となる者に対して、実施が義務付けられているのが職長等への教育です。
上の法律の文章にある「事業場の業種が政令で定めるもの」は、以下のような職種を指します。
職長等への教育で行われる講習内容は以下の通りです。
受講内容 | 受講時間 |
---|---|
作業方法の決定および労働者の配置に関すること | 2時間 |
労働者に対する指導又は監督の方法に関すること | 2時間30分 |
危険性又は有害性等の調査および その結果に基づき講ずる措置等に関すること |
4時間 |
異常時、災害発生時における措置に関すること | 1時間30分 |
その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること | 2時間 |
安全衛生責任者の職務等(安全衛生責任者と兼任する場合) | 1時間 |
統括安全衛生管理の進め方 | 1時間 |
合計受講時間 | 14時間 |
職長等への教育は、2日間にかけて行います。
安全衛生業務従事者に対し、業務を遂行するにあたって必要な能力を向上させるために設定されているのが能力向上教育です。対象となる安全衛生業務従事者には以下のような者が含まれます。
能力向上教育は、3つに分かれています。新たに業務に就くことになった安全衛生業務従事者に対する「初任教育」、定期的に受講すべき「定期教育」、作業内容や設備機器の変更などに合わせて行う「随時教育」の3種類です。
事業者は状況に応じて能力向上教育を行うことが、強く推奨されています。
能力向上教育と同様に、努力義務とされているのが健康教育です。健康教育には、主に以下のようなことが含まれます。
それぞれの事業場の事情に合わせ、こうした健康教育を行うことで、従業員の健康保持等を促すことが目標です。
事業者である以上、さまざまな安全衛生教育を実施する必要があります。そのためにはある程度計画を立て、しっかりと講習を行っていくのが理想です。では、そんな安全衛生教育の実施方法には、どのような方法があるのかを確認していきましょう。
安全衛生教育の多くは、自社内でも実施することが可能です。そのために用意すべきは、テキストと講師役の人材です。
雇用時の教育や作業内容変更時のテキストに関しては、厚生労働省にマニュアルがありますので、そのマニュアルを参考にするといいでしょう。特別教育などの場合は、より専門的な内容となりますので、厚生労働省の規定に沿ったテキストを用意する必要があります。
講師役は、原則従業員から選任することが可能です。ただし、実施する教習の内容に関して深い知識や経験を持つ方が対象となりますので、従業員の中でも経験豊富な方を選任しましょう。
特別教育や能力向上教育に関しては、自社内で完結させるのは簡単ではありません。講師役を選任したとしても、その講師役の方は他人にものを教える専門家ではありませんので、どうしても講習の質が担保できません。無理に自社内ですべての講習を行おうとせず、ある程度外部の力を活用するのがおすすめです。
特別教育や能力向上教育など、より専門的な知識が必要であり、また労働災害の防止に直結するような具体的な内容を伝えるべき講習に関しては、外部団体の講習会等の活用を検討しましょう。
こうした講習を提供する団体や企業には、他人にものを教える専門家である講師がいるため、より質の高い講習が可能です。また、自社内でテキストを用意したり、講師を選任する必要がありません。
自社内で完結させようとした場合、講師役の方も講習期間は業務に従事することができまくなります。上記の通り講師役は経験豊富な従業員となりますので、こうした従業員が1人でも欠けると厳しいという事業場は少なくないでしょう。
自社の業務に大きな影響を与えず、より質の高い講習が受講できる外部団体の利用がおすすめです。
CIC日本建設情報センターでは、特別教育や能力向上教育などを多数提供しています。また、実施する講習の内容に合わせ、通学が必要な講習の場合は通学講座を、自社内でも受講できる講習の場合はオンライン(Web)講座と、両方に対応しています。
オンライン(Web)講座で受講できる講習に関しては、オンライン(Web)講座の利用がおすすめです。オンライン(Web)講座であれば、自社のタイミングで受講できますし、受講のために移動(通学)をする必要がありません。より効率的に講習を受講できるでしょう。
労働衛生教育とは、作業現場や事業場で業務に従事する従業員が、安全で衛生的な環境で働くことができ、また労働災害を未然に防ぐために実施する講習の総称です。安全衛生教育には、4つの受講義務がある講習と、2つの努力義務がある講習があります。
受講義務がある講習は確実に受講できるように計画を立てましょう。努力義務の講習に関しても、できるだけ実施できるように調整するのがおすすめです。
すべての安全衛生教育を、自社内で完結されるのは大きな負担となります。そこで適宜外部団体の講習会や、オンライン(Web)講座を活用するのがおすすめです。
CIC日本建設情報センターでは、多数の安全衛生教育を提供しています。安全衛生教育の計画を立てるために、効率的な受講方法を探している方は、ぜひ利用を検討してみてください。