電験三種は役に立たない・意味ない?取得のメリットや実際の業務を紹介

電験三種は役に立たない・意味ない?
取得のメリットや実際の業務を紹介

電験三種4

第三種電気主任技術者試験(略称「電験三種」。以下、特記すべき事情がない限りは「電験三種」とします)は、電気を扱う業務を円滑に安全に行うために設定された国家資格です。

電気主任技術者試験は第一種・第二種・第三種の3つに分けられており、電験三種はそのうちでもっとも下位の資格です。そのためしばしば、「電験三種はとっても意味がないのではないか」といわれます。

しかし電験三種は非常に企業側にとって非常に重要な資格であり、また被雇用者側からみても有意義な資格です。
ここではこの「電験三種」を取ることのメリットと、「取っても意味がない」と言われている理由、そして電験三種が活躍できる場面について解説していきます。

電験三種は取っても意味がない?

電験三種は国家資格ながら、「取ってもあまり意味がないのではないか」と考える人もいます。
しかし電験三種は実は非常に取得しがいのある資格だといえます。 その理由について解説していきます。

取得メリット1「企業からのニーズが高い」

電験三種の資格を取得した者(以下「電験三種資格取得者」の表記で統一します)は、電気に関わる業務を受け持つ企業の多くにとって、なくてはならない人材だといえます。

これには、日本の法律が関係しています。
電気に関わる法律として「電気事業法(昭和39年法律第170号)がありますが、その43条において、『事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。』とされています。

引用:e-GOV法令検索「昭和三十九年法律第百七十号電気事業法」



つまり、該当の電気工作物を扱う企業にとっては電気主任技術者試験に通った者を選任することが義務付けられているのです。この人材がなければ、その企業は事業を執り行うことができません。
事業用の電気工作物を扱う企業は非常に多いため、そのような企業からのニーズは今後も存在し続けます。

取得メリット2「将来性があるため安定して働くことが可能」

電験三種資格取得者の需要は、尽きることがありません。電気のニーズは決して途絶えることがありませんし、その監督・維持・保安の業務も存在し続けます。

そのため、将来性もある仕事だといえるでしょう。

また電験三種の資格が役立てられる機会は、「現役時代」だけではありません。

たとえば、「60歳までずっと同じ企業に奉職してきて引退したけれど、今後はアルバイトのような感覚で働き続けたい」と考えたとき、電験三種は大きなアドバンテージになります。

電験三種資格取得者の仕事は、原則として「監督・維持・保安」です。体力や腕力を必要とする作業はあまりありませんから、年齢を重ねた後でもずっと働き続けることができます。

取得メリット3「就職・転職、キャリアアップに有利」

電験三種は国家資格です。また、電気設備の監督・維持・保安は電験主任技術者資格取得者がいなければならない業務であるため、電験三種資格取得者を求める企業への就職・転職を有利にしてくれます。

すでに電気関係の仕事に就いて長いのであれば、長い実務経験に電験三種の資格をプラスすることで、大幅なキャリアアップが見込めるでしょう。

また、独立して起業しようとする場合にも電験三種は有効です。

電気に関わる仕事をしている人間にとって、電験三種は目指すべき資格のうちの一つだといわれています。

また電験三種の上には、その上位資格として第二種電気主任技術者試験と第一種電気主任技術者試験(以下、特記すべき理由がない限りはそれぞれ「電験二種」「電験一種」とする)があります。
電気に関わる業界で仕事をしていこうとするのであれば、さらに上位の資格の取得を目指すのも一つの手です。なおここでは詳細な解説は避けますが、電験二種は電験三種より、電験一種は電験二種よりも高い電圧を扱う事業所の監督・維持・保安にあたることができます。

加えて、同じように「電気関係の国家資格」である電気工事士の資格取得を目指すなどのキャリアアップを意識することもできます。電験三種が監督・維持・保安を主な業務とするのに対し、電気工事士は電気関係の工事を主な業務とします。電気関係の仕事に就いている人のなかには、両方の資格を取得している人もいます。

電験三種の資格は「今後も電気業界で生きていこうとする人のキャリアアップ」のためにも役立つものであると同時に、「取得した後に、さらにキャリアアップのための新しい資格を取得することを意識できる資格」であるといえます。

電験三種は取っても意味がないと言われる理由

ここからは、「では、そもそもなぜ『電験三種は取っても意味がない』と言われるのか」について考えていきましょう。
その理由を知ることで、逆に「どのようにしたら電験三種の資格を役立てられるか」が見えてくるはずです。

理由1「責任が重いのにあまり稼げない」

電験三種資格取得者の平均年収として、一般的に「350万円~500万円程度」という数字があります。

実際に電気関係の業界で働く人にも取材をしてみましたが、上の数字は非常に妥当なものだといえます。

なお国税庁の「令和元年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―」によれば、令和元年の男性の平均給与は539万7000円、女性の平均給与は295万500円、両性の平均年収は436万4000円となっています。

この数字と上記の「350万円~500万円」を比較して見ると、電験三種資格取得者の年収は決して低くないことがわかります。

出典:国税庁 長官官房 企画課「令和2年分民間給与実態統計調査結果」


たしかに電気主任技術者の責任は重く、ミスは許されない業務だといえます。その責任感の重さと比較して見た場合、「平均程度」に収まる給与額に不満を抱く人もいるでしょう。

しかし電験三種は決して尽きることのないニーズがあり続ける仕事であり、再就職なども容易です。大金を稼げる仕事ではないかもしれませんが、このような「安定性の高さ」は電験三種を持つことの大きなメリットだといえるでしょう。
また、企業や業種、実績によっては、年収800万円以上を狙えることもあります。

また何より大きいのは、下記でも取り上げる「電験三種資格保持者層が、すでに定年退職世代である」ということです。

「すでに定年退職をしたので、それほど大金を稼ぐ必要はない。老後のお小遣い稼ぎと張り合いのために仕事をしているので、給料が高くなくても構わない」という人も、「電験三種資格保持者の平均年収」を算出するときに入ってくるため、結果的に年収が下がっているという現実もあります。

理由2「資格対策の勉強時間が長い」

電験三種の資格取得を目指す場合、1000時間程度の勉強時間を確保しなければならないといわれています。これは、同じように国家資格に分類される行政書士試験突破に必要な勉強時間とほぼ同じかそれ以上です。
このようなこともあり、電験三種はコストパフォーマンスが悪い…と言われることが多いのだと思われます。

ただ電験三種の場合、試験が免除される方法もあります。そのキーとなるのが「認定校」です。認定校には大学・専門学校(短期大学)・工業高校がありますが、これらを卒業している場合、実務経験を積むことで試験が免除されます。 また認定校を出ていなかった場合でも、資格取得のための通信教育などを利用することで効率よく学べます。電験三種はメジャーな資格であるため、多くの通信教育事業がこれを取り扱っています。

ちなみに電験三種の場合、「科目合格」の制度もあります。 電験三種は4つの試験科目(理論・電力・機械・法規)から成りますが、すべてを1度の試験で突破する必要はありません。1度合格した科目は2年間にわたって「合格したもの」と扱われますから、3年間で4科目を突破すれば無事に電験三種を取得できます。
さらに、2022年からは1年の試験実施回数が2回になったため、さらに科目合格による突破がやりやすくなります(2021年までは、試験実施回数は1年に1回のみ)。

このため、たしかに電験三種は資格取得までにかけなければならない勉強時間は多いものの、効率の良い突破方法も存在する資格試験だといえます。

理由3「大企業の場合は無駄になることも…」

「電験三種を取っても、大企業の場合は電験三種資格取得者が大勢いる。そのため無駄になるのではないか」とする意見もあります。

たしかに大企業の場合、電験三種の資格を持っている人は少なくないかもしれません。
しかし電験三種資格取得者のニーズは、今後も高まり続けます。 これは推論ではなく、明確なデータによって裏付けされている「事実」です。

電験三種資格取得者の年齢構成比でもっとも多いのは、60~69歳の層です。そして2位に、70歳~の層が続きます。 60~69歳の層では電験三種資格取得者数は60000人にも届こうかとするほどですが、それより若い世代の場合はどの世代でも30000人に届きません。電験三種資格取得者のうちの60パーセント以上が50歳以上であり、40パーセント程度が60歳以上であるという統計も出ています。
このため、この世代が引退するであろう数年~10年後には、電験三種資格取得者の数が足りなくなるとされています。

このような現状を踏まえて、経済産業省でも「電験主任技術者が足りなくなる」として警鐘を鳴らしています。
現在所属している(あるいは所属しようとしている)大企業にすでに電験三種資格取得者がいたとしても、定年退職がみえている世代も多いため、これは大きな懸念材料にはならないといえます。

出典:経済産業省 産業保安グループ電力安全課「電気保安体制をめぐる現状と課題」


たしかに電験三種の資格取得にあたっては、不安要素もあることでしょう。
しかし電験三種の概要や働き方、実情を知れば、その不安要素を解消することができるのです。

実際の業務で電験三種が必要な場面

ここからは、「それでは実際に電験三種資格取得者はどのような場面で活躍できるか」を解説していきます。

電気機器の外観点検・温度測定

電気工作物の監督・維持・保安を職務とする電験三種資格取得者(電気主任技術者)にとって、「点検」は非常に重要な業務です。

たとえば、外観をしっかりと点検することで、異音や異臭、工作物の損傷などがないかを確認することができます。また電線類が適切な距離を保って配置されているかを測ることもできるでしょう。 異常な熱が発生する原因の代表例として、「端子の接触不良」が挙げられます。温度の測定を行うことにより、このような機器の異常を見抜くことができます。

これらの点検・測定作業によって、「気づかずに放置しておいた場合に起こりえたかもしれない事故」を未然に防ぐことが可能となります。

電圧・電流を測定し間違いを是正

電圧や電流の値がおかしいと、機械の故障や配線トラブルが疑われます。
このような状態を放置した場合、火災などにつながり、多くの人や財物に多大な損害がもたらされる可能性が高いといえます。このため電験三種資格取得者(電気主任技術者)は、これを測定し、異常がないかを確認しなければなりません。

また、「絶縁抵抗試験」も電験三種資格取得者(電気主任技術者)の行うべき業務のうちの一つです。絶縁抵抗値が著しく低下していた場合、漏電の可能性があります。漏電は機械の故障や感電事故につながるもので、これも非常に危険です。

電験三種資格取得者(電気主任技術者)は、これらをチェックし、必要に応じて依頼主に是正を提案・要請することを仕事としています。
ちなみに、法律で「法定点検」を行うことも義務付けられています。

メーカーとのやり取り

電験三種資格取得者(電気主任技術者)を雇用することになるビルの管理会社などには、電気関係のエキスパートがいない場合もあります。そのような会社が電気設備を整えようとする場合、メーカー側との交渉がなかなかうまくいかないこともあります。
電気設備の話は非常に専門性が高いため、問い合わせ一つ、物品の購入一つを行う場合でも、知識が必要となるのです。

このような状況のときに、電験三種資格取得者(電気主任技術者)がビルの管理会社とメーカー側の間に立ち、問い合わせをしたり、必要な物を発注したりする場合もあります。
専門的な知識を持つ電験三種資格取得者(電気主任技術者)が橋渡しをすることで、双方にとって必要な物・情報を滞りなく受け渡し合えるようになるのです。

まとめ

電験三種の資格は、しばしば「役に立たないもの」と言われます。 しかしその内容や活躍の場を知れば、そのような言葉は的外れなものであることがわかります。 電気を扱う業界で活躍したいと願うのであれば、電験三種はぜひ取りたい資格のうちの一つだといえるでしょう。

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