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アスベストは見分けられる?外観判断の危険性と、使用場所や使用年代の類推方法を解説

公開日:2025年11月20日 更新日:2025年11月20日

アスベストは見分けられる?外観判断の危険性と、使用場所や使用年代の類推方法を解説

アスベストは見分けられる?外観判断の危険性と、使用場所や使用年代の類推方法を解説

「この建材はアスベストだろうか?」

解体や改修工事の現場で、誰もが一度は抱く疑問です。インターネットで「アスベスト 見分け方」と検索すると、色や質感、燃え方などで判断する方法が数多く見つかります。

しかし、断言します。

アスベストを見た目だけで確実に見分けることは不可能であり、安易な自己判断は極めて危険です。

この記事では、石綿(アスベスト)の業務に携わる皆様が、法令を遵守し、安全を確保するために必要な正しい知識と実践的な手順を解説します。


CIC石綿の窓口

目次

アスベストの基礎知識

アスベストの基礎知識

アスベスト対策の第一歩は、その正体を正確に理解することから始まります。

アスベストの用途と使用される建材

アスベストは、耐熱性、耐久性、絶縁性に優れた安価な繊維状の天然鉱物で、かつて建築分野では、鉄骨の耐火被覆、屋根材、壁材、床材、配管の保温材など、多岐にわたり使用されてきました。

アスベストの危険性と健康被害

アスベストの繊維は直径0.02〜1マイクロメートルと極めて細くなるため、一度飛散すると肉眼では見えません。この微細な繊維を吸い込むと肺の奥深くに沈着し、数十年後に肺がんや悪性中皮腫など、治療が困難で深刻な健康被害を引き起こします

解体・改修工事は、この見えない脅威を拡散させる最もリスクの高い行為であり、だからこそ厳格な規制が設けられています。

アスベストの見分け方:外観からの判断

アスベストの見分け方:外観からの判断

多くの人が最も知りたい「見た目での見分け方」。しかし、ここには大きな落とし穴があります。

アスベストを色や質感、見た目や触感で判断できるか?

結論から言うと、専門家でも、見た目だけでアスベストの有無を断定することはできません。アスベストはセメントなどの他の材料と混合して使用され、その特徴が外観に現れないことがほとんどだからです。インターネット上には、「指でこする」「酢をかける」「ライターであぶる」といった方法が散見されますが、いずれも建材を破壊するため飛散によるばく露リスクが極めて高く、またアスベストの判別も困難であるため、絶対に行わないでください。

最新の簡易判別ツールとその限界

近年、科学的な手法を用いた簡易的な判別ツールが登場しています。これらは、含有の可能性を判断する「当たりをつける」上で参考になります。ただし、法的に有効な含有の判断には使用できません。

携帯型アスベストアナライザー

迅速に判定可能な機器。1%以下の低濃度での精度に課題があり、機器も高価。

AI搭載アスベストチェッカー

画像で判定するスマートフォン用のアプリ。精度が約70%と低く、検出するアスベストの種類も限定的。

現場用発色式検出キット

安価な試薬キット。検出感度が「含有率2%以上」と、低濃度での精度に課題あり。

外観に頼れるアスベストマーク等の確認方法

客観的な証拠となるのが建材に印字されたマークです。点検口などから確認できる場合があります。

アスベストマーク(aマーク) アスベスト含有を示すマーク。1989年以降、一部の石綿含有建材に自主的に表示されている。
JISマーク 2005年10月1日以前の旧JISマークが付いた製品は、アスベストを含有している可能性あり。
不燃材料認定番号 製品に表示された認定番号(例:不燃 第1004号など)と製造時期をデータベースと照合することで含有の有無を特定できる場合あり。

ただし、これらのマークを確認するために天井裏などへ立ち入る際には注意が必要です。鉄骨の梁などには、最も飛散性の高いレベル1の吹付けアスベストが施工されている可能性があり、不用意に立ち入ることで高濃度のアスベストにばく露する危険があります。確認は、適切な保護具を着用して実施するか、専門家に依頼すべきです。

アスベストの見分け方:年代と資料の確認

アスベストの見分け方:年代と資料の確認

「年代」と「資料」による客観的な調査。しかし、アスベストの有無を見分けられる状況は非常に限定的です。

建物の施工年月日からの推測

アスベストの規制の歴史と施工年月日等を比較することで、アスベスト含有建材の使用の可能性を推し量ることができます。

1975年(昭和50年) アスベスト含有率が5重量%を超える吹付け作業が原則禁止。
1995年(平成7年) より危険性の高いアモサイト(茶石綿)・クロシドライト(青石綿)の使用が禁止。1%を超える濃度の吹付け作業禁止。
2004年(平成16年) クリソタイル(白石綿)を含む建材等10品目の製造等が禁止。
2006年(平成18年)9月1日 アスベスト含有率が0.1重量%を超える製品の製造・使用が原則全面禁止。この日以降に着工した建物は、施工年月日が分かる資料があれば、アスベスト含有なしと判断されます。

(補足)過去に行われていた建材ごとの製造中止年による含有なしの判断は、石膏ボード再生材や接着剤など、不確実な事例が確認されたため、現在では原則として認められていません。

設計図書(図面や仕様書)の確認方法

施工図や竣工図、仕様書等から、アスベスト含有の可能性のある建材や使用箇所を読み取ります。次に、記載されている製品名をメーカーの資料や、国土交通省などが公開する「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で照合し、アスベスト含有の可能性がある建材を絞り込みます。

ここで、二点注意点があります。

一点目は、「石綿含有建材データベース」に製品名が登録されていなくても、それが不含有の証明にはならないということ。そしてもう一点は、現場が図面通りではない可能性があることです。図面に記載された製品名と実態が異なる場合や、図面にない施工がされているなど、資料と実態が異なる場合は多くあります。

したがって、書面調査は仮説を立てる段階であり、現地での目視調査は必須です。

アスベストを含む建材の種類と使用場所

アスベストを含む建材の種類と使用場所

アスベスト含有建材は非常に種類が多いため、ここでは発じんのしやすさの目安として設定されているレベルごとに、代表的な建材を紹介します。

発じん性レベル 建材名 主な使用箇所例 外観・特徴
レベル1(著しく高い) 吹付けアスベスト 鉄骨の耐火被覆、機械室・ボイラー室の吸音・断熱 綿状で柔らかく、もろい。白色、灰色、茶色、青色など。
レベル2(高い) 石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材 ボイラー本体や配管の保温、煙突や屋根の断熱 板状、筒状、布団状。配管に巻き付けられていることが多い。
レベル3(比較的低い) 石綿含有成形板、ビニル床タイル、仕上塗材 屋根材、外壁材、内装材、床、内外壁の仕上げ 硬質で高密度なボード状、波板状、タイル状、意匠性のある仕上げ。

アスベストと似た素材の特徴

ロックウールやグラスウールはアスベストと同様の繊維状ですが、繊維の形状や太さの違いから、目視でもある程度の推測は可能です。しかし、アスベストが意図的に混合されていたり、周辺から混入したりする可能性があるため、安易に判断はできません。

これらの素材の正確な識別も、最終的には分析調査に委ねるのが最も確実です。


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発見後の対処と法的手順

発見後の対処と法的手順

アスベスト含有の疑いがある建材を見つけた場合、以下の手順で対処します。

応急措置と連絡:建材に触らず、そのエリアへの立ち入りを制限します。速やかに調査会社や、地方公共団体のアスベスト対策窓口に連絡し、指示を仰ぎます。

事前調査(書面・目視):有資格者が図面と現地を確認します。

分析調査:書面・目視で判断できない場合、法に基づき専門機関で分析します。

行政への報告:一定規模以上の工事では、結果を「石綿事前調査結果報告システム」で電子報告します。

作業計画の策定・届出:レベル1・2建材の除去には、作業計画を作成し労働基準監督署などへ届け出ます。

除去工事:レベルに応じ、隔離や湿潤化など厳格な基準に則って実施します。

廃棄物処理:除去物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき、適正に処理します。

アスベスト調査の専門業者の選び方

アスベスト調査の専門業者の選び方

価格を超えて:コンプライアンスと安全のためのパートナー選定

信頼できる業者に支払う費用は、単なる出費ではありません。それは、法的な罰則、工事中断、健康被害といった壊滅的なリスクに対する「保険料」です。意思決定の軸を「価格」から「リスク除去の価値」へと移行させましょう。

優良な専門業者を見極めるチェックリスト

有資格者のレベルと在籍状況
一般もしくは特定建築物石綿含有建材調査者の資格を持つ者が複数在籍しているか。

信頼性の高い分析機関の保有または連携
分析機関を自社で保有しているか、もしくは信頼性の高い分析機関と提携しているか。

経験・実績
官公庁や大型の建設会社の案件をいくつ受けているか。また、自社分析の場合、分析実績はどの程度か。

見積もりの透明性
「書面・目視調査」「分析調査」などの内訳が詳細に記載されているか?

まとめ:アスベストの見分けは専門家へ。確実な調査が未来を守る

まとめ

本記事で解説してきた通り、アスベストの有無を外観や資料だけで確実に判断することは不可能です。有効な見分け方は「有資格者による書面・目視調査」と「分析調査」しかありません。

法規制が強化された今、アスベスト対策は企業の存続に関わる重要な課題です。しかし、複雑化する法規制への対応や信頼できる業者の選定は、煩雑で専門知識を要します。

そんな専門家の皆様の負担を軽減し、本業に集中できる環境を整えるのが、私たちの役目です。

「石綿の窓口」では、有資格者による確実な調査から分析、行政報告、そして信頼できる除去業者のご紹介まで、アスベストに関するあらゆる業務をワンストップでサポートします。全国対応、明朗な料金設定で、お客様の「安全」と「安心」を確実なものにします。

アスベストに関するご相談や見積りは無料です。是非、お気軽にお問い合わせください。

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お問い合わせ電話:03-6432-4952


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