電気主任技術者とは?できることや仕事内容、資格の種類、第一種から第三種の違いを解説!

電気主任技術者とは?
できることや仕事内容、資格の種類、第一種から第三種の違いを解説!

電験三種コラム07

電気主任技術者の資格は、事業用電気工作物の工事・運用・維持といった保安監督業務を担う国家資格です。

ただし、電気主任技術者は電気工事士などの資格と比較してあまり知名度があるわけではないため、どういった資格か知らないといった方も少なくありません。

本記事では、電気主任技術者とはどういった資格か、仕事内容や資格の種類について解説します。

第一種から第三種の違いについて確認してください。

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電気主任技術者とは?

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電気設備のある建物では、事業用電気工作物(電気設備)の保安を目的に、電気主任技術者の資格保有者を選任しなければいけません。

電気主任技術者とは、ビルや病院、工場などの電気設備に関する工事・維持・運用といった保安監督業務を担う国家資格のことです。

電気工事を担当する電気工事士と違い、電気主任技術者は、電気工事の現場における監督や電気設備の保守・点検を行います。

電気工事士の資格を有している技術者であれば、電気設備の修理を行うこともありますが、基本的には電気工事士が工事、電気主任技術者が監督を担うといった役割分担です。

電気主任技術者の主な仕事内容について

電気主任技術者は、建物の外や屋上、電気室にて設置されている「キュービクル」と呼ばれる電気機器を収納した設備にて仕事します。

電気主任技術者の主な仕事内容は、次の3つです。

  • 電気設備の定期点検
  • 電気設備の竣工検査
  • 電気設備の故障対応

それぞれの仕事内容について詳しくみていきましょう。

仕事内容① 電気設備の定期点検

まず1つ目の仕事は「電気設備の定期点検」です。

これは、基本的に1ヵ月に1度実施する月次点検や年に1度実施する年次点検が該当します。

月次点検は、電気主任技術者として一番触れることの多い仕事です。

試験器の操作などは多くありませんが、次の内容で異常の有無を確認します。

  1. 電圧と電流の測定
  2. 漏電の有無の確認
  3. 電気機器の外観点検と温度測定
  4. その他の異常の有無

また、年次点検については先ほどの月次点検の実施内容に加えて、接地抵抗測定や絶縁抵抗測定、保護継電器試験も追加で実施します。

そのため、月次点検よりも覚える内容が多く、点検についても専用の試験器を使用して行うのが特徴です。

現場によっては、停電・通電時に電柱を昇降しての作業もあるため、体力も必要な仕事といえるでしょう。

仕事内容② 電気設備の竣工検査

電気主任技術者の2つ目の仕事が「電気設備の竣工検査」です。

竣工検査では、新しく設置された電気設備が安全に使用できるかを検査します。

月次点検や年次点検よりも多くの試験項目を扱うため、覚える内容が多くなるのが特徴です。

点検の内容については、下記の表をご覧ください。

  1. 電気機器の外観点検
  2. 接地抵抗測定
  3. 絶縁抵抗測定
  4. 絶縁耐力試験
  5. 保護継電器試験

竣工検査では、絶縁耐力試験(大きな電圧をかけて行う電気設備の耐力試験)など危険を伴うものもあります。

また、比較的長時間(2~3時間)の現場となるため、夏場などでは特に体力を消耗する検査です。

そのため、水分補給や休憩といった検査以外での配慮も必要となります。

仕事内容③ 電気設備の故障対応

電気主任技術者の3つ目の仕事内容が「電気設備の故障対応」です。

電気設備に不具合や故障が見つかった場合、原因を突き詰めて対処の方法を判断します。

  • 電気機器の経年劣化
  • 小動物の侵入による電気事故
  • 大雨や雷などによる電気設備の不良

一般的に多く見られる電気設備の不良は上記の通りです。

原因箇所を突き詰めた後、修理や工事が必要と判断した際は、電気工事士に依頼します。

修理や工事の当日は、現場の監督者として立ち合いが必要です。

電気設備の故障は大きな事故に繫がる可能性があります。

そのため、月次や年次点検の外観点検では、電気機器の寿命も考えながら点検し、予防保全するのが一般的です。

電気主任技術者の資格は3種類ある

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電気主任技術者には、第一種~第三種までの区分があります。

第一種電気主任技術者がすべての電気設備の監督や保安業務に従事できる資格です。

第二種・第三種になると従事できる規模が小さくなります。

従事できる規模の具体的な違いとしては、次の通りです。

資格現場の規模
第一種電気主任技術者すべての事業用電気工作物
第二種電気主任技術者電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物
第三種電気主任技術者電圧5万ボルト未満(出力5,000KW以上の発電所を除く)の事業用電気工作物

すべての事業用電気工作物の保安監督に従事できる第一種を取得するのが理想的ではありますが、非常に難易度が高いため、まずは第三種の取得から目指しましょう。

第三種電気主任技術者でも合格率は約10%と非常に低いため、少しずつ知識をつけて第一種へステップアップすることをおすすめします。

ただし、第三種電気主任技術者の資格が役に立たないといったわけではありません。

むしろ、大規模な施設を除いては6,600Vで受電している設備が多いため、第三種電気主任技術者の資格だけでもかなりの電気設備に従事できます。

そのため、いきなり最高難易度の第一種や第二種に臨むのではなく、第三種電気主任技術者を取得して経験を積んだ後に第二種・第一種に挑戦してください。

電気主任技術者の資格試験の概要

続いて、電気主任技術者の資格試験に関する概要を解説します。

ここでは、試験内容や試験時間、合格基準や日程などについて確認してください。

試験内容

電気主任技術者の試験内容については、次の通りです。

資格区分第一種・第二種電気主任技術者第三種電気主任技術者
試験内容一次試験理論・電力・機械・法規理論・電力・機械・法規
二次試験電力・管理、機械・制御
試験形式一次試験マークシートマークシート
二次試験記述式

電気主任技術者試験の区分によって試験形式は異なります。

加えて、各科目の試験範囲がそれぞれで広いことも電験の特徴です。

科目合格制度による複数年での取得も電気主任技術者では狙えるため、自分に適した方法で試験対策を行いましょう。

合格基準

電気主任技術者試験の合格基準は、基本的に試験が終わった後で発表されます。

これは、試験の難易度によって合格基準が調整されるためです。

ただし、一般的には60%以上の正答率が合格基準の目安となります。

第一種や第二種の二次試験に関しても60%以上の正答率が合格の目安です。

試験に臨む場合は、60%以上の正答率を目指して対策するとよいでしょう。

試験日程

電気主任技術者の試験日程については、次の通りです。

資格区分試験日程
第一種電気主任技術者一次試験8月中旬~下旬頃
二次試験11月上旬~中旬頃
第二種電気主任技術者一次試験8月中旬~下旬頃
二次試験11月上旬~中旬頃
第三種電気主任技術者上期試験8月中旬~下旬頃
下期試験翌年3月下旬頃

令和4年度から第三種電気主任技術者(電験三種)の実施回数が2回に変わりました。

上期・下期試験の両方の申し込みが可能です。

ただし、新型コロナウイルスの影響によって試験日程が変更される場合もあるため、電気技術者試験センターのホームページを必ず確認してください。

実施回数が年2回に変更になった点について、下記のコラムで詳しく解説しています。

気になる方はぜひご覧ください。

試験時間

電気主任技術者試験の試験時間については、次の通りです。

横にスワイプで左右にスライドできます。

資格区分試験時間
第一種電気主任技術者一次試験
  • 理論:90分
  • 電力:90分
  • 機械:90分
  • 法規:65分
二次試験
  • 電力・管理:120分
  • 機械・制御:60分
第二種電気主任技術者一次試験
  • 理論:90分
  • 電力:90分
  • 機械:90分
  • 法規:65分
二次試験
  • 電力・管理:120分
  • 機械・制御:60分
第三種電気主任技術者
  • 理論:90分
  • 電力:90分
  • 機械:90分
  • 法規:65分

参照:電気技術者試験センター

受験する試験や科目で時間が異なります。

特に第一種や第二種は、一次・二次試験でそれぞれ異なるため、必ず確認しておきましょう。

受験者数と合格者数

電気主任技術者試験は、第一種の難易度が一番高く、続いて第二種・第三種といった順番です。

2020年度の受験者数と合格者数から各資格の合格率と難易度をみていきましょう。

横にスワイプで左右にスライドできます。

資格区分受験者数合格者数合格率
第一種電気主任技術者一次試験1,508人759人50.3%
二次試験933人134人14.3%
第二種電気主任技術者一次試験6,235人1,695人27.2%
二次試験2,512人701人27.9%
第三種電気主任技術者39,010人3,836人9.83%

表を見ると第三種電気主任技術者の受験者数が圧倒的に多いことが分かります。

第二種や第一種の合格率は、第三種よりも高い水準を推移していますが、1問当たりの難易度は非常に高くなるのが特徴です。

勉強のモチベーションをいかに継続できるかが合格のカギといえるでしょう。

電気主任技術者に関するよくある質問

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ここでは、電気主任技術者に関するよくある質問についてみていきましょう。

質問①:資格によって収入は異なる?

第一種・第二種・第三種電気主任技術者の資格によって収入は異なります。

ただし、第三種の年収が極めて低いといったわけではありません。

一番難易度の低い第三種でも、300万円~500万円が年収の相場です。

その他資格を有していることによる資格手当やキャリアアップによって相場以上の年収も狙えます。

第二種・第一種に関しては、第三種よりも難易度が非常にアップしますが、従事できる仕事の範囲が非常に広がることから取得することで年収1,000万円も視野に入ります。

年収1,000万円に関しては、管理職の経験や独立など知識や技術以外の要素も必要となりますが、上を目指しやすいのが電気主任技術者の長所ともいえるでしょう。

電気工事士の年収について詳しく知りたい方は、下記のコラムもご覧ください。

質問②:資格を取得するメリットは?

電気主任技術者の資格を取得するメリットとしては、業務独占資格による安定した職種である点が挙げられます。

電気主任技術者は、電気事業法第43条にて設置が義務づけられているため、資格を有した方でしか仕事に従事できません。

電気が現代社会において必要不可欠な存在であるため、電気主任技術者の需要は無くなることがなく、安定した職種であるといえます。

資格試験の難易度は電気資格の中でも難しい部類に入りますが、得られるメリットが大きいといった点が電気主任技術者の特徴です。

質問③:電気主任技術者に向いている人は?

電気主任技術者に向いているのは「仕事に必要なコミュニケーション能力を有しつつ新たな知識や技術を身につけられる方」です。

電気主任技術者の仕事では、必ず他の技術者とのコミュニケーションが存在します。

また、他の技術者だけでなく、一般の方に対しても「気づいたことを難しい言葉を使わずにわかりやすく伝える力」が必要となるため、コミュニケーション能力は必須です。

専門用語ばかりを用いても伝わらないため、仕事を通して学んだことをかみ砕いて伝える必要があります。

このほか、電気設備の規模によっては班編成を用いて点検する現場もあるため、実施する計画や電気設備の形状・点検内容についてもわかりやすく伝えることが大切です。

専門知識や電気設備に対しての技術力も必要ですが、これらに加えてコミュニケーションも大切にできる方が電気主任技術者に向いているといえるでしょう。

質問④:試験は1年に何回実施される?

電気主任技術者試験ですが、第一種・第二種に関しては年1回、第三種に関してのみ年に2回実施されます。

第三種電気主任技術者は、令和4年度から年に2回の実施となり、上期試験・下期試験の両方の申し込みが可能です。

ただし、新型コロナウイルスの影響により試験日程が変更される場合もあるため、電気技術者試験センターのホームページを必ず確認しておきましょう。

質問⑤:独学でも試験に合格できる?

結論として、電気主任技術者試験は独学でも合格できます。

ただし、次の3つの注意点を把握した上で勉強を進めましょう。

  • 参考書の内容が理解できるか
  • モチベーションが維持できるか
  • スケジュールを管理できるか

例えば、第三種電気主任技術者(電験三種)の場合、合格に必要な勉強時間は約1,000時間とされています。

受験者によって勉強時間は異なりますが、試験日までの間にモチベーションを維持しつつ、スケジュールも管理するといったことが大切です。

そのため、自己管理能力や勉強自体が苦手といった方は、通信講座の受講など別の対策方法についてもご検討ください。

詳しくは下記のコラムで解説していますので、気になる方はぜひご覧ください。

まとめ

本記事では、電気主任技術者とはどういった資格か、仕事内容や資格の種類について解説しました。

電気主任技術者には第一種から第三種までの区分が設けられており、それぞれで従事できる範囲が異なります。

一番広く扱えるのは第一種電気主任技術者です。

ただし、第一種電気主任技術者の取得難易度は非常に高いため、最初に取得する資格としてはあまりおすすめできません。

第三種でも扱える範囲は非常に広いため、電気主任技術者を目指す方は、第三種電気主任技術者の資格取得から始めましょう。

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