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小型車両系建設機械運転特別教育の重要性と災害事例から学ぶ 作業環境と安全意識

公開日:2025年8月27日 更新日:2025年8月27日

小型車両系建設機械運転特別教育の重要性と災害事例から学ぶ 作業環境と安全意識

小型車両系建設機械運転特別教育の重要性と災害事例から学ぶ 作業環境と安全意識

自動車を運転するときに「運転免許証」が必要であるように、小型車両系建設機械を運転するためには、「特別教育」を受講し、修了証を取得する必要があります。

作業者が特別教育を受講しないまま運転作業を行う、または、管理者が作業者に受講させないまま運転作業をさせると、事業者には罰則が科される可能性があります。また、死亡事故を含む労働災害のリスクも高まります。

今回は小型車両系建設機械に関わる3つの災害事例を安全意識の観点からご紹介します。特に受講を考えている作業者の方、受講させなくてはならない管理者の方は必見です。


小型車両系建設機械運転特別教育

目次

小型車両系建設機械運転特別教育の重要性

小型車両系建設機械運転特別教育の重要性

小型車両系建設機械運転特別教育とはどんな内容なのでしょうか。

機体重量3トン未満の車両系建設機械を小型車両系建設機械といい、小型車両系建設機械の運転業務に従事するには、特別教育を修了することが労働安全衛生法により義務付けられています。

例えば、整地・運搬・積込み用機械のブルドーザーや、掘削用機械の油圧ショベルなどの機械が該当します。

年齢や学歴に関わらず、小型車両系建設機械運転(機体重量3トン未満)に従事する方ならどなたでも受講できます。

受講についての詳しい内容はこちらをご覧ください。

小型車両系建設機械の特別教育とは?対象とカリキュラムについて解説

小型車両系建設機械の特別教育の受講方法は?Webがおすすめの理由について解説

小型車両系建設機械運転に関する代表的な災害事例

小型車両系建設機械運転に関する代表的な災害事例

事例1:高所作業車のデッキ手すりと橋桁底部との間にはさまれる

 

発生状況 有料道路上方にパーキングエリアをPC橋梁構造で設置する工事現場において、橋梁上部工橋桁の型わく解体作業中に発生した。

被災者は、高所作業車(作業床高さ14.8m)を用いて、橋梁上部工橋桁の底板部分の型わく解体を開始した。

解体作業が終了したので高所作業車を操作してデッキを収納しようとしたが、操作を誤ったためにブームが逆に伸びてしまい、デッキ上の操作盤の手すりと橋桁底部との間に身体をはさまれた。

事故の原因 作業床の高さが地上から10mを超える高所作業車の運転を行うには「高所作業車運転技能講習」の資格が必要であるにもかかわらず、被災者は偽造した資格証を提出していたため、無資格で高所作業車の運転操作を行った。

会社は資格の確認も作業指揮者の指名も行わず、被災者に危険な作業をさせた。

結果(けが・死亡・周囲への影響) 被災者は死亡した。
防げたポイント 会社が確認した有資格者が、正しい知識のもと作業する。

作業前のKY活動、打ち合わせをしっかり行う。

参考:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/sai/saigai_index.html

事例2:削孔機が転倒し作業者の胸部に激突

 

発生状況 夕方の作業終了前に、翌日の開始位置に削孔機を移動させていた。

削孔機の後ろから別の作業者が押し、前から被災者が引いたところ、削孔機の動きが悪くて削孔機が転倒し、被災者の胸部に激突した。

事故の原因 現場は移動方向に下り勾配であり、適切な作業方法や手順の指示がなかった。

作業時の削孔機の重心が高く、また、機械の清掃を行っておらず削孔くずが底部にはさまっていた。

結果(けが・死亡・周囲への影響) 被災者は死亡した。
防げたポイント 削孔機はモーターやドリルが高い位置に取り付けられていて重心が高くなっており、転倒の危険性が高いことを周知する。

管理者は作業場の状況や安全上の留意点を適切に伝えて、危険性の低い手順で作業を行わせる。

参考:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/sai/saigai_index.html

事例3:ブレーキ操作を誤り、後進したブル・ドーザーに巻き込まれる

 

発生状況 被災者がブル・ドーザーの作業開始前点検を始めたが、点検しようとしていたブル・ドーザーの停止位置が傾斜地だったので、ブル・ドーザーを約3m後進させて平坦な地山の上に移動した。

その際ブレーキの操作を誤っていた。

クローラーの上に乗り、手を伸ばしてエンジンを始動したところ、ブル・ドーザーが後退し始めた。

そのため被災者は、クローラーと運転席乗車用ステップとの間に巻き込まれたのち、クローラーから地面に落下しブレードにひかれた。

事故の原因 車両系建設機械の運転者が運転位置から離れるときには、エンジンを止め、及び走行ブレーキを掛ける等の逸走防止措置を確実に行うことが安衛法で定められているが、被災者はこの作業を行わなかった。

なお、エンジンの始動をクローラーの上で行ったことも不適切だった。

また、このブル・ドーザーは、クラッチを切らないとエンジンがかからない安全装置が備わっていたが、被災者が知らないうちにクラッチを切らなくても起動できる状態に不正改造されていた。

結果(けが・死亡・周囲への影響) 被災者は死亡した。
防げたポイント 車両系建設機械の管理責任者を定め、適切な点検管理指示書をもとに作業者に正しい点検の指示をする。

運転者による機械の不正改造のないよう管理する。

参考:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/sai/saigai_index.html

事故の背景・原因分析

事故の背景・原因分析

3つの災害事例をご紹介しましたが、これらの死亡事故の背景には共通点があります。

  • 元請事業者が管理を怠り、適切な作業指示を行わなかったこと
  • 「このくらい大丈夫だろう」と警戒を怠ったこと

特に注意したいことは、管理者の安全意識の低下です。管理者が作業者に必要な教育を受けさせ、日々のKY活動を怠らずにいれば防げた事故もあったでしょう。

もちろん作業者一人ひとりも安全について意識し、正しい知識のもと「だろう作業」を行わないことが大事です。

小型車両系建設機械による災害を防ぐための現場対策と教育

小型車両系建設機械による災害を防ぐための現場対策と教育

管理者は朝礼やKY活動を形式的なものにせず、常に危険と隣り合わせの作業であることを作業者一人ひとりに意識させることが大切です。

しかし、作業者が正しい作業手順や安全管理の知識を独学で学ぶことは難しいです。

そのため、管理者は作業者に対して適切な教育を受けさせる義務があります。

「小型車両系建設機械特別教育」を受講すると、機体質量3トン未満の整地・運搬・積込み用及び掘削用の車両系建設機械を運転できるようになります。

特別教育は、学科と実技の講習から構成されており、学科では法令関係や、機械に関する知識等が学べるので、幅広い作業に応用できるでしょう。

特に機械の誤操作や不適切な使用による事故を防ぐことができるのでおすすめです。

受講資格は特にありませんので、管理者は小型車両系建設機械の運転業務に携わる作業者に受講させて、会社・事業場全体の安全意識を高めていきましょう。

まとめ

まとめ

今回ご紹介した事例のような痛ましい事故を起こさないように、作業者に適切な教育を受けさせることは、管理者の義務です。

CIC日本建設情報センターでは、建設業界向けのさまざまな教育をオンライン講座で提供しており、今回ご紹介した小型車両系建設機械運転特別教育も受講することができます。

オンライン講座では、不正な受講を防ぐために、顔認証システムを導入しています。また、受講者一人ひとりに専用アカウントを発行いたしますので、受講の信頼性と公平性が高まります。

受講者はインターネット環境さえあればいつでも資格を取得することができます。

受講後の修了証は、PDF版とカードタイプの両方を提供しています。PDF版は受講後すぐにダウンロードができるため、急を要する場合でも安心です。

カードタイプの修了証は現場での携帯や、提示が必要な場合に便利です。

小型車両系建設機械運転特別教育の受講について、詳しくはこちらをご覧ください。

受講を通して作業者の安全意識を高めることは、会社全体の安全の向上と成長に繋がっていきます。作業者一人ひとりが正しい知識をもって、適切な作業を行っていき、安全な労働環境を実現しましょう。


小型車両系建設機械運転特別教育

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