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衛生管理者の仕事内容や建設業界における役割を徹底解説

公開日:2025年9月30日 更新日:2025年9月30日

衛生管理者の仕事内容や建設業界における役割を徹底解説

衛生管理者の仕事内容や建設業界における役割を徹底解説

労働安全衛生法では、企業が従業員の健康と安全を確保するためのさまざまな義務を定めており、その中でも特に重要な役割を担うのが「衛生管理者」です。しかし、「衛生管理者って、具体的にどんな仕事をするの?」「建設現場でも必要なの?」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、衛生管理者の仕事内容から、建設業界における役割、資格の種類、そして選任義務まで、徹底的に解説します。建設業界でのキャリアアップを目指す方は、ぜひ参考にしてください。


CIC衛生管理者

目次

衛生管理者とは

衛生管理者とは

衛生管理者とは、労働安全衛生法に基づき、職場の衛生環境を管理・改善する役割を担う衛生管理者の免許を受けた者(国家資格)の中から選任される専門家です。労働者が健康で快適に働けるように、作業環境の調査や健康管理、衛生教育など、幅広い業務を行います

労働安全衛生法では、常時50人以上の従業員が働く事業場に、1人以上の衛生管理者を選任することを義務付けています。事業場の規模が大きくなるほど、選任する衛生管理者の人数も増え、労働者数3,001人以上の事業場では、6人以上を選任しなければなりません。これは、従業員の健康と安全を守ることが、企業の重要な責任であると法律で定められているためです。

衛生管理者は、ただ従業員の健康状態をチェックするだけでなく、職場の安全衛生に関する専門家として、事業者に対して改善提案や助言を行う重要なポジションです。

衛生管理者の仕事内容

衛生管理者の仕事内容

衛生管理者の主な仕事は、従業員の健康障害を防止し、快適な職場環境を維持することです。

具体的な仕事内容は多岐にわたりますが、主な仕事は従業員の健康を守り、安全で快適な職場環境を維持することです。例えば、粉塵や騒音といった作業環境の調査・改善、従業員の健康診断の実施管理、長時間労働者への面談指導など、労働者の健康管理全般を担います。

さらに、熱中症や食中毒予防の衛生講習、保護具の正しい使用方法の指導といった衛生教育も重要な役割です。週に1回以上の職場巡視も義務づけられており、危険箇所のチェックや清掃状況の確認を通じて、健康障害や事故を未然に防ぎます。

衛生管理者の仕事内容については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

関連記事:【一種・二種】衛生管理者の受験資格は?資格概要やメリットまで徹底解説!

建設業界における衛生管理者

建設業界における衛生管理者

建設業界は、他の業種と比べて労働災害のリスクが高いとされています。そのため、衛生管理者の役割は非常に重要です。建設現場特有の衛生管理業務について、さらに詳しく見ていきましょう。

現場の環境管理

建設現場は、気温や湿度、粉塵、騒音など、環境要因が従業員の健康に直接影響を与えます。衛生管理者は、これらのリスクを管理し、労働環境を改善します。

  • 熱中症対策:夏場の高温多湿な環境下では、こまめな水分・塩分補給、休憩所の確保、空調服の導入など、熱中症予防の対策を徹底する。
  • 粉塵・騒音対策:削岩機やコンクリートカッターなどを使用する際は、作業員に防塵マスクや耳栓の着用を義務付け、健康被害を予防する。
  • 休憩所の衛生:休憩所や仮設トイレの清掃・消毒を徹底し、感染症の予防に努める。

労災・事故の予防と対応

建設現場では、高所作業や重量物の運搬など、危険を伴う作業が多くあります。衛生管理者は、事故や労災を未然に防ぐためのリスクアセスメント(危険性評価)を実施し、万が一の事態に備えます。

  • 安全な作業手順の確認:危険を伴う作業を行う前に、安全な手順が確立されているか、作業員に周知されているかを確認する。
  • 保護具の点検:ヘルメット・安全帯・安全靴など、保護具に不備がないかを日々点検する。
  • 労災発生時の対応:労災が発生した際には、労働基準監督署への報告や、再発防止策の策定を行う。

建設現場における衛生管理者は、現場の安全を最前線で守る「安全衛生のプロフェッショナル」といえるでしょう。

衛生管理者の資格の種類と違い

衛生管理者の資格の種類と違い

衛生管理者の資格は、業務を行う事業場の種類によって「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」の2種類に分けられます。

第一種衛生管理者

衛生管理者として、有害業務を含むすべての業種で働ける資格です。製造業・建設業・運送業・医療業など、化学物質や粉塵、騒音などによる健康被害のリスクが高い業種がこれに該当します。建設業で衛生管理者を目指す場合は、第一種衛生管理者の資格が必須です。

受験資格は、大学・短大・高等専門学校を卒業している場合は1年以上の実務経験、高校卒業の場合は3年以上の実務経験が必要となります。例年の合格率は45%前後で推移しており、しっかりと対策をすれば十分合格を狙える難易度です。

第二種衛生管理者

有害業務と関連の少ない業種に限定して、衛生管理者として働ける資格です。金融業・保険業・情報通信業・卸売業・小売業など、主に事務作業が中心となる業種が該当します。

第二種衛生管理者試験の受験資格は第一種と同じで、大学や短大を卒業した場合は1年以上、高校卒業の場合は3年以上の実務経験が必要です。例年の合格率は50%前後で第一種と比べてわずかに高いものの、試験の出題範囲が狭い分、より対策がしやすい傾向にあります。

第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の違い

両者の最大の相違点は、対応できる業種の範囲です。第一種衛生管理者は、化学物質や放射線、多量の粉塵などが発生する「有害業務」を含む事業場でも働けます。一方、第二種衛生管理者は、そうした有害業務を扱う事業場で選任できません。

このため、建設業界のように有害業務を伴う現場が多い業種では、第一種衛生管理者の資格が必須となります。両者の詳しい違いやそれぞれの試験内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:衛生管理者資格の一種・二種の違いとは?受験資格や試験内容を比較!

衛生管理者の平均年収

衛生管理者の平均年収

衛生管理者の資格は、独立した職種として給与が定められるケースは少なく、多くの場合、総務・人事・労務管理など他の業務と兼任することが一般的です。そのため、年収は企業の規模・勤続年数・担当業務の内容によって大きく異なります。

例えば、建築の施工管理技術者が衛生管理者を兼務する場合、その年収は一般的に高くなる傾向があります。これは、施工管理技術者としての専門性が高く評価され、元々の給与水準が高いためです。このように、衛生管理者の資格自体が直接的に年収を大幅に引き上げるというよりは、もともとの業務内容や待遇が年収に大きく影響するといえるでしょう。

しかし、衛生管理者は需要の高い国家資格であるため、資格手当を支給する企業が増えています。資格を取得することで、基本給に加えて手当が支給されるため、収入アップにつながる可能性が高いでしょう。

また、専門知識を持つ人材として企業から重宝されるため、昇進やキャリアアップにも有利に働きます。特に、慢性的な人手不足が課題となっている建設業界では、衛生管理者の資格を持つ人材は貴重な存在であり、転職や就職においても有利になるといえます。

衛生管理者の選任義務と罰則

衛生管理者の選任義務と罰則

衛生管理者の選任義務を怠った場合、企業は罰則の対象となるだけでなく、社会的信用も失う可能性があります。ここでは、具体的な選任義務の基準と、違反した場合の罰則について見ていきましょう。

選任義務

労働安全衛生法により、常時50人以上の従業員が働く事業場では、衛生管理者を選任する義務があります。選任すべき人数は、労働者の数に応じて以下のように定められています。

労働者数 選任人数
50人〜200人 1人以上
201人〜500人 2人以上
501人〜1,000人 3人以上
1,001人〜2,000人 4人以上
2,001人〜3,000人 5人以上
3,001人以上 6人以上

事業場とは、本社・支店・営業所・工場・建設現場など、一定の組織的な作業が行われる場所を指します。つまり、たとえ同じ会社でも、それぞれの事業場で選任義務が発生するのです。

罰則

衛生管理者の選任義務があるにもかかわらず選任を怠った場合、50万円以下の罰金が科されます。労働者の健康と安全を軽視する行為に対して、企業に厳格な警告を与えているのです。

また、罰金だけでなく行政指導の対象にもなり、企業の社会的信用を失うリスクもあります。衛生管理者の選任は、企業の社会的責任として重要な義務です。

まとめ

まとめ

この記事では、衛生管理者の仕事内容から建設業界における役割、資格の種類、そして選任義務について解説しました。

衛生管理者の資格は、人々の安全と健康を守る社会貢献性の高い仕事であり、建設業界をはじめとする多くの分野で需要が高まっています。資格を取得することで専門性を高められる上に、キャリアアップを実現するための大きな武器にもなるでしょう。

しかし、独学での勉強はどこから手をつけていいか迷ったり、挫折してしまったりすることが少なくありません。そんな不安を解消し効率的に合格を目指したい方は、CIC日本建設情報センターの講座がおすすめです。

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